この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
だんだんと過ごしやすい気候になってきて、白ワインやスパークリングばかり飲まれていた方も、そろそろフルボディタイプの赤ワインが恋しくなる頃ではないでしょうか。
観光地としての新たな門を開いたボルドーのシャトー
やっぱりこれからの季節で欠かせないのがボルドーワイン!
ニューワールドの力強く、果実味溢れる赤ワインも捨てがたいですが、食欲の秋には、前菜~デザートまでスマートにペアリングをこなすボルドーワインが一番ですね。
そんなボルドー地方は、2019年7月からパリとボルドーを2時間で行き来できる高速列車が運行を開始したことにより、街には次々と新しい飲食店がオープンし、街並みや料理の味付けなど伝統的なスタイルに変化が生じているようです。
その変化の波は、長い間観光客に扉を閉ざしてきたシャトーにまで及んでおり、ボルドー地方の名高いワインシャトーが、その魅惑的なワイナリーの内部を開放しています。
サン・テステフのトップシャトーに宿泊ができる⁉
「限りなく第1級格付けに近い」と言われる、ボルドーのスーパーセカンドの「シャトー・コス・デストゥルネル」もその一つ。
コス・デストゥルネルと言えば、サン・テステフ地区のトップシャトー。
インドに強い関心があった創始者が造り上げたシャトーは、他のボルドーシャトーと趣が違い、オリエンタルな雰囲気が漂っています。
ボルドー・メドック最高級のシャトーの中でも、トップの上品さと複雑性を誇るワインは、ボルドー好きのワインラバーにとって五大シャトーに並ぶ憧れの一つでもあります。
そんなシャトー・コス・デストゥルネルのシャトーに宿泊ができるようになったというから驚きです。
もちろん価格も驚きなのですが…
ベッドルーム6部屋の豪邸で、各部屋にはそれぞれスタッフが1人ずつ付くという豪華なプラン。
最大で16人の利用が出来、1泊の料金はなんと2万ドルだそうです(約220万円)。
16人で利用するとして、1人あたりの宿泊料金は14万円ほど…
お高いですが、一生に一度は泊まってみたいですね。
サン・テステフのおすすめワイン
シャトー・コス・デストゥルネルと同じサン・テステフにあるシャトーのおすすめワインを4本ご紹介します。
サンテステフ・ド・カロン・セギュール
「サン・テステフのシャトー・マルゴー」と例えられるほど、メドック格付け3級ながら、1級シャトーに匹敵するほどの実力を持つカロン・セギュール。
18世紀、ニコラ・セギュール侯爵が、シャトーのオーナーであった時代、1級シャトーのラトゥールやラフィットも所有しており、「われラフィットを造りしが、わが心カロンにあり」とカロン・ゼキュールへの思いを述べた言葉にちなみラベルにハートが描かれました。
そしてこのワインは、カロン・セギュール・ファミリーのサードワインです。
みずみずしい風味、果実感、すぐにでも美味しく楽しめるスタイル。
原料には主に若株ブドウを使用し、メルロとカベルネ・ソーヴィニヨンをバランス良くブレンドしています。
そして、2013年ヴィンテージより、ファースト、セカンド、サードの3種のラベルを刷新。
それまでのセカンドワインのマルキ・ド・カロンは、ル・マルキ・ド・カロン・セギュール、 サードワインはサンテステフ・ド・カロン・セギュール へと それぞれ改名され、 より一貫性を持ち、分かりやすいラベルになりました。
これは1999年ヴィンテージまで実際に使用されていたものです。
シャトー・カプベルン
シャトー・カプベルンの畑は、シャトー・フェラン・セギュールとシャトー・メイネイの間に畑が広がっており、サン・テステフのトップシャトーであるシャトー・カロン・セギュールと同じオーナーが所有するシャトーです。
そして、カロン・セギュールと同じチームが栽培・醸造を手がけていますが、本家のワインの値段を考えると、カロン・セギュールでの技術が生かされたこのワインは、なんともお値ごろです。
オーナーが同じであるシャトー・カロン・セギュールは、ハートのラベルが有名ですが、メドック格付けの中でも高い品質で評価が高いシャトーです。
長くオーナーを務めたマダム・ガスクトンが亡くなられた後、2012年シュラヴニール社がシャトーを購入し、共同経営者であるヴィドロ・グループと共に、大規模な改革を行い、シャトーは更なる飛躍を遂げ、2013年ヴィンテージからシャトー・カプベルンに改め、新しくスタートを切りました。
ベリーやドライフルーツの濃密で凝縮した味わいを楽しめる重厚感のあるワインです。
シャトー・コス・ラボリ
コス・ラボリの名は「小石の多い丘」を意味する「コス」と1800年から1840年まで所有者だったフランソワ・「ラボリ」の名に由来します。
何十年もの間コス・ラボリはすべての格付けシャトーのうちで期待はずれの最もたるものの1つでしたが、近年訪問する価値のあるシャトーへと変貌しました。
1989年と1990年の秀逸なワインから始まった品質の復活は、2000年代のヴィンテージ以降も続いています。
中でも1990年代の多くのヴィンテージのブドウは、自然条件に恵まれなかったにもかかわらず、品質を維持し続けています。
品質が著しく向上したのは当主ベルナール・オードワによる選別の厳格化や、樽内マロラクティック発酵、濾過処理なしの瓶詰めなどが影響しています。
シャトー・コス・ラボリの特徴は、筋肉質な味わいを持っており飲み頃は、収穫後5年から12年とされています。
おすすめは10年程度までに飲むことが理想です。
シャトー・ラフォン・ロシェ
このシャトーは、シャトー・ラフィット・ロートシルトと、コス・デストゥルネルに隣接する最高の立地の畑を持つシャトーです。
現在の所有者であるテスロン家は1959年にこのシャトーを購入し、畑と荒廃したシャトーを徐々に復活させる計画に乗り出し、今では格付けにふさわしい、時にはそれ以上!とも言われる高い品質のワインを生みだしています。
除梗し、収穫を少しだけ遅らせ、新樽の比率を増やす、ブレンドにおいてメルロの比率を増やすなど、品質を向上するために尽くした結果、力強くスパイシーで、一層印象的なものになりました。
ジャムのような凝縮された果実味ほどよくタンニンもありスパイシーな印象も熟成香が絶妙に絡み合って芳醇な味わいも感じます。