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開けたてのワインを飲んだ時に、すぐに飲み頃になるワインもあれば、
いまいち香りが感じられず、味も硬くてわかりづらいなんて時もありますよね。
そんな時は、デキャンタージュという方法もありますが、
デキャンタも必要で少し時間をかけなくてはいけません。
そこで、もっと手軽にすぐにワインをおいしく飲める方法があるんです。
それが、エアレーター。
本日は、ワインをすばやく美味しくしてくれるエアレーターについてお話しします。
エアレーターとは
エアレーターとは、ワインボトルの口もとにつける注ぎ口のことで、
別名ポアラーともいい、ポアラーはワインだけではなく、
オリーブオイルやリキュールなど、さまざまなボトルに使われています。
ポアラーの1つであるエアレーターのおもな役割は、
ワインを注ぎながら、ワインに空気を効率的に触れさせることです。
ワインをグラスに注ぐときにエアレーターを通すことで、
エアレーターの側面にある通気孔から酸素が取り込まれ、
ワインにエアレーションと呼ばれる泡立ちを発生させます。
エアレーターは、さまざまな構造のものがあり、
ボトルに直接取り付けるものから、ワインボトルとグラスの間にいれて、
片手でボトルを持ち片手でエアレーターを持って注ぐタイプなどがあります。
中には、瓶口に取り付ける注ぎ口タイプのものではなく、
瓶に直接ノズルを差し込んで微細な通気孔から多量の空気を一気におくりこむ電動タイプや、
エアレーターの部分が二層構造になっていて、
注がれたワインが小さな多数の穴を通って落ちることでシャワーのようになり、
一気に空気に触れさせることができるもものなどさまざまなものがあります。
価格は、安いものは1000円台から、高いものだと7000円くらいのものまで
デザインや機能によって価格にひらきがありますが、
2000円前後のものが多く販売されています。
SKYIEポアラー
こちらはボトルに直接取り付けるタイプのもので、
注ぎ口の部分が長めに設計されているので、
ワインがエアレーションしているのが見えやすいタイプです。
エアレーターはどんなワインにも使うわけではない
それでは、どんなワインにもこのエアレーターを用いるのがいいかというと、
そうではありません。
エアレーターを使うことでおいしくなるワインもあれば、
逆に味を損ねてしまうものもあります。
一般的には、スパークリングワインや白ワインにエアレーターは使用しません。
白ワインやスパークリングは酸やフレッシュさが特徴でもあるため、
エアレーターを通すことで揮発してしまうこともあります。
とくにスパークリングワインは、最大の魅力でもある泡がエアレーターによって
台無しになってしまうこともあります。
白ワインに関しては、香りが閉じているものや、
しっかりとしたコクがあるはずなのに硬くなっているなど、
本来のポテンシャルを感じられないという時だけ使用してみるのをおすすめします。
エアレーターを使うことで、せっかくの泡が台無しになってしまいます。
それでは、どんなワインにこのエアレーターが適しているかというと、
以前、このソムリエ手帳でもお話した
デキャンタージュをするとおいしくなるワインと共通しています。
そもそもデキャンタージュの目的は2つあり、
1つは澱(おり)を除くこと。
2つ目は、ワインの味をまろやかにして開かせることです。
今回は、2つ目の味をまろやかにして開かせることと同じ目的でエアレーターを使います。
とくにヴィンテージの若いワインに関しては、
瓶内で熟成が不十分だった時にでてくる還元臭を消したり、
ワインの酸味の成分である有機酸と、渋みの成分であるポリフェノール量は、
空気に触れ酸化することで減少し味わいがまろやかになるという点からも、
エアレーターを使うことで、ワインがもともと持っているポテンシャルを
うまく引き出してくれる可能性があります。
また、白ワインでも若いヴィンテージのカリフォルニアワインや、
上質なブルゴーニュワインなど木樽でしっかり熟成されたオイリーなワインは、
エアレーターを使うことで、香りと味わいが豊かになることもあります。
ただ、赤ワインにくらべて白ワインは空気に敏感なので、
一口飲んで、香りが閉じていて、コクが感じられないと
思ったときのみに使用するのが良いでしょう。
エアレーターがない場合は
エアレーターがまだ家にないという場合に、
ヴィンテージの若いワインの味をまろやかにしたいという時には、
デキャンタージュがおすすめです。
まず抜栓したら、ワインをデキャンタに一気に注いで空気を含ませ、
さらに容器をスワーリング(回して空気に触れさせる)します。
空気をより多く取り込む場合は、ワインを高い位置から大胆に
デキャンタに入れる方法もあります。
デキャンタージュする時間は、若いヴィンテージワインだと
ワインの力強さにより1〜3時間程度、
熟成された年代物のワインはサーブする数分~10分くらいまでに行うのが良いと言われていますが、
あくまでワインの状態によっても変わってきますので、その点だけご注意ください。