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ショップなどでイタリアワイン見ていると、スプマンテやプロセッコといった言葉が目に入ってくることはありませんか。
スプマンテもプロセッコもスパークリングワインのことを表していますが、どのような違いなのか。
本日は、イタリアワインのスプマンテについてお話します。
スプマンテとは
スプマンテ(Spumante)とは、イタリアにおけるスパークリングワインの総称で、イタリアで造られるすべてのスパークリングワインをスプマンテと言います。
代表的なスプマンテには、プロセッコ、ランブルスコ、アスティ・スプマンテ、モスカート・ダスティ、フランチャコルタなどがあり、ガス圧が3気圧以上のスパークリングワインをスプマンテと呼びます。
微発泡はフリッツァンテと呼ばれる
ガス圧が1~2.5気圧の微発泡ワインは、フリッツァンテ(frizzante)と呼ばれ、フリツァンテは、スティルワインにほんの少し発泡を加えたくらいの軽やかな泡で、シャルマ方式で造られるワインが多く、比較的リーズナブルな価格のものが多いです。
スプマンテの代表的なワイン
プロセッコ
フランスの「シャンパン」スペインの「カヴァ」と並ぶ、世界三大スパークリングワインの1つ「プロセッコ」は、イタリア・ヴェネト地方で造られるグレラというブドウ品種から造られ、シャンパンやカヴァとは異なり、ボトルの中で二次発酵をおこなわず、大きタンクで短期間発酵させるため、ボトルの中でワインと酵母との接触がおさえられ、ワインにイースト由来のパンのような香りがつかず、ブドウの持ち味が活かされ、フルーティなアロマが特徴のスパークリングワインになります。
プロセッコには3種類あり、DOC格付けのプロセッコ、DOCGのコネリアーノ・ヴァルドッビアデーネ・プロセッコ・スペリオーレ、とコッリ・アゾラーニ・プロセッコがあり、これらを総称してプロセッコと呼んでいます。
ランブルスコ
ランブルスコは、ロンバルディア州のマントヴァーノと、エミリア・ロマーニャ州のレッジオ・エミーリアとモデナという地域で造られる微発泡のスパークリングワインです。
甘口から辛口までさまざまなバリエーションを持つ微発泡のスパークリングワインで、スパークリングワインとしては珍しい赤(Rosso)が主で、その他に白(Bianco)やロゼ(Rosato)のランブルスコが造られています。
ほどよい甘みにほのかな渋みと酸味があり、しっかりとした果実味で、アルコール度数も甘口だと8%前後、辛口で11%ほどと度数が低めで、口に含むとシュッとはじける微発泡で、ワインをまだ飲みなれていないという人でも、すいすい飲めてしまうスパークリングワインです。
アスティ
日本のマスカットと同じモスカートから造られるスプマンテで、モスカートはイタリアのほとんどの地域で栽培されていますが、ピエモンテ州のアスティ、アレッサンドリア、クーネオの3県でモスカート・ビアンコが広く栽培されています。
ここで造られる「アスティ」には、スパークリングワインのアスティ・スプマンテと、微発泡ワインのモスカート・ダスティがあり、
どちらもバラのような華やかで芳醇な香りのワインを生み出します。
フランチャコルタ
フランチャコルタは、北イタリア・ロンバルディア州にあるフランチャコルタ地域で造られるスパークリングワインです。
フランスのシャンパンやスペインのカヴァと同じく瓶内二次発酵方式で造られており、瓶内二次発酵方式のみで造られるイタリア・ワインとして、初めてDOCG認定を受けたワインです。
現在約120軒のワイナリーがフランチャコルタを生産しています。
フランチャコルタの法定熟成期間は最低18ヶ月は二次発酵後の瓶内で熟成する必要があり、ロゼ、サテンは24ヶ月、収穫年入りのミッレジマートは30ヶ月、リゼルヴァになると60ヶ月とフランスのシャンパンを上回る厳しい規定が科せられています。
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ペコリーノ・スプマンテ テヌータ・ウリッセ
テヌータ・ウリッセは2006年に設立した歴史はまだ浅いワイナリーですが、ルカ・マローニの評価ですでにほとんどのワインが90点以上を獲得し、しかもトップキュヴェである「Don Antonio」に至っては、2022年度のベストワイン38本のうちの1本に選ばれたほどの実力派ワイナリー。
ウリッセ家は、代々アブルッツォ州の伝統的な固有品種を主体に栽培してきたブドウ農家のため、ワイナリーとしては歴史は浅いですがブドウ栽培には強いこだわりを持っており、「アブルッツォ州の個性的で表現力豊かなテロワールのもと、他地域にはないアブルッツォ州独自の高品質ワインを造る」ことを理念に掲げたワイン造りをおこなっています。
