極甘口!?貴腐ワインとは?特徴やソムリエ厳選のおすすめ5本もご紹介

極甘口!?貴腐ワインとは?特徴やソムリエ厳選のおすすめ5本もご紹介
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極甘口!?貴腐ワインとは?特徴やソムリエ厳選のおすすめ5本もご紹介

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極甘口!?貴腐ワインとは?特徴やソムリエ厳選のおすすめ5本もご紹介

甘口ワインはお好きですか?
普段、辛口ばかりで甘口ワインはほとんど飲んだことがないという方でも、一度は貴腐ワインという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
私も、以前まではワインはずっと辛口しか飲んだことがなく、甘口ワインに縁がありませんでしたが、お祝いで頂いたフランスのソーテルヌの貴腐ワインを飲んでから、お祝いごとやクリスマスなどの行事にはすっかり定番の食後酒となりました。
かつて、フランスのルイ14世がトカイの貴腐ワインの優雅な味わいに感動して「王者のワインにしてワインの王者」と発したのはとても有名な話。
デザートワインの中でも濃厚な甘みと極上の風味を持つのが貴腐ワインです。
そこで、本日は王者のワインと呼ばれる貴腐ワインの魅力についてお話していきます。
当店一押しの貴腐ワインも5本ご紹介します。

貴腐ワインとは一体どんなワイン?

デザートワインの最高峰である貴腐ワインは、甘みだけでなく酸味、ハチミツや熟したドライフルーツ、アプリコットを思わせる複雑で芳醇で豊かなアロマがある、奥深い味わいの極甘口ワインです。
フランスでは、食後酒のことを「ディジェスティフ(digestif)」と呼び、デザートやチーズなどと一緒にアルコール度数の高い甘口ワインを飲んで、胃を刺激することで消化を促進させています。
もちろん消化促進のためだけではなく、甘味のある香り高い貴腐ワインは、おいしい料理やワインの余韻を優雅に浸らせてくれます。
貴腐ワインの価格は、平均するとハーフボトルで2000〜3000円台、フルボトルで5000〜8000円台のものが一番多く一般のワインと比べると高価なものが多いですが、開栓してから1か月持ち食後にデザートと一緒に少量ずつ飲むのが貴腐ワインの飲み方なので、1本買っておくとじっくり楽しめます。

貴腐ワインができる条件

貴腐ワインの貴腐とは、貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)のことで、この貴腐菌がブドウに付着することで、カビが果皮のワックス層を溶かし果汁中の水分が蒸発させ、ブドウのエキス分と糖分のみが凝縮され、干しブドウのような極甘なブドウに変化します。
そして、菌の代謝により果実は貴腐香と呼ばれる独特の香りがつき、濃厚な甘さと芳醇な香りの貴腐ワインが出来上がります。
本来、ボトリティス・シネレア菌はブドウの樹そのものを腐敗させてしまう灰色カビ病で、ブドウにとっては有害な菌ですが、早朝に霧の影響で菌を育て、日中は乾燥した気候で水分が蒸発するという稀な気候条件が、1ヶ月以上続くことでブドウ樹そのものを腐敗させることなく、果実だけの水分を抜いて糖度を高める貴腐ブドウを造ることができるのです。

貴腐ワインができる条件

貴腐ワインの歴史

貴腐ワインは偶然から生まれた産物のようなもので、とても興味深いエピソードが残っています。
17世紀のハンガリーのトカイ地方で、当時オスマン帝国による侵略で避難していた農家の人たちが例年より遅くブドウの収穫をすると、ブドウが干しブドウ状になっており、そのまま捨ててしまうのはもったいないと、そのブドウを醸造したところ、驚くほど芳醇なアロマを持つ甘口のワインが出来上がり、それが世界初の貴腐ワインであったとされる話です。
また、18世紀のドイツでも国からの収穫許可がトラブルにより遅れ、ブドウが貴腐化してしまい、それを醸造にしたところ貴腐ワインが生まれたというエピソードもあります。
地球温暖化が進行する前までは、ヨーロッパは非常に寒い地域が多く、ブドウの糖度が上がりにくかったため、甘口ワインは生産量が少なく、非常に価値のある高級品だったので、こうして偶然にも出来上がった貴腐ワインはまさに世紀の大発見ともいえるものでした。

