環境を守るサステーナブル農法のメリットとリスク

環境を守るサステーナブル農法のメリットとリスク
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環境を守るサステーナブル農法のメリットとリスク

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環境を守るサステーナブル農法

2015年9月国連サミットで採択されたSDGs(エス・ディー・ジーズ)。
全17項目の目標を2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられました。
その中に持続可能な農業の取り組みもあり、
ワインの世界においても、こうした自然環境に配慮したワイン造りが
世界各国のワイン産地で行われています。
そこで、本日はサステーナブル農法についてお話します。

サステーナブル農法とは

サステーナブル(英: sustainable)とは、本来は「維持できる」「耐えうる」「持ちこたえられる」
を意味する形容詞で「持続可能な」という意味に用いられます。
人間社会の活動が自然環境において悪影響を与えず、その活動を維持できることを表しています。
日本語表記には、「サステナブル」「サスティナブル」「サステーナブル」とさまざまな表記がありますが、
ここでは、サステーナブルで統一して表記します。
それでは、ワイン造りにおけるサステーナブル農法とはどういうものかというと、
ブドウ栽培からワイン造りのすべての工程において、自然環境へ配慮した取り組みを指し、
可能な限り化学肥料や除草剤を使わず、生態系のバランスを維持し、
次世代へ継続していけるワイン造りを目指したものです。
一例をあげると、チリワインの代表的なワイナリーであるコノスルでは、
害虫を駆除するのに、害虫が木に登って若い枝を食べないよう、
木の幹に油とガーリックを染みこませた厚紙を縛り付け、害虫を地面へと戻し、
ガチョウを畑で放し飼いにすることで地面をさまよっている害虫を食べさせて駆除しています。

同じような自然派ワインというくくりで、
フランスでは有機栽培で造られたブドウを原料とした自然派ワインを
「ヴァン・ナチュール(Vin Nature)」と呼びます。
ブドウの栽培方法には、ビオロジック農法とビオディナミ農法という
2つの栽培方法があり、どちらもビオとつきますが、栽培方法はかなり異なります。
ビオロジック農法は、EUで認証した有機肥料を使用し、
化学薬品などを使用せず、硫酸銅と石灰を混合したボルドー液を使用する
いわゆる「有機農法」をさします。
一方、ビオディナミ農法は、オーストリアの人智学者ルドルフ・シュタイナー氏が
提唱した農法で、ベースはビオロジック農法ですが、
天体の動きを取り入れた独特な栽培方法で、天然由来のプレパラシオンという
調合物を使用し、土壌の活力とブドウ樹の成長を促進させます。
ちなみに、このビオディナミ農法は、ブルゴーニュのあの高名なドメーヌである
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティでも採用していることから、
徐々に、この農法を採用する生産者が増えています。
フランスでは、こうした有機栽培で造られたブドウを認証する
アグリカルチャービオロジック、エコセール、ナチュール・エ・プログレ
などの認証機関があり、認証されたワインには認証マークのラベルが貼られています。
こうしたビオロジック農法やビオディナミ農法に対し、
サステーナブル農法は、農薬や化学肥料などを絶対使わないという厳格なものではなく、
必要最小限にとどめて使用するという、フレキシブルな考え方の農法です。

サステーナブル農法のメリット

前述のとおり、ビオロジック農法やビオディナミ農法といった
一切の化学肥料や除草剤の使用を禁止する厳格な決まりのある農法と異なり、
必要最小限までは使って、できるだけ生態系のバランスを保ちつつ、
ワイン造りをおこなうというものなので、ワインの生産自体も安定していて、
ビオロジック農法やビオディナミ農法よりも手間もかかりません。
また、生態系のバランスを保つことで、土地本来のポテンシャルが高まり、
健康的に未来へ土地を受け継ぐことができます。

サステーナブル農法による自然派ワインのリスク

サステーナブル農法をおこなうには、化学薬品を最小限に抑えることができる環境が必要です。
そのため、湿度が高くカビが蔓延しやすい産地ではサステーナブル農法は不向きなので、
環境によっては生産性が低下してしまうリスクがあります。

サステーナブル農法に適したワイン産地

逆に風通しが良く乾燥した環境であれば、化学薬品をつかわなくても
カビや害虫の影響を受けにくいため、南フランス、スペインの地中海沿岸部、
サントリーニ島、アルゼンチン、チリ、オーストラリアなどが適しています。

サステーナブル農法とは

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