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株式会社ソムリエ スペシャルセミナー レポート
実施日:2024年6月24日(月)
場所:六本木 和牛懐石「六花」
ゲスト:テヌータ・ウリッセ 輸出マネージャー マルコ・ディ・パオロ氏
通訳:株式会社AVANTI 谷口高志 氏
オブザーバー:ワインショップ セラーマスター 江畑進一
テヌータ・ウリッセは2006年に設立、ウリッセ家の若い兄弟、アントニオとルイジによって運営されているワイナリーです。
醸造所としての歴史は浅いものの、ウリッセ家は代々アブルッツォ州の伝統的な地場品種を主体に栽培してきました。
「アブルッツォ州の個性的で表現力豊かなテロワールのもと、他地域にはないアブルッツォ州独自の高品質ワインを作ることを目指す」ことを目標にするテヌータ・ウリッセは、地場品種でのワイン造りに強いこだわりをもちます。
ほとんどのワインがルカ・マローニ95点以上を獲得し、2022年度のベストイタリアンワインを獲得した、素晴らしい作り手です。
今回は6月24日(月)六本木「六花」で行われたテヌータ・ウリッセのスペシャルセミナーの様子をご報告します。
① アブルッツォ州のテロワール
アブルッツォ州のブドウ畑は海と山に挟まれた丘陵地帯に広がっており、ブドウ栽培に適した地域であるがゆえに寒暖差が大きい地域です。
生産量の多くがバルクワインとして州外に売りに出され、長年質より量を重視したワイン造りが行われてきました。
近年は、品質を高め、ブドウ品種の個性を重視した作り手が増えていますが、テヌータ・ウリッセはその筆頭のワイナリーです。
② ウリッセの近代醸造テクニック
テヌータ・ウリッセでは、地場ブドウを中心とした、ブドウの個性を最大限引き出すためにさまざまな醸造テクニックを駆使して、高品質なワインを生産していますが、その秘密をご説明いただきました。
1,ウリッセトンネル 収穫後ブドウの粒は、二重構造のチューブの中を通って運ばれます。チューブの外側に-136度の液体窒素が通っていて、ブドウの実の温度を急速に下げて酸化を止め、アロマを失わないようにしているとの事
マルコさんはブドウを凍らせる工程があるのは、世界でもウリッセだけはないか、とおっしゃってました。
2,低温発酵。発酵温度は一般的なワイン造りより低く、7~9度。畑の野生酵母から低温発酵できる酵母を選別・培養して使っているそうです。
そのため発酵期間は一般のワインより長い、30日です。
ウリッセトンネルと、低温発酵は、主に白・ロゼワインに使われます。
3,バキューム式プレス ぶどうを搾るのにバキュームを使っています。真空に近い状態になるため、酸化を極限まで減らせます。
4,アルゴンガス使用。発酵時、タンク中に空気より重いアルゴンガスを充填しワインを酸化から防いでいます。
他にも、赤ワインはフレンチオークとアメリカンオークを組み合わせて、最適なバランスで作っているなどの話が出ました。
こういったさまざまな最新のテクニックを使っていますが、それも伝統的な地場ブドウの個性を100%引き出すためです。
パッセリーナや、ココッチオーラは、もともとそれほどアロマティックな品種ではないが、ウリッセのワインは香りが際立っているとのこと。
③ テイスティング
その後、日本未発売の2品種を含めて、5種類のテイスティングを実施。
まずは、白ワイン3品種からテイスティング
① パッセリーナ
白桃を思わせる華やかなアロマ、ライムの 風味が香り、余韻にミネラルを感じる。
今回のテイスティングでは爽やかな酸が際立っていました。
② ココッチオーラ
柑橘や青リンゴ、白い花を思わせる繊細なアロマ。軽やかでとてもフレッシュな味わい。
パッセリーナと比べて酸は弱いが、繊細な味わい、
③ ペコリーノ・プレミアム(日本未発売)
テヌータ・ウリッセのペコリーノはサクラワインアワードでダイアモンドを獲得した、大人気のワインですが、今回は、日本未発売のペコリーノ・プレミアムを試飲。
パッセリーナ、ココッチオーラと比べて、ペコリーノの特徴の、橘類、白桃、パパイヤを思わせるトロピカルなアロマが際立っていました。
ペコリーノの語源は羊で、羊乳のチーズもペコリーノと呼ばれています。
④ プリミティーヴォ(日本未発売)
こちらも日本未発売。プリイティーヴォはアブルッツォ州原産ではありませんが、プリミティーヴォワインがメインのワイナリーを買収する話が合った時に、アブルッツォ州で、初めてプリミティーヴォを作るワイナリーになろうと植えたのが始まり。
ウリッセのチャレンジ精神がわかります。
プルーンやチェリージャムのようなフルーティーな味わい。
⑤ アマランタ モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
ルカ・マローニ99点獲得にふさわしい、凝縮感のあるアロマ。
ボリュームはあるが、柔らかいタンニンで、エレガントな味わい。
プリミティーヴォに比べて、モンテプルチアーノは収量が少なくより凝縮するというとの説明がありました。
テイスティング後、質疑応答では、皆様から白熱した質問があり、予定時間をオーバーしてしまいましたが、テヌータ・ウリッセ、アブルッツォ州のワインを知っていただく良い機会になりました。
最後は記念撮影をして終了。皆様、セミナーについて大変満足頂いた様子でした。