この記事を読むのに必要な時間は約 20 分です。
フランス語でバラ色(Rose)を意味するロゼワイン。
美しく淡いピンクからほんのりオレンジがかったサーモンピンク、いちごジャムのように濃く透明感のあるピンクまでじつにさまざまなピンクの色調をもつロゼワインは、食卓に置いてあるだけで一気に華やかな空間にしてくれます。
そして、このロゼワインの人気は年々右肩上がりで、2019年には世界のロゼワインの消費量が過去最高を記録し、20年弱で40%も消費量が増加している結果に!
そこで、本日は世界的に人気のロゼワインの豆知識と当店おすすめのロゼワインをご紹介します。
世界的に人気のロゼワインの魅力とは?
冒頭でも少し触れましたが、この20年でロゼワインの消費量はどんどん上がってきており、とくにフランスではロゼワインの消費量がすべてのワイン消費量の30%を占めるまでに至りました。
これは、4本に1本はロゼワインが購入されているという状況。
なぜそれほどまでにロゼワインが人気になったのかというと、やはりそこにはこのロゼワインならではの美しいピンクの色調が大きな要因でしょう。
フランスについでロゼワインを消費しているのがアメリカで、アメリカのロゼワインブームを牽引しているのが20代から30代のミレニアル世代!
ロゼワインの美しいピンク色はまさにインスタ映え抜群で、インスタの「#rosewine」のハッシュタグは71万件を超えるほど。
普段ワインをそれほど飲まないという人でも、写真を撮ってビジュアル的にも楽しみたいというのもロゼワインの魅力でしょう。
また、ロゼワインは赤ワインや白ワインに比べると手軽に楽しめる明るくライトなイメージもあって、公園や河原などのピクニックに持っていったり、バーベキューでお肉片手に飲んだりと、世界的にロゼワインの消費量は増加傾向にあります。
ロゼワインはどのように造られるの?
「ロゼワインって白ワインと赤ワインを混ぜて造るの?」と質問される方もよくいらっしゃいます。
たしかに、ロゼワインは赤ワインと白ワインの中間のピンクなので、そのように思われるのも当然。
でも、その造り方は一般的ではありません。
むしろ、ごく一部の地域にのみ認められている醸造法なんです。
ロゼワインのピンク色にもさまざまな色合いがあるのは、醸造方法の違いによるもの。
そこで、ここからはロゼワインの代表的な醸造方法を4つご紹介します。
セニエ法
ロゼワインで一番よく用いられる醸造法がセニエ法です。
プロヴァンスを始め、世界の多くのロゼワインはこの製法を用いています。
セニエという言葉は、もともとフランス語で「血抜き・瀉血(しゃけつ)」を意味しており、アルコール発酵の途中で、果汁だけをすこし抜き取る作業から、この言葉がついたそうです。
赤ワインと同じ原料である黒ブドウの果皮や種を果汁と一緒にタンクの中で8時間から48時間浸漬(マセラシオン)をして、果皮の色素を果汁につけます。
ピンク色に色づいた果汁をタンクから抜きとり、抜き取った果汁のみを引き続き醗酵させます。
この製法はタンニンも多く含まれ、果実味もより感じられるボリューム感のある味わいになります。
直接圧搾法
直接圧搾法もセニエ法と同様さまざまな産地で用いられるロゼワインの代表的な製法で、こちらは、白ワインの醸造に似ている製法です。
黒ブドウを皮つきのまま強くゆっくりとプレスして絞った果汁だけを発酵させます。
絞った際にわずかに抽出される色素によって色を付ける製法です。
そのため、セニエ法のように果皮に浸して色素を抽出したものよりも淡い色合いのロゼワインとなります。
混醸法
醸造の方法自体はセニエ法と同じで、ブドウの果皮や種を果汁と一緒にタンクの中で浸漬して、果皮の色素を果汁につけますが、用いられるブドウが黒ブドウだけでなく、白ブドウも混ぜた状態で行います。
そのためセニエ法で造られたロゼワインよりは色も薄く、すっきりとした味わいです。
ドイツのロートリングはおもにこの混醸法を用いて造られています。
アッサンブラージュ(ブレンド)法
白ワインに赤ワインを少量混ぜてロゼを造るという一番シンプルな製法です。
しかしEUの規定で、赤ワインと白ワインを混ぜて造ることが禁止されているので、ロゼワインのほとんどは、セニエ法・直接圧搾法・混醸法のいずれかで造られていますが、フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインのみ例外で、白ワインに少量の赤ワインを混ぜて造るアッサンブラージュ(ブレンド)法が適用されています。
ロゼワインのおもな産地
プロヴァンス