世界3大!貴腐ワインの名産地

フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイワイン、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼは、世界三大貴腐ワインと呼ばれ、世界のデザートワイン愛好家から絶大な人気を得ています。
それぞれの地域で使われるブドウ品種が異なり、テロワールの影響からも多種多様な味わいの貴腐ワインが造られています。
ハンガリーのトカイワインは比較的リーズナブルな価格のものも多く、自宅で食後に楽しむのにちょうどいい貴腐ワインがそろっています。

ハンガリー:トカイ地方

ハンガリーのトカイワイン地区は、ハンガリーの北東、スロバキアとの国境近くにあり、北端はスロバキアの国境と接しているため、2010年からスロバキア側で造られた貴腐ワインもTokajiと表記することが認められています。
トカイの気候はカルパティア山脈によって守られているため比較的温暖で、この地域の土壌は、火山性粘土や、黄土や他の堆積土壌、砂質など、さまざまな種類の土壌がパッチワーク状になっています。
使用されるブドウ品種は、フルミント、ハールシュレヴェルー、サルガ・ムシュコタイ(イエローマスカット)で、一般的にはこの3種をブレンドして造ることが多いですが、単一種によるワインも造られています。
トカイワインは大きく「トカイ・アスー」「トカイ・エッセンシア」「サモロドニ」の3つに分けられ、もっともポピュラーでバリエーションが豊富なのがトカイ・アスーです。
トカイ・アスーは貴腐菌の影響を受けていない通常のブドウをベースに、
発酵前・中・後に貴腐ブドウを12〜60時間漬け込んで一定期間オーク樽で熟成させるため、深い琥珀色の色調で、高い酸味に柑橘、アプリコット、ハチミツといった強いアロマがあり、糖度が高いものほど凝縮された強い味わいがあります。

フランス:ソーテルヌ地方

ソーテルヌは、赤ワインの銘醸地として知られるボルドー地方にあり、ガロンヌ川左岸のソーテルヌと、バルザック、プレイニャック、フォルグ、ボンムの5つの村から構成されています。
この辺りは、早朝の霧と日中の乾燥した時間帯があるため、貴腐ブドウの栽培に非常に適した環境で、現在、ソーテルヌで一級に格付けされたワイナリーは11軒あり、そのトップに君臨するのが「シャトー・ディケム」
この貴腐ワインに関しては良いヴィンテージのものは、熟成期間が非常に長く、100年以上経っても風味が失われないものもあります。
ソーテルヌで造られる貴腐ワインにはセミヨンが主体のものが多く、そのほかソーヴィニョン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルの4品種の使用が認められています。

ドイツ:ライン川周辺

ライン川流域で造られる貴腐ワインは、リースニングをはじめとするドイツの固有品種が使用されています。
ドイツワインの格付はテーブルワイン、地酒、上質ワイン、最上級ワインの4段階に分かれていて、最上級ワインのQmPと言われる格付けには、ブドウの熟した度合いによって6等級に分かれており、ランクの高い順に「トロッケンベーレンアウスレーゼ」「アイスヴァイン」「ベーレンアウスレーゼ」「アウスレーゼ」「シュペトレーゼ」「カビネット」となっています。
格付けの頂点にある「トロッケンベーレンアウスレーゼ」は、極甘口の貴腐ワインでランクが高いものほど高糖度になります。

世界三大貴腐ワインの産地

貴腐ワインをさらに美味しく楽しむポイント

甘口のデザートワインになじみがないと、どのようにして飲むのが一番おいしいのかわからず、なかなか手が出せないという方も多いですよね。
一度知ってしまうとその芳醇なアロマと奥深い味わいがクセになってしまうと言われる貴腐ワインをはじめての方でもよりおいしく味わうためのポイントをいくつかご紹介しましょう。

