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ワインは熟成させるほどにカドがとれて、まろやかになり、おいしくなると言われますが、それなら、ワインは古ければ古い分だけおいしいのか?という疑問が出てきますよね。
そこで、本日はオールドヴィンテージワインの飲み頃についてお話します。
ヴィンテージワインだから美味しい訳ではない
そもそも、ワインには賞味期限がないというのをご存知ですか?
なぜワインに賞味期限がないのかというと、ワインは劣化することはあっても腐るという概念がないからです。
ワインは瓶に詰められた後も熟成していきます。
ワインよっては、数十年の熟成に耐えるものもあり、中には熟成期間が100年を超えるようなものも存在します。
それほどの熟成期間とはいかなくても、ワインはそれぞれに飲み頃があり使用されているブドウ品種、土壌、収穫年、醸造方法、保存方法などによって、飲み頃は異なり、数年~10年以上と非常に幅が広いため、賞味期限を一概に決めることができないためです。
しかしながら、ワインを美味しく飲むための「飲み頃」はあります。
1000円前後から2000円くらいまでで購入できるデイリー用のワインは、何年も熟成できるようには造られていないため、店頭に並んでいる時点ですでに飲み頃となっているものがほとんどです。
長期熟成タイプではない赤ワインは一般的には2年~3年以内、またボージョレ・ヌーヴォーの場合は半年~1年以内が目安です。
長期熟成タイプのものは、産地や使用されるブドウ品種、ヴィンテージによっても、飲み頃が大きく変わってきますが、10年以上先というものもあります。
また、白ワインは一般的には1年~2年以内。
「モンラッシェ」などは、10年以上寝かせてようやく飲み頃になると言われるものもあり、ワインの飲み頃はさまざまです。
15年以上寝かせてようやく、飲み頃になる長期熟成型のワインをオールドヴィンテージワインと呼びますが、その中には、50年以上熟成したオールドヴィンテージワインもあります。
それだけの年数の熟成に耐えられるワインというのは、ブドウ本来のポテンシャルの高さや、長期熟成に耐えられるだけの醸造という点でも確かに高級なワインであることに間違いはないですが、そのワインが必ずしもおいしいかと言われると、やはり「飲み頃(ワインのピーク)」が合うかどうかで、おいしさが変わります。
オールドヴィンテージワインの一般的な飲み頃は、赤ワインなら15年から30年。白ワインなら、15年から25年と言われていますが、
先ほどもお話したように、それぞれのワインにより飲み頃は変わってきますので、必ずしも、20年寝かせたからこのワインはおいしい!
と断定することはできないのが本音です。
飲み頃(ピーク)を過ぎてしまったワインは徐々に劣化が進み、枯れた感じの味になっていきます。
ヴィンテージワインの選び方の目安は「当たり年」
あくまで1つの目安としてとらえてもらうのがベストですが、そういったオールドヴィンテージワインを飲んでみたいと思った時、当たり年のワインを選んで購入してみるというのも1つです。
ご存知のとおり、ワインは年によって出来が違うもの。
同じワインでもヴィンテージによって多少の味の差があるものもあります。
なぜなら天候は毎年一定ではなく、雨の量や気温など、農産物であるブドウから造られるワインはヴィンテージの影響を強く受けます。
良質なブドウ造りにかかせないのが、ブドウ栽培に適した気候条件が揃うかです。
ワインショップの表記に「グレートヴィンテージのワイン」や「当たり年のワイン」なんて表現をされているのを見たことがあると思いますが、この当たり年というのは、ブドウの栽培に最適な天候だった年を「当たり年」といい、多くの場合、ワインの当たり年というのは、特定の国や地域ごとに、各年のぶどうの質をチャート形式で評価しています。
そのため、産地によって当たり年というのは変わってきます。
当たり年に関しては、栽培に適した気候条件が揃っているため、糖度が高めでしっかりとしたアルコールをもつワインが造れ、酸味のバランスも良い味わいになるため、ワインによっては長期熟成してもハズレが少ないということで、例年よりも高めに取引されることもあります。
何十年も寝かせたワインを購入する際の目安として、この当たり年のワインで購入してみるというのも良いかもしれません。
長期熟成に耐えられるポテンシャルを持ったワインであるため、はずれを引く可能性が少なく済むという点で1つの目安になります。
購入してからは1週間以上は寝かせましょう
オールドヴィンテージワインを購入したら、最低でも1週間は自宅のセラーなどで休ませましょう。
長期熟成したオールドヴィンテージワインは、通常のワイン以上に繊細です。
ワインは動くことにより、粒子の安定性がなくなり、そのことによりワインが本来持つ甘みを感じなくなり、タンニンが刺々しく感じたり、味わいのバランスが取れていないように感じやすくなります。
オールドヴィンテージと言われるワインは、そのバランスが非常に繊細なので、持ち運びによって振動が伝わることで、ワインにストレスがかかり、本来のポテンシャルを発揮できなくなります。
また、ヴィンテージワインのボトルの底には澱(おり)が多く沈殿しています。
動かすことで、この澱が舞いあがり静まるのに時間がかかります。
そのため、オールドヴィンテージワインは購入したら、立てた状態で1週間〜10日程度自宅のセラーなどで保管しましょう。
立てて保管することで、ボトルの底に澱もたまります。
