ここからは、造られ方の特徴や味わいの特徴などを詳しくご紹介していきます。
造られ方の特徴
ボルドーワインは、ブドウ品種をブレンド(アサンブラージュ)して造られるのが特徴です。ボルドーではAOC(Appellation d'Origine Controlee)と呼ばれている原産地統制呼称で、使用できるブドウ品種が限られていますが、使用できる品種をバランス良くブレンドして醸造する、というスタイルが大きな特徴となっています。例えば、ボルドーと双璧をなすフランスのワイン銘醸地にブルゴーニュがありますが、こちらは単一品種でワインが造られるのが特徴的です。
一部、ブレンドして造られるワインもありますが、多くのAOCで認定されるワインは、赤ワインはピノ・ノワール、白ワインはシャルドネだけを使用して醸造されます。
そのため、ブルゴーニュ地方ではそのヴィンテージの影響がワインにダイレクトにあらわれたり、生産者の醸造技術や哲学が分かりやすいという特徴があります。
一方、ボルドーもヴィンテージの影響は受けますが、二品種、三品種とバランスよく味わいを整えるようにブレンドされるため、比較的安定した味わいを毎年造り出しやすいというところがポイントでしょう。
また、ブルゴーニュワインと比較すると、タンニンが強いブドウ品種を使用しているため、数年〜数十年先の熟成を見越した醸造が行われることも多い傾向にあります。
ボルドーの醸造の特徴は、まずブドウ品種をブレンドするということをベースに覚えておくと分かりやすいのではないでしょうか。
味の特徴
さて、醸造の特徴を掴めば、ボルドーワインの味わいの特徴も理解しやすくなってくるはずです。ここからは、ボルドーワインの味わいの特徴について解説していきます。
ボルドーの若い赤ワインの味の特徴
ボルドーの赤ワインに使用される有名な主要品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フランなど。これらのブドウ品種から造られるワインは果実味に溢れた、タンニンが強めのボリューム感あるワインとなります。
また、冷涼な地域だったり、熟しきらない場合、メトキシピラジンと呼ばれるピーマン香を思わせる香り成分が生成されるため、やや青っぽいニュアンスも感じられるものが多いのが傾向です。そのため、ボルドーの若い赤ワインは、一般的に青いニュアンスや爽やかさ、強めのタンニンが特徴となります。
ただし、長期間の熟成を目的とした赤ワインの場合はタンニンが荒々しく感じられることもありますが、若くして飲みやすいバランスに仕上げられた赤ワインも豊富に存在します。
「ボルドーの若い赤ワインはフレッシュでありながら、タンニンもしっかりとした赤ワインが多い」と解釈しておくと選びやすくなるでしょう。
ボルドーの熟成させた赤ワインの味の特徴
ボルドーの赤ワインの多くは、タンニンが強いフルボディタイプが多いため、熟成を経ると味わいがとてもまろやかになり、飲みやすくなるのが特徴的です。赤ワインに含まれているポリフェノールで、口内でギシギシした感じを与えるのはタンニンという物質ですが、熟成を経るとタンニンは高分子化して沈殿します。
そのため、若い頃は収斂性(舌が乾くような味わい)が強く感じたワインであっても、口当たりや風味がまろやかになるのです。
また、前述したようにボルドーワインは複数のブドウ品種をブレンドしているため、熟成を経て複雑性が増し、よりエレガントで深みのある味わいへと変化していきます。
ボルドーワインの場合、若い赤ワインも魅力的ですが、やはり熟成を経た複雑性のある熟成ワインが面白いという方も少なくありません。若いワインと熟成されたボルドーワインを飲み比べしてみる、というのも面白いのでぜひ挑戦してみてください。
ボルドーの白ワインの味の特徴
ボルドーは、黒ブドウがそのほとんどの栽培面積を占めており、赤ワインが世界的には有名です。しかし、白ワインも素晴らしい品質のものが多く造られており、中でも甘口ワインに関しては世界三大貴腐ワインのひとつである、ソーテルヌが造られていることも忘れてはなりません。
ボルドーの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨン、ミュスカデルのブレンドで造られているものが多く見受けられますが、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン100%というものも多く存在しているので覚えておきましょう。
ソーヴィニヨン・ブランはハーブを思わせるフレッシュな香りを持ち、グレープフルーツやレモンなど柑橘系のニュアンスも楽しめるブドウ品種のひとつ。
特に、ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれているアントル・ドゥ・メール地区で造られる白ワインは爽やかで、夏にぴったりの爽快感のある味わいが魅力です。
ボルドー地方は生ガキを多く食すると言われており、現地ではこのソーヴィニヨン・ブラン主体の爽やかな白ワインと楽しまれているようです。