1級?グラン・クリュ?ワインの格付けって何?

1級?グラン・クリュ?ワインの格付けって何?
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1級?グラン・クリュ?ワインの格付けって何?

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シャトーマルゴー

「シャトー・ラ・トゥール」
「シャトー・ラフィット・ロートシルト」
「シャトー・マルゴー」
「シャトー・ムートン・ロートシルト」
「シャトー・オー・ブリオン」
これは、「ボルドー5大シャトー」と呼ばれる5つの有名シャトーです。
ワインラバーならきっと一度は耳にしたことがあり、
いつかは飲んでみたいと憧れるワインではないでしょうか。
このボルドー5大シャトーは、ボルドーの格付けで最上級に格付けされているワイン。
有名なので、名前は聞いたことがあるけど、格付けについては
いまいち分からないという方も多いと思います。
そこで、本日はワインの格付けについてお話します。

ワインの格付けは世界各国により独自に決められる

ワインの格付けは国により異なり、フランスに関しては産地による格付けもあります。
ワインは、世界各国で造られ、ブドウを栽培する産地の気候や栽培方法から、
収穫、醸造方法により、さまざまな個性が生まれます。
そのため、ワインの個性を尊重しながらも品質を保っていくために「ワイン法」が生まれ、
その品質の基準となっているのが「格付け」なんです。

フランスで「ワイン法」が生まれたきっかけは、ボルドー、ブルゴーニュ、
シャトーヌフ・デュ・パプなど、すでにフランスワインの銘醸地として人気のあった
有名産地を騙るワインが大量に出回るという残念な出来事があり、
その対抗手段として、有名産地を騙った偽物の製造を防ぎ、伝統と個性や品質を守るため、
法律を制定することにしたのが「ワイン法=原産地統制名称(A.O.C.)」です。
そして、2009年8月、EUに加盟しているワインの産地は、
新たなワイン法の規定が発令されました。
これまで、A.O.C.、V.D.Q.S.、Vin de Pays、Vin de Tableに分かれていた
フランスワインの品質分類も、新たなワイン法により、
A.O.C(appellation d’origine controlee)は、A.O.P. (Appellation d’Origin Protegee) に変更され、
A.O.P. 、I.G.P、地理的表示のないワイン、の3階層に変更になりました。

◆イタリアのワイン法
イタリアのワイン法は、原産地呼称立法やEC規定などで、
もともと4つのクラスに分類されていましたが、新しいワイン法により、
下記の3つに分類されるようになりました。
D.O.P.(D.O.C.G.、D.O.C.) 保護原産地呼称ワイン
I.G.P.(I.G.T.)保護地理表示ワイン
Vino テーブルワイン

◆ドイツのワイン法
ドイツのワイン法は、EU加盟国の中でも特に細かく定められており、
ブドウの糖度によってきめられています。
Qmp(高級ワイン) 生産地限定格付け上質ワイン
QbA(上級ワイン) 生産地限定上質ワイン
Deutscher-Landwein 地酒 トロッケンハルプトロッケンのみ。
Deutscher-Tafelwein 日常用テーブルワイン

新しいワイン法により下記の3つに分類にされるようになりました。
g.U.(Prädikatswein、Q.b.A.) 地理的表示付きワイン
g.g.A.(Land wein) 地理的表示付きワイン
Deutscher-wein 地理的表示のないワイン

◆スペインのワイン法
V.P. 単一ぶどう畑限定高級ワイン
D.O.C. 統制保証付原産地呼称ワイン リオハ地区のみ
D.O. 統制原産地ワイン
Vino de la Tierra 地酒・生産地名付ワイン 地理的生産地表示テーブルワイン
Vino de Mesa 日常用テーブルワイン

新しいワイン法により下記の3つに分類にされるようになりました。
D.O.P. (V.P.C.、V.P.、D.O.C.a.、D.O.、V.C.) 原産地呼称保護ワイン
I.G.P.(Vino de la Tierra)地理的表示保護ワイン
Vino テーブルワイン

また熟成ワインには、ワインの熟成の長さによる格付けもあります。
グラン・レゼルヴァ、レゼルヴァ、クリアンサ、シン・クリアンサ、ホベン

◆アメリカ合衆国のワイン法
アメリカのワイン法では産地名、ぶどう品種、収穫年、アルコール度数の記載等を規定し、
カリフォルニアでは、州独自のより厳しい規制を設けています。
州名表示(その州で収穫された葡萄を75%以上使用(カリフォルニア州は100%))
郡名表示(その郡で収穫された葡萄を75%以上使用)
収穫年 A.V.A.(政府認定栽培地域)は、95%以上、その他のワインは、収穫年の葡萄を85%以上使用。
畑名 その畑で収穫された葡萄を95%以上使用。
アルコール度数 7~13%の範囲で、±1.5%の誤差を許容。
ぶどう品種 同一品種のぶどうを75%以上使用。

