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白ワインは赤ワインに比べて、すっきりとした軽快な飲み口で、柑橘などを思わせるフレッシュな味わいのものも多く、普段の食事では、赤ワインよりも白ワインの方を飲むという方も多いですよね。
実際、赤ワインよりも合わせるお料理の幅も広いので、和食のようにさっぱりした味わいにも白ワインは合わせやすいのが魅力。
そこで、本日は白ワインの選び方から飲み方まで幅広くご紹介します。
「ブドウの品種」で変わる白ワインの味わい
世界でワイン用に使われているメジャーなブドウの品種は、赤ワイン用、白ワイン用合わせて約50種類ほどのブドウ品種があります。
中でも、国際品種と呼ばれる世界のワイン産地の多くで栽培されているブドウ品種で白ワイン用に使われる代表的なものを挙げると、
シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、シュナン・ブラン、リースリングなどがあります。
チリやカリフォルニア、オーストラリアといったニューワールドワインをよく飲まれる方なら、こうしたブドウ品種が、ボトルのラベルに明記されているのを見たことがある方も多いですよね。
ニューワールドのワインは、ヴァラエタルワインと言われる単一のブドウ品種で造られたワインがメジャーなため、ブドウ品種による飲み比べがしやすく、ワインをまだ飲みなれていないという方には、白ワインでも、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランでどんな味わいの違いがあるのだろう。と比較して飲んでみると、自分の好みの傾向が分かってくるのでおすすめです。
さて、ここからは、ブドウ品種ごとの一般的な特徴についてご紹介していきます。
シャルドネ
ワインをほとんど飲んだことがないという人でも、一度は耳にしたことがあるほど有名なブドウ品種がシャルドネです。
なぜなら、シャルドネは世界各地で造られている国際品種ということもありますが、世界最高峰と言われるフランス・ブルゴーニュ地方の白ワインは、そのほとんどがこのシャルドネ100%で造られており、「モンラッシェ」「シャブリ」「ムルソー」といった世界に名だたる白ワインが造られています。
シャルドネの特徴は、栽培される土地の土壌や気候に非常に左右されやすい品種なので、産地により風味が変幻自在に変わります。
温暖な産地で造られるシャルドネは、南国のフルーツのようなトロピカルな香りがするワインになり、冷涼な気候で育つシャルドネは、酸味がきりっとしてシャープでスマートなワインになります。
一般的にリンゴ、洋ナシなどのフルーティな果実香に、樽熟成したものはアーモンド、バター、ヘーゼルナッツ、バニラ、トーストなどのアロマがあり、とくにカリフォルニアをはじめとするニューワールドのシャルドネは、しっかりとした果実味とコクが感じられ、チーズやバターを使ったコクのある料理とよくマッチします。
ソーヴィニヨン・ブラン
シャルドネとともに有名な白ワイン用のブドウ品種がソーヴィニヨン・ブランです。
グレープフルーツのような柑橘系にハーブを加えたようなさわやかな香りが特徴で、産地によってアロマが大きく変化します。
冷涼な土地だとハーブのアロマが強くなり辛口で酸味がきつくなります。
暖かい土地では、パイナップルやパッションフルーツといったトロピカルフルーツのような香りと、白い花のようなフローラルな香りがあり、アロアと同様のトロピカルな果実味になります。
フランスのロワール地方のサンセールとボルドー地方で有名になり、世界各国で造られるようになりましたが、ニュージーランドのソーヴィニョン・ブランも有名で1980年代にワイン・コンペティションで最優秀賞を取ったのをきっかけにこの30年ほどで急激な躍進を遂げ、ここ10年で生産量も3〜4倍に増加しています。
一般的に柑橘系とハーブのアロマが特徴的なので、ハーブを使った魚介のマリネや白身魚、鶏肉のハーブ焼き、また柑橘系のソースやレモンを絞ったお料理とよく合います。
ヴィオニエ
