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ボルドーワインの世界最大の輸出先である中国。
日本に輸入されることが少ないため、あまり知られていませんが、中国国内には900余りのワイナリーがあり、ワインの生産量は2018年の統計で、世界第6位とかなりのワイン大国。
年々消費量も高まっており、世界的にも中国ワインの注目が集まっています。
そこで、本日は中国ワインについてお話します。
中国ワインの歴史
中国のブドウの栽培とワイン造りは、紀元前からすでに始まっていたとされていますが、現代のようなワイン造りとは異なるものだったようで、5世紀から10世紀の唐の時代になるとワイン造りは本格化し、11世紀には商業化も進み中国でワイン文化が確立しましたが、12世紀の明の時代に入り、国策によりワインよりも白酒や紹興酒が推奨され、ワイン文化が低迷していきました。
19世紀になり近代的なワイン工場での生産が始まり活気を取り戻し、しばらくは上流階級向けに造られていましたが、1949年の中華人民共和国の成立後から徐々に、ブドウとワインの生産量は拡大し、1980年代頃からワインの品質も向上していきました。
中国ワインの特徴
中国ワインは、日本に輸入されることが少ないため、あまり知られていませんが、中国国内には900余りのワイナリーがあり、実はワインの生産量は2018年の統計で、世界第6位とかなりのワイン大国なんです。
そして、国土も広いこともあり、ブドウの栽培面積もスペインについで世界第2位。
人口の多さからも消費量も2014年の統計では世界5位。
世界的にワインの消費量が減っている中で、中国の消費量は年々上がり続けており、中国のワイン市場が活気づいていることがわかります。
中国で造られているブドウ品種の実に9割が黒ブドウで、カベルネソーヴィニヨンやメルローがおもに栽培されています。
その他、中国の固有品種もあり、蛇龍珠(シャーロンジュー)というカベルネフランの一種と考えられる豊富な果実味とタンニンのあるブドウや、雲南省で栽培されているバラの香りを持つ特性のローズハニーという品種もあります。
少量ではありますが、白ブドウのシャルドネ、リースリング、アイスワイン用のヴィダルも栽培されています。
おもな産地とブドウ品種
ワインのおもな産地としては、雲南省、新疆(しんきょう)ウイグル地区、山東省、寧夏回族自治区の4つの地域がおもな産地です。
各産地では、カベルネソーヴィニヨンやメルロなどのヨーロッパ系品種をおもに栽培しており、山東省や寧夏回族自治区では近代的なワイン造りがおこなわれ、雲南省や新疆ウイグル自治区では、中国独自のワイン造りがおこなわれています。
■山東省煙台(さんとうしょうえんだい)
中国近代ワインの祖と言われる、張裕ワインの発祥地です。
清代末期、アヘン戦争以降、欧米列強の進出が盛んになり、東南アジアで財を成した華僑の張弼士(ちょうぴし)が、煙台に1892年「張裕葡萄醸酒公司」を設立しました。
創業当初から欧米に通用するワイン造りを目指し、国際品種であるカベルネソーヴィニヨン、メルローを中心に栽培し、2001年にはヨーロッパ最大のワイングループでもあるカステルグループと正式に提携し「シャトー・チャンユー・カステル」を建設しました。
■寧夏回族自治区(ねいかかいじちく)
1980年代にはたった1つしかなかったワイナリーが現在は200を超え、世界的有名なシャンパンメーカーのモエ・ヘネシー・ディアジオ社も
この地に出資して「ドメーヌ・シャンドン」というワイナリーを創設しています。
豊かな土壌と標高の高さに恵まれ、日照時間が長く降水量が少ないことから、農薬もあまり必要とせず、品質の高いブドウが栽培されています。
ここで造られるワインは、果実味や新鮮さ、そしてミネラル感が抜群で、カリフォルニアや南アフリカに次ぐ期待の産地として近年注目が集まっています。
また、寒冷な大陸性気候により、カナダなどで主要品種のヴィダルが栽培され、良質なアイスワインも造られています。
■新疆ウイグル自治区(しんきょうういぐるじちく)
中国西部の古くからのブドウとワインの産地で、中国独自のワイン造りが積極的におこなわれています。
収穫したブドウは機械を使わず手でつぶし、布で漉してから果汁と同量の水と好みの量の砂糖を加えて元の果汁の量になるまで煮詰め、カメで保存するという方法で造られています。
