寒暖差の激しいフランケン地方で造られるワインの味わいと特徴

寒暖差の激しいフランケン地方で造られるワインの味わいと特徴

寒暖差の激しいフランケン地方で造られるワインの味わいと特徴

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フランケン地方で造られるワインの味わいと特徴

フランケン地方は、モーゼル、ラインガウに並ぶ白ワインの名産地で、
ボックスボイテルと呼ばれるずんぐりと丸みを帯びた
独特な形状のボトルにつめられたワインが名産です。
ミネラル豊富な土壌で育つブドウから造られるワインは、
「石のワイン」とも呼ばれ、しっかりとした骨格をミネラル感豊富な味わいです。
そこで、本日はフランケン地方のワインについてお話します。

ドイツのフランケン地方について

フランケン地方は、ドイツ・バイエルン州の北端に位置し、
W字型を描いて流れるマイン川とその支流の沿岸斜面にある丘陵地帯です。
ブドウ畑の大半はアシャッフェンブルクとシュヴァインフルトの間にあり、
すべてのブドウ畑が南向きの斜面に開墾されています。
ブドウ畑の総面積は6.100ヘクタールに及び、シュタイガーヴァルト、マインフィアエック、
マインドライエックの3つのベライヒに分かれていています。
1970年代以降、ブドウ畑の面積は3倍にまで拡張し、
ドイツの中規模のワイン産地の1つになりました。

フランケンのワインの歴史

フランケンのワイン造りの歴史は古く、8世紀頃にはキリスト教の修道院によって
大量のワインが造られており、中世にはブドウ畑は4万ヘクタールに増加し、
フランケン地方はモーゼル川とライン川の左右の地域をはるかに上回る
ドイツで最大の栽培面積を誇るワイン産地にまで発展しました。
しかしながら、19世紀末におきたフィロキセラ禍の影響により、
20世紀半ばにはブドウの栽培面積は2,000ヘクタール強にまで減少してしまいます。
その後、フランケン地方のワイン造りを復活させようと、1960年代にワイン製造協同組合が設立され、
ブドウ畑の区画整理が行われ、1970年代に入るとワインの価格は3倍にまで急騰しました。
これにより再びフランケンのワイン生産は成長し、
ドイツでは中規模の6番目に大きなワイン産地になりました。

フランケンのテロワール

フランケン地方は北緯50度ラインにかかるワイン産地としては厳しい気象条件で、
平均気温は9℃前後とフランス・シャンパーニュ地方に似た寒冷な気候と、
昼夜の寒暖差が激しいです。
土壌は雑色砂岩土壌が多く、ムッシュカルクと呼ばれる、貝類の化石を含む石灰岩に、
コイパーという泥炭岩などのミネラル豊かな土壌で、
約6千万年の年月がかけて古代の三畳紀の海から堆積して出来上がりました。
場所により土壌が異なり、マインフィアエックでは雑色砂岩土壌が多く、
マインドライエックではムッシェルカルクとレスが中心となり、
シュタイガーヴァルトではコイパーが広がっています。

フランケンで栽培されているブドウ品種

フランケン地方で最も広い栽培面積を持つブドウ品種がミュラー・トゥルガウで、
全体の28%を占めます。
フルーティーでありながら、スパイスの香りが強く感じられ、
酸はそれほど強くなく、ニュートラルな味わいの白ワインが造られています。
次にフランケン地方で広く栽培されているブドウ品種がジルヴァーナーで、
フランケン地方のおおよそ20%の栽培面積を占め、この地域の中でも最も古い品種の1つです。
ジルヴァーナーから造られるワインは、青りんごやハーブの爽やかなアロマに、
フレッシュでフルーティーな果実味のある軽快な白ワインになります。
この他、ドイツワインの他の産地同様リースリングやピノ・ブラン、
またバッフスがこのフランケン地方で独特のワインを造り出します。

フランケンのワインの味と特徴

フランケン地方で造られるジルヴァーナーは、
寒暖の差が激しい大陸性気候のミネラル豊富な石灰岩土壌から、
しっかりとした骨格をもつミネラル感豊富な味わいのワインが生み出されるため、
その味わいから「石のワイン」とも呼ばれています。
また、ボトルにも特徴があり、ずんぐりと丸みを帯び独特な形状の
ボックスボイテルと呼ばれるボトルにつめられます。
このボトルの形状は、その昔この地方の辛口ワインの偽物が横行したことから、
当時の生産者が偽ワインと区別するためにわざわざこのような形のボトルを作ったことから、
その伝統が受け継がれました。
ドイツを代表する作家のゲーテもこのフランケンワインをこよなく愛していたうちの一人でした。

フランケン地方のワイン

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