辛口から極甘口まで幅広い味わいがあるシェリー酒とは

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辛口から極甘口まで幅広い味わいがあるシェリー酒とは

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シェリー酒とは

最近、海外で人気が出てきているシェリー酒。
日本ではシェリー酒という響きから、リキュールや蒸留酒と思われている方も多いですが、じつは、スペインで造られる白ワインの一種なんです。
そこで、本日はまだ飲んだことがないというワインラバーのために、シェリー酒についてお話したいと思います。

シェリー酒とは

シェリー酒は、スペイン・アンダルシア地方のヘレス周辺で造られる酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)で、ポルトガルのポートワイン、イタリアのマルサラワインと並ぶ世界3大酒精強化ワインの1つとされ、日本ではシェリー酒というと、リキュールや蒸留酒に間違われることが多いですが、白ブドウを原料とした白ワインの一種です。
スペインの原産地呼称制度であるデノミナシオン・デ・オリヘンではヘレス・ケレス・シェリーというのが正式名称として原産地呼称に認定されています。

アルコール度数は通常のワインより高い

シェリー酒は、スペインのアンダルシア地方のヘレス・デ・ラ・フロンテラと、サンルカール・デ・バラメーダ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリアの3つの街がおもな産地で、この地域はアフリカに近く気温が高いため、酸化を防ぐためにアルコール度数を高めて、保存性や輸送に優れたワインとして造られました。
へレスでのワイン造りの歴史は古く、紀元前1100年頃には、フェニキア人がカディスにブドウ栽培とワイン造りを伝え、古代ローマ時代にはヘレス産のワインがローマに輸送されていたとの記録もあり、現在のような酒精強化ワインとしてのシェリー酒が造られるようになったのがいつ頃からなのかは定かではありませんが、14世紀から15世紀頃にはすでに造られていた説があります。
酒精強化ワインは、アルコール発酵中にアルコール度数が高めのブランデーなどを添加することで糖分がアルコールに変換されるのが中断され、アルコール度数が15~22度前後までの酒精強化ワインとなります。

辛口から甘口まで幅広い味わいのあるシェリー酒

シェリー酒の原料となるブドウ品種

シェリーを造る際に使われるブドウの品種は3種類のみで、パロミノ種、ペドロ・ヒメネス種、モスカテル種という白ブドウです。
これらの品種はブレンドせずに、それぞれ単一品種でワインが造られます。

パロミノ
へレスでもっとも多く栽培されているブドウ品種で、パロミノ・フィノとパロミノ・デ・ヘレスの2品種があります。
パロミノは果皮が薄く、香りや酸味、糖度が控えめなので、ニュートラルなシェリーを造るのに適した品種で、パロミノ・デ・ヘレスは、希少で高品質なシェリーを造ります。

モスカテル
モスカテルは、日本ではマスカット・オブ・アレクサンドリアの名前で親しまれている芳醇な香りの甘味のある品種。
他の品種に比べ、モスカテルは、比較的干ばつに強いため、保水力の弱いアレナス土壌の畑で栽培されることが多く、花や桃をイメージさせる芳醇な香りが魅力で、主に甘口ワインを造る際に使用されます。

ペドロ・ヒメネス
果皮が薄いため、天日干しにしてレーズン状にし、糖度を極限まで高めて使用されます。
イチジクやデーツなどのドライフルーツに、はちみつやジャムやフルーツコンポート、ダークチョコレート、ココアに甘草のアロマを持つ世界でもっとも甘いワインを造る品種として知られており、極甘口のシェリーを造ります。