■雲南省(うんなんしょう)
温暖で安定した気候で、もともとはフランス人宣教師によってブドウの栽培がはじまり、雲南省の奥地、ヒマラヤ山脈に近い「梅里雪山」にブドウ栽培に理想的なテロワールをモエ・ヘネシー・ディアジオ社がみつけ、「全く新しいワイナリーを作る」とプロジェクトをスタートさせ、2013年に高級ワインをリリースしました。
また、ローズ・ハニーというバラの香りがする珍しい品種が栽培されています。
おすすめの中国ワイン
中国のナパ・ヴァレーと言われる「寧夏」で造られるプレミアムワイン「ル・シズィエム・エレマン」シリーズ
寧夏は、次世代のボルドーを目指して中国政府が力を入れている中国でも注目のワイン産地。
現在200以上のワイナリーが並んでおり、力強く凝縮感のある味わいのワインを造る高品質ワイン産地で「中国のナパ・ヴァレー」とも言われています。
この寧夏が現在のように注目されるよりも少し前、フランス人醸造家であるアモリ・ド・サンセイ氏がこの地を訪れ、寧夏でワイン造りを代々営なむ優れたワイン生産者の王平来氏と出会い、フランスの醸造技術とテロワールに関する知識に、中国の陰陽五行の思想に基づいた農業のノウハウが融合したワイン造りのプロジェクトが誕生しました。
こうして生まれた「ル・シズィエム・エレマン」シリーズは、初リリースだった2018年ヴィンテージがロンドンアワードやアメリカアワード等の国際ワインコンクールで金賞を受賞し注目を集めています。
ル・シズィエム・エレマン 生命(ラ・ヴィ)
生命(ラ・ヴィ)は、シャルドネ100%で、アカシアなどのフローラル香に、アプリコットやピーチなどの黄色い果実のアロマが感じられ、口に含むとパッションフルーツや柑橘、洋ナシ、カリン、パイナップル。そしてブリオッシュと熟成によるアロマも加わり、奥深い味わいのブルゴーニュを彷彿とさせる非常にエレガントなワインです。
ル・シズィエム・エレマン・風土(テロワール)
「テロワールを映す品種」と言われるピノ・ノワールは、この寧夏の砂質・砂利質風土地で典型的な特徴を完璧に表現しており、まさに風土(テロワールTerroir)という名にふさわしいワインに仕上がりました。
イチゴ、ラズベリー、カラント、ブラックベリーなどの赤系・黒系果実の美しいフレッシュなアロマに、ドライローズやドライレッドフルーツの芳醇な香りも感じられ、口に含むと、丸みを帯びたシルキーな味わいで、アタックはクランベリーやブラックカラントに加え、エレガントな革の香りに見事な美しい酸が感じられます。
まさにフランスのブルゴーニュスタイルを彷彿とさせる、非常にバランスのとれた繊細なワインです。
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ル・シズィエム・エレマン・自然(ナチュール)
カベルネ・ソーヴィニヨンをベースにマルスランとメルロをブレンドした自然(ナチュール”Nature”)は、カシスやブラックベリーのような黒系果実に、ブラックペッパー、スミレ、わずかにタバコやクローブのアロマなど、ブレンドの中心であるカベルネ・ソーヴィニヨンの典型的なアロマが感じられます。
口に含むと繊細なタンニンが感じられ、非常にバランスのとれた構造で、程よい酸味があり、最後はフレッシュなミント、フレンチオーク樽での長期熟成によってもたらされたわずかにバニラやトーストの香りが感じられます。
非常にバランスのとれた複雑味のある1本です。
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ル・シズィエム・エレマン・クリマ(気候)
このワインは、1961年にフランスで生まれたカベルネ・ソーヴィニョンとグルナッシュの交配品種であるマルスランを100%使用したワインで、シリーズの中で最も試行錯誤を要したワインです。
マルスランのポテンシャルと複雑さ、ヘラン山麓の美しいテロワールが融合してできたワインであることから、このワインを“Climat”と名づけました。
カシスなどの黒系果実に、シナモン、コーヒーのアロマがり、口に含むとしっかりとした骨格のあるフルボディで、アフターにはダークチョコレートやコーヒー、レザーの複雑味があります。
フレンチオークで長期熟成するため、ベルベットのような美しいタンニンと、滑らかでバランスのよい長い余韻が楽しめる1本です。