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アンジュ市を中心にソーミュールまでの広範囲におよぶアペラシオンで、
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン、甘口の貴腐ワインと
じつに多彩なスタイルのワインが造られています。
そこで、本日はアンジュ・ソーミュールのワインについてお話します。
アンジュ・ソーミュールについて
アンジュ・ソーミュールは、フランスのロワール地方西部にあるワイン産地1つで、
アンジュ(Anger)市を中心に、約40km上流に位置するソーミュールまでの広範囲にわたるアペラシオンです。
アンジュの名は、フランス革命以前にこの地域にあった州名に由来しており、
隣接するソーミュールと合わせてアンジュ・ソーミュールと呼ばれています。
この地域でのワイン造りの歴史は古く、9世紀には、アンジュのすぐ南にある
グランフイユ修道院でブドウが栽培されており、
中世にはアンジュワインは高く評価されていました。
AOCアンジュ(Anjou)では、赤・白・ロゼとスパークリングワインが造られていますが、
ロゼの生産量の割合が多く、特にロゼワインのロゼ・ダンジュとカベルネ・ダンジュが有名です。
ロゼ・ダンジュは、固有品種のグロロ・ノワールをメインに造られる甘口のロゼワインで、
微発泡のものも多くフレッシュな味わいで、早飲みタイプのものが多く造られており、
AOCワインの中では比較的価格もリーズナブルです。
カベルネ・ダンジュは、おもにカベルネフランから造られており、
やや辛口でしっかりとした味わいがあり、早飲みタイプが主流ですが一部は熟成にも向いています。
AOCアンジュの赤はカベルネ・ソーヴィニョンが主体ですが、
ガメイやピノーダウニスなどがブレンドされ、きめ細やかなタンニンのある
フレッシュな味わいが特徴です。
その他、カベルネ・ソーヴィニョン主体のAOCアンジュ・ヴィラージュや、
ガメイ100％で造るAOCアンジュ・ガメイなどが造られています。
白ワインは、シュナンブランをベースにしており、フローラルなアロマのある華やかなワインが多く、
最大20％までソーヴィニヨンブランとシャルドネをブレンドすることができます。
スパークリングワインのアンジュ・ムスーは、白とロゼの両方がつくられています。
AOCアンジュ・コトー・ド・ラ・ロワールでは、シュナンブランから甘口ワインを生産しており、
貴腐ワインで有名なソーテルヌと同じ糖度で収穫されます。
21世紀初頭からデザートワインの市場が縮小するにつれて、この地域でのブドウ栽培も
赤ワインの生産のためにカベルネフランとカベルネ・ソーヴィニョンに転換され、
現在では生産量も少なくなっていますが、非常に高く評価されており、
トロピカルフルーツやハチミツといった芳醇なアロマがあるエレガントな甘口ワインです。
アンジュ・ソーミュールのテロワール
アンジュの地域は、ロワール川によって大きく二分されており、
地区の土壌も大きく2つのタイプに分けることができます。
北と東は石炭岩とアルモリカ山塊の片岩があり、
とくに東側にはテュフォーと呼ばれる白亜質の石灰岩の一種が見られます。
南と西は、石灰岩が豊富な土壌で、ロワールで最も有名な産地であるサンセールと共有しています。
気候は比較的穏やかで、西は大西洋からの影響を受け海洋性気候で夏は暑く、冬は温暖で、
東はフランス中部の大陸からの影響があるため、半海洋性気候となっています。
さらにロワール川の存在がそれぞれの地域の特徴をより強くさせ、微気候を作り出します。
アンジュ・ソーミュールで栽培されるブドウ品種
全体でみると、白ブドウ品種のシュナンブランが地域の50％以上で栽培されており、
次に黒ブドウ品種のカベルネフランが35％ほどを占め、
その他カベルネ・ソーヴィニヨン、グロロ・ロワールなどが栽培されています。
アンジュ・ソーミュールのワインの特徴
前述のとおり、アンジュ・ソーミュールは広大なアペラシオンということもあり、
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン、甘口の貴腐ワインと
じつに多彩なバラエティーのワインが造られており、
同じブドウ品種でも、シュナンブランからはフローラルなアロマの辛口の白ワインから、
すっきりとした酸のある柑橘のアロマを持つ辛口白ワイン、
トロピカルフルーツのような芳醇なアロマを持つ貴腐ワインまでさまざまなタイプが造られています。
そして、この地域でもっとも多く生産されているのがロゼワイン。
この地域の固有種であるグロロ・ロワールを主体に造られるロゼ・ダンジュや、
カベルネフラン主体で造られるロゼワインのカベルネ・ダンジュは、
どちらもAOCワインの中では比較的価格もリーズナブルで、
早飲みタイプのワインが多いため、普段の食事で気軽に楽しめます。
