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赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、黒ワイン、オレンジワイン、緑ワインと、ワインにはさまざまな色があるのをご存知ですか?
ブドウの色は黒ブドウと白ブドウと呼ばれる色だけなのに、なぜこのような色が生まれるのか…
そこで本日は、黒ブドウと白ブドウの特徴と造られるワインについてお話します。
ワインの色が赤や白になる理由
以前にも、このソムリエ手帳でお話したことがありますが、ワインの色が赤や白などになる理由は、「使われるブドウの品種」と「醸造方法」の違いにあります。
まず、使われるブドウの品種は白ブドウと黒ブドウに分けられ、ブドウの果皮が薄緑色をしたものが白ブドウです。
身近なブドウで例えるとマスカットが白ブドウですね。
また、黒ブドウは果皮が黒い色をしたもので、身近なブドウだと巨峰やデラウエアが黒ブドウという種類になります。
白ワインの多くは白ブドウが使われ、赤ワインには黒ブドウが使われます。
ただ、すべての白ワインが白ブドウから造られているわけではなく、黒ブドウからも白ワインが造られています。
有名なところで言うと、シャンパーニュ地方で造られるシャンパンがそうです。
シャンパンの原材料であるブドウの約半分は、ピノ・ノワールという黒ブドウの品種から造られており、黒ブドウを収穫した後、黒ブドウの皮の色が付かないように絞り発酵させるので、白ワインのような色合いになります。
黒ブドウも皮をむくと果実自体は緑色をしていますよね。
赤ワインは、逆にその果皮の色素を使うため、赤ワインの色が生まれます。
赤ワインも白ワインも工程はほぼ同じですが、明らかに違う点が、果実に圧力をかけて搾る圧搾が発酵前か発酵後かという点です。
赤ワインは、ブドウの果汁、果皮、果肉、種子などをまとめて発酵させ、タンクで2~3週間ほど漬け込むマセラシオンをします。
この時に赤ワインの色素である赤い色が、皮から抽出されます。
果皮から抽出したこの色素が赤ワイン特有の赤い色になります。
またこの色素から多量のポリフェノールの一種であるタンニンが出てくるため、そのタンニンがさまざまな成分と結合して複雑な風味をつくり出し、ワインの味わいに奥行きと深みを与えてくれます。
一方白ワインは、発酵の前に圧搾が行われますが、とくに黒ブドウを使用した場合は色素を抽出しないように注意して圧搾が行われます。
そして、果皮や果肉、種子は取り除かれ、果汁だけを発酵させます。
そのため、色素の成分が抽出されないので、白ワイン特有の色合いが生まれます。
ちなみに、白ブドウを赤ワインと同じようにマセラシオンする製法もあります。
ワイン発祥の地の1つであるジョージアのオレンジワイン(アンバーワイン)は、白ブドウを破砕した直後に圧搾をせず、約4時間~24時間果汁に果皮を浸し、その後、通常通り果皮と果汁が圧搾され、その果汁のみがアルコール発酵へと進むため、白ブドウの果皮などから抽出される色素によってオレンジのような色合いになります。
代表的な黒ブドウ品種の特徴と造られるワイン
カベルネ・ソーヴィニヨン
世界最大の栽培面積を誇る黒ブドウ品種。
原産地であるフランス・ボルドー地方では帝王ともいえる黒ブドウ品種で、ボルドーの5大シャトーと呼ばれる1級格付けシャトーのワインもほとんどがこのカベルネ・ソーヴィニヨン主体で造られます。
小さな粒で果肉がほとんどないくらい厚めの皮と大きな種があり、皮が厚い分ワインにすると色が濃くタンニンが豊富で、しっかりと骨格のある味わいに仕上がります。
カシスやブラックベリーなどの黒系の果実を思わせる凝縮した果実味と、タバコ、杉などの複雑なブーケを開花させ、酸もタンニンも強めで、ガッチリとした構造を感じる味わいです。
■代表的なワイン
シャトー・マルゴー(フランス)、シャトー・ムートン・ロートシルト(フランス)、オーパスワン(アメリカ)、スクリーミング・イーグル(アメリカ)、サッシカイア(イタリア)
