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7月14日は、1789年にパリの民衆が市内にあるバスティーユ牢獄を襲撃した事件がおこった日で、この日がフランス革命のはじまりの日とされています。
フランス革命は、ワイン産業にも大きな影響を与えました。
フランス革命によって誕生した共和国政府は当時ブドウを栽培していた教会から畑を没収し、それを分割して農民へ分配したのです。
フランスワインのラベルによく記載されている「Chateau(シャトー)」という文字、フランスワインを購入している方なら、よく目にするのではないでしょうか。
また、シャトーと同じく「Domaine(ドメーヌ)」の文字を見かけることも多いと思います。
これは、先ほどお話したフランス革命によるブドウ畑の細分化ともつながりがあります。
そこで本日は、フランスワインのシャトーとドメーヌについてお話します。
シャトーとは
冒頭で触れた「Mis en Bouteille au Chateau」という表記。
これは、「シャトー元詰め」という意味で、シャトーとは、ボルドー地方で自社畑を所有し、ブドウの栽培、醸造、瓶詰めを行うワイン生産者のことを表します。
シャトーとはフランス語で「「お城・大邸宅」を意味し、もともとお城のように大きな醸造所でワインを製造していたことから、そう呼ばれるようになりました。
ひとつの畑をひとつのシャトーが所有しているという点がボルドー地方のシャトーの特徴です。
ドメーヌとは
一方、ブルゴーニュ地方などでは、自社畑所有のワイン生産者のことを「ドメーヌ」と呼びます。
ブルゴーニュ地方は、フランス革命後に国が畑を細分化して農家に分け与えたという歴史があるため、小規模な単位でワイン造りをしているドメーヌが多く、また1つの畑に対して複数の所有者が存在するのが一般的です。
広い畑では100人弱もの所有者がいるというケースもあるようです。
世界最高クラスのワインである5大シャトー
世界最高クラスのシャトーと言えば、ボルドー5大シャトーと言われる、ボルドー地方のメドック格付け1級の5つのシャトーが有名です。
ボルドー地方の場合は、ワインを生産するシャトーごとに格付けがされ、メドック地区にある約500のシャトーから、61のシャトー
(シャトー・オー・ブリオンのみグラーヴ地区)のみに、1級から5級の格付けがされています。
【メドック格付け1級シャトー】
◆シャトー・ラフィット・ロートシルト(ポイヤック)
ボルドー5大シャトーの筆頭ともいえるシャトー。
ルイ15世が好んで飲んだワインということから「王のワイン」と呼ばれ、名声を高めました。
長期熟成を経たものは、圧倒的なエレガンスさがあり他に類を見ないと称されるほど。
◆シャトー・ラトゥール(ポイヤック)
ラベルにも描かれている塔は、14世紀中頃に要塞として建設された塔で、シャトーのシンボル。
「不作知らず」と言われるほど、5大シャトーの中で最も安定した品質を保ったワインを造るシャトー。
凝縮感のある、力強い長期熟成に向くワインと言われています。
◆シャトー・マルゴー(マルゴー)
「フランスワインの女王」と呼ばれ、柔らかく華やかでロマンティックな味わいは、5大シャトーの中で、最も女性的と称されるワイン。
イギリス初代首相ロバート・ウォルや文豪ヘミングウェイなど、各界の著名人から愛されるワイン。
◆シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック)
第2級から1級へと昇格した唯一のシャトー。
ダリやシャガール、ミロなどの現代アーティストの作品をラベルに起用しており、コレクターからも人気を博しています。
◆シャトー・オー・ブリオン(ペサック・レオニャン)
メドック地区の格付けでありながら、ペサック・レオニャンから格付けされた唯一のシャトー。
フランスがナポレオン戦争で敗れた後、ウィーン会議の晩餐会で、各国の代表者に振舞われ、フランスが失われずに済んだことから、「フランスの救世主」とまで呼ばれたワイン。
5大シャトーはセカンドワインが狙い目
5大シャトーの代表作とも言えるファーストラベルのワインとなると、安くても1本7万円からと、簡単に手を出せる価格ではないですが、セカンドラベルになると、同じシャトーが造っているワインがファーストラベルの半額以下で味わうことができます。
セカンドワインの魅力は、セカンドラベルは長期の熟成を必要とするファーストラベルと違い、比較的早いうちから楽しむことができます。
若いヴィンテージのワインを寝かせず飲むならば、セカンドの方が美味しく飲めるかもしれません。
また何より、それぞれのシャトーの個性とスタイルをお求めやすい価格で楽しめることが大きいですよね。
大抵のセカンドラベルがファーストラベルの半分以下の価格。
そして、セカンドラベルワインの最大の魅力なんと言っても、ファーストラベルと同じ造り手であること。
そして、ファーストラベル同様、そのシャトーのこだわりがブドウの栽培にも、醸造にも反映されているので、憧れのシャトーのワインをリーズナブルな価格で楽しめるんです。
セカンドラベルでは、ファーストラベルよりも樹齢の若いブドウ樹や、醸造初期の熟成段階で選別されたブドウ、シャトーによっては、ファーストラベルとは別の特定の区画で栽培されたブドウなどを使用します。
ボルドー五大シャトーのセカンドラベルワインをご紹介しましょう。
◆シャトー・ラフィット・ロートシルト
カリュアド・ラフィット・ロートシルト
セカンドラベルと言ってもファールストラベルと同じ畑から収穫されるブドウを使用し、全生産量の40%ほどがセカンドラベルに選別されています。
◆シャトー・マルゴー
パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー
ファーストラベルは平均樹齢35年~40年のブドウから造られるのに対して、セカンドラベルは樹齢15年前後の若樹のブドウから造られ、ファーストラベルに比べメルロの比率が若干高いため、肉付きが良く柔らかなスタイルが特徴です。
◆シャトー・ラトゥール
レ・フォール・ド・ラトゥール
「ランクロ」の周りに広がる区画のブドウを使用。
ファーストラベルと同じ区画ながらも、ブレンドの際にファーストラベルの品質に至らないと判断されたブドウも使用されています。
醸造に関してのファーストラベルとの違いは新樽率のみ。
生産者もセカンドと呼ぶのをためらうくらい、高品質で個性的なワイン。
◆シャトー・ムートン・ロートシルト
ル・プティ・ムートン・ド・ロートシルト
ファーストラベルよりも手に入りづらい稀少セカンド。
プルミエ・クリュの若株ブドウ樹を厳選し醸されるワインであり、収穫から醸造、そして瓶詰め作業までファーストラベル同様に造られます。
◆シャトー・オー・ブリオン
ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン
ファーストラベルと全く同じ畑で収穫した樹齢だけが異なる若樹のブドウを使っており、土壌や品質管理については全てファーストラベルと同様のため、ファーストラベルの味わいをリーズナブルにそして早飲みできるのが魅力。