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かつては王侯貴族しか口にできなかったと言われるほど希少価値の高いイタリアワイン「アマローネ」をご存じですか?
アマローネという言葉は、苦みという意味を持ち、ブドウを3~6ヶ月の間陰干しするアパッシメントという製法によって造られます。
アパッシメント製法で造られたワインは、非常に濃密で複雑味もあり、一度飲んだらクセになる味わい。
そこで、本日はアパッシメント製法についてと、アパッシメント製法で造られたおすすめのワインをご紹介します。
アパッシメントワインって何?
アパッシメントとは、ブドウを風通しの良い部屋で3か月から6か月ほど陰干しして糖度を高め、半分乾燥した状態のブドウから造るワインの製造方法です。
アパッシメントで造られるワインには、甘口のものから辛口のものまであり、水分を抜いて糖度を高めるため、辛口のものはアルコール度数が高くなります。
アパッシメントで造られた甘口ワインは、琥珀色がかったゴールドの美しい色調で、アプリコットやドライイチジクやハチミツなどの甘い芳醇なアロマに、オレンジなどの柑橘類のさわやかさも感じられ、しっかりとした濃厚な甘さの中にもほどよい酸味がありとても心地よいバランスのとれた味わいです。
また、アパッシメントで造られた辛口ワインは、プラムやチェリーなどのジャムのような濃厚なアロマに、ドライフルーツを思わせる濃密なフルーティーさと、ハーブ、スパイス、コーヒー、そしてビターチョコレートのほんのりとした苦みが加わり、口当たりはシルキーでビロードのような滑らかさとボリューム感がバランスよく感じられる味わいです。
イタリア全土で広く用いられるアパッシメント製法
アパッシメント製法と言えば、イタリア。
イタリアでは、アパッシメント製法のことをパッシート(PASSITO)と言い、ヴェネト州で造られる「耳たぶ」という意味のレチョートや、ヴェネト州のヴェローナ近郊のヴァルポリチェッラ地域で、DOCGの正式名称はアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラなどがあります。
パッシートは、生産地域が限定されないというメリットがあるため、イタリア全土で用いられている製法です。
パッシートで有名なワインに、パッシートディパンテレリア(Passito di Pantelleria)があり、シチリア島とテュネシア島の中間に位置するパンテレリア島で、「太陽の下で枯れた果物」として知られる古代のマスカットブドウの品種ジビッボ(モスカート・ディ・アレッサンドリア)を用いて造られる上質な甘口ワインです。
フルーツの甘い芳醇なアロマに、しっかりとした濃厚な甘さの中にもほどよい酸味が感じられ、とても心地よいバランスのとれた風味が味わえます。
ソムリエおすすめのアパッシメントワイン5選
「神の雫」に登場!一躍注目を集めた伝統のアマローネ
アマローネ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ
イタリアワインのすばらしさを世界に広めるため、1968年にワイン醸造のエキスパートとマーケティングのエキスパートたちが設立したI.E.I(インスティテュート・エノロジコ・イタリアーノ)は、イタリアのソアヴェローナ)に本拠地を構え、北はピエモンテ、アルト・アディジェから、トスカーナに プーリア、モリーゼ、そしてシチリアにサルデーニャとイタリア全土でファインワインを生産しています。
アマローネ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコは、アマローネの伝統的な手法で醸造。
ブドウは収穫後5カ月間陰干しした凝縮味のあるブドウを使用。
伝統的な大樽で2年の熟成の後、瓶詰してさらに4カ月寝かせてから出荷します。
インターナショナル・ワイン・チャレンジ、ドイツで行われる「プロワイン」など、多くのコンテストでメダルやトロフィーを受賞しているアマローネです。
パーカー100点醸造家が手掛ける渾身のシチリアアパッシメント製法のフルボディ
ネロ・オロ ワイン・ピープル
イタリア人で唯一、パーカーポイント100点を2回獲得した醸造家ステファノ・キオッチョリ氏の手掛ける新作、「NeroOro ネロ・オロ」。
イタリア語で「ネロ」は黒、「オロ」は黄金を意味しており、シチリアを代表するネロ・タヴォラ種を100パーセント使用しています。
