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本日は、イタリアワインの王様的な存在「バローロ」を造るブドウ品種、『ネッビオーロ』についてお話したいと思います。
ワイン大国イタリアのワインの歴史と特徴
イタリアは、南北に長い地形に20の州があり、すべての州でワインが造られているワイン大国です。
その歴史は長く紀元前2000年まで遡ります。
ワインの製法をローマ人に伝えたのは古代ギリシャ人で、イタリアの大地に合うブドウの苗を選定して栽培したこともあり、早くから高品質なブドウが育ったため、ギリシャ人はイタリアを優れたワインの大地としてたたえました。
1861年にイタリア王国として国が統一されるまで、イタリア各地で多様なブドウ品種が栽培され、ワインが造られていたため、イタリア各地には数千種類の土着品種があるといわれ、政府が公認しているものだけでも400種類以上にも及びます。
イタリアのワインの特徴は、なんといってもその「多様性」と言えるでしょう。
高級ワイン「バローロ」を造る「ネッビオーロ」の特徴
バローロは、イタリアの北西部に位置するピエモンテ州の『ネッビオーロ』というブドウ品種で造られます。
ピエモンテの州の州都は「トリノ」。
2006年に冬季オリンピックが開催された場所なのでご存じの方も多いと思います。
ピエモンテ州は、あの高級食材「トリュフ」の産地で、希少価値の高い「白トリュフ」が採れることでも有名です。
そのピエモンテで造られる高級ワイン「バローロ」や「バルバレスコ」のブドウ品種『ネッビオーロ』の特徴は、皮が薄く、病気にかかりやすことから栽培が難しいとされ、原産地のピエモンテでさえ栽培は僅かな選ばれた土地に限定され、ピエモンテのワイン総生産量の6%を超すことは稀です。
小高い丘の南向きの斜面がもっとも栽培に適していると言われており、過去にボルドーへ移植が試みられましたが、栽培が難しく難航しました。
そんなデリケートな特性のネッビオーロの味わいは、「非常に色が濃く、若い時はタンニンと酸が強いが、瓶の中で年月を経るとタールからスミレやバラに至る幅広いブーケをもつ世界で最も誘惑的な香りのするワインとなる。」(ワイン用葡萄ガイド ジャンシス・ロビンソン著より)と言われ、長期熟成向きの品種であることが分かります。
イタリアワインの好きの中にもファンの多い「バローロ」。
出荷までに最低3年間の熟成(そのうち2年間は樽熟成)が法律によって義務付けられています。
実際にはラベルに記載されているヴィンテージから、10年~15年の時間を要するので、長期間生産者の下で管理をしてから出荷されるのが現状です。
良く出来た年のバローロは、何十年と熟成させて初めてその良さを発揮するなど、高級ワインたる所以です。
合わせるお料理もしっかりとしたお肉料理、またジビエなどのくせのあるお肉料理に非常にマッチします。
また、ウォッシュチーズやブルーチーズなどコクのあるチーズとも相性が抜群!
「ネッビオーロ」で造るバローロ、ゆっくりと時間をかけて楽しめる赤ワインの1つです。
ネッビオーロから造られるワインについて
ネッビオーロから造られるワインには、ネッビオーロ単一のものと、他の品種をブレンドしたタイプのものがあり、バローロ、バルバレスコ、カレーマ、ネッビオーロ・ダルバ、ランゲ・ネッビオーロは、ネッビオーロを100%使用した単一品種のワインです。
中でもバローロは、「王のワイン、ワインの王」と称され、世界中のワインラヴァーが憧れる最上級の赤ワイン。
バローロは11の村で造られており、とくにラ・モッラ村、バローロ村、カスティリオーネ・ファレット村、モンフォルテ・ダルバ村、
セッラルンガ・ダルバ村の5つの村が銘醸地として知られており、パッチワーク状に広がる多様なテロワールから、村それぞれで造られるバローロの味わいは異なり、エレガントな味わいのものから、パワフルな味わいのものまでさまざまです。
ラ・モッラ村は標高500mにある産地で、トルトニアーノと呼ばれる青い泥灰土に、マンガンとマグネシウムを多く含む土壌で、ここで造られるバローロは香り豊かでエレガントな味わいになり、他の産地よりも熟成が早いのが特徴です。
ラ・モッラ村と同じ西側に位置し、モンフォルテ・ダルバ村の間にある、バローロ村は、ラ・モッラ村と似たような土壌ですが、エレガントさに、さらに力強さも加わり非常にバランスのよいバローロが造られます。
東側に位置するカスティリオーネ・ファレット村、モンフォルテ・ダルバ村、セッラルンガ・ダルバ村は、エレヴィツィアーノと呼ばれる泥灰土で、鉄分を多く含む赤茶色をしており、パワフルで重厚感のある、長期熟成型のバローロが造られています。
中でもセッラルンガ・ダルバ村では、最も長期熟成型のバローロが造られ、著名なワイナリーが多く点在しています。