おすすめの温度

まず貴腐ワインを楽しむ上で大切なのが温度です。
ワインにはそれぞれ適温があるのはご存じですか?
赤ワインに含まれるタンニン量、白ワインの味の決め手となる酸など、温度によって渋みや酸味というのは変化し、適温で飲むことでそのワインの良さがさらに引き立ちます。
極甘口のワインである貴腐ワインは、しっかりと冷やして飲むのがおすすめで、4~10℃が適温とされています。
甘口のワインは糖度が高いため、温度が高いと厚み(濃さ)と甘味が強く感じられ、全体的にもたっとした印象になります。
そのため、温度を少し下げた方が、全体のバランスが良くなり、すっきりとした酸と厚みのある甘味がちょうどよく感じられます。
ただ、4℃以下に冷やしてしまうとブドウの香りも果実味も閉じてしまい、貴腐ワイン特有の芳醇な甘さが味わえませんので、冷やしすぎには注意です。

最適なグラス

貴腐ワインを飲む際には、白ワイングラスよりも少し小さめの小ぶりのグラスをおすすめします。
デザートワイン用のグラスがない場合は、シャンパン用のフルートグラスがおすすめです。香りを楽しみながら、少しずつ味わうのが貴腐ワインの楽しみ方です。

保存期間

貴腐ワインはトロリとした蜜状の粘度があり「飲むデザート」とも言われるほど糖度が高いため酸化しにくく、一度開けても1か月くらいは風味が変わらず飲むことができます。
開栓後は冷蔵庫で保存して、数週間くらいかけて少量ずつ楽しむのがおすすめです。

貴腐ワインと相性の良い料理

極上のデザートワインである貴腐ワインに合わせる料理は、やはり普段の食事ではなく、同じく甘いスイーツや、少し個性的な味わいの食材や、高級食材などいつも違うシチュエーションで味わうと、より貴腐ワインのエレガントな味わいを引き出してくれます。
ここでは、貴腐ワインのペアリングにぴったりな3つの料理をご紹介します。

おすすめ料理・おつまみ①

貴腐ワインといえば、フォアグラ
この組み合わせは定番中の定番で、一度はためしてほしいペアリングです。
フォアグラのねっとりとした濃厚な味わいと、貴腐ワインの複雑なアロマとこってりとした甘みが非常によく合います。
家庭でフォアグラを食べるなら、ペーストやムース状になったフォアグラの瓶詰がありますので、それをトーストなどに塗って食べるとお手軽に楽しめます。

おすすめ料理・おつまみ②

ブルーチーズとのペアリングも定番です。
ブルーチーズ特有の濃厚な香りと強い塩気が、濃厚でこってりと甘い貴腐ワインにマッチし、甘味と塩気でゆっくりと貴腐ワインを楽しめます。
ブルーチーズにハチミツを垂らすと、貴腐ワイン独特のアロマである貴腐香とマッチしてさらにおいしく楽しめます。

おすすめ料理・おつまみ③

最後は、デザートと一緒に貴腐ワインを味わうペアリングです。
食後に、フルーツコンポートやチーズケーキ、チョコレートなどと一緒に貴腐ワインを味わうと、食事と合わせるのとはまた違うワインの楽しみが味わえます。
貴腐香と呼ばれる独特な香りやハチミツ、ドライフルーツを思わせる芳醇なアロマがスイーツの甘さと重なり、ただ甘いだけでなく口に含むと、強い甘みとしっかりとした酸の見事なバランスが味わえます。
貴腐ワインによっては、トロピカルなフレッシュフルーツとのペアリングを楽しめるものもあります。

 

いままでワインは辛口ばかりで、甘口のデザートワインを飲んだことがなかったという方も、これを機に貴腐ワインを飲んでみようかなと思われたらとてもうれしいです。
食中に楽しむワインも最高ですが、たまには自分へのご褒美として、食後に貴腐ワインを少量ずつ楽しむというのも贅沢で優雅なワインタイムになりますよ。

極甘口!?貴腐ワインとは?

