チリワインの原点といわれるブドウ品種パイスの特徴

チリワインの原点といわれるブドウ品種パイスの特徴
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チリワインの原点といわれるブドウ品種パイスの特徴

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チリワインの原点ともいえるブドウ品種パイス

2015年以来、日本でのワイン輸入量でトップを独走するチリワイン
デイリーワインからプレミアムワインまで楽しめるチリワインは、
ニューワールドの中でも人気の高いワイン産地です。
本日は、そんなチリワインの原点とも言える
パイスというブドウ品種についてお話します。

チリに初めて持ち込まれたブドウ品種パイス

チリでワインが造られるようになったのは16世紀、
チリがまだスペインの植民地だったころ、
キリスト教の布教活動のためにスペイン人宣教師が持ってきた
初めてのブドウがこのパイス(Pais)というブドウ品種でした。
チリの代表的なブドウ品種と問われると、現在ではカルメネールや、
カベルネソーヴィニヨンといった国際品種がすぐに思い浮かびますが、
1997年までは、チリでもっとも多く栽培されているブドウ品種で、
1980年代には約30,000ヘクタールの栽培面積がありました。
19世紀半ばにフランスから入ってきた、
カベルネソーヴィニヨンなどの国際品種が次第に栽培面積を増やしていき、
現在では、パイスの栽培面積は減少傾向にありますが、
チリ南部のビオビオ、マウレ、イタタ川地域で、
ジョッキワインの生産に最もよく使用されています。
パイスは、乾燥に強く灌漑がなくても育ち、ブドウ特有の病気に耐性があり、
樹勢が強く収量も多い品種で、さまざまな土地や気候に適応できる特徴があるため、
あっという間にチリ全土からアメリカ大陸に広まり、
古いものでは樹齢400年にもなるものが栽培されています。

さまざまなシノムニを持つパイス

País(パイス)は、スペイン語で国を意味する言葉ですが、
パイスにはたくさんのシノムニがあり、アメリカやメキシコではミッション(Mission)、
アルゼンチンではクリオージャ チカ(Criolla Chica)や、ネグラチカ(NegraChica)、
ペルーではネグラコリエンテ(Negra Corriente)、
スペインのカナリア諸島ではリスタン・ネグロ(Listán Negro)
という名前で呼ばれているそうです。

パイスから造られるワインの特徴

パイス単一品種のワインは、赤みがかった茶色の色調で、
チェリーなどのアロマがありフルーティーでタンニンがおだやかで、
飲みやすい軽快なボディの素朴な赤ワインになります。
現在では、カベルネソーヴィニヨンなどのボルドー品種を使い
高品質で長期熟成型のワイン造りが主流となってきましたが、
育てやすく高い収穫量のあるパイスは、
デイリーワインとして、チリの南部では紙パックや大瓶に入れて販売され、
大衆ワインとして親しまれています。
現在、パイスの栽培面積は減少傾向にありますが、
チリの伝統的な品種を守ろうと、
チリの大手ワイナリーであるミゲル・トーレス・チリと、
タルカ大学が3年の月日をかけて開発して2010年にリリースした
チリ初のパイス100%のロゼスパークリングワイン
「サンタ・ディグナ・エステラード・ブリュット・ロゼ」など、
チリ国内でもふたたびパイスから造られるワインに注目が集まっています。

サンタ・ディグナ・エステラード・ブリュット・ロゼ

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