ヴィンテージワインの飲む時の注意点
いよいよヴィンテージワインを開けて飲むという段階になったら、まず気を付けたいのが、栓の開け方です。
古いヴィンテージのワインであれば、キャップシールはすべて外します。
キャップシールを取り外すことで、コルクの状態が見えるため、抜栓の際に使用するオープナーなどを検討できます。
また、キャップシールの内側にカビが多く付着していることがありますので、その場合は、クロスなどでしっかりと拭いておきます。
この時、ボトルを回転させないように注意しましょう。
古いヴィンテージのワインの場合、コルクがもろく崩れやすいものが多いので、力を必要とするオープナーではなく、できればソムリエナイフを用いるのがおすすめです。
また、スクリューを回すときは、一緒にボトルが回らないようにボトルを固定しておき、コルクをボトル内に落とさない為にも、なるべく力をかけないように、スクリューの回転に任せて、静かに入れていきましょう。
無事にコルクを開けることができたら、ボトルの底に沈殿した澱が舞うことがないよう十分注意してグラスに注ぎます。
この時、デキャンタージュして澱を取り除く方法もありますが、かなりのヴィンテージワインの場合、デキャンタージュによって一気に酸化が早まり、香りが飛んで枯れてしまおそれもあるので、ひとまずは、ボトルからグラスに慎重に注いでテイスティングしてみて、まだ若々しいタンニンが感じられる場合や、十分に香りが開いていないと感じた場合のみ、デキャンタージュして香りを開かせてあげるのが望ましいでしょう。
グラスに注いだあと、絶対にやってはいけないのがグラスをくるくる回すスワリングです。
ワイングラスに注がれると、ついクセでくるくるっと回したくなりますが、オールドヴィンテージワインは驚くほど繊細なワインなので、一気に酸素に触れたり、振動でストレスを与えることで味が変化してしまいます。
グラスに注いだら、すこし放置するだけで十分です。
あとは、長い歳月をかけて熟成されたワインの味わいをゆっくり楽しみましょう。
ヴィンテージワインはプレゼント向きではない
たとえば、20歳のお誕生日や結婚式などで、その人の生まれ年のワインを贈るなんて、すてきなプレゼントがありますよね。
オールドヴィンテージワインを専門に取り扱っているワインショップでワインを購入して贈るなら、ほとんど問題はありませんが、長い期間自宅で保管したワインを人にプレゼントするというのは、よっぽど慎重にならないと難しい場合がほとんどです。
まずワインをどんな場所に保存していたかというのが重要です。
最適な保存には3つの条件があります。
それは、「温度」「光」「湿度」です。
「温度」は、13~15度が最適な温度とされ、温度が暑すぎても寒すぎてもワインを劣化させることになります。
また、ワインはできるだけ光を避けて暗い場所で保存し、紫外線に当てないことが望ましく、乾燥した場所で保管していると、コルクが乾燥して縮み、そこから空気が入ってワイン酸化させてしまうため、理想的な湿度は65~80%とされています。
輸送中や保管の際の温度変化により、コルクが押し出され、ワインが液漏れすると、ワインの酸化が進み風味が劣化することもあります。
そのため、自宅に長い期間保管していたワインを人に贈るとなると、相当な注意が必要です。
古くなったワインは料理に利用するか思い切って捨てる
最後に、オールドヴィンテージのワインではなく、購入したワインをすっかり忘れていて、保存状態が悪くて、飲む気に慣れないワインの利用法について。
古くなってしまったワインは、料理に利用するのがおすすめです。
ワインには、「クエン酸」「リンゴ酸」「酒石酸」「乳酸」などの有機酸がたくさん含まれているので、料理にコク・うまみを与えてくれます。
お肉を柔らかくジューシーに仕上げるため、ビーフシチューなどの煮込み料理にピッタリです。
また、魚介類の生臭みをおさえ、風味豊かに仕上げてくれます。
「あさりの白ワイン蒸し」や「アクアパッツァ」などにおすすめです。
また、保存状態がかなり悪すぎて、明らかに色がおかしい場合、臭いがおかしい、異常な酸味を感じたりした場合は、もったいないとは思いますが、かなり劣化してしまっているので、思い切って捨てましょう。
相当な劣化が進んだワインは、料理に使っても、料理の風味を上げるどころか風味を下げてしまうことになりかねません。
そのためにも、ワインの保管には十分気を付けて、おいしくワインを楽しんでくださいね。
おすすめの当たり年のワイン
シャトー・クロ・フルテ
中世の頃には“カン・フルテ(Camp Fourtet)”と呼ばれ、サンテミリオンの町を守るための要塞だったシャトー・クロ・フルテ。
18世紀当時クロ・フルテの土地はあまり良いものではありませんでしたが、シャトー・フィジャックの所有者であったカルル家とルロー家が所有したことで、土地の改良が積極的におこなわれ、非常に良いブドウが取れるようになり、次第に良いワインが出来るようになりました。
また現在、ボルドーでもトップクラスの醸造家ステファン・ドゥルノンクール氏を起用したことで品質はより向上し、シャトーの個性を重視しながら、彼が理想とする気取りがなく魅力的なワインが生み出されています。
プラムなどの黒系果実にスミレのエレガントなアロマが感じられ、キノコのニュアンスが感じられる複雑味のある濃密で凝縮した味わいのやや重厚感のある味わいのワインです。
ペドロ・デ・イヴァル・レセルヴァ
今回入荷した2005年は スペインでも大当たり年として名高いヴィンテージ!