ネロ・ダヴォラ種をアパッシメント製法で、凝縮した味わいに仕上げたこのワインは、ドライチェリー、ドライプルーン、ブラウンシュガーにバイオレット、甘草、シダーウッドのアロマに、インパクトのあるバニラの甘い香りが特徴的。
たっぷりの果実味、ボリューム感、とても滑らかな質感を感じます。
ほどよい渋みは、ワインの厚みと見合った肉料理には最適です。
イタリア最古の自然派ワイナリーが造る凝縮された赤
ヴァルポリチェッラ・リパッソ・ビオ フィドーラ
フィドーラは、イタリア・ヴェネト州にある、イタリア最古の自然派ワイナリーの一つで、1974年から、昔の農法を体系的にまとめたビオディナミ農法へ転換しました。
このヴァルポリチェッラ・リパッソ・ビオ フィドーラは、ヴェネト州のやや奥地、ヴァルポリチェッラ・クラシカ、ヴェローナなど黒ブドウの自社畑から収穫されるブドウを使用。
リパッソは、干しブドウから造る偉大な赤ワイン「アマローネ」の生産者でなければ作れない赤ワインです。
アマローネを作る過程で出た搾りかすを残した樽にヴァルポリチェッラを20日間入れておき、残っていた糖分で二次発酵させ、アマローネのように濃厚な果実の風味、凝縮した味わいを作り出し、その後、フレンチオーク樽にうつし24か月熟成させます。
濃い目のルビーからガーネットの色調で、レーズンの凝縮された甘い香りに、ナッツ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、チョコレート、コーヒーといった香ばしいアロマ、クローブ、シナモン、木の皮のような複雑なアロマも加わります。
酸は穏やかでほどよい果実味に滑らかなタンニンが感じられ、アフターに鼻から抜けるアロマがとてもエレガントです。
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ヴェネツィア共和国最後の総督から受け継いだ土地で造るアパッシメント製法のフルボディ
モーロ ヴェンドラーメ
ヴェネツィア共和国最後のドージェ(総督)が代々受け継いできた土地をヴェンドラーメ家は4代にわたって継承してきました。
品種ごとの個性を最大限に生かしたヴェンドラーメのワイン造りは、瞬く間に高い評価を受け、James Sucklingのテイスティングでは、ピノ・グリージョは90点、赤ワインのモーロは93点を獲得した実力派ワイナリーです。
モーロ(Moro)は、レフォスコとメルロ、二つの黒ブドウをアルプスから吹き下ろす乾燥した風が通る場所で2カ月間自然に陰干しされます。
その後2年間オーク樽で熟成させ、瓶詰後最低でも6か月間熟成させてからリリースします。
こうして、アマローネの従兄とも呼べるような、フリウリ産アパッシメントの赤ワインは、
凝縮味のある濃密なワインで、アマレナチェリーや野イチゴのアロマに、リコリスを思わせる甘苦いニュアンスも感じます。
陰干しブドウを使用した独特の甘苦い風味がありますが、ワインの酸味もしっかり残っているため、重ったるさは感じません。
パーカーポイント100点醸造家キオッチョリ氏が手掛けるアパッシメント製法のフルボディ
プレシーソ・プリミティーヴォ・アパッシメント ワイン・ピープル
イタリア人で唯一、パーカーポイント100点を2回獲得した醸造家ステファノ・キオッチョリ氏の手掛けるイタリアワインらしさが120%感じられるデイリーワイン。
この「プレシーソ」シリーズは、ただのお値打ちワインというだけではありません。
ブドウは栽培家でもあるキオッチョリが、それぞれの品種に合った土地から選んでブドウを作るこだわりよう。
ブドウ畑はプーリア州南部のサーヴァにあり、8月中旬ごろブドウが完熟してきたタイミングでブドウの房を捻り、茎の部分を折った状態でそのまま畑に残し、ブドウの果実の水分を飛ばします。
約12日間天日で乾かし、ブドウの水分が25~30%失われた状態で収穫します。
チェリー、ラズベリー、スグリなど赤いベリーの香りが豊かに広がり、シナモンやナツメグなどスパイスの香り、トーストしたような香ばしいアロマも感じられ、味わいはレーズンやプルーン等ドライフルーツを思わせる濃密な風味があり、ハーブやスパイスの風味も徐々に表れます。
リッチで芳醇な果実の甘みをたっぷり堪能できる華やかな余韻が続き、酸味や渋みとの調和が見事な1本です。
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