辛口から甘口まで幅広い味わいが特徴

一言でシェリーといっても、シェリー酒の味わいは、土壌、ブドウ品種、アルコール度数、醸造方法などによって辛口から甘口まで幅広い味わいがあるのがシェリーの特徴で、辛口、天然甘口、辛口と天然甘口をブレンドした甘口ワインの大きく3つのカテゴリーに分類されます。
まず辛口のタイプには、「フィノ」、「マンサニーリャ」、「アモンティリャード」、「オロロソ」という基本の4種類があり、辛口でも驚くほど味わいが異なります。
フィノは、アルコール度数が約15度とスティルワインに近い軽めのタイプで、レモンのような淡い色調に、リンゴやレモン、ハーブといった爽やかアロマで、繊細な味わいが特徴です。
シェリー酒の中でも一番幅広い料理と合わせやすい味わいのシェリーです。
マンサニーリャは、海に近いサンルカール・デ・バラメーダでの街で造られたフィノが、マンサニーリャを名乗ることができます。
通常のフィノよりもさらに繊細で、海に近いこともあり海風の影響で塩気を感じる風味で、中でもパサダと呼ばれるものは、熟成が進んだタイプになります。
オロロソは、フィノと違い酵母の影響を与えずに熟成させた酸化熟成タイプで、香り高いという意味を持つオロロソは、フルボディで色が濃く、クルミなどのナッツ類やコーヒー、カラメルを思わせる華やかな香りが魅力です。
アルコール度数もフィノと異なり17~21度のフルボディなワインです。
アモンティリャードは、フィノかマンサニーリャを酸化熟成させたタイプで、フィノとオロロソの中間のような色合いで、酵母と酸化熟成の両方の複雑な香りが楽しめ、味わいはバランスがよく、アルコール度数は16~22度とシェリーです。
天然甘口ワインは、先ほどブドウ品種で触れた「ペドロ・ヒメネス」と、「モスカテル」から造られる甘口シェリーの2種類があります。
ブレンド甘口ワインは、オロロソをベースにして造るフルボディの「クリーム」と、アモンティリャードをベースにして造る、繊細な香りの「ミディアム」、フィノをベースにして造る「ペイルクリーム」の3種類に分けられます。
しかし、近年注目されているのは、やはり辛口タイプのシェリーです。

スペインの酒精強化ワインシェリー酒とは

おすすめの飲み方・楽しみ方

シェリーの香りを最大限楽しむならストレートで飲むのがおすすめです。
スティルワイン同様グラスはワイングラスに注ぐのが良いです。
その際気を付けたいのが温度です。
スティルワインも同様ですが、温度が低くすぎると酸味が目立ち甘味が抑えられます。
逆に温度を高くすると、甘味やまろやかさを感じやすくなりますが酸味が抑えられます。
辛口タイプは白ワインを飲むときくらいに軽く冷やして、甘口タイプや熟成辛口タイプは赤ワインを飲むときくらいに室温(14度前後)くらいの温度がちょうど良いとされています。
また、アルコール度数が高いので、カクテルにして飲んだり、ポルトガルワインのポートワイン同様、アイスクリームにかけて食べるのもおすすめです。
通常のスティルワインに比べ風味が3日~1週間以内で損なわれることはありません。
冷蔵庫で保存すれば抜栓後1ヵ月程度は問題なく味わえますので、食後のデザートワインとして楽しんだり、就寝前に少しずつというのもおすすめです。

シェリーと同じソレラシステムを用いたシャンパン

キュヴェ’47 ポール・ダンジャン・エ・フィス
ポル・ロジェ、マム、ローラン・ペリエと誰もが知る大手メゾンと並び、唯一家族経営のシャンパーニュメゾンとして英国王室へワインを提供しています。
もともとはモエ・エ・シャンドンなどにブドウを販売していたブドウ栽培家ならではの、強いこだわりを持ったブドウ栽培で、小規模生産者ながら高品質なワインを生み出すポール・ダンジャンのワインは、アメリカエアラインをはじめ、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、フィンランド、日本などの各航空会社のファーストクラス、ビジネスクラスに採用されています。
ポール・ダンジャンのワイン造りは、畑から生まれたブドウと酵母のみで造るピュアなシャンパーニュなのです。
このキュヴェの特徴は、2010年からのソレラシステムによるリザーヴワインを使用して造る点です。
若いワインが、熟成されたワインとまじりあっていくうちに、生産年による差異が弱められ、その背後にある気候風土、テロワールが否応なしに表現されてきます。言わば、その土地の風味をいかに出すか、という考えを突き詰めて生み出された作品なのです。
まさに、ポール・ダンジャンの醸造技術が問われるメゾンの最高傑作です。

キュヴェ'47 ポール・ダンジャン・エ・フィス

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