ヴィオニエは、フランスのローヌ地方でおもに生産されているブドウ品種ですが、温暖な産地に適していることから、近年はカリフォルニアやオーストラリアなどのニューワールドの産地がかなりの栽培面積を占めています。
ヴィオニエから造られるワインは、きらめく濃いゴールドで、グレープフルーツ、アプリコット、洋ナシ、白桃などの果実香に、ジャスミン、きんもくせいなどの芳香のある花の香りが特徴的です。
粘性のあるオイリーな味わいのものも多く、穏やかな酸とヴィオニエならではのボリュームのある口当たりで、厚みのある味わいが特徴です。
中華料理やタイ料理などのアジアンやエスニックとも相性がよく、ヴィオニエの香りと果実味が、香りが豊かな料理の味を引き立ててくれます。
リースリング
リースリングの世界の栽培面積の半分はドイツが占めており、モーゼルとラインガウがリースリングの2大産地として有名です。
ドイツにつぐリースリングの主要な産地であるフランスのアルザスでは、ミネラル感が強く白い花を思わせるエレガントな香りのリースリングが造られています。
青りんごや洋ナシ、トロピカルフルーツなどのアロマを持つフルーティなものから、鉱物のようなアロマをもつミネラルを強く感じるものまでさまざまで、多種多様な味わいのワインが楽しめるので、合わせる料理も洋食に限らず、キリっとした酸としっかりとしたミネラル感のあるリースリングには和食が合い、しっかりとした果実味のボリューム感のあるリースリングには中華などがよく合います。
ゲヴュルツトラミネール
「ゲヴェルツ」とはドイツ語で「スパイス」という意味をもっており、最大の特徴はその気品あふれる香りです。
バラとライチの香りが強く感じられ、パッションフルーツなどのトロピカルフルーツ、柑橘類、ハチミチやコリアンダーのようなスパイスなど、香りが多彩で、力強いアロマを感じさせる、アロマティックな白ワインの代表格品種です。
フランスのアルザス地方では、辛口から甘口とさまざまなタイプが造られており、辛口ワインが主流ですが、貴腐ワインや遅摘みのブドウでつくられた極甘口ワインもあります。
スパイスという意味の名前を持ち合わせるアロマティックな品種なので、少しスパイシーなエスニック料理やアジアン料理に合わせても料理とワイン双方が引き立ちます。
甲州
甲州は日本固有の品種で、なんと1000年以上の栽培の歴史があります。
甲州種から造られるワインは、軽めの白ワインか、甘口に仕上げられるのが主流でしたが、近年は辛口が主流となり、昼夜寒暖差のある標高の高い畑で育てられた甲州種は強い酸を持ち、力強い辛口や、重厚な味わいのものも造られるようになってきました。
また、以前まで甲州ワインは香りが乏しいという評価をされていましたが、その原因が、甲州ブドウの香りのピークと糖度のピークのタイミングのズレにあることが分かり、収穫のタイミングを変えるなど、生産者の地道な努力が実を結び、世界から高い評価を受けるようになり、2010年OIV(国際ブドウ・ワイン機構)が甲州をブドウ品種として登録したことで、日本を代表するブドウ品種となりました。
「シュール・リー製法」で造られた甲州ワインは、辛口で味に厚みがあるのが特徴で、刺身や出汁を使った繊細な味わいの和食と合わせることで、料理とワイン双方の旨味を引き立ててくれます。
ピノ・グリ
ピノ・グリは、赤ワイン用のブドウ品種であるピノ・ノワールの突然変異クローンです。
ピノ・グリのグリとはフランス語で「灰色」を意味し、その名の通り、果皮はグレーがかったピンク色をしています。
ピノ・グリから造られるワインは、グレープフルーツ、洋ナシ、りんご、桃、マンゴーやパイナップルなどのトロピカルフルーツにも例えられ、製法により香りが異なります。
産地により仕上げるワインの味わいも異なりますが、多くは辛口ワインとして造られ、甘口やスパークリングワイン、貴腐ワインなども造られています。
ピノ・グリは、白ワインながらおだやかな酸味で、コクのあるオイリーな口当たりと、骨格がしっかりとした濃厚な味わいのため、合わせるお料理も通常の白ワインに比べ、しっかりとこってりとしたソースを使った豚肉のローストや鴨肉のローストなどの肉料理が相性抜群です。
旧世界?新世界?産地から考える