プロヴァンス地方には14のAOCがあり、フランス最大のAOCロゼワインの産地です。
中でも、AOCコート・ド・プロヴァンスは生産量の9割近くがロゼワインで、フランスのロゼワインの代表とも言える産地。
栽培されているブドウ品種は、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードル、シラーなどがあり、全体的に辛口が主流で、淡いピンク色の果実味とミネラル感のあるフルーティなタイプのロゼワインが多く造られていますが、近年はテロワールをいかしたブドウ栽培に力を入れており、プロヴァンスのロゼワインの味わいも多種多様になってきました。
アンジュ&ソミュール(ロワール地方)
アンジュ&ソミュールは、フランスのロワール地方西部にあるワイン産地1つで、アンジュ(Anger)市を中心に、約40km上流に位置するソミュールまでの広範囲にわたるアペラシオンです。
AOCアンジュ(Anjou)では、赤・白・ロゼとスパークリングワインが造られていますが、ロゼの生産量の割合が多く、特にロゼワインのロゼ・ダンジュとカベルネ・ダンジュが有名です。
固有種であるグロロ・ロワールを主体に造られるロゼ・ダンジュや、カベルネフラン主体で造られるロゼワインのカベルネ・ダンジュは、どちらもAOCワインの中では比較的価格もリーズナブルで、早飲みタイプのワインが多いため、普段の食事で気軽に楽しめます。
タヴェル(ローヌ地方)
タヴェルはフランス南部ローヌ地方ガルド県の川の右岸にあるAOCで、ローヌ川を挟んだ対岸には、シャトーヌフ・デュ・パプがあります。
12世紀には「フランス最初のロゼ」という愛称で、タヴェルのロゼワインはフランス中に広がり、1936年、フランス初のロゼワインのAOCとして認定されました。
タヴェルのロゼワインは、オレンジ色がかったサーモンピンクの鮮やかな色調で、イチゴやチェリーなどの赤系果実や、ストロベリーキャンディのようなアロマに、バラを思わせるフローラルなアロマがあり、時間がたつごとにスパイス香が加わり、肉厚な果実味と心地良いまろやかな酸味が見事に調和した味わいになります。
ボルドー
フランスの赤ワインの銘醸地として知られるボルドーでもじつはロゼワインが造られています。
カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネフラン、メルロなどをブレンドして造られるボルドー・ロゼは、イチゴやラズベリーといった赤系果実のチャーミングなアロマと風味がある、キリっとした辛口のバランスのよい味わいのロゼワインが多く造られています。
また、ボルドー・クレレと呼ばれるボルドー・ロゼよりももう少し濃い色合いのより果実味とボディがしっかりとしたロゼワインがあり、まさに赤ワインとロゼワインの中間の味わいです。
ロゼワインの楽しみ方
色合いに合わせて最適な温度で楽しむ
ロゼワインは、基本的に冷やして飲むのがおすすめですが、色合いの濃淡で少し温度を変えるといいでしょう。
ロゼワインによっては、しっかりとマセラシオンされた色の濃いボリューム感のある味わいのものもあるので、色が濃い目のロゼワインは少し高めの10〜12度。
薄い色合いのロゼワインは低めの8〜10度で設定するといいでしょう。
ワインの濃淡と料理の味付けの濃度を合わせる
ロゼワインの色合いの濃淡と料理の味付けの濃度を合わせるのがおすすめです。
たとえば、淡い色合いのロゼワインなら、寿司やカルパッチョ、サンドイッチといった味付けも淡泊なものを合わせ、赤ワインに近い濃い色合いのロゼワインには肉料理を合わせるといったように、ロゼワインの色合いが濃くなるにしたがって、味付けの濃いものを合わせると、ワインと料理双方の味が引き立ちます。
オシャレなカクテルにする
ロゼワインの消費量とともに人気になっているのが、ロゼワインをベースにしたカクテル。
淡いピンク色がおしゃれで、とくに女性を中心に人気が急上昇しているそうです。
ロゼワインをベースにしたカクテルはいくつもありますが、本場のフランスで親しまれているのが「ロゼ・パンプルムース(ROSE PAMPLEMOUSSE)」。
パンプルムースはフランス語でグレープフルーツの意味で、ロゼワインとグレープフルーツを使ったフランスで人気のワインカクテルです。
略して「ロゼパン」とも呼ばれて、すでにカクテルの状態でボトルになっているものもあり、本場フランスでは3リットルのボックスタイプが人気で、夏のアペリティフの定番になっているそうです。
ロゼは夏に氷を入れて楽しむのがおすすめ!
