白ワインのポップで見かける「スキンコンタクトのワイン」ってどういう意味?

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白ワインのポップで見かける「スキンコンタクトのワイン」ってどういう意味?

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スキンコンタクトのワイン

スキンコンタクトという言葉を聞いたことはありますか?
ワイン好きの方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
まだ、言葉としてもそれほど侵透していないので、
聞いたことはあるけど、
どういう意味かいまいち分からないという方も多いと思います。
そこで、本日はスキンコンタクトについてお話します。

スキンコンタクトとは

まず、スキンコンタクトという言葉は、英語での表現で、
フランス語では、マセラシオン・ペリキュレールと言います。
これは、醸造方法の名称で白ワインのみでしか使われません。
白ワインの一般的な醸造方法は、
白ブドウを破砕した後に直ぐに圧搾され、果汁のみが発酵工程へと進みます。
一方、スキンコンタクトをする醸造は、白ブドウを破砕した直後に圧搾をせず、
約4時間~24時間果汁に果皮を浸し、その後、通常通り果皮と果汁が圧搾され、
その果汁のみがアルコール発酵へと進むのです。
この果汁に果皮を浸すことをスキンコンタクトと言います。
ワイン好きの方ならもう気づいたかもしれませんが、
この醸造方法は、一般的な赤ワインの醸造と同じです。
赤ワインは、黒ブドウを使用して同じように、破砕した直後に圧搾をせず、
果汁に果皮を浸します。スキンコンタクトのように短い期間ではなく、
赤ワインの場合は、約2~3週間ほど浸しますが、工程は同じです。

スキンコンタクトの醸造はとても難しく熟練の技が必要だといわれています。
スキンコンタクトは低温より高温で行った方がそれらの成分を多く抽出できます。
ただし、ある一定の温度まで上げてしまうとカテキン類や非フラボノイド類、
ケルセチンなどのフラボノール類などが多く抽出されてしまうため、
液体の温度管理、浸漬の時間、その後の発酵と熟成方法…など、
どのようなワインに仕上げたいかという
最終的なワインの味わいを明確にしておかなければ、
ただ渋みと苦みの強い白ワインになってしまうのです。
また、スキンコンタクトによる酸化のリスクや色合いの変化、
細菌汚染のリスクの高まりなどもあるめ、とても高い技術力が必要になります。

スキンコンタクトで作られるワインはオレンジ色

それでは、スキンコンタクトで造られた白ワインはどのようになるのか。
一般的な白ワインは、無色透明に近いものから、薄い緑色、黄色、黄金色、
熟成すると琥珀色になります。
白ブドウの果皮中にアントシアニンは含まれていないので、
果皮を浸しても赤色にはなりませんが、スキンコンタクトすることで、
代わりに黄色系色素が溶出しオレンジに近い色調になります。

以前、このソムリエ手帳でも何度かご紹介した、
ワイン発祥の地の1つであるジョージアのオレンジワイン、
現地ではアンバーワインと呼ばれますが、
このオレンジワインもまさにこのスキンコンタクトによる醸造法の1つです。
ジョージアのオレンジワインは、「クヴェヴリ製法」という独自の醸造法で、
クヴェヴリとは、素焼きの土壺のことで、
容量は100リットルほどの小型のものから4000リットル前後までと様々。
地中のバクテリアの侵入を防ぐため壺の内側を蜜蝋でコーティングしており、
底の部分は平らではないため、
「マラニ」という石造りの蔵の地中に埋め込んで使用されます。
伝統的な醸造法は、口の部分が地面より20cmほど下になるよう埋められた
クヴェヴリの中へ破砕したブドウを投入し、
厚手のガラス板または木の板で蓋をし、
その周りに粘土を一周させ、地表の高さまで粘土で密封し、
その上に砂が盛って、土の中で5〜6ヶ月寝かせます。
その後、ワインを別のクヴェヴリに移すことで自然濾過を施し、
ワインをさらに熟成させる醸造方法です。
かなりの手間がかかるため、現在では限られた生産者しか行っていませんが、
8000年も前から行っている醸造方法なので、
スキンコンタクトというものは、目新しいものではなく、
むしろ大昔からの醸造方法の1つと言えます。

スキンコンタクトによる味わいや香りの変化

さて、気になるのがスキンコンタクトによるワインの味わいですよね。
スキンコンタクトしたワインの特徴としては、
豊かな香りとまろやかで厚みのあるリッチな味わいの白ワインになります。
ブドウが持っている、バラやユリなどの花の香り、
さらにはバナナやパッションフルーツなどの果物の特徴香と言われる
香りがより多く含まれるようになります。
また、ブドウの果皮の内側には、濃厚な糖分があり、
通常の白ワインであれば、この果皮が捨てられてしまうため、
すっきりとした味わいに仕上がりますが、
スキンコンタクトでこの果皮の部分を果汁に浸すため、
酸味を和らげ、バランスのとれた、まろやかな口あたりのワインに仕上がります。
同時に、色合いにも深みが増し、香りが豊かになる効果もあります。
さらに、赤ワインに比べると少ないものの、
ポリフェノールやタンニンも含まれるため、
渋みがある複雑な味わいの白ワインとなります。
また、スキンコンタクトによって独特な厚みのある味わいになるため、
辛い香辛料を使ったインド料理や韓国料理など、
繊細な白ワインや渋みが強い赤ワインなど、
通常ではワインとの相性があまり良くない料理ともマッチします。

同じブドウ品種で飲み比べるのもおすすめです!

スキンコンタクトは、シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、
リースニング、甲州などの品種で積極的に採用されています。
特に、ボルドーのアントゥル・ドゥー・メールなどの産地では、
スキンコンタクトの手法がよく使われており、
この地のワインは酸味が強いのが特徴であり、その酸味を和らげて、
口あたりのよいワインを造るためにこの方法が採用されています。
白ワインを購入する際、スキンコンタクトが行われているワインと、
通常の醸造方法で造られた白ワインとを同じ品種で飲み比べてみると面白いです。
特に、できるだけ同じ産地で同じ品種で造られたワインで飲み比べると、
よりスキンコンタクトのワインと通常のワインとの違いが分かりやすいでしょう。

シャルドネ

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