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2010年に日本ワインには欠かせない白ワイン用のブドウ品種である甲州が、
O.I.V.(Office International de la vigne et du vin 国際ブドウ・ワイン機構)に、
品種登録され、続いて3年後の2013年にマスカット・ベーリーAが
O.I.V.に正式に品種登録され、
ここから、一気に日本ワインが世界から注目を集めるようになり、
目覚ましく日本ワインの品質が向上していきました。
そこで、本日は日本で開発された日本固有の赤ワイン用黒ブドウ品種である
ブラック・クイーンについてお話します。
ブラック・クイーンから造られるワインの特徴や味わい
ブラック・クイーン(Black Queen)とは、マスカット・ベーリーAなどと同様の
日本で開発された日本固有の赤ワイン用黒ブドウ品種です。
マスカット・ベーリーAと比べると生産量はあまり多くはありませんが、
長野県、山形県、新潟県、岩手県、山梨県などで栽培されており、
最近は、ブラック・クイーンを主体にしたワインや100%の単一ワインなども増えてきました。
ブラック・クイーンの特徴は、なんといってもその黒に近い紫色の果皮から抽出される
しっかりとしたタンニンで、豊かな酸とタンニンからボリューム感のある味わいの赤ワインが生まれます。
近年では収穫時期を遅らせることで、酸味をやわらげブラック・クイーンの豊富なタンニンと
果実味を活かしたワイン造りが増えており、出来上がるワインは、
プラムやブラックベリーといった黒系果実のアロマにバニラやチョコレート、
そして、ほんのりスパイス香も感じられ、フレッシュな果実味と
丸みのある柔らかなテクスチャーをもったふっくらとボリューム感のある赤ワインになります。
ブラック・クイーンの歴史
ブラック・クイーンは1927年に川上善兵衛氏が新潟県の岩の原葡萄園で、
母親品種にベイリー、父親品種にゴールデンクイーンをかけ合わせ生み出された交配品種です。
川上善兵衛氏は1870年後半から勝海舟のすすめでブドウ栽培とワイン醸造を始め、
今日の日本ワインの礎を築いた「日本ワインの父」と呼ばれる醸造家で、
栽培や醸造のみでなくブドウの品種改良の功績も多く、
「川上品種」と呼ばれる22品種の優良品種が生み出されました。
その中には、日本ワインを代表するマスカット・ベーリーAもあり、
2013年にO.I.V.に正式に品種登録され、世界からも注目される日本の固有品種になりました。
ブラック・クイーンのワインに合う料理
ブラック・クイーンの特徴でもあるしっかりとしたタンニンと豊かな酸の
ボリューム感のある味わいには、濃いめに味付けされた肉料理がよく合います。
中でも和食を合わせるなら、すき焼きや肉じゃがといった甘辛い醤油の味付けがぴったりです。
また、丸みのある柔らかな味わいの中にほんのりスパイスのような風味も感じられるので、
ピリッと山椒を効かせたうなぎのかば焼きなどとよく合います。
洋食であれば、ブラック・クイーンの豊かな酸味を引き立たせてくれる
ボロネーゼパスタや牛肉のトマト煮込みなどトマトを使った料理もおすすめです。