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私は調理師学校を卒業後、外資系ホテルの調理場という戦場へ就職しました。
そのため、二十歳くらいのときから血のソースや生肉、カエルや鳩、鹿などめずらしい食材を食べさせてもらえる機会が多く、常に食の新しい発見があり、世界の食文化を学ぶことが出来ました。
ということで、本日は世界の面白い郷土料理とワインをご紹介します。
ボルドーの郷土料理「ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ」
今回は偉大なワインの生産地、ボルドーの郷土料理をご紹介します!
その名も『ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ』ヤツメウナギの赤ワイン煮込みです。
(ランプロワ:ヤツメウナギ、ボルドレーズ:ボルドー風という意味。)
食感や味わいも鰻とは異なり、厚く弾力があります。
もつなどのホルモンをイメージしていただくのが近いです。
その味わいはとてもおいしくフランスのレストランでもあっという間に売り切れてしまうほど。
スーパーでは缶詰になってよく売られています。
もつなどのホルモンをイメージしていただくのが近いです。
ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズの作り方は、ヤツメウナギを筒切りに大ぶりに切ります。
(脊髄のない軟骨動物のため、真ん中にゼラチン状のひものようなものが通っているだけなので、大ぶりに切っても食べやすいんです)
エシャロット、ニンニク、ハーブなどを入れたボルドーの赤ワインでこってりと煮込むだけ。
合わせるワインは、ソースに使うワインと同じものが理想的で、サンテミリオンのワインを使うのが正しいとされているそうです。
一般的には、サンテミリオンやポムロールの赤ワインに合います。
美味しいけど食べ過ぎると死に至る?!「生きた化石」の名をもつヤツメウナギ
ヤツメウナギは見た目がウナギに似ていますが、鰻とは生物学的にも全く異なる生き物で見た目がかなりグロテスク…
古代生物の脊椎動物「生きた化石」と呼ばれているんですよ。
興味のある方だけ、画像検索してみてください♪
ヤツメウナギは2月~5月が旬で、ビタミンAがたっぷりで、滋養強壮によく非常に高価な食材です。
ヤツメウナギは左右に7つのエラがあり、目を合わせると8つの目を持つように見えることからヤツメウナギといわれます。
日本ではなかなか見ることが出来ないナツメウナギは、脂肪に富み、ビタミンAの一種であるレチノールを8200μg/100g以上含むなど、栄養価がとても高いです。
ビタミンAの摂取のし過ぎは、時に死に至ることがあります。
イギリスでは、イングランド王ヘンリー1世がヤツメウナギ料理の食べ過ぎで死亡したといわれる伝説も…!
日本では秋田でカワヤツメという種が取れるらしく、濃い目のつゆで煮込む「かやき」という料理があります。
是非、ヤツメウナギにお目にかかる機会があれば、サン・テミリオンやポムロールのワインと一緒に楽しんでみてください。
ウナギと合わせたい!おすすめのボルドーワイン
サン・テミリオンのワイン
シャトー・ラ・クロワ・ ダルテュス
粘土質の土壌にメルロ、砂質土壌にカベルネ・フランと、それぞれの畑の条件に合わせて、最適なブドウ品種を栽培しており、収穫する畑ごとにブドウを選別し、他と混ぜないよう注意します。
アルコール発酵の前に、低温で醸しと呼ばれる過程を7日間行い、その後ステンレスタンクで発酵させ、タンクは全て重力の自然落下で行い、ポンプなどでワインに負荷をかけないよう注意します。
発酵後、ワインはフレンチオーク樽に入れて熟成させます。
新樽比率は20~40%程度で、その年の味わいによって調整されます。
ストロベリーやラズベリー、スグリなど赤い果実のとても生き生きとした香りに続いてミント、リコリスの甘みのある爽やかな香り。
酸味、甘みのバランスがとてもよく、口に含むとまだ若々しさが感じられ、滑らかな質感と、適度な渋み、余韻に樽の香ばしさが漂い複雑な味わいが楽しめます。
肉料理全般によく合います。ローストビーフや、香ばしく焙ったチーズもお勧めです。
シャトー・キャップ・ドール
このワインがリリースされたのは2014年からでした。
にもかかわらず、英国のマスターオブワインに見いだされたことをきっかけに、わずかな間にワイン市場で高い評価を得るまでになった、まさに現在進行形のシンデレラワインです。
当主のジャンJeanは、ボルドーに他にも多数のシャトーを所有していますが、サン・テミリオン・グラン・クリュやポムロールに近い高品質のボルドーワインに仕上がっています。
ベリー系の果実の香りに、ハーブや森、リコリスやスパイスの奥行きのある香りにトリュフやキノコなどの土っぽさも感じます。
甘味と酸味のバランスに優れたジューシーな果実味。
口に含むとしなやかなタンニンで滑らかな口当たり、余韻にも豊かな果実味を感じます。
フルボディのしっかりとした赤ワインですが、飲み口がとても柔らかく、今飲んでも、少し熟成させてもおいしく飲めるポテンシャルの高い1本です。
お肉料理全般におすすめですが、特に鴨や牛肉などがおすすめ。
フルーツを使ったソースや、和食のような味付けにもよくマッチします。
シャトー・ラ・ガフリエール
マレ・ロックフォール家は4世紀以上の長きにわたりこのシャトーを領有しており、サン・テミリオンの中でも最も著名なワイナリーのひとつに数え上げられています。
