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フランス語でカタツムリのことを「エスカルゴ(Escargot)」といい、ブルゴーニュ地方の郷土料理として、ワインとともにフランス全土で昔から愛されてきました。
本日は、ワインのペアリングでは欠かすことのできないフランス料理の1つ、エスカルゴについてお話します。
エスカルゴとワインの相性
美しいブドウ畑が広がるブルゴーニュ地方では、初夏になるとブドウの葉が好物のエスカルゴ・ド・ブルゴーニュが畑によく出没し、その昔、こうして出没する野生のエスカルゴ・ド・ブルゴーニュを捕まえて調理して食していた時期がありました。
ただ野生のエスカルゴは、捕まえてから食べられる状態にするまでに手間がかかることと、近年の環境破壊で野生のエスカルゴ・ド・ブルゴーニュの数が減少したこともあり、現在はフランスでもほとんどのエスカルゴが養殖されています。
一般に食用とされているのが、エスカルゴ・ド・ブルゴーニュとプティ・グリという種類で、エスカルゴ・ド・ブルゴーニュは、大きさは5㎝前後で、プティ・グリの大きさは3㎝前後と少し小ぶりで、ほプティ・グリは腸の部分も含めて丸ごと食べます。
食用のエスカルゴは、臭みもなく、ほとんど味がないため、みじん切りにしたニンニク、エシャロット、パセリなどを柔らかくしたバターに混ぜて練り、殻に詰めてオーブで焼きます。
日本では、サザエなどの貝類をエスカルゴバターで焼いて提供されることもありますが、まさに、エスカルゴはサザエやアワビなどをもう少し柔らかくした食感です。
食べる時には、お皿に添えたパンにソースを付けてその味を楽しみます。
高級なフランス料理ではなく、どちらかと言えば大衆料理として前菜で食べられることの多い料理なので、辛口の白ワインや、さわやかなスパークリングワイン、タンニンが軽めでフレッシュフルーティーなライトボディの赤ワインと相性がいいです。
エスカルゴに合わせるワインは?
エスカルゴ自体にはあまり味がありませんが、ガーリックの効いた濃厚なコクのあるバターソースが味わいの決め手なので、そのコクと香ばしさに合うワインをチョイスするのがおすすめです。
やはりブルゴーニュの郷土料理ということもあり、ブルゴーニュワインとの相性は抜群!
ニンニクやエシャロット、パセリといった香味野菜が香るエスカルゴバターには、樽熟成したシャルドネのリッチな味わいがとてもよく合います。
また、ブルゴーニュの白ワインと言ったら、忘れてはいけないのがアリゴテです。
アリゴテは古くからブルゴーニュで栽培される白ブドウ品種で、特徴は非常にキリっとした酸があり、ミネラル豊富でフレッシュな味わいがあり、デイリーワインとして親しまれています。
また、ブルゴーニュワイン以外でおすすめなのが、ブルゴーニュに近く、すぐ北東にはシャブリが望めるロケーションのロワールのサンセールで造られるソーヴィニヨン・ブランが秀逸です。
サンセールの特徴は、「白い土地」とも呼ばれる石灰質の土壌です。
土壌は、粘土石灰質、石灰岩土壌、火打石という3種類に分かれ、それぞれが混じり合うことはなく、土壌の性質によってさまざまな味わいのワインが生み出されています。
パセリの風味が、ソーヴィニヨン・ブランのハーブのアロマとぴったり合い、サンセールの石灰質土壌から造られるため、ミネラル豊富で上質な酸があり、貝のような風味のあるエスカルゴと相性がぴったりです。
エスカルゴに合わせるおすすめのワイン
ブルゴーニュ・アリゴテ・ヴィエイユ・ヴィーニュ
ブルゴーニュの中でも新世代ドメーヌとして注目をドメーヌ・マニュエル・オリヴィエ。
優れた醸造コンサルタントとして彼のアドバイスを受けようと、多くの生産者が彼に助けを求め、畑仕事と醸造という過密スケジュールの合間を縫って、クライアントに最適なアドバイスをしており、クライアントには、なんとあのドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティもおり、ワインの熟成に関して彼のコンサルタントを受けています。
畑はビオロジック栽培、ビオディナミ栽培を研究し、その長所をいくつも取り入れ、土地とブドウの安全を第一に考えたブドウ栽培を行っています。
高樹齢のブドウ樹のアリゴテを100%使用したこのワインは、リンゴや柑橘の爽やかな果実のアロマにナッツの香ばしいニュアンスが加わり、しなやかな酸味と果実味、コクのある奥深い味わいを感じられる1本です。
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ブルゴーニュ・シャルドネ シルヴァン・デュボー
この先100円のブルゴーニュワインを見据える学術的醸造家シルヴァン・デュボー。
彼の醸造は、ワイン本来の個性を保ちながらも、より自然で純粋な味わいを追求するアプローチを確立していきます。
シルヴァン・デュボーが手がけるワインは、ブルゴーニュ全域をカバーしつつも、その種類は厳選されています。シャブリから始まり、コート・ドールを中心とし、コート・シャロネーズ、マコンなど、ブルゴーニュの主要な地域を巡るようにラインナップが組まれています。
ブドウはマコン、コート・シャロネーズ、コート・ド・ボーヌの区画から収穫され、異なる土壌がそれぞれのテロワールの微妙なニュアンスを表現します。
コート・ド・ボーヌのワインには10年目の古樽(600L)を使用し、コート・シャロネーズには通常のバリックを使用。
花やハチミツ、アーモンドの香りが広がり、ハシバミやアニスの甘やかなヒントも感じられ、口当たりは豊かでバランスが良く、繊細なミネラルを湛えた滑らかなフィニッシュへと続く、滑らかでリッチな質感と複雑な味わいを持つワインです。
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サンセール・ブラン ドメーヌ・ランボー
ドメーヌ・ランボー・ピノーは、シュリー・オン・ヴォーという、サンセールから5kmほど離れた町にあり、ここサンセールからプイィ・シュール・ロワールを本拠地として3世代続く家族経営の小さな生産者です。
現在ではさまざな区画に小さな畑を40もっており、各畑で獲れたブドウはブレンドされることなく、個別に醸造されます。
そんなドメーヌ・ランボー・ピノーが手掛けるサンセール・ブランは、やや濃いめのイエロー。
レモン、グレープフルーツといった柑橘に、スターフルーツ、ハーブなどのソーヴィニョン・ブランの特徴的なアロマがあり、しっかりとしたボディとミネラル感、切れのある酸が味わいを引き締めます。
とてもバランスがよくソーヴィニヨン・ブランのお手本とも言える1本。
ハーブのチキングリルにレモンを絞ったものや、ハーブでマリネした白身の魚、ヤギのチーズを和えた野菜のサラダなどを合わせるのがおすすめです。
とくに、ロワールの名産品である、ヤギのチーズとの組み合わせは抜群です。