ソムリエ厳選のおすすめの貴腐ワイン5本

シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー
1635年に創設され、長らくヴィニョー家一族によって管理されていましたが、1834年以降、数度所有者が変わり、2016年以降現オーナーになりました。
現オーナーによって更なる品質の向上や、ワインツーリズムの試み、ヴィーガン認証の取得など大きな改革が進められていきました。
1855年の格付けでソーテルヌ1級に認められるなど、ワインの評価は非常に高く、所有する84ヘクタールの畑はソーテルヌを見渡せるボム村の丘にあり、特別1級のシャトーディケムに次ぐ評価を受けています。
守り続けられる伝統と良好なテロワールが創り出す、蜂蜜のような香味をもつ貴腐ワインです。

シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョー

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シャトー・ディケム・ハーフ
1855年の格付けの際、白ではソーテルヌとバルザックだけが格付けの対象になり、この時、「イケム」は優れた品質により唯一特別第1級に選出されました。
イケムと比較しうる白ワインはブルゴーニュの雄「モンラッシェ」ぐらいとも言われるほどでした。
「ブドウの樹一本からグラス一杯のワインが造られる」といわれる贅の極み、品質が自己の定める水準に満たない年には容赦なく生産しない厳しさ。
かのロバート・パーカー氏も「私の知る限り、これほど無情な選別過程をとり入れているシャトーはほかにない。」と評するほど、そして「このワインは、通常はそのヴィンテージの4年後に、非常な高値で出荷されるが、費やされた労力、リスクそして厳格な選別過程を考えれば、最高の値札に値する数少ない高級価格ワインのひとつである。」と称賛しています。

シャトー・ディケム・ハーフ

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シャトー・ド・ラ・ヴェルドージ カーヴ・コーアプリティブ・モンバジャック
カーヴ・コーアプリティブ・モンバジャックは、1940年にフランス南西部のベルジュラック地方のモンバジャックに設立されました。
モンバジャックは5つの村で成り立つAOCで、ソーテルヌより貴腐ワインにおいて古い歴史を持った産地です。
現在は44にものぼる優良なブドウ栽培農家と契約し、高品質なワインを造り出しています。
所有する畑は、粘土石灰質の土壌で、栽培されるブドウは手摘みで収穫を行い、伝統的な手法で醸造し、タンク内で熟成させ造られます。
セミヨン80%、ミュスカデル20%のブレンドで造られるこの貴腐ワインは、糖度は100g/Lあり、輝きのある麦わら色がかったイエローカラーの外観に、ジャムやドライフルーツなどの果実香やハチミツのアロマが感じられ、豊かな果実香と、酸味と甘さのバランスの良い味わいで、チーズやクリームソースを使った鶏肉料理や、リンゴや杏を使ったタルトなどのデザートともよく合います。

シャトー・ド・ラ・ヴェルドージ カーヴ・コーアプリティブ・モンバジャック

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シャトー・クーテ
シャトー・クーテはボルドーに数あるワインシャトーの中でも、最も歴史の古いものの一つ。
1643年には領主シャルル・ル・ゲランがシャトーを所有していたと言われており、1977年にシャルル・ル・ゲランはマルセル・バリに領地を譲り渡し、シャトーの大がかりな再生に取り掛かります。
現在は、息子フィリップとドミニクに引き継がれており、ブドウの栽培方法の見直しから、醸造所や発酵タンク、そしてシャトーの建物自体の改修も行われました。
1994年には、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社とクーテの独占販売契約が交わされ、技術と販売の両面からクーテを世界へ広めるべく努力が続けられています。
赤ワインが有名な産地ボルドーで、白ワインのみ産出するのがソーテルヌ・バルサック地区。
特にこの地の貴腐ワインは世界3大貴腐ワインと称され、世界中で愛される、極甘口のデザートワインです。
ここで造られる貴腐ワインは、ドライマンゴーやドライアプリコットのような芳香があり、シトラスのマーマレードやハチミツのような味わいがあります。
非常に複雑味を持っているのがこのヴィンテージの特長で、充分なエイジングポテンシャルを秘めています。

シャトー・クーテ

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シャトー・ドワジー・デーヌ
「極めて上質なバルサックを生産している」と、ロバート・パーカー氏から評価を受けるシャトー・ドワジー・デーヌ。
シャトー・ドワジー・デーヌの所有者はデュブルデュー家。
あの“白ワインの魔術師”と称えられるドゥニ・デュブルデュー博士のファミリーが所有するシャトーです。
ドワジ・デーヌの畑には、樹齢40年以上のセミヨンとソーヴィニョン・ブランが栽培されており、石灰質土壌で育つブドウからは、凝縮された果実のみずみずしさといきいきとしたバランスの良い繊細な味わいの貴腐ワインが造られています。

シャトー・ドワジー・デーヌ

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