スペインのワイン産地の中でも、特に昨今注目を集めている産地の一つが、このナバーラです。
ナバーラは、長いあいだ隣の名醸地リオハの陰に隠れた存在でしたが、1980年ごろ転機が訪れました。
スペイン最高の高貴品種、「テンプラニーリョ」の栽培にも適していることが判明し、エスクデロ家はいち早くその土地の赤ワインのポテンシャルに気づき、いち早くテンプラニーリョを植え、その畑も今では樹齢80年余りです。
樹齢80年の古木からとれる凝縮したブドウをアメリカンオークで樽熟成することで、「家で寝かせる必要がない=買った時が飲みごろ」というように、すぐに楽しめる飲みごろを迎えたワイン!
ベリー系果実の綺麗な香りに、スパイスを帯びた樽の香ばしいニュアンス。
滑らかな円熟した味わいの中にも、細やかなタンニンの心地よい渋みも感じられます。
森に茂るベリーや下生えの香り、落ち葉、オレンジピールや紅茶を思わせる余韻を楽しめる1本です。
バルベ
このバルべは、ボルドー市付近のガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた立地にあるアントル・ドゥー・メールと呼ばれる地域で作られるワインです。
毎年変わる気候によってブドウ品種はそれぞれ味わいが異なりますが、それら各品種の特徴に合わせて安定した味わいとなるように、醸造家が注意深くアッサンブラージュ(ブランド)を行います。
この2019年は当たり年と言われており、カベルネ・ソーヴィニョンの比率がとても高くなっており、50年以上の歴史を持つボルドー・アキテーヌワインのコンクールで金賞受賞しました。
ブラックチェリーやプラムといった黒系果実のアロマに、スミレのエレガントなフローラル香も感じられ、華やかな果実味と凝縮味のあるバランスの良い味わいで、牛肉や羊など赤身の肉料理に合いますし、ワインのバランスが取れたボルドーは、肉料理全般に合わせて楽しむのがおすすめです。
バロン・ヴァランス
ボルドー市付近、ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた立地にある アントル・ドゥー・メールと呼ばれる地域で造られるワインです。
この2019年は当たり年と言われており、カベルネ・ソーヴィニョン90%とカベルネ・ソーヴィニョンの比率がとても高く、残りはメルロ6%、プティ・ヴェルド4%なっています。
3週間発酵させ、その後1年間熟成させてタンニンが落ち着くまで待ってからリリースされました。
ブラックベリーや完熟プラムを思わせる果実味に、複雑味のあるスパイスやハーブの香りが混じり、なめらかな口当たりが楽しめるボルドーワインです。
シャトー・グラン・マズロール
ブライは、ジロンド川を挟んでメドックの対岸に広がるエリアで優れたワインが一部のボルドー愛好家に知られていた、掘り出し物の産地として有名なエリアです。
現在このシャトー・グラン・マズロールを所有するのはリュック・シュヴァイツァー氏で、息子の ルドヴィックとリチャードがブドウ栽培から醸造までを手掛けており、近年コンクールでも高い評価を受けるため、徐々に人気が上がっています。
毎年のように複数のコンクールで金賞を受賞する実力派シャトーですが、当たり年として名高い2018年においては、10の金賞(うち1つはダブル・ゴールド)を受賞、さらにデキャンター誌で90点 という高い評価をされた、注目すべきヴィンテージです。
ブラックベリーや完熟プラムを思わせる果実味に、スミレのエレガントでフローラルなアロマが感じられ、華やかな果実味と凝縮味のあるバランスの良いワインです。