この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
気軽にフランス料理が味わえるビストロから高級レストランまで深く広く、厚みのある食文化が根付いているフランス・ローヌ地方。
そんなローヌ地方の南部にあるワイン産地シャトーヌフ・デュ・パプ。
ほとんどの一流レストランでは、このシャトーヌフ・デュ・パプがオンリストされ、格式がありながらも、重めの料理から軽いものまで幅広く合わせられる非常にバランスのとれた味わいのワインが多く造られています。
そこで、本日はシャトーヌフ・デュ・パプのワインについてお話します。
シャトーヌフ・デュ・パプについて
シャトーヌフ・デュ・パプ(Chateauneuf du Pape)は、フランス南東部のローヌ地方南部にあるアペラシオンで、フランス語で「教皇(Pape)の新しい館(Chateauneuf)」という意味があります。
ここでは、赤ワイン、白ワインともに造られ、どちらもAOCに認められていますが、生産されているワインのおよそ96%が赤ワインで、白ワインは全体の4%ほどと極少量です。
シャトーヌフ・デュ・パプは、1308年ボルドーの元大司教であった教皇クレメンス5世が教皇庁をアヴィニョンの町に移転させたことにより、その歴史が始まりました。
クレメンス5世は、大のブルゴーニュワイン愛好家であったことから、アヴィニョンでもワイン造りとブドウ栽培を促進させようと働きかけていきました。
クレメンス5世の後継者であるヨハネス22世もこの地でのブドウ栽培とワイン造りに力を注ぎ、教皇ヨハネス22世がこの地に新しく館を構え、ブドウ畑を発展させたことで、シャトーヌフ・デュ・パプという名前がつきました。
19世紀初頭には、ここで造られたワインがシャトーヌフ・デュ・パプ・カルシニエという名前で記録が残っています。
20世紀に入ると、19世紀末に起きたフィロキセラの影響により、ブドウ不足から、混ぜ物をした著しく品質の低い偽造ワインが出回るようになり、この状況を改善するため、シャトーヌフ・デュ・パプで組合を結成すると、醸造などの生産に関するさまざまな規定を定めた規則を作り、偽造ワインとの明確な線引きをしました。
シャトーヌフ・デュ・パプのこの規則は、やがてフランス全土でも広く受け入れられ、現在のAOC(原産地呼称制度)の基盤となりました。
シャトーヌフ・デュ・パプのテロワール
シャトーヌフ・デュ・パプのテロワールでもっとも特徴的なのが、古代のローヌ河によって運ばれた、ガレと呼ばれる大きな丸石です。
このガレという丸石が畑のあちこちにゴロゴロと転がっているユニークなテロワールで、一見荒れた土地のように見えますが、
このガレは、日中の太陽光を蓄熱して土壌を温める保温効果があります。
また、通気性に富んだ水はけの良い土壌で、土壌が痩せているおかげで、ブドウは栄養を求めて地中深くに根を張りめぐらせることで、ミネラル分を多く含んだ地下水を吸収するため、ミネラル豊富なブドウが育ちます。
シャトーヌフ・デュ・パプは多種多様な地質がモザイク状になっているため、ガレのない畑もあり、区画によって味わいの異なるブドウが育つ個性が豊かな地域でもあります。
シャトーヌフ・デュ・パプの豊富なブドウ品種
シャトーヌフ・デュ・パプで使用できるブドウの品種はなんと13種類にも及び、フランスのAOCで使用が認められているブドウ品種の数は最多の産地です。
黒ブドウ品種は、グルナッシュ、シラー、 ムールヴェードル、サンソー、ミュスカルダン、クーノワーズ、ヴァカレーズ、テレ・ノワールの8品種で、白ブドウ品種は、グルナッシュ・ブラン(グルナッシュと同一)、クレレット、ブールブラン、ルーサンヌ、ピクプール、ピカルダンの6品種です。
13品種をどうブレンドするかは、生産者の自由に任されているため、生産者によってワインの味わいは異なり、個性的な味わいのワインが多く造られています。