ロゼワインの本場であるフランスでは、ロゼワインは初夏から晩秋にかけて楽しむのが旬。
夏の暑い日は、ロゼワインもしっかり冷やして、たっぷりの氷をグラスに入れて飲んだり、ロゼワイン自体をタッパーに入れて冷凍庫で凍らして、シャリシャリのフローズン状にして楽しむ飲み方もあるんです。
この気楽な飲み方ができるのがロゼワインの魅力でもあります。
おすすめのロゼワイン
1000円台の高コスパロゼワイン
ヴィニャス・デ・ミエデス・ロサード
コンセプトは「気軽に飲めるヘルシーなワイン」。
低糖質、低亜硫酸塩(低SO2)、低ヒスタミン、 グルテン・フリー、そしてカーボンニュートラルなどヴィーガン生活に適したワインであり、お手頃価格ながら安心して日々楽しく飲めるワインを目指して生み出されました。
ガルナッチャ100%で造られるこのロゼワインは、ブラックベリーやイチゴなどのベリーのアロマが華やかなに香り、フレッシュな果実味と凝縮感も感じられるとてもバランスの良い味わいの辛口ロゼです。
ヴァン・ド・ペイ・デュ・ヴァル・ド・ロワール ピノ・ノワール・ロゼ
味に妥協を許さない造り手として知られるドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエールは、環境に配慮したブドウの栽培方法の「テラ・ヴィティス」と、ブドウ樹とテロワールを尊重し、収量コントロールと品質の改良のために「リュット・レゾネ(極力自然に近い農法)」の技術を用いています。
サーモンピンクの色調で、イチゴやサクランボなどの赤系果実のニュアンスに、穏やかな酸味と爽やかでスッキリとしたクリーンな果実味があり、ほのかな心地よい渋みの余韻の辛口ロゼワイン。
ヴァン・ド・ペイ・デュ・ヴァル・ド・ロワール ピノ・ノワール・ロゼのご注文はこちら
国内外で人気の南フランスのロゼワイン
ロゼ・オートクチュール・キュヴェ・コンフィダンス
18世紀から続く伝統的なワイナリーシャトー・ル・ブイのオーナーであり、女性醸造家でもあるフレデリク・オリヴィエと、フランスを代表するデザイナーの一人、シャンタル・トーマスとのコラボレーションによって生まれた特別なロゼワイン。
ラベルのない斬新なスタイルで、ボトルの裏からシャトーの紋章が透けるデザインになっています。
ラベルの代わりに小さな封筒がこのボトルを飾っており、ここに小さな手紙やネームカードを入れて相手に贈ることができます。
見た目の美しさももちろんですが、ワインの味わいも軽やかで生き生きとしたフレッシュさがあり、繊細なシトラスの香りや白い花を思わせる風味があるエレガントな1本です。
ロゼ・オートクチュール・キュヴェ・コンフィダンスのご注文はこちら
ペルレ・ロゼ ヴィノヴァリ
ペルレとは、フランス南西地方の地ワインで微量の炭酸ガスを含んでいるため、爽やかさ、フレッシュ感のある活き活きとした味わいが特徴です。 ペルレ・ロゼは、ガイヤックの品種にこだわり「デュラス」という黒ブドウを主体にアロマティックでバランスの良い味わいに仕上げています。 ラズベリーやスグリ、チェリーなど、小さな赤い果実を思わせるチャーミングな香りと、爽やかな柑橘を思わせる香り。 口に含むと生き生きとした酸味と果実味のバランス良く、僅かなガスが心地よく口の中を刺激して、活き活きとしたフレッシュな味わいを感じさせます。 アペリティフに最適な1本ですが、ロゼはどんな食材にも合わせられるので、例えばビュッフェのような集まりや、野菜、魚介、肉など様々な食材を集めたBBQにもぴったりの1本になります。
銘醸地のロゼワイン
ロゼ ユベール・ド・ブアール
ボルドー・サンテミリオン第1特別級Aのシャトー・アンジェリュスの醸造家で7代目当主のユベール・ド・ブアール氏の名前を冠した、全く新しいスタイルのボルドーワイン。
ボルドーでおなじみのロゼと言えばやや色の濃いクラレットですが、このワイン造りではプロヴァンスのロゼワインのスタイルを目指し、なるべく淡い色にとどめて、繊細な味わいに仕上げています。
カベルネフラン、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョンをブレンドして造られるこのロゼワインは、淡い色合いとは裏腹にブラックベリーなどの黒系果実のアロマが芳醇に感じられ、しっかりとしたコクとボリュームを感じる重厚感のある辛口ロゼワインです。
クレマン・ド・ブルゴーニュ・ロゼ