ワインは世界のさまざまな国と地域で造られており、最近はスーパーでも当たり前のようにいろいろな国のワインを手にとることができるようになりました。
ワイン産地と言えば、やはりフランスを思い浮かべる方が多いですよね。
フランス、イタリア、スペインはワインの年間生産量でつねにトップ3に入っているワイン大国、この他にドイツ、オーストリア、ギリシャ、オランダ、ポルトガルなどの古くからワインを生産している国々を旧世界(オールドワールド)と言い、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、日本、中国などの比較的新しいワイン産地を新世界(ニューワールド)と言います。
こうしたワイン産地で造られるワインは、それぞれの国と地域の特色がワインに反映され、味わいが異なります。
先ほどお話した国際品種と言われる世界中で栽培されているブドウ品種も、産地によって味わいが大きく異なります。
そこで、ここからは旧世界と新世界それぞれを代表する産地の特色について紹介していきます。
旧世界
紀元前3000年頃、古代エジプトで生まれたワインはフェニキア人によってギリシャに伝えられ、その後、当時勢力を強めていたローマ人の手によってフランス、イタリアなどのヨーロッパ全土に広まったとされています。
ワインはキリスト教の布教とともにヨーロッパから世界へ伝わったことからも、ただのお酒ではなく、ヨーロッパにおいては重要な文化の1つでした。
そんな旧世界のワインは、古くから造られていることもあり、各産地によってワイン法やワインの製法もさまざまです。
厳格なルールが定められている産地も多く、高級ワインと言われるワインのほとんどはこうした旧世界の名だたる産地で造られたものがほとんで、時間と手間をかけて丁寧に造られているワインは、驚くほど長期の熟成が可能で、長く熟成させるほどに、深みのある味わいになっていきます。
また、古くからブドウ栽培が盛んだったこともあり、固有品種から造られるワインも多く、独特な味わいを持つ個性的なワインも味わえます。
複雑味のある味わいや個性的な味わいのワインに挑戦してみたいという方におすすめです。
また、食文化と密接に関係している旧世界のワインは、各産地の郷土料理とともにワインを楽しむと、よりワインの味わいを引き立ててくれます。
フランス
フランスは大きく分けて8の産地に分かれており、各産地によってそれぞれ使用する主要品種が違います。
フランスワインの名醸地といえば、ブルゴーニュ地方とボルドー地方。
この2つの産地は、ともに高級ワインの産地として有名ですが、主要なブドウ品種も違い、ボルドー地方の生産はほとんどが赤ワインですが、ごくわずかにソーヴィニヨン・ブランを主体とした高品質な白ワインが造られており、ひそかな白ワインの銘醸地として知られています。
一方ブルゴーニュ地方の白ワインは、ほとんどがシャルドネ単一で造られており、美しい酸のエレガントな味わいのワインが多く造られています。
その他、最も北の産地であるシャンパーニュ地方では、瓶内二次発酵方式で造られるスパークリングワインのシャンパンが造られ、ドイツとの国境に近いアルザス地方では、リースリングをはじめとするドイツ系のブドウ品種が多く使われています。
イタリア
イタリアの白ワインは、トレッビアーノという品種から造られるものが多く、DOCワインのうち80種以上にトレッビアーノ品種が使われています。
主要なものは、トレッビアーノ・トスカーノ、トレッビアーノ・ロマニョーロ、トレッビアーノ・ジャッロで、全体的に果実味がそれほど強くなく、すっきりとした柑橘のフルーツのようなみずみずしい味わいです。
また、高級白ワインとして有名なのが、ピエモンテ州南部で造られるガヴィD.O.O.Gは、コルテーゼ種というブドウ品種から造られるワインで、しっかりとしたミネラルもあり、シャープな味わいがシーフード料理によく合います。
スペイン
スペインの白ワインは、固有品種で造られるワインが多く、代表的なものがアイレン、アルバリーニョ、ヴェルデホ、パロミノ、ペドロ・ヒメネスなどがあります。
なかでも、白ワインの産地として有名なのがスペイン北西部のガリシア地方にあるリアス・バイシャスで、白ワインが全体の約95%を占めており、使用されるブドウ品種は、ほぼアルバリーニョです。