ペコリーノ種を100%使用したこのスプマンテは、トロピカルフルーツを思わせる完熟果実のアロマや、白い花の蜜を思わせる香りがあふれ、口に含むと勢いのある泡とともに、滑らかでボリュームのある味わいが広がります。
シャルマ製法を用いることで、フレッシュな果実の風味を表現しているワインなので、食前酒として、乾杯のワインとして楽しむのにピッタリです。
お料理との相性も良く、新鮮な野菜やフルーツを使った前菜、またカルパッチョのような生の魚を使った料理、貝類のグリル、リゾットやパスタとともに楽しむのもお勧めです。サーヴする際は、8℃くらいの温度が望ましいです。(冷蔵庫でしっかり冷やした状態)
カンペ・デイ・ビアンコ・エクストラ・ドライ
ヴィティコルトーリ・ポンテは、ヴェネト州トレヴィーゾ県の町ポンテ・ディ・ピアーヴェ Ponte di Piaveにあるワイナリーです。
現在1000名を超えるブドウ栽培家が参画しており、そのブドウ畑面積は3000ヘクタールに及ぶ、イタリアでも有数の規模を誇るワインメーカーです。
「ポンテ」という名称には二つの意味があり、一つは本拠地の町を表しており、もう一つはポンテ=橋で、ブドウ栽培家や醸造家と消費者をつなぐ存在として、また受け継がれてきたワインや文化を未来へつなぐ存在として、その使命を全うするという意味も込められています。
スパークリングワインにとって最適なテロワールで「神に選ばれた畑」=CAMPE DHEIと名付けられた、ヴィティコルトーリ・ポンテの自信作。
リンゴや桃などのフレッシュなアロマと果実味に、溌剌とした元気な泡の軽快なスパークリングワインです。
ポローニ・スプマンテ・ブリュット
イタリアのヴェネトと言えば、爽やかな甘味と香りを気軽に楽しめるプロセッコが大人気で、アペリティーヴォにぴったり。
しかし、2010年に一部の地区のブドウから出来るプロセッコが、イタリアの格付け最高ランクのDOCGに昇格し、その周辺地域もDOCとして格上げされことで、プロセッコの価格は一気に高沸。
なんと2倍以上の高値になってしまいました。
そこで、プロセッコに代わる新たなヴェネトの定番スプマンテとして造られたのが、こちらのポローニ・スプマンテ・ブリュット。
ガルガーネガをはじめ、ヴェネト産のシャルドネとピノビアンコをうまくアッサンブラージュすることで、プロセッコに負けないスプマンテを誕生させました。
透明感があり鮮やかな麦わら色。小粒の泡がキレイに立ち上がります。
可憐な花々、白桃やリンゴ、レモンの爽やかな香り。
口当たりがとてもソフトで、心地よい酸味が口の中に広がり食前酒に最適です。
ラ・ローザ・スプマンテ・ロゼ テヌータ・マッテイ
イタリア語で「涙=ラクリマ」と名付けられたラクリマ種はマルケ州を中心に中部~南イタリアで親しまれている固有のブドウ品種で、バラの花束を思わせる芳しい香りが特徴。
フレッシュなベリーのアロマと芳醇なバラのアロマがあふれだす非常に華やかなスパークリングワインで、辛口ながらほんのりとした甘さがあり、フルーツのゼリーなどのスイーツと合わせるのもおすすめです。
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ピエモンテ・ピノ・ネロ・エクストラ・ブリュット・モリネーラ ヴィーテ・コルテ
テッレ・ダ・ヴィーノ社は1980年に設立された協同組合で、設立当初は18の契約ブドウ栽培農家から始まった組合ですが、今や2500人の栽培家と契約し、より安定した品質での提供が可能になり、優れた品質のバローロ、バルバレスコをリリースしています。
テッレ・ダ・ヴィーノは、早い段階からDOCとDOCGのワインだけを製造しており、上級レンジに特化していた点が他と異なります。品質を高めていく過程で、もう一段上のレベルのワインを造るプロジェクトがスタートする事になりました。それが、Vite Colte(ヴィーテ・コルテ)です。
ピノ・ネロの畑は、タナロ川の南、モンフェラート方面の標高200~300mの場所に広がっており、北側は砂質とマール(泥灰土)で構成され、一方南側は北側より古い地層で、シリカとマールで構成されています。
二次発酵はシャルマ製法でタンクで18か月間おこなうため、ワインには果実の香りだけでなく、パン酵母のような複雑味が表現され、骨格が感じられる味わいへと変わっていきます。
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