メルロ
カベルネ・ソーヴィニヨンと栽培面積でトップの座を争うポピュラーな黒ブドウ品種の1つ。
フランスの中でも銘醸地として名高いのがボルドー地方で、右岸地域のポムロルやサン・テミリオンで造られるメルロからは、世界最高峰のワインが生み出されています。
プラムやブラックチェリーのような香りがします。
カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると、タンニンや酸味が穏やかで、やさしい味わいが特徴です。
■代表的なワイン
シャトー・ペトリュス(フランス)、シャトー・シュヴァル・ブラン(フランス)
マッセート(イタリア)
ピノ・ノワール
フランスで、ボルドーに並ぶワインの銘醸地ブルゴーニュで造られる赤ワインのほとんどがこのピノ・ノワールから造られています。
果皮が薄く、早熟なブドウで、病気にも弱いことから、他の品種に比べて栽培も醸造も非常に難しいとされ、かつては「ブルゴーニュ以外では栽培できない」と言われていましたが、近年では世界中で栽培される国際品種の1つとなり、アメリカのオレゴン州のピノ・ノワールが注目を集めています。
イチゴやチェリーのような香りに、酸とタンニンのバランスが良く、エレガントで官能的な味わいのワインになるのが特徴ですが、
産地によってさまざまな味わいに変化するのもこの品種の面白いところ。
■代表的なワイン
ロマネ・コンティ(フランス)、ラ・ターシュ(フランス)、ジュヴレ・シャンベルタン(フランス)
代表的な白ブドウ品種の特徴と造られるワイン
シャルドネ
白ブドウ界のトップスターで、造られるワインは白ワインの女王と称される、ブルゴーニュ地方で偉大な辛口白ワインを生み出す品種です。
世界で幅広く栽培されており、地域、テロワール、造り手によって七変化する品種でもあり、冷涼な土地ではミネラル感豊かなキリっとしたものになり、暖かい土地では、熟れた果実のようなコクのある仕上がりになります。
リンゴ、洋ナシ、アーモンド、バター、ヘーゼルナッツ、バニラ、トーストなどのアロマがあります。
■代表的なワイン
モンラッシェ(フランス)、シャブリ(フランス)、ムルソー(フランス)
ソーヴィニヨン・ブラン
フランスのロワール地方のサンセールとボルドー地方で有名になり、ニュージーランド、イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州、オーストリアのシュタイアーマルク州が主な産地。
グレープフルーツのような柑橘系にハーブを加えたようなさわやかな香りが特徴で、冷涼な土地だと辛口で酸味がきつくなり、暖かい土地ではトロピカルフルーツのような香りになります。
■代表的なワイン
サンセール(フランス)、シレーニ(ニュージーランド)
品種別おすすめ6選
カベルネ・ソーヴィニョン
ムーアズクリーク・カベルネ・ソーヴィニヨン
過去に受賞したメダルやトロフィーの数はなんと累計で5600以上!
1858年の設立以来5世代にわたって家族経営を続け、オーストラリアでも最も優れたワイナリーの一つと認識されているティレルズのワインは、その安定した高い品質から、リッツ・カールトンをはじめ、シャングリ・ラホテル、マリオット・ホテルなど、世界各地の著名な五つ星ホテルに採用されています。
オーストラリアでも優れたシラーズとカベルネ・ソーヴィニョンを生み出す産地の一つとして知られるヴィクトリア州ヒースコートの各畑のワインをブレンドしたこのカベルネ・ソーヴィニョンは、品種の特徴を表現することを第一に醸造しており、ブラックチェリーやカシスなどの野生のベリーのアロマと、ほのかにスパイスの複雑なアロマがあり、凝縮感のある果実味の力強いフルボディタイプのワインです。
オージービーフのステーキやラム肉など赤身の肉料理と非常に相性が良いです。
メルロ
カサ・デル・セロ・レゼルヴァ・メルロ
五大シャトー「ムートン」、カリフォルニアの「オーパス・ワン」、チリを代表するプレミアムワインの「アルマヴィーヴァ」を手掛けた天才醸造家の造る最高のデイリーワイン!