リアス・バイシャスのアルバリーニョから造られる白ワインは、海のワインと呼ばれるほど、豊富なミネラルがあり、ほんのりと潮風のような塩気を感じる高品質な白ワインが造られています。
ドイツ
ドイツの白ワインというと、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイと並ぶ世界三大貴腐ワインの1つドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼなどがあり、甘口を連想する方が多いと思いますが、近年はヘルシー志向の高まりもあって高品質な辛口白ワインの生産が増えています。
ドイツのラインガウ地方は、ヘッセン州にある高品質のワインを生産する13の指定された産地のうちの1つで、栽培面積のおよそ80%を白ブドウ品種のリースリングが占めています。
ドイツワインの要とも言えるリースリングはとくに重要な品種で、豊かな酸があり、長期熟成に耐えられるポテンシャルの高い品種で、ラインガウ地方で造られるリースリングは肉厚な味わいのワインになります。
新世界
新世界のワインは、ヨーロッパ諸国のワイン文化の影響を受けながらも、わずか200年くらいの歴史の中で、各土地の気候をうまく生かしたオリジナル性を磨いてきました。
また、産地によっては使用するブドウの品種など厳密なルールに縛られていないため、比較的自由にワイン造りをおこなうことができ、生産量も多くコストパフォーマンスの高いワイン造りができます。
新世界のワインの魅力は「リーズナブルで分かりやすい」ところです。
旧世界のワイン産地に比べ、比較的温暖な気候の産地が多いため、フルーティな果実味のある味わいのワインが多く造られています。
また、「ヴァラエタルワイン」といって使用されているブドウ品種が目立つように表示されているものが多いので、自分の好みのブドウ品種を探すことが簡単にでき、一度気に入った品種が見つかると、リピートして購入しやすいのがうれしいところです。
赤ワインに関しては、酸味や渋みが苦手という方は、まずは新世界の赤ワインから試してみて、自分の好きなブドウ品種や産地を見つけてみると、ワインの幅が広がってくるかもしれません。
チリ
チリワインは、温暖で昼夜の寒暖差の大きいことから凝縮した糖度の高いブドウができるため、赤ワイン、白ワインともにフルーティな果実味が特徴です。
ブドウ品種は、シャルドネとソーヴィニヨン・ブランが広く栽培されており、その他、セミヨン、リースリング、ヴィオニエ、トロンテス、ペドロ・ヒメネスなどの白ブドウから白ワインが造られています。
リーズナブルでありながら、ブドウそのものが凝縮感のある味わいがあるためバランスのとれた非常にコストパフォーマンスの高いワインが多く造られています。
アメリカ
最近では、オレゴン州やワシントン州などでも高品質なワインが造られるようになり、カリフォルニア以外の産地にも注目が集まってきていますが、それでも、アメリカワインの生産量のじつに90%を誇るのがカリフォルニア。
そんなカリフォルニアで生産されている白ワインは、シャルドネとソーヴィニヨン・ブランの2品種からおもに造られており、
多くはオーク樽を使って熟成させるため、パイナップルやリンゴやレモンなどのフルーツのアロマに、アーモンドなどのナッツやバニラやシナモンを思わせる香ばしく甘い香りも後から感じられ、口に含むと、アロマ同様に華やかな果実味にナッツの香ばしいニュアンスが感じられる白ワインが多く造られています。
オーストラリア
白ワインの産地として近年注目を集めているのが、ニュー・サウス・ウェールズ州のハンター・バレーで、ここで造られる辛口のセミヨンが有名です。
ここで造られるセミヨンは、ハンター・セミヨンと言われ、しっかりとした骨格があり、フレッシュ&クリスプな独特な味わいで
評論家からは、『長熟させてこそ真価を発揮するワイン』とも言われています。
5~10年ほど熟成させると、良いコクが出てくるのですが、中には、50~60年は熟成させて飲むのが一番美味しいと言われる長期熟成の白ワインも造られています。
アルゼンチン
アルゼンチンの白ワインと言えばトロンテスという品種から造られる白ワインが最も有名です。