しばらく低迷していた時代もありましたが、1980年代から確実に品質を向上させており、ロバート・パーカー氏も 「ボルドー第4版」のなかで、「ラ・ガフリエールは、独特の魅惑のある繊細な果実味のあるスタイルで、肉感的な軽さとエレガンスとほどよい香り高いアロマを持つ。このシャトーが目指しているスタイルは、エレガントで優しさのあるワインである。」とガフリエールがいかにエレガンスに富んだワインであるかを強調しています。
シャトー・デュ・バスク
正式名称はUNION DE PRODUCTEURS SAINT-EMILION、フランスで最も古い協同組合の一つです。
世界大恐慌の余波を受け、多くの生産者たちが苦境に陥ったとき、彼がこの危機を乗り越えるため、6つのワイナリーと共に立ち上げたのが、このUDPサンテミリオンでした。
加盟するシャトーが次第に増えていき、現在AOCサン・テミリオンのワインの12%以上がここで造られています。
オーナーのジュリアン・ラファイエ(Julien Lafaye)夫婦は、粘土質の土壌にメルロ、砂質土壌にカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニョンと、それぞれの畑の条件に合わせて、最適なブドウ品種を栽培しており、ブドウの平均樹齢は35~40年と比較的高めで、ブドウ畑での仕事に強い情熱を注いでいます。
収穫する畑ごとにブドウはしっかり選別し、タンクは全て重力の自然落下で行い、発酵中は上下に攪拌し、果皮からポリフェノールや香りがよく抽出されるようにします。
発酵後、新樽比率は20~40%程度のフレンチオーク樽に入れて熟成させ、その年の味わいによって調整します。
プラムやブラックベリー、ブルーベリーの黒系果実のアロマに、クローブやミントのスパイス、ハーブの香りがあり、口に含むと果実の生き生きとした味わい、果実の甘みと酸味がバランスよく感じられます。
口当たりはとても滑らかで、するりと喉へ抜けていくようなシルキーさがありますが、次第に渋みも感じられます。
ポムロールのワイン
シャトー・グランジュ・ヌーヴ
ペトリュス、ルパン、トロタノワなどキラ星のごとくスターワインが並ぶポムロール地区で、これらのシャトーと全く同じ土壌を誇る潜在力超級シャトーのリッチな本格派ポムロールがお手頃価格で!
多くの人が「ポムロール」と書いているワインにメルロ100%を求めますが、ポムロールの土地には多くのカベルネ・フランが植えられているためカベルネ・フランをブレンドしているワインが多く、あこがれるリッチでなめらかなメルロ100%のポムロールワインというのは、実はそう多くありません。
シャトーグランジュヌーヴは19世紀の終わりに現オーナーの祖父によって始められ、以来徐々に拡大し、現在ではポムロールの西側に7haを所有しています。
所有する畑の土壌は「クラス・ド・フェール」と呼ばれる鉄分を含む粘土質土壌で、これこそがポムロールのメルロを活かす土壌です。
新樽で18か月熟成したこのポムロールワインは、普段飲みのペトリュスと言っても過言ではないリッチさ。
敷居が高いポムロールをぐっと身近に味わえます。
シャトー・クリネ
ポムロールの中心に位置するシャトー”シャトー・クリネ”
ボルドーの都市部から約40kmの距離で、高い区画を保持し、ことメルローに関して世界トップのテロワールです。
生産されるワインの品質はとても高く、醸造技術の革新や設備の進歩などのおかげで、品質はさらに高まっています。
テロワールを重視し、エコの観点からも環境に対して無茶ことをしないのがクリネの信念です。
この並はずれたワインは、繊細な香りを持ち、赤く熟した果実の複雑な風味、トリュフの強烈かつエレガントな香りなどを併せ持ちます。
テロワールと気候と人智の融合の結果がクリネと言えます。
優美さと激しさという矛盾する要素が共存する、希有なシャトー・クリネは同時に頑強なワインでもあり、多くのヴィンテージで4、5年は寝かせるべきで、ポムロールの閉じたワインと言えるでしょう。
スイユ・マゼイル
地元フランスのワイン評価誌『ギ・ド・アシェット』で、最高評価クー・ド・クール(心に残る衝撃的なワイン)を受賞したスイユ・マゼイル。
この賞は、神話とも称されるペトリュスやトロタノワなどのそうそうたるシャトーが受賞する凄い賞なのです!!
それもそのはず、このシャトーのオーナーは、ペトリュスのオーナーであるムエックス一族のアラン・ムエックス氏が1992年から管理しており、ブドウは、必要最低限に抑えた減農薬で手間暇かけて育てられ、醸造では、タンクから樽へ移し替える際は重力だけを利用しポンプは使わず、ノン・フィルターで、 徹底した妥協なき方法で造られます
アラン・ムエックス氏は、ボルドー右岸の偉大な立役者一族「ムエックス・ファミリー」の一人で、ヴィンテージによっては「ペトリュス」を超える評価を与えられるポムロールの希少シャトー『トロタノワ』を造る人でもあるのです!
これこそまさに『ムエックス社』秘蔵ワインともいうべきお買い得な極上ポムロール!
シャトー・デュ・ドメーヌ・ド・レグリーズ
シャトー・デュ・ドメーヌ・ド・レグリーズは、7haの畑を所有する歴史のあるポムロール最古のシャトー。
近年ではカステジャ家の所有となり、 同家の所有するサンテミリオンの格付けシャトー シャトー・トロットヴィエイユと同様に、 今後のますますの品質向上が期待されているシャトーとなっています。
ロバート・パーカー氏も『長いことぱっとしないポムロールだったが、 ドメーヌ・ド・レグリーズは1990年代から目に見えて良くなった。』(ボルドー第4版)と近年の品質向上を評価しています。
プラムやブラックチェリーなどの黒系果実の香りが豊かでトリュフやキノコなどの土っぽさの複雑なアロマも加わり、ジューシーな果実味と濃密で凝縮した味わいを楽しむ重厚なワインです。