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フランス東部のジュラ地方にあるアペラシオン、シャトー・シャロン。
ここでは、黄色ワインと呼ばれるサヴァニャン種から造られるヴァン・ジョーヌが造られており、大変長い期間樽で熟成させて造られるため、100年間寝かせることができるワインと言われています。
そこで、本日はシャトー・シャロンのワインについてお話します。
シャトー・シャロンについて
シャトー・シャロンは、フランス東部のジュラ地方のアルボワから南に25~30kmほど行ったところにある5つの村にまたがったアペラシオンで、サヴァニャン種から造られるヴァン・ジョーヌ の産地です。
『ジョーヌ』はフランス語で『黄色』という意味で言葉の通り黄色い外見が特徴のワインで、「黄色ワイン」という名前で呼ばれています。
1936年5月にヴァン・ジョーヌのみを生み出すAOCとして誕生し、合計で50ヘクタール(125エーカー)のブドウ園が180区画に分割されています。
シャトー・シャロンのワインは、サヴァニャン種のみを使用し、ブドウは、完全に熟した状態のものに限られるため、収穫をあえて遅らせます。
そのため、収穫年の気象条件が悪く、品質が保てない場合はシャトー・シャロンという名称でワインをリリースできないなどの厳しい規定があり、実際に1974年、1980年、1984年、2001年のヴィンテージでは、ワインをリリースできませんでした。
シャトー・シャロンのテロワール
シャトー・シャロンのブドウ畑は、まさに天空の城と呼ばれるほど崖の上の標高の高い場所にあるため、夏も冷涼な気候です。
土壌はジュラ紀前期リアスのアンモナイトが混ざった泥灰土や粘土質が中心で、魚介類や大量の貝殻などが散り積もった石灰岩が多く含まれているため、豊富なミネラル、キリッと引き締まった酸が土壌に反映されています。
シャロンで造られるワインの味わいや特徴
ヴァン・ジョーヌの造り方は、サヴァニャン種を収穫後、一旦は通常の工程で白ワインを造り、木樽に詰めて熟成をさせるのですが、ここから先がヴァン・ジョーヌならではの特殊な造り方になります。
樽熟成を進めていくと、空気が接触することにより、樽の中のワインが少しずつ気化して目減りしていきます。
通常のワインであれば、ここで過度な酸化を抑えるために、ウイヤージュ(同じワインを樽に足す作業)をするのですが、ヴァン・ジョーヌはそれを行いません。
結果、ワインは酸素と接触を続けることになり、産膜酵母という酸素を好む菌が活発化して、ワインの表面には『フルール』という皮膜が形成されます。
このフルールこそがワインを徐々に黄色に変化させ、「黄金の味」と表現されるヴァン・ジョーヌの味わいになるのです。
ヴァン・ジョーヌは、木樽熟成時のフルールがあってのもの。
なので、樽熟成はなんと6年間も熟成させることが義務付けられているのです。
こんな特殊な造り方をするヴァン・ジョーヌ、長期熟成に向いているワインと言えます。
そんなヴァン・ジョーヌのお味はというと、樽で長く熟成させるため、クルミやヘーゼルナッツといった独特な風味があり、アプリコットやピーチなどの甘く熟した果実のアロマに、カレーのようなスパイス香にたばこのような複雑なアロマが感じられ、しっかりとしたミネラル感のある味わいのワインになります。
100年の長期熟成に耐えうる「ヴァン・ジョーヌ」
一般的に、シャトー・シャロンのワインは、ヴィンテージ後100年間熟成させることができると言われており、実際に、2018年5月26日、フランス東部ロンルソーニエで行われた競売で、ルイ16世時代に造られた1774年産のヴァン・ジョーヌが史上最高額で落札されました。
約250年もの長きにわたって温存されていたヴァン・ジョーヌ気になるそのお味はというと、1994年に、今回の市場最高額で落札されたヴァン・ジョーヌと、同生産者・同世代のヴィンテージのものをワイン専門家たちがテイスティングしたところ、「クルミやスパイス、カレー、シナモン、バニラ、そしてドライフルーツの風味がする」と表現し、10点満点で9.4点を付けたそうです。