トロンテスは、リオハーノ、メンドシーノ、サンファンニーノの3つのブドウがトロンテスと呼ばれ、3つの中でもとくにリオハーノが最も表現力豊かで最も香り高い白ワインを造ります。
トロンテスのワインは、辛口と甘口があり、辛口のトロンテスはより標高の高い畑で栽培されたものが多く、グレープフルーツやレモンといった柑橘のアロマが強く感じられます。
甘口タイプは、温暖な気候の地域で栽培されたトロンテスを使ったものが多く、甘口といってもやや甘口のタイプで、桃やパイナップル、グアバといったトロピカルフルーツのアロマがあります。
気温で変わるワインの傾向
先ほども少し触れた通り、同じブドウ品種であっても造られる産地によって味わいが異なります。
ブドウが育つ土壌、気温、日照量、降雨量、風の強さ、標高の高さ、年間の気候、こうしたブドウが育つ土地と気候条件などのとりまく環境すべてをフランスではテロワールと呼び、こうしたテロワールの要因の中でも、気温はブドウの味わいに大きく影響してきます。
一般的に、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどの国際品種を、冷涼な地域と温暖な地域でそれぞれ栽培した場合、ブドウの完熟度(糖度)の関係で、次のような特徴が出てきます。
冷涼な地域
冷涼な地域で育ったブドウから造られるワインは、しっかりとした酸があるため、口当たりもシャープな印象になり、土壌などの要因にもよりますが、比較的エレガントな味わいのワインが造られる傾向があります。
温暖な地域
温暖な地域で育ったブドウから造られるワインは、ブドウが持つ甘味が最大限に引き出されるため、熟したフルーツや、南国のトロピカルフルーツのような甘い印象のアロマが強く感じられ、果実味がしっかりと感じられるボリューム感のある味わいのワインになる傾向があります。
シチュエーションに合わせて選ぶ
友人とホームパーティーやバーベキューなど、手土産にワインを持っていく機会もたびたびありますよね。
そこで、ここからはシチュエーション別にあったワイン選びについてご紹介します。
友人との食事・普段の夕食など
友人宅に招かれたホームパーティーなどで、手土産にワインを持っていくときの白ワインの選び方ですが、まず集まる仲間や想定される食事の内容が、カジュアルで気楽な集まりの場合は、価格としてはそれほど高いワインを選ばなくても大丈夫です。
とくに集まる目的がみんなで気楽にワイワイ飲みたいというのであれば、1000円台から高くても2000円台くらいまでのニューワールドのワインがちょうど良いです。
食事も家庭料理のようなカジュアルなものの場合は、すっきりとした飲み口の辛口の白ワインであれば、どんな料理にも合わせやすく、手土産としてはピッタリです。
特別な日・パーティーなど
もし、誰かの記念日など特別なお祝いに招待されて、その手土産にワインを持っていく場合は、相手との関係性にもよりますが、5000円から10000円くらいの普段ではなかなか飲めないワインを持っていくのが良いでしょう。
相手の好みにもよりますが、フランス・ブルゴーニュ地方の白ワインは、モンラッシェ、ムルソー、シャブリといった高品質な白ワインがそろっているので、手土産、プレゼントにはおすすめです。
また、相手が辛口の白ワインよりも甘口の方が好みという場合であれば、フランス・ボルドー地方のソーテルヌの貴腐ワインもおすすめです。
温度で変わる?白ワインの楽しみ方
赤ワイン、白ワイン、スパークリングワインとワインにはそれぞれに飲み頃の温度というものがあり、白ワインの中でも、辛口と甘口でもその温度は違います。
なぜなら、ワインの味を構成する酸と渋み、厚みはこの温度により変化してしまうからです。
辛口タイプに適した飲み頃温度
辛口の白ワインは一般的に、白ワインは7~9℃が飲み頃といわれています。
辛口の白ワインは、シャープな酸が味わい大きな決め手となり、酸は温度を下げることで引き締まり、上げることでぼやけてきます。
白ワインをこの飲み頃温度まで冷やす場合は、家庭用冷蔵庫なら、だいたい2~6℃くらいの温度設定になっているので、26℃くらいの温度で保存されていた白ワインを冷やす場合は、冷蔵庫で4時間ほど冷やすと適温になります。