デイリーワインのこのくらいの価格帯のものだと、さまざまな地域から集めたブドウをまとめて大きなタンクに入れ、一気にワインに仕上げるのが一般的ですが、ヴィニャ・マーティでは、まずそれぞれの産地や畑の特徴ごとにタンクを分けて別々に醸造します。
そして同じブドウ品種同士のワインをアッサンブラージュ(ブレンド)し、プロポーションを整えるのです。
ヴィニャ・マーティのメルロの畑は、アンデス山脈からの涼しい風が抜けやすい川に沿った地域にあります。
マーティ氏が思い描くのはボルドー右岸のメルロの味わい。
果実味に混じる清涼感のあるスミレのニュアンスはまさにボルドー仕込みの技によるもの。
ベリーやプラムといった黒系果実の濃密で凝縮した味わいのあるワインです。
ピノ・ノワール
タルトレット・ピノ・ノワール ジャン・クロード・ボワセ
「フランス・ワイン業界のヌーヴェル・ヴァーグ(新たな波)」1961年にブルゴーニュに設立された、若い会社でありながら、急成長を遂げたボワセ・グループ。
環境問題を一番に意識したワイン造りの理念を持ち、所有するすべてのワイナリーがオーガニック栽培とビオディナミ栽培を実践。
ネイティブアメリカンに伝わる「大地は借り物である」という言葉に感銘を受け、サスティナブルなワイン造りをアメリカで実践したいと思い、フランス・ブルゴーニュの技術とカリフォルニアのテロワールが極上ワインを生み出しています。
タルトレット ピノ・ノワールに使用されるブドウは、カリフォルニア州内でも優れた品質を誇る複数のブドウ畑より収穫されたもので、7月ごろから頻繁に発生する霧の影響で、陽が高く上るまでひんやりした状態が続くため、果実の中には糖と酸が、理想的なバランスで蓄積されていき、素晴らしいピノ・ノワールのワインを生み出します。
ストロベリーやラズベリー、クランベリーといった赤い小さな果実の活き活きとした香りが鼻を心地よく刺激するように立ち上り、様々なハーブを思わせる清冽な香りが続きます。
果実味豊かでジューシーな口当たり、赤い果実のフレイバーに加え、ブルーベリーやブラックベリーの完熟した風味が現れ、重なるようにブラウンシュガーやスパイスの香りの層が現れ、心地よい余韻へと続きます。
タルトレット・ピノ・ノワール ジャン・クロード・ボワセのご注文はこちら
ピノ・ノワール シャテル・ビュイ
カーヴ・デ・ヴィニュロン・ド・ビュクシーは、ブルゴーニュ南部のコート・シャロネーズの栽培家・ワイン生産者達が自発的に集まって誕生した協同組合。
AOC法の規定のほかに、独自の品質コントロールを行っており、非常に高い品質基準をもっている点も特徴で、国内外の多くのメディアで評価されている実力のある造り手です。
そんなカーヴ・デ・ヴィニュロン・ド・ビュクシーが手掛けるピノ・ノワールは、ブドウのフレッシュな果実味を引き出すため、 ステンレスタンクを用いて発酵を行い、その後、この土地で伝統的な木製の大樽にワインを移し 熟成させます。
ピノ・ノワールの特徴でもあるさくらんぼやスグリ、ラズベリーといった赤系果実のピュアなアロマがあり、時間とともに腐葉土、レザーの深みのある香りが現れます。
果実の甘みと、エレガントで美しい酸に、穏やかな渋みがアクセントに感じられます。
タンニンが落ち着くまで数ヶ月寝かせることによって、燻した香りや レザーのノートが加わります。
フレッシュな果実味を味わうため、熟成は3年程度までに留めるのがおすすめです。
ソーヴィニョンブラン
フォグ・マウンテン・ソーヴィニヨン・ブラン
1961年にブルゴーニュに設立されたボワセ・グループは、若い会社でありながら、急成長を遂げ、今やブルゴーニュ最大にして、フランス以外では、アメリカ、カナダ、イギリスと世界各国に畑、ワイナリーを運営するグローバルな生産者です。
環境問題の観点から自然栽培をグローバルに推進してきたことでも知られる生産者で、オーガニック栽培、ビオディナミ栽培に注力し、フランスのドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレや、アメリカのデローチやレイモンドヴィンヤードなど、所有するすべてのワイナリーがオーガニック栽培とビオディナミ栽培を実践しています。
そんなボワセ・グループが、2003年以降カリフォルニアで様々なワイナリーを傘下に収めながら、自然栽培に特化したワイン造りを主導してきました。
そして、カリフォルニア名物である霧に着目し、カリフォルニアのテロワールを反映したワイン造りとして、「霧」をテーマに生み出したシリーズがフォグ・マウンテンです。
ソーヴィニヨン・ブランは、輝きのある淡い黄金色。
ゴールデンデリシャス種のようなリンゴ、パッションフルーツ、ハーブのアロマ。
上品で柔らかい酸味、ふくよかな甘みが口の中に広がり、口の奥にすっと消えていくような、滑らかな質感がある。辛口のフレッシュな味わいと、複雑味を楽しめるワイン。
シャルドネ
ソットリーヴァ・アンティカ・シャルドネ
イタリアワインのすばらしさを世界に広めるため、1968年にワイン醸造のエキスパートとマーケティングのエキスパートたちが設立したI.E.I(インスティテュート・エノロジコ・イタリアーノ)は、イタリアのソアヴェローナ)に本拠地を構え、北はピエモンテ、アルト・アディジェから、トスカーナに プーリア、モリーゼ、そしてシチリアにサルデーニャとイタリア全土でファインワインを生産しています。
このシャルドネは、ヴェネト州西部の自社畑のシャルドネを使用し、収穫後優しくプレスして果汁を搾り、果皮ごとしばらくジュースに漬け込み、果皮や種の成分をより抽出し、ステンレスタンクで発酵、熟成させます。
そのため、麦藁色のような濃いめの黄金色の色調で、白い小さな花を思わせる香り、南国のエキゾチックなフルーツの香りに、洋梨の香りが混じります。
適度な飲みごたえで滑らかさがあり、酸味とコクの両方がバランスよく、するすると飲める1本です。