ドメーヌ・マニュエル・オリヴィエは、ニュイ・サン・ジョルジュからコート・ド・ニュイ方面に上がる、標高430メートルほどに位置しているため、この地域でも比較的涼しい気候で、1.30haに白ブドウ樹と1hに黒ブドウ樹が植えられており、いくつかの区画のブドウ畑に混ざり、家族が持っている木苺やスグリや苺の畑もあります。
畑はビオロジック栽培、ビオディナミ栽培を研究し、その長所をいくつも取り入れ、土地とブドウの安全を第一に考えたブドウ栽培を行っています。
当主マニュエル・オリヴィエ氏の実家はカシスなどを造っている農家でしたが、1990年に一念発起しドメーヌを開業しました。
そして、マニュエル・オリヴィエ氏がブルゴーニュの中でも新世代ドメーヌの中でも注目を集める要因となっているのが、優れた醸造コンサルタントとしての顔。
彼のアドバイスを受けようと、多くの生産者が彼に助けを求め、畑仕事と醸造という過密スケジュールの合間を縫って、クライアントに最適なアドバイスをしており、クライアントには、なんとあのドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティもおり、ワインの熟成に関して彼のコンサルタントを受けています。
マニュエル・オリヴィエのクレマン・ド・ブルゴーニュ・ロゼは、シャンパーニュと同じく瓶内二次発酵、そして最低9か月の熟成が義務づけられる上質なスパークリングワイン。
このクレマンはブルゴーニュの象徴的なブドウ品種、ピノ・ノワールのみを使用します。
赤系果実のチャーミングな香りと適度なボリューム感を持ち、食前酒はもちろん、食事とともに楽しむのにもおすすめです。
こちらもおすすめ!実力派ロゼワイン
バルフォア ブリュット・ロゼ
ハッシュ・ヒース・エステートは、2002年ワインを愛する当主リチャード・バルフォア・リンと、妻レスリーによって設立され、設立間もなくして、「バルフォア・ブリュット・ロゼ」が大成功し、イングランドを代表するワイナリーの1つとなりました。
2006年にインターナショナル・ワイン・チャレンジでの金メダルとトロフィーを受賞し、ブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスや、オリエント・エクスプレス、サヴォイホテルで採用されています。
ピノ・ノワールとシャルドネを主体にピノ・ムニエを数量ブレンドし、30か月の瓶内熟成期間を経てリリースされるこのロゼスパークリングは、チェリーなどのベリーのアロマに、香ばしいトーストにスパイス香も感じられ、ミネラル感のあるしっかりとしたふくよかなコクのある味わいと長い余韻を楽しめる繊細なロゼスパークリングワインです。
ユヌ・プティット・キュヴェ・オ・ポワル
香り高さや、フレッシュな味わいを残すため、低温で発酵。3週間低温醸しも行い、果皮や種のエッセンスを抽出します。 au poil には「素晴らしい」という意味がありますが、poil という言葉は、単体で「髭・毛」という意味もあります。フランス人ならほとんどの人が「Poil」という言葉を聞けばセバスチャン・シャバルの髭もじゃの顔を想起するでしょう。特に男性ならば。《Au Poil》という、シャバルが広告によく出ている男性用化粧品ブランドがあります。(主に髭の手入れや、髭剃り後に塗るローションです。) フランスでは、ロゼは「仲間とにぎやかに飲むワイン」として、とてもポピュラー。白ワインよりも消費量が多いといわれています。一瞬笑いを誘う、ユーモアの効いたロゼワインは、多くの人が集まる場にぴったりの1本です。
日本初登場!ドイツの新星ロゼワイン
フリーラン・ロゼ オリバー・ゼター
現在、ドイツ国内やヨーロッパの三ツ星レストランへもワインを卸すようになり、評判が年々高まっている注目の生産者であるオリバー・ゼター。
畑はファルツの南部に8つあり、地元であるファルツを愛する一方で、世界のワイン生産をその目で見てきた経験から、伝統的なブドウ品種以外にも積極的に取り組み、様々な可能性を試しています。
ブドウ畑は自然のままにしてあり、除草剤や殺虫剤などは一切使用しません。
このロゼワインは、フランスの伝統製法で言う「セニエ」という製法で造られており、テンプラニーリョを主体に、数種類の黒ブドウ品種の果皮や種の成分を抽出して、この美しい鮮やかな色合いと複雑味を生み出しています。
華やかな果実味と凝縮感のある味わいの1本です。