常温に保存されていた白ワインを一気に冷やしたいという場合は、氷水をはったワインクーラーで冷やす方法です。
ワインのラベルが隠れるくらいまでワインクーラーに氷をいれ水を注ぎます。
氷水に漬け込むと、1分あたり1℃下がるというデータがあり、26℃の室温の部屋で6℃までワインを冷やしたければ、20分氷水に入れて待てば適温になります。
甘口タイプに適した飲み頃温度
甘口の白ワインは、6~8℃が飲み頃といわれています。
甘口の場合は辛口よりもワインの糖度が高いため、温度が高いと厚み(濃さ)と甘味が強く感じられ、全体的にもたっとした印象になります。
そのため、温度を少し下げた方が、全体のバランスが良くなり、すっきりとした酸と厚みのある甘味がちょうどよく感じられます。
試してみたい!料理に合わせて楽しむ白ワイン
ワインと料理を合わせる上でもっとも簡単なポイントは、ワインに含まれるアロマと同じ素材を料理のソースなどの味付けに用いたり、しっかりとした酸のある味わいのワインなら、ビネガーなどでほんのり酸味をプラスした味付けのソースにしてみると相性が良くなります。
今回はフランスの辛口白ワインを3つ例にとってそれぞれのワインに合う和食とのペアリングをご紹介します。
ワインショップソムリエ厳選白ワイン
トルケス・ド・ヴェント・アルバリーニョ ボデガス・マルティン・コダックス
ボデガス・マルティン・コダックスは、1986年設立されたワイナリーで、地元のブドウ栽培家グループの「自分たちの町で飲むワインを、自分たち自身が造る」という地元の人々のためのワイナリーというコンセプトからはじまりました。
270の運営メンバーが集まり、原料は地元にある300のブドウ栽培家から提供され、ワインそのものの品質だけでなく、その文化を伝えるものとして、今では世界40か国へ輸出され、ガリシアワインのシンボルと言われるほどに成長を遂げました。
ワイン造りには細かい配慮がされており、まず収穫したブドウは、果実がつぶれないよう20kgの小さい箱で運び、状態の良いブドウを使用するためにワイナリー内で手作業による選別を行い、空気圧式圧搾機に入れ果汁を絞ります。
果汁(モスト)は素早くステンレスタンクへ移し、発酵がすぐに始まります。
アルコール発酵後マロラクティック発酵(リンゴ酸が乳酸へ変わる)と進み、ワインを安定させてからボトリングしワインが完成します。
こうして造られるアルバリーニョ100%のワインは、青リンゴ、白桃、メロンなどのジューシーな果実のアロマに、キンモクセイのような華やかなフローラルなアロマがあり、味わいは香りと同じく甘く華やかで、フレッシュな酸味が輪郭を引き締めます。
アルバリーニョらしく、ミネラリーな余韻が長く続き、華やかな甘さの印象が強く、ミネラル感も強いため、酸味のあるソースや塩ベースの海鮮料理とあわせたい1本です。
トルケス・ド・ヴェント・アルバリーニョ ボデガス・マルティン・コダックスのご注文はこちら
ヴィオニエ セリエ・デ・シャルトリュ
プロヴァンスとラングドックの間、コート・デュ・ローヌの首都コート・ダヴィニョンにあるセリエ・デ・シャルトリュ。
石灰質の畑で生まれるワインは、ミネラル分豊富で舌触りが良く、香り高く仕上がります。
そんな土を守るためにも、農薬や化学肥料は基本的に使用せず、リュット・レゾネと呼ばれる農法で栽培しています。
もともとは自分たちのテロワールを表現するという思いでワイン造りをしていましたが、よりシンプルに、ワイン好きのため、素直に美味しいと思えるワインを造りたいという思いのもと再出発し、プロからワインを熱烈に愛するアマチュアまで、いろんなタイプの人々が情熱を持って運営しています。
セリエ・デ・シャルトリュが手掛けるヴァラエタルシリーズは、一つの品種を100%使い、各品種の特徴を最大限に引き出したソムリエ一押しのワインです。
ヴィオニエは、桃やアプリコットなどの果実のヴォリューム感のある香りと味わいをもつ個性的なブドウで、複雑味と凝縮感のある味わいに仕上がっています。
エステート・ソーヴィニョン・ブラン ミスティ・コーヴ
ニュージーランドの白ワインといったら、ソーヴィニョン・ブラン!