シャトーヌフ・デュ・パプで造られるワインの味わいや特徴
前述のとおり、シャトーヌフ・デュ・パプでは多様な土壌と、13品種のブドウ品種が認められていること、さらに生産者の自由にその13品種をブレンドするため、その味わいは個性的であり、多様な味わいのワインが造られています。
グルナッシュ、シラー、サンソー、ムールヴェードルなどの南フランス特有の個性的なブドウを掛け合わせることで、複雑でスケールの大きい味わいで、複数の品種をバランスよくブレンドするため、様々な料理と合わせられます。
おすすめのシャトーヌフ・デュ・パプのワイン
歴史ある街アヴィニョンから車で30分の場所にあるドメーヌ・ド・クリスティア。
エティエンヌ・グランジュオンによって70年前につくられたドメーヌで、2ヘクタールのグルナッシュの畑から始まりました。
1963年に息子のアランが加わり、ドメーヌはさらなる発展を遂げました。
ブドウ栽培に情熱的だった彼は、シラーやムールヴェードルといった改良されたブドウ品種を植え、土壌の理解と尊重に基づいたクリスティアのアイデンティティを築きました。
1999年にはバプティストとドミニクが、そして更に最近フローランが父のドメーヌに加わり、
優れた熟成のポテンシャルを備えた、素晴らしい品質のワインを造るため、最高の区画を選択することに注力しました。
栽培は、オーガニック農法の基準に従ってできるだけ自然な方法で行っており、2008ヴィンテージから公的な認証も取得しました。
土壌やブドウ樹に対して、化学肥料や除草剤や殺虫剤は使用せず、有機肥料だけ使用します。
今日では三世代のブドウ農家が21ヘクタールの畑で「ドメーヌ・ド・クリスティア」を産出しています。
シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン ドメーヌ・ド・クリスティア
市場で見ることが少ない、希少なシャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン。
輝きのある淡めのゴールドの色調で、 トロピカルフルーツにバニラのアロマがあり、アタックからグラを十分に感じるクリーンな造りで、しっかりとしたボリューム感もあります。
キレイな酸とミネラル感も十分に備えており、鶏肉や白身魚などの料理と非常によく合います。
シャトーヌフ・デュ・パプ・ブラン ドメーヌ・ド・クリスティアのご注文はこちら
シャトーヌフ・デュ・パプ・キュヴェ・ルネッサンス ドメーヌ・ド・クリスティア
プラムやブラックベリーといった黒系果実のアロマにチョコレートのアロマがあり、ピュアな果実味が選果の厳しさをうかがわせる力強いコクや渋み、複雑味が魅力の重厚なモダンスタイルのシャトーヌフ・デュ・パプ。
10年以上の長期熟成はもちろん可能ですが、1回目の花開いた状態として今楽しむことをおすすめしたい1本です。
シャトーヌフ・デュ・パプ・キュヴェ・ルネッサンス ドメーヌ・ド・クリスティアのご注文はこちら
シャトーヌフ・デュ・パプ キュヴェ・デ・ロスピス
このワインは、ワイン生産者からの寄付で造られ始めたという一風変わった歴史を持った特別なワインです。
1973年、250の生産者によって提供されたワインを使って造られたのが、キュヴェ・ド・ロスピスの最初のヴィンテージとなり、以来このキュヴェの品質は高まり続け、ワインは毎年オークションで販売され、 その売上は現在老人福祉施設の 運営資金に充てられています。
ラベルに描かれているのは、村の守護聖人である14世紀の枢機卿ピエール・ド・ルクセンブルグです。
プルーンやドライフルーツなどの濃厚な果実のアロマと風味に、チョコレートの深みとスパイス香も加わり、非常に力強いコクや渋み、複雑味が魅力の重厚なワインです。