この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
夏は、すっきりとした酸のある白ワインをキンキンに冷やして飲むのがおいしいですよね。
そこで、本日はそんな夏の暑さにピッタリの白ワインをご紹介します。
スペイン北西部のガリシア地方にある大西洋の海岸線に沿ったワイン産地リアス・バイシャス。
ここで造られる白ワインは、海の潮風や土壌のミネラルの影響を受けて、海のワインと呼ばれるほど、豊富なミネラルがあり、ほんのりと潮風のような塩気を感じる上質な白ワインが造られています。
リアス・バイシャスについて
リアス・バイシャスはスペイン北西部のガリシア地方にあるワイン産地で、大西洋の海岸線に沿って位置しており、スペインの大西洋岸に沿って、サンティアゴデコンポステーラのすぐ南からポルトガル国境まで、約100 kmの距離に広がっています。
リアス・バイシャスは、海岸沿いのソトマイヨール、バル・ド・サルネス、リベリラ・ド・ウリャと、内陸のコンダード・ド・デーア、オ・ロサルの5つの地区に分かれています。
中でも、最も海に面したエリアのバル・ド・サルネスは、起伏の少ない丘陵地帯の風景で、ブドウは斜面と平らな谷底の両方に植えられており、冷涼な気候で土壌は岩が多い沖積土で、最も高品質なワインを生みだすエリアです。
リアス・バイシャスは、比較的新しいDO(デノミナシオン・デ・オリヘン=スペインの原産地呼称)で、1988年に誕生しました。
リアス・バイシャスのテロワール
リアス・バイシャスという言葉を聞いて、なんとなく聞き覚えがあるという方も多いと思いますが、ギザギザとした海岸線をリアス式海岸といい、日本でも三陸地方がリアス式海岸と呼ばれていますが、このリアスという言葉は、元々はリアス・バイシャスがその名の由来です。
こうした大西洋からの影響は大きく、年間の総雨量は1,800mmを超えることがあります。
とくに冬に雨が多く海霧が発生し、海から涼しい気候が加わるため、アルバリーニョの栽培に適しており、ブドウのさわやかで食欲をそそる酸味を保つことができます。
気温は穏やかで、夏の最高気温は30℃を超えることはめったになく、コンダード・ド・デーアのみ夏の気温は時々40℃に近づきます。
リアス・バイシャスの代表的な品種であるアルバリーニョ
リアス・バイシャスは、白ワインが全体の約95%を占めており、その白ワインの原料となるブドウ品種は、ほぼアルバリーニョです。
リアス・バイシャスといえばアルバリーニョと言えるほど、古くから栽培されてきた代表的な品種で、ウミア川とミーニョ川のほとりで何世紀にもわたって栽培されてきました。
アルバリーニョは、ブルゴーニュから旅してきたシスタンニアの修道士によってスペインに持ち込まれたとされていましたが、新しい研究によると、このブドウはスペインの野生品種の子孫であり、ローマ時代には徐々に栽培され、現在の形で栽培されてきたことが分かりました。
1980年代に入ると、スペインは積極的にワインの輸出を開始し、リアス・バイシャスのアルバリーニョはスペインで最も成功した白ワインの輸出品となりました。
そして、1988年にこの地域がデノミナシオン・デ・オリヘンの地位を獲得しリアス・バイシャスDOが誕生しました。
中でも、バル・ド・サルネスは、もっとも広く海に面しているため、海からの霧や冷涼な気候がアルバリーニョの栽培に適しており、高品質なワインが多く造られています。
リアス・バイシャスで造られるワインの味わいや特徴
リアス・バイシャスのアルバリーニョから造られる白ワインは、海のワインと呼ばれるほど、豊富なミネラルがあり、ほんのりと潮風のような塩気を感じます。
これは海の潮風や土壌によってミネラルをブドウが吸収するためで、海岸沿いのワイン産地ならではの特徴です。
こうしたブドウ本来のフレッシュさを最大限に活かすため、熟成は樽ではなくステンレスタンクで造られる事が多く、リアス・バイシャスのワインは、柑橘と白い花のようなるフローラルなアロマがあり、フローラルで強い果実味、そして潮風を彷彿とさせるミネラル、厚みのある質感の独特の味わいが特徴。余韻に繊細な後味があり、スペインの中で最も上質な白ワインの産地と言われています。
おすすめのリアス・バイシャスのワイン
トルケス・ド・ヴェント・アルバリーニョ ボデガス・マルティン・コダックス
ボデガス・マルティン・コダックスは、1986年設立されたワイナリーで、その名はヨーロッパ中世のころ実在したガリシア地方で最も有名な吟遊詩人の名に由来します。
ボデガは設立以来、地元ガリシアの人々と密接に結びつき、当初設立地であったサルネスバレーの人々のサポートを受けながら徐々に発展してきました。
ワイナリー設立のきっかけは、地元のブドウ栽培家グループの「自分たちの町で飲むワインを、自分たち自身が造る」という地元の人々のためのワイナリーというコンセプトからはじまりました。
270の運営メンバーが集まり、原料は地元にある300のブドウ栽培家から提供され、提供されたブドウを素晴らしいワインへと変えるため、品質向上に取り組み続けました。
大西洋沿岸のガリシア地方の土地と人々、そこで醸成されてきた文化の中で育てられたワインは、ワインそのものの品質だけでなく、その文化を伝えるものとして、今では世界40か国へ輸出され、ガリシアワインのシンボルと言われるほどに成長を遂げました。
ワイン造りには、細かい配慮がされており、まず収穫したブドウは、ブドウの果実がつぶれないよう20kgの小さい箱で運び、状態の良いブドウを使用するために、ワイナリー内で手作業による選別を行い、空気圧式圧搾機に入れ果汁を絞ります。
果汁(モスト)は素早くステンレスタンクへ移し、発酵がすぐに始まります。
アルコール発酵後マロラクティック発酵(リンゴ酸が乳酸へ変わる)と進み、ワインを安定させてからボトリングしワインが完成します。
こうして造られるアルバリーニョ100%のワインは、青リンゴ、白桃、メロンなどのジューシーな果実のアロマに、キンモクセイのような華やかなフローラルなアロマがあり、味わいは香りと同じく甘く華やかで、フレッシュな酸味が輪郭を引き締めます。
アルバリーニョらしく、ミネラリーな余韻が長く続き、華やかな甘さの印象が強く、ミネラル感も強いため、酸味のあるソースや塩ベースの海鮮料理とあわせたい1本です。