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ラインガウのライン川をはさんだ対岸に位置するラインヘッセン。
ドイツのブドウ栽培面積のほぼ25%近くを占めるドイツ最大のワイン産地で、「千の丘陵地」と呼ばれ肥沃な土壌の農地が広がっており、さまざまな品種のブドウが栽培されています。
そこで、本日はラインヘッセンのワインについてお話します。
ラインヘッセンについて
ラインヘッセンは、高品質のワインを生産する13の指定された産地のうちの1つで、前回お話したラインガウのライン川をはさんだ対岸に位置しています。
ワイン造りの歴史はローマ帝国が駐屯地を置いたことに始まり、ラインヘッセンの名前は、1816年から1919年までこの地をヘッセン大公国が所有していたことに由来します。
ラインヘッセン地方は総栽培面積26,600ヘクタールとドイツのブドウ栽培面積のほぼ25%近くを占めるドイツ最大のワイン産地で、対岸のラインガウはほとんどがリースリングの栽培のみで、事実上単一栽培といえますが、ラインヘッセンは、肥沃な土壌の農地が広がっており、さまざまな品種のブドウが栽培されています。
また、ラインヘッセンは美食の町としてしても知られており、バリエーション豊かな料理が楽しむことができ、ミシュランの星付きレストランも点在します。
ラインヘッセンのテロワール
ラインヘッセンは、ライン川がマインツの近くで南から北へ流れを大きく変える「ライン川の膝」と呼ばれる地域に広がっており、この辺りはなだらかな丘陵地帯で「千の丘陵地」と呼ばれています。
ラインヘッセンの気候は、対岸のラインガウ同様ブドウの栽培にとって理想的な気候条件が整っており、オーデンヴァルト、タウヌス、フンスリュックといった山々に守られ、年間平均気温は11度と温暖で、降水量は少なく、年間日照時間は1700時間にと温暖な地域です。
ラインヘッセンの土壌は多様で、黄土、石灰岩、砂や砂利と混ざり合う土壌おもにあり、珪岩、斑岩、スレート、火山性土壌なども分布しています。
ナッケンハイムとニアシュタインの東からラインヘッセン地方西部にかけての川沿いにはロートリーゲント(赤底統)と呼ばれる赤いスラット砂質の粘土質土壌があります。
ラインヘッセンで栽培されている主なブドウ品種
栽培されるブドウ品種は、比率としてはリースリング、ミュラー・トゥルガウ、ドルンフェルダーがほぼ同じくらいの比率で栽培されており、シルヴァーナー、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、ピノブラン、ポルトギーザー、ケルナーと続きます。
最近の傾向は、特にドルンフェルダーの赤ワインが人気で、黒ブドウ品種の栽培面積はこの10年で2倍以上になり、現在、ラインヘッセンのブドウ園の3分の1が黒ブドウの栽培になっています。
ラインヘッセンワインの特徴
ラインヘッセンで造られるワインは、白ワインが約70%、赤ワインが30%という比率で、「聖母の乳」という意味のリープフラウミルヒという甘口白ワイン発祥の地です。
かつては、こうした白のブレンドがとても人気で多く生産され、生産されるワインの1/3が輸出ということもあり、日本でもドイツワインを手に取ると、ラインヘッセンの甘口のものが多くあります。
現在は、高品質な辛口のリースリングの生産に力をいれており、ラインヘッセンで造られる優れたリースリングワインが注目を集めています。