ネッビオーロから造られるおすすめのワイン
バローロ・ブッシア モスコーネ
テロワールに品質が著しく左右されるバローロ。
1877年ジャチント・モスコーネが、その卓越した見識で見抜き、確保したのがバローロでも最も高名な畑の一つ、ブッシアでした。
ジャチントは、モンフォルテ・ダルバの生産者として成功を収め、彼の没後1944年に息子アンジェロがワイナリーを継ぎ、品質を改良し一家の無限の情熱を現当主である息子たちに引き継ぎました。
ブッシアの畑は、マール、石灰質の土壌で、木々の樹齢は高く、南に開けた畑は日照量が十分なので、毎年高い品質のブドウを収穫できます。
このブドウを活かすべく、モスコーネでは伝統的なバローロのワイン造りを踏襲しており、26~28度の温度を維持しながら15~18日間かけて、ステンレスタンクで発酵。
アルコール発酵後、直ちに自然なマロラクティック発酵を行い、スラヴォニアンオーク大樽へ移し、30か月熟成させます。
チェリーなどの果実のアロマに、トリュフやタールといった複雑なニュアンスも加わり、口に含むとあたたかみある果実味に、火打石を思わせるミネラル香が感じられ、心地よい酸味と細やかなタンニンのある、力強いコクと複雑味が魅力の重厚なバローロです。
テルツェット・バルバレスコ テヌーテ・ネイラーノ
テヌーテ・ネイラーノはピエモンテ州アスティに位置する1911年より続く家族経営のワイナリーです。
1911年に創業者のアントニオ・スぺローネがイタリア北西部のトリノにベルモットとリキュールワインを製造する小さなセラーを立ち上げ、1975年に本格的にワインづくりをスタートします。
彼のワインに対する情熱は4代に渡りその伝統ともに受け継がれ、モンフェラートの中心にある丘の上に位置する約30haの自社畑のブドウや、契約農家から買い付けしたブドウを使用し、品質はもちろん、評価の高いワインを造り続けています。
30ヶ月のオーク樽熟成と6ヶ月の瓶内熟成を経て造られるバルバレスコは、ルビーレッドにガーネットのニュアンスのある色調で、滑らかなタンニンを感じるフルボディ。
純粋ではっきりとしたアロマとスパイスのニュアンスが特徴的で、ジェームス・サックリング90点を獲得した非常にコスパの高いバルバレスコです。
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テッレ・ダ・ヴィーノ バルバレスコ
1980年、イタリアのピエモンテで農家と生産者協同組合とのコラボで産声を上げたテッレ・ダ・ヴィーノ社。
イタリアワイン最高峰のワインを生み出すPiemonte州Langhe地域のBarolo村にある農業法人で、2500を超えるブドウ生産者を抱えピエモンテ産のDOC,DOCGワインのみを手掛ける職人気質な醸造所です。
そのワインメーカーが手掛けるイタリアを代表する「ワインの女王」といわれるバルバレスコは、包み込まれるような滑らかなタンニンと豊かな果実味のバランスが魅力で、濃密で凝縮した味わいを楽しめる重厚感のある1本です。
バローロ・チェルヴィアーノ・メルリ カゼッタ
このチェルヴィアーノ・メルリという単一畑は、バローロ村とモンフォルテ・ダルバ村に隣接するノヴェッロ村にあり、標高300~400mの丘の中腹にある南向きという素晴らしいロケーションにあります。
トルトニアーノと呼ばれる青い泥灰土の混じる砂質土壌で、オーガニックの認定を受けた有機肥料のみを使用し、草刈から剪定・摘芯・グリーンハーベスト・収穫まですべて手作業で行います。
カゼッタのワイン造りの特徴は、祖父からの伝統を大切にしつつ、先進的な考えも併せ持ち、品質のために考え抜かれたプロセスを構築していることです。
出来上がるバローロは、チェリーなどのフレッシュな赤系果実に、トリュフやタールなどの深みのあるアロマが感じられ、バランスの良い酸に、力強いコクや渋み、複雑味が魅力の重厚な味わいになります。
バローロ ヴェッキア・ストーリア
イタリアワインのすばらしさを世界に広めるため、1968年にワイン醸造のエキスパートとマーケティングのエキスパートたちが設立したI.E.I(インスティテュート・エノロジコ・イタリアーノ)は、イタリアのソアヴェ(ヴェローナ)に本拠地を構え、北はピエモンテ、アルト・アディジェから、トスカーナに プーリア、モリーゼ、そしてシチリアにサルデーニャとイタリア全土でファインワインを生産しています。
そんなI.E.Iが手掛けるバローロは、オークの大樽で3年熟成し、リーズナブルながらも濃密で凝縮した味わいのあるやや重い正統派で古典的なバローロです。
バローロ ウンベルト・フィオーレ
マンフレディ家のワイン造りの歴史は、1930年、初代のジュゼッぺは、美しいランゲの丘の周囲にあるブドウ畑と醸造所を購入し、ワイン造りを始めました。
1980年代になると、イタリア国外への販路も広がり、ヨーロッパをはじめ、