このミスティ・コーヴは、2008年の創業からわずか数年で世界の名だたる賞を次々と受賞し、多くの評論家から絶賛されるニュージーランドワインの新星。
エステートシリーズは、ミスティ・コーヴのワインの入り口ともなる、最もスタンダードなシリーズ。このソーヴィニョン・ブランは、透明感のある淡いイエローにやや緑を含んだ色合いで、青い草原を駆け抜けるような青く爽やかなアロマの中にスパイシーでいてハーバルなニュアンスも感じられます。
香りとは裏腹にしっかりとした酸味、採れたてのパッションフルーツが口の中で弾けるようなインパクトがあり、余韻の長さにも驚きます。
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ブルゴーニュ・シャルドネ ヴィニュロン・デ・テル・スクレット
ブルゴーニュ南部、ソリュットレ、プイィ、ヴェルジッソンの栽培家たちが集まる、ヴィニュロン・デ・テル・スクレット(Vignerons des Terres Secretes)。
テル・スクレットは、秘密の土地、隠されていた土地、という意味があり、その名の通り、ブルゴーニュ地方でありながら、まだあまり知られていない宝物のようなこの地域をもっと発展させたいと願う、情熱溢れるブドウ栽培家たちが集まって生まれた協同組合です。
1928年に設立されたこの協同組合は、現在120家族が参加し、栽培面積は960ヘクタールに及び、そのうち60%がシャルドネです。
この地域のシンボルは、ソリュットレという、大きな石灰岩の山で、真っ白な石灰質土壌がベースの土地は、引き締まった酸や華やかなアロマをワインに与え、粘土が混じる粘土石灰質土壌からは、味に重みを与えます。
ヴィニュロン・デ・テル・スクレットが手掛けるシャルドネは、柑橘、リンゴ、スターフルーツや白桃を思わせる豊かな香りに、ほんのりハーブ、火打石の硝煙の香りがあり、口に含むと穏やかな酸味、果実の甘味がバランスよく、柔らかく広がります。
余韻にミネラルを感じる、爽やかな飲み口で飲み飽きません。
穏やかさの中に旨味があり、バランスの良い1本です。
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おすすめのペアリング1
シャブリ×アジの南蛮漬け
ブルゴーニュ地方の中でも最も北に位置しているシャブリ地区。
そのため、とても冷涼な気候で、土壌は、約1憶5千年前は海底だったこともあり、石灰質の「キンメリジャン」というミネラルが豊富な白い土壌が広がっています。
そんなテロワールで造られるシャルドネ100%のシャブリワインは、硬質でオイリーな口あたりで、厚みのある果実味に、ヘーゼルナッツやハチミツといった味わいがあり、力強さとエレガントさが感じられます。
そんなシャブリは魚介との相性が非常によく、生ガキとのペアリングが推奨されていますが、試していただきたいのが家庭料理でもあるアジの南蛮漬けとのペアリング。
アジの旨味と甘酢の酸味が、キリっとした酸とミネラル豊かな味わいのシャブリとよく合います。
プティ・シャブリ ドメーヌ・ジョルジュ
シャブリの中でも南寄りのクルジ村で、元々ブドウ栽培農家として協同組合にブドウを販売していたドメーヌ・ジョルジュ。
2004年に、自家元詰めを本格的に開始した若いドメーヌです。
しかしながら、もともとブドウ栽培農家として長い歴史を持っており、栽培はリュット・レゾネで、化学肥料や除草剤を一切止め、自然に近い栽培で、ブドウ樹と自然環境に配慮した、ブドウ栽培をおこなっています。
また、ブドウ樹の樹齢も高く35年~60年のブドウ樹もあります。
醸造は、ブドウ本来が持つ繊細さ、複雑さ、そしてピュアな風味やアロマを残すため、全てステンレスタンクで造られます。
そのため、ミネラルとフレッシュな果実味に溢れるシャブリ本来の個性が際立っています。
ドメーヌ・ジョルジュが造るシャブリは、柑橘と青りんごのアロマに、キレのあるシャープな酸と、ほどよいコクのあるミネラル豊富な味わいです。
おすすめのペアリング2
ボルドーブラン×鮭の塩焼き
