「シャネル」がボルドーに所有する2つのシャトーとは

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「シャネル」がボルドーに所有する2つのシャトーとは

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「シャネル」がボルドーに所有する2つのシャトーとは

世界的ファッションブランドというと、どんなブランドが思い浮かびますか?
シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトン、グッチ、ヴェルサーチなど…
いろいろなブランドが思い浮かびますよね。
じつは、これらのブランドにはファッション以外の共通点があります。
それは、ワイナリーを所有していること。
世界的ファッションブランドはワイン業界とも密接な関係があり、自らがオーナーとしてワイナリーを所有し、ブランドイメージにあったワインを生産しているんです。
ハイブランドのワインとなると、値段も気になるところですよね。
もちろんハイブランドのワインにふさわしい価格のものから、気軽に購入できる価格のものまで幅広く揃っています。
そこで、本日は世界的ファッションブランドである「シャネル」が所有するフランス・ボルドー地方の歴史的なワイナリーを2つご紹介します。

サンテミリオンでも屈指の畑を持つ由緒あるシャトー

CHÂTEAU CANON(シャトー・カノン)

シャトー・カノンは、サンテミリオン格付け第1特別級Bの250年以上の歴史を持つ由緒あるシャトーです。
1760年に海軍中尉だったジャック・カノンによって造られたこのシャトーは、1919年にフルニエ家が所有すると、徐々に頭角を現し80年代にはサンテミリオンの最高級ワインの1つとされるほど質の高いワインを造り上げますが、90年代に入り徐々に品質が低下していき、1996年に「シャネル」のオーナーであるヴェルメテール家が所有者となり、支配人のジョン・コラサのもと、セラーなどの設備投資からブドウの植え替えなど、大きな改革がおこなわれ再びシャトーが息を吹き返しました。
シャトー・カノンの畑は、シャトー・オーゾンヌやシャトー・ベレール・モナンジュといったサンテミリオンでも屈指の南西部斜面に22haあり、地表近くと地中深くでは異なる土壌のユニークなテロワールを持ちます。
そんな最上のテロワールの緩やかな部分にはメルローが植えられ、傾斜が強い部分にはカベルネ・フランが植えられており、ブドウはリュットレゾネ農法で栽培され、収穫はすべて手摘みでおこなわれます。
シャトー・カノンのワインは、フレンチオーク製の発酵槽でアルコール発酵後、ステンレスタンクに移されマロラクティック発酵し、50~60%の新樽を用いて18か月~20か月間熟成されます。
こうした長期熟成により、豊富なタンニンを持つ凝縮感のある男性的な力強い味わいのワインになります。
セカンドラベルの「クロワ・カノン」は、2011年に購入したシャトー・マトラスの畑から採れるブドウと、粘土石灰質の丘の樹齢の若いブドウを使っており、メルロー70%カベルネ・フラン30%をブレンドして造られます。
2010年ヴィンテージまでは「クロ・カノン」という名称でしたが、2011ヴィンテージから、シャトー・カノンのセカンドワインとしてクロワ・カノンという名に変更されました。
このシャトー・マトラスの醸造所であったチャペル・オブ・マゼラは、約1年かけて改修工事がおこなわれ、最高峰のワインを造るための醸造所としてだけでなく、歴史的価値のあるサンテミリオンを象徴する礼拝堂としてもよみがえりました。
テイスティングルームの壁には、シャネルを象徴するカメリア(椿の花)が描かれたステンドグラスが用いられています。

シャトー・カノン

マルゴーで、1級にもっとも近いスーパーセカンドと言われるシャトー

CHÂTEAU RAUZAN-SÉGLA(シャトー・ローザン・セグラ)

1855年のボルドー・メドックの格付けで、シャトー・ローザン・セグラは、1級シャトーであるラフィット・ロートシルト、ラトゥール、マルゴー、オー=ブリオンの4大シャトーと、2級シャトーのトップクラスであるムートン・ロートシルトに次ぐ、ボルドーの最高峰ワインとされていました。
そんなシャトー・ローザン・セグラの歴史は古く、1661年にピエール・デ・メサレス・デ・ローザンが、ガシー家のワイナリーを購入したことから始まりました。
1785年にはシャトーはローザン・ガシーとローザン・セグラの二つに分割され、すでにこの頃にはその実力は広く知られており、第3代アメリカ大統領であるトーマス・ジェファーソンも、シャトー・ローザン・セグラのワインがお気に入りだったと言われています。
しかし、19世紀末に起きた、フィロキセラの影響によりローザン・セグラのブドウ畑も壊滅的なダメージを受け、1960年イギリスの海運会社に売却されました。
1960年から1970年代にかけては低迷した時期がつづきましたが、1983年にジャック・テオ氏がシャトーを引き継ぐようになると、「現代のワイン醸造学の祖」とも呼ばれるボルドー大学のエミール・ペイノー教授をコンサルタントとして迎え、ステンレスの発酵槽の増設やブドウの厳しい選別など大改革をおこない、クオリティを一気に上げ再びメドック格付け2級の名前に恥じないだけの品質を備えたワインが造られるようになりました。
そして、1994年にシャネルのオーナーであるヴェルメテール家が所有者になると、さらにそのクオリティに磨きがかかり、シャトー・カノン同様に支配人のジョン・コラサのもと、醸造設備からシャトー、畑にいたるまで大規模な改革がおこなわれました。
現在、安定した高品質なワインを生み出すシャトー・ローザン・セグラは、1級にもっとも近い2級シャトーとして高く評価されています。
シャトー・ローザン・セグラのあるマルゴーはメドックの最も南に位置し、砂利質混じりの石灰質や粘土質の土壌で、マルゴーのワインはメドックの中で最も女性的で華やかなワインと表現されます。
シャトー・ローザン・セグラでは、カベルネ・ソーヴィニヨンが全体の60%占め、メルローが30%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが10%ほどを占めています。
ローザン・セグラのワインは、野イチゴやブラックベリー、ブラックカラントなどのベリー系のフレッシュなアロマに、甘草、スミレ、ミネラルとほのかにタバコなどのスモーキーなアロマも感じられ、凝縮感のあるしっかりとした輪郭がありながら、非常にエレガントでバランスのとれた味わいです。

「シャネル」がボルドーに所有する2つのシャトーとは

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