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レストランでワインを注文する際に、グラスワインやボトルワイン以外に、カラフェで提供しているお店も多いですよね。
フルボトル1本の価格より安く、グラスワインを何杯か飲みたいときには、カラフェのサービスはうれしいもの。
そこで、本日はワインを入れる容器カラフェについてお話します。
ワインを移し替える容器カラフェ
カラフェとは、フランス語で「水差し」という意味でワインだけではなく、水やジュースなどさまざまな飲み物の容器として使われます。
レストランなどのお店では、ハウスワインとして安価で若いヴィンテージのワインをカラフェで提供していることも多いです。
カラフェには、ワインの香りを開かせるという効果もありますが、自宅でワインを楽しむ際に、カラフェが1つあると、食卓を華やかに演出してくれる効果もあります。
例えば、自宅でデイリーワイン用に2~3リットルの紙パックワインを購入されるという方いらっしゃると思います。
飲むときに、飲む分だけ紙パックから取り出すというのもいいですが、紙パックを食卓にそのまま置いておくのでは少々味気ないので、そんな時、2杯~4杯分でも飲む量をあらかじめカラフェに入れておき、カラフェからグラスに注げば食卓もぐっとおしゃれになります。
また、ホームパーティーなどで、サングリアを作る際にもカラフェがあると便利です。
カットしたフルーツをたっぷり入れて、ワインを注いでおけば、パーティーのテーブルも華やかに演出してくれます。
若いワインを空気になじませるカラファージュ
ワインをボトルからカラフェにうつしかえて、空気に触れさせることをカラファージュと言います。
若いヴィンテージのワインに関しては、使用していたコルクが気密性の高いものだった場合、ボトル内の酸素が少なく熟成の進み方が不足してしまい、還元臭という不快臭が発生してしまうことがあります。
要するに、ボトル内のワインが酸欠になっている状態です。
この還元臭は、有機硫黄化合物などが還元して出てくる臭いなので、例えるとゆで卵のような、玉ねぎの腐ったような臭いが近いかもしれません。
ブショネなどの他の種類のワインの異臭と違って、この還元臭は酸化させることで取り除くことができます。
カラファージュによって、ワインがもともと持っているポテンシャルをうまく引き出してくれる可能性があります。
若いヴィンテージの白ワインに関しては、赤ワインに比べ酸素に敏感ですが、カリフォルニアワインや、上質なブルゴーニュワインなど、木樽でしっかり熟成されたオイリーなワインは、デキャンタージュして少しの間置くだけで香りと味わいが豊かになることもあります。
しかし、これらの若いヴィンテージワインも長時間のデキャンタージュは過度な酸化で味わいを損ねる可能性もありますので長く置きすぎず、食事の1~3時間前に移し替えておくくらいで充分です。
デキャンタージュとカラファージュの違い
カラファージュの他に、デキャンタージュという言葉も耳にすると思います。
カラファージュは先ほどお話した通り、主にヴィンテージの若いワインに対して、還元臭をとったり、香りを開かせる目的で行います。
一方デキャンタージュは、年代物の赤ワインで行われることが多く、その目的は2つあります。
1つ目は、澱(おり)を除くこと。
2つ目は、ワインの味をまろやかにし開かせること。
年代物の赤ワイン、特にボルドー産のフルボディタイプのものは、ボトルの底部分にオリ(澱)と呼ばれる沈殿物が溜まっているものがあります。
澱は、タンニンという渋みの成分と、赤い色素成分のアントシアニンといったポリフェノールやたんぱく質が熟成(ワインが緩やかに酸化)していく中で結合し結晶化したものです。
この澱は、タンニンとポリフェノールが豊富な熟成した良質な赤ワインに多くみられます。
そんな良質なワインの証拠でもある澱ですが、澱の成分は渋み成分のタンニンと色素成分のポリフェノールなどが結合したもの。
飲んでしまっても害はありませんが、口に含むととてつもなく苦みを感じます。
さらに、舌触りもよくありませんので、なるべくグラスに入らないように注ぐことが必要で、その時に澱をグラスに入れないために行う作業がデキャンタージュなのです。
デキャンタに移し替えることで、ボトルの底にオリを沈殿させ、ワインの上澄みだけを移し取ることができます。
また、デキャンタージュを行うことで、ワインの味がまろやかになると言われています。
酸素はワインにとって欠かせないパートナー。
ワインは酸素に触れることで、変化、成長、熟成していきます。
ワインは、ボトルの中ではわずかな隙間にある酸素に触れていることで、ゆっくりと酸化し熟成していきます。
中には保存時に冷やしすぎてしまっていて香りが閉じてしまうワインもあり、そんな時に、デキャンタに移し替えしっかりと空気に触れさせることで、硬い風味がまろやかになるなどと考えられています。