赤ワインの高級産地として有名なボルドーですが、じつは赤ワインに劣らぬ高品質な白ワインも生産されている隠れた白ワインの銘醸地でもあり、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランをブレンドした高品質な白ワインのボルドーブランが造られています。
ソーヴィニヨン・ブランのグレープフルーツやレモンといったみずみずしい柑橘類と、白い花のようなフローラルなアロマと、はつらつとした爽やかな酸があり、セミヨンのしっかりとしたボディとハチミツのような芳醇なアロマと肉厚な果実味が、ワインに奥行と厚みを与えます。
そんなボルドーブランには、鮭の塩焼きがよく合います。
脂ののった鮭にレモンをキュッと絞ると、ソーヴィニヨン・ブランの柑橘とハーブの清涼感のあるアロマとよくマッチして、鮭の脂が奥行のあるボルドーブランの味わいを引き立てます。
ジョスム・ブラン シャトー・フェラン・サン・ピエール
ボルドーのアントル・ドゥ・メールにあるシャトー・フェラン・サンピエールの所有する35haの畑は、まるで森のように緑豊かで35haのうち、6haが森として保存され、ブドウ畑と隣接する森には、たくさんの昆虫、小鳥、小動物が住んでいます。
そのため除草剤を使わなくても、1種類の害虫が大発生するというような被害はなく、生物の多様性を重んじたワイン造りで、2004年に「エコセール」(ビオロジック栽培)を取得し、 2010年には「デメテル」のビオディナミ栽培の認証も取得しました。
造られるワインは、ボルドーらしい奥行きのある味わいだけでなく、すっと体になじむような優しい味わいと活き活きとした果実味を感じます。
ソーヴィニョン・ブランを主体としたこのワインは、グレープフルーツやハーブのアロマのあるきりりとした辛口に仕上がっています。
ジョスム・ブラン シャトー・フェラン・サン・ピエールのご注文はこちら
おすすめのペアリング3
アルザスのリースリング×天ぷら
ドイツの国境に近いアルザス地方で造られるリースリングは、青りんごや洋ナシ、トロピカルフルーツなどの華やかなアロマがありながらも、鉱物のようなアロマをもつ豊富なミネラルと、しっかりとしたキレのある酸があり、爽やかでとてもエレガントな味わいなので、和食との相性がぴったり。
なかでも、塩で食べる白身魚の天ぷらやアスパラの天ぷらなどは、リースリングの酸とミネラル感と相性がよく、天ぷらとワイン双方の味を引き立たせてくれます。
リースリング レオン・マンバック
レオン・マンバックは、アルザス中心地のストラスブールから南西約35kmほどにあるDambach-la-ville村に本拠を置き、グラン・クリュである「フランクシュタイン」も所持する自然派アルザスワイナリーです。
フランスのエノログ協会の会長アレックス・シェーファー氏は、このアルザスを代表する特級畑の虜になっている愛好家の一人で「フランクシュタインのリースリングが最も好きだ。なぜなら、この品種はテロワールに完全に適応しており、素晴らしい味わいを表現してくれる。果実味、花を思わせる香り、優雅な趣、軽やかさを感じる。」と激賞し惚れ込むほど。
また、日本を代表する人気のワイン漫画「神の雫」では、このワイナリーの「ピノ・ノワール エルヴェ・アン・ムュイ」が掲載されました。
花崗岩質の土壌から生み出されるリースリングは、レモンやグレープフルーツなどのシトラスのアロマと、白い花のブーケのエレガントなアロマがあり、しっかりした辛口の味わいで、あふれるミネラル感と爽快感が口に広がります。
余韻に白い花を思わせる上品な香りが残る上質な味わいです。
白ワインについて幅広くご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
赤ワインよりもフルーティですっきりとした味わいの白ワインは、家庭料理との相性も良く、デイリーで楽しめるものが多いので、意外な料理とのペアリングなど新しい発見があるかもしれません。
ぜひ、さまざまなブドウ品種、産地のものを飲み比べて楽しんでみてください。