ワイン王国で知られるフランスでの格付け

さきほども少しふれましたが、
フランスでは、2008年までは「AOC法」、2009年からは「AOP法」と呼ばれる
国で定められたワイン法があります
「AOP」(Appellation D’origine Protégée)のワインを頂点に、
「IGP」(indication géograghique protégée)、そして「Vin de Table」という格付けです。

頂点のAOPワインは、生産地、生産法、品種などが細かく決められており、
厳しい審査にクリアしたワインで、日本に輸入されるほとんどのワインが
このAOPの分類になります。
「IGP」は生産地や品種などの定めがありますが「AOP」より規定も緩やかです。
「Vin de Table」は、生産地の表示がないため自由に造られたワインです。
このようにフランスでは、国全体では3つの分類でワインの格付けがされますが、
各産地によりさらに細分化された格付けがあります。

ボルドー地方の格付け

冒頭でもふれたボルドー5大シャトーが入っている格付けがこのボルドー地方の
メドックの格付けです。
ボルドー地方の場合は、ワインを生産するシャトーごとに格付けされます。
この格付けがおこなわれたのは、フランスワイン法が制定されるより80年も前の1855年、
パリ万国博覧会にボルドーワインを出品するために、ナポレオン3世の命令によりボルドー市商工会議所によって制定され発表されました。
メドック地区には約500のシャトーがありますが、そのうち61のシャトー(シャトー・オー・ブリオンのみグラーヴ地区)のみに1級から5級の格付けがされており、その下にはクリュ・ブルジョワ級があります。

◆1級
シャトー・ラフィット・ロートシルト(ポイヤック)
シャトー・ラトゥール(ポイヤック)
シャトー・マルゴー(マルゴー)
シャトー・ムートン・ロートシルト(ポイヤック)
シャトー・オー・ブリオン(ペサック・レオニャン)

ちなみに、シャトー・ムートンは1855年当時2級に格付けされていましたが、
1973年に1級に昇格しました。

◆2級
シャトー・ローザン・セグラ(マルゴー)
シャトー・ローザン・ガシー(マルゴー)
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ(サン・ジュリアン)
シャトー・レオヴィル・ポワフェレ(サン・ジュリアン)
シャトー・レオヴィル・バルトン(サン・ジュリアン)
シャトー・デュルフォール・ヴィヴァン(マルゴー)
シャトー・グリュオー・ラローズ (サン・ジュリアン)
シャトー・ラスコンブ(マルゴー)
シャトー・ブラーヌ・カントナック(カントナック マルゴー)
シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン(ポイヤック)
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド(ポイヤック)
シャトー・デュクリュ・ボーカイユ(サン・ジュリアン)
シャトー・コス・デストゥルネル(サン・テステフ)
シャトー・モンローズ(サン・テステフ)

3級はそれぞれ14シャトー、4級は10シャトー、5級は18シャトーとなっています。
格付けとしては、2級以下であっても実際の等級よりも高い評価を得る
「スーパー・セカンド」と呼ばれるシャトーもあります。

ブルゴーニュ地方の格付け

ボルドーと共にフランスを代表するワインの銘醸地ブルゴーニュ
こちらの格付けは、シャトーごとに格付けされているボルドーと異なり、
ブルゴーニュの格付けは「畑」にあります
簡単に言えば、ブルゴーニュ地方のワインは特級畑ワイン、第1級畑ワイン、
村名ワイン、地方名ワインに分かれています。
最上級の「特級畑(グラン・クリュ)」は、39の畑が認定されており、
ワインは銘柄名として畑の名前だけが表示されます。
例えば「シャンベルタン」(ジュヴレ・シャンベルタン村のシャンベルタン畑)
第1級畑の格付けは、特級と同じく畑が対象で、
その畑でとれたブドウだけを使ったワインです。
ラベルにはその村の名前の下に小さく「Premier Cru」「1er Cru」と付けます。
村名ワインは村名が銘柄名になり、同じ村の畑でとれたブドウを使ってつくるワイン。
地方名ワインは地方名の「ブルゴーニュ」が銘柄名になります。

高級で知られるロマネコンティの格付け

ブルゴーニュの最高級ワインと言えば、あのロマネ・コンティ。
ブルゴーニュ地方の「ヴォーヌ・ロマネ」という村にある
「ロマネ・コンティ」という名のブドウ畑から造られます。
この超高級ワインが造られる畑ももちろん、「特級畑(グラン・クリュ)」。
ヴォーヌ・ロマネは、ブルゴーニュ地方全体の2%しかないと言われている
グラン・クリュを8つ包括している村で、ワインの聖地とも言える場所。
ロマネ・コンティの畑は小さいため、年間生産数は約6,000本と言われています。
そのため、希少であれほどまでに高額になるのも頷けます。

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