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韓国料理というとまず初めにキムチやスンドゥブなどの辛い料理が頭に浮かぶため、ワインとの相性ってどうなの?と疑問に思うかたも多いはず。
以前、このソムリエ手帳でキムチとワインのペアリングについてお話しましたが、今回は、韓国料理全般とワインのペアリングについてお話したいと思います。
韓国料理とワインの相性
冒頭でも触れましたが、以前このソムリエ手帳でキムチとワインのペアリングについてお話しました。
キムチって、辛くてパンチのある味わいでワインの風味を消してしまうのでは。と思われる方もいらっしゃると思いますが、実際、キムチと一言でいってもその種類はじつに200種類を超え、白菜を使ったキムチだけではなく、大根で作るカットゥギ(カクテキ)や、キュウリで作るオイキムチ、海産物や栗、なつめなどを入れて円形状に作るポッサムキムチなど、季節や風土、材料などによりさまざまなキムチがあるそうです。
そんなキムチは、ワインとじつは大きな共通点があります。
それが、さまざまな味わいを持つ発酵食品であることです。
そのため、ワインと同様さまざまな旨み成分を持つアミノ酸が重なり合って、豊かな味わいを生みだしているので、ワインとキムチが合わないわけがない。
しかしながら、キムチの独特な酸味と刺激的な辛さは、合わせるワインによっては、ワインの味わいを消してしまうことも。
そのため、刺激的な辛味に負けないパンチのあるものと、酸味が際立ちすぎないよう渋みが控えめのものを合わせるのが鉄則でした。
今回は、キムチだけではなく韓国料理全般とのペアリングですので、さらに、ペアリングの幅は広がります。
ここで、代表的な韓国料理をおさらいしましょう。
キムチの次に欠かせない韓国料理と言えばビビンバ。
温かいご飯の上にもやしや小松菜、大根といったさまざまな野菜のナムルと、甘辛に炒めた牛ひき肉が乗り、コクのあるコチュジャンなどで味付けされている韓国の混ぜご飯。
鶏肉に、クリ、ニンニク、乾燥ナツメ、朝鮮人参、もち米、ギンナンを詰めて煮込んだサムゲタン。
豚バラ肉を鉄板で焼き、レタスやエゴマの葉に乗せ、青唐辛子、生タマネギ、ニンニク、キムチと一緒に巻いて食べるヘルシーな韓国焼き肉のサムギョプサル。
などなど、例を挙げればきりがないほど、日本でも食べられる韓国料理はこの10年ほどで一気に増えましたよね。
また、のちほどペアリングでもご紹介しますが、チヂミやスンドゥブといった韓国料理も定番ですよね。
こうしてみると、韓国料理は辛い料理ばかりではなく、素材の味を生かした優しい味わいのものも多くあります。
また、共通している食材は、ニンニク、ゴマ油。
この2つの食材は、ほとんどの料理に使われ、ニンニクとゴマ油が韓国料理特有の風味を出しており、ニンニクのしっかりとした風味や、ゴマ油の香ばしいコクは、ワインとのペアリングにピッタリの食材です。
それでは、代表的な2つの韓国料理とワインのペアリングをご紹介していきましょう。
チヂミに合うおすすめワイン
まずは最近、日本でもおなじみになってきたチヂミ。
小麦粉・米粉・水・卵にニラ・タマネギ・ニンジン・ネギなどの野菜を混ぜ合わせたタネに、キムチを加えたり、イカや海老、ホタテなどの魚介を入れる韓国のお好み焼き。
モチモチとした食感があり、香ばしいゴマ油で表面をしっかり焼くチヂミは、薄焼きで日本のお好み焼きとはかなり異なる印象ですよね。
韓国特有の甘辛いタレが添えられますが、タネ自体にも味がしっかりついたものも多く、そのまま食べられるので、中に入れる具材によって合わせるワインを変えるとよりおいしいペアリングが楽しめます。
たとえば、イカや海老、ホタテなどの魚介を入れた海鮮チヂミなら、ミネラル感が豊富なシャルドネで造られた白ワインや、スペインの代表的なスパークリングワイン「カヴァ」がよく合います。
また、定番のニラがたっぷり入ったニラチヂミには、ソーヴィニョン・ブランから造られる白ワインがよく合います。
柑橘系のアロマに、パイナップルなどのトロピカルフルーツのアロマに加え、清涼感あるハーブのアロマが、香味野菜であるニラの風味とよくマッチします。
スンドゥブに合うおすすめワイン
スンドゥブ・チゲは、小型の土鍋(トゥッペギ)に、アサリやシジミを敷き、豆腐と肉・野菜を入れ、コチュジャン、唐辛子粉、ニンニク、ごま油などを加えた辛味のある煮込み料理。
スンドゥブというと、ごはんと一緒に食べるイメージが強いですが、意外にもワインに合うんです。
具材である魚介とお肉と野菜の旨みがスープにしっかりと溶け込み、ニンニクやゴマ油といった香ばしくコクのある味わいで、複雑な味わいのワインと相性がぴったり。
辛味のあるスンドゥブには、ほのかに甘味が感じられるワインがおすすめです。
バラとライチのアロマに、パッションフルーツなどのトロピカルフルーツ、かんきつ類、ハチミチやコリアンダーのようなスパイスなどの多彩な香りを持つアロマ系品種のゲヴュルツトラミネールから造られるやや甘口の白ワインや、イタリアのエミリア・ロマーニャ州のレッジオ・エミーリアとモデナという地域で造られる微発泡のスパークリングワインのランブルスコや、芳醇な甘い香りのモスカートから造られるスパークリングワインのアスティ・スプマンテ。
香りが華やかで甘味のあるワインが、スンドゥブのコクと旨み、辛味とよくマッチします。
ご紹介したワインはこちら
ソーヴィニョン・ブラン・カビネット オリバー・ゼター
オリバー・ゼターは、ドイツのファルツ地方にある、ファーストヴィンテージが2007年という、まだ若いワイナリーですが、既に英国をはじめ一部のワイン市場では高い評価を受けています。
「Kabinett カビネット」はドイツのワインを代表するスタイルの一つで、穏やかなアルコール、華やかな果実味、甘み、酸味が一体となったワインのことです。
モーゼル産が非常に名高く、こちらはリースリング100%で造られる場合がほとんどですが、オリバー・ゼターではこのカビネットを「ソーヴィニョン・ブラン」で作ります。
収穫は全て手摘みで行い、選果後ゆるやかにプレスされ、樽の中で野生酵母によってアルコール発酵を行います。
ワインはシュール・リーの状態で静置し、ワインにフィネスとエレガンスを与えます。
ソーヴィニヨン・ブラン特有のグレープフルーツのような柑橘のアロマに、ハーブの清涼感もあり、フレッシュなアロマと果実味にシャープな酸を持つすっきりとした味わいのワインです。
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ゲヴュルツトラミネール・グラン・クリュ・フランクシュタイン レオン・マンバック
レオン・マンバックは、アルザス中心地のストラスブールから南西約35kmほどにあるDambach-la-ville村に本拠を置き、グラン・クリュである「フランクシュタイン」も所持する自然派アルザスワイナリーです。
フランスのエノログ協会の会長アレックス・シェーファー氏は、このアルザスを代表する特級畑の虜になっている愛好家の一人で「フランクシュタインのリースリングが最も好きだ。なぜなら、この品種はテロワールに完全に適応しており、素晴らしい味わいを表現してくれる。果実味、花を思わせる香り、優雅な趣、軽やかさを感じる。」と激賞し惚れ込むほど。
また、日本を代表する人気のワイン漫画「神の雫」では、このワイナリーの「ピノ・ノワール エルヴェ・アン・ムュイ」が掲載されました。
北から13番目、アルザス・グランクリュの中でも特に高い評価を受ける区画「フランクシュタイン」のゲヴュルツトラミネールは、6億年ともいわれる古代の花崗岩土壌から、ミネラルと果実味の華やかさを持った特別な白ワインを生み出します。
バラを思わせる華やかなブーケ、スパイス、そしてライチやマンゴーを思わせるエキゾチックフルーツの香り。
とても濃密なボディで、甘みと同時に酸味も感じるため、非常にバランスの良い味わい。酸味のおかげもあり、余韻は重くなく軽やかでほんのり甘めの味わいは、よく冷やして食前酒として楽しむのに最適です。
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ゲヴュルツトラミネール・ビオ カーヴ・ド・リボヴィレ
フランスのワイン関係者で知らぬ者はいないというほどの凄腕コンサルタントで、シャトー・シュヴァル・ブランや、シャトー・ディケムを手掛けた「白ワインの法皇」の異名を持つ、カリスマ醸造コンサルタントのドニ・デュブルデュー氏がアルザスで唯一コンサルタントに入ったのが、カーヴ・ド・リボヴィレです。
カーヴ・ド・リボヴィレは、アルザスでも屈指のブドウ産地「リボヴィレ」の町の栽培家たちによって、1895年に設立されました。
アルザスの個性的なテロワールを引き出すため、すべてのブドウ畑ではリュット・レゾネ(極力自然に近い栽培) が実施され、うち約10%の畑が完全なオーガニック栽培で運営されています。
カーヴ・ド・リボヴィレの造るゲヴュルツトラミネールのワインは、このブドウ本来の香りを更に引き出したワンランク上のワインで、ライチやバラの芳醇で甘美なアロマに複雑さと、ほんのり甘みが加わりシャープな酸が魅力的な1本です。
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