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イタリア最北端のワイン産地トレンティーノ・アルト・アディジェ州。
長くオーストリア・ハンガリー帝国によって統治されていた時代があったため、ワインもオーストリアの影響を強くうけており、イタリアとドイツの要素が見事に調和したユニークなワインが造られています。
そこで、本日はアルト・アディジェで造られるワインについてお話します。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州について
トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、北にオーストリアと長く国境に接し、西にスイスの国境と接するイタリア最北端のワイン産地で、南東にヴェネト州、南西にロンバルディア州が接しています。
歴史的にチロル地方と呼ばれた地域の一部で長くオーストリア・ハンガリー帝国によって統治されていた時代があったため、公用語はおもにイタリア語とドイツ語の2か国語がつかわれており、州は北側のアルト・アディジェ地方と、南側のトレンティーノ地方に大きく分かれ、トレンティーノはほぼイタリア語が使用されますが、アルト・アディジェは主にドイツ語を使います。
州の約70%が森林というとても緑豊かな山岳地帯のため耕作できる土地は限られており、州の真ん中を北から南に流れるアディジェ川とその支流によって形成された谷に、ほぼすべてのブドウ畑が広がっています。
気候は州の南北で異なり、トレンティーノ地方は温暖な地中海性気候で、アルト・アディジェ地方はアルプス性気候に変わります。
アルト・アディジェのワインの歴史
アルト・アディジェでは古代ローマ時代以前からワイン造りがおこなわれていたとされるほど、古くからワインがすでに生産されていました。
中世では他のワイン産地同様キリスト教の修道院によって広くブドウが栽培され、ワイン産業が発展し、1980年代から1990年代にかけて、ブドウの栽培が大きく増加したイタリアワインの中でもめずらしい地域の1つです。
前述のとおり、この州は長きに渡りオーストリアのハプスブルク家の所領であったため、第一次世界大戦後にイタリア領になりましたが、今でもドイツ系住民が多く、北部のボルツァーノ自治県であるアルト・アディジェ地方はとくに当時の面影が強く残っていて、看板や道路標識などもイタリア語だけでなく、ドイツ語の併記も多くみられます。
そのため、ワインもオーストリアの影響を強くうけており、19世紀にオーストリアから持ち込まれたグリューナー・フェルトリーナーなどのオーストリアやドイツのブドウ品種が今でも多く栽培されています。
アルト・アディジェのテロワール
アルト・アディジェは北緯47度に位置し、標高は3,050メートルをはるかに超える高地で、アルパインとメディテラネナの両方の気候帯に属しています。
北からふきつける冷たい風をアルプス山脈がガードし、ガルダ湖と地中海からの暖かく湿った空気がこの地域に流れこむため比較的穏やかな気候で、ブドウ畑は渓谷の急な斜面に広がっているため、豊富な日照量がブドウにしっかりと注ぎ、石灰土壌と火山性土壌が混ざった土壌は、ブドウ栽培に理想的な条件が整っています。
アルト・アディジェで栽培されているブドウ品種
全体的に白ブドウ品種が多く、標高が高い地域では、リースリング、シルヴァーナー、ケルナーなどの品種が栽培され、標高の低い地域では、ピノ・グリージョ、ピノ・ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランが栽培されており、ゲヴェルツトラミネールなどドイツ系アロマティック品種も栽培されています。
また固有品種のラグレインやスキアーヴァなども広く栽培されています。
アルト・アディジェで造られるワインの特徴
前述のとおり、アルト・アディジェでは白ワインが多く生産されていて、標高や土壌、気候に応じて栽培するブドウ品種を変え、そのブドウの特性にあったワインが造られています。
標高の高い花崗岩やシストなどの土壌で育つリースリングや、シルヴァーナー、ケルナーからは、ほんのり塩味が感じられるミネラル豊かな味わいの白ワインが造られています。
また、固有品種のラグレインやスキアーヴァからは、ほどよいタンニンをもつやや淡い色合いの軽快な赤ワインが造られています。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、イタリアの明るい朗らかな要素と、実直で勤勉なドイツの要素が見事に調和し、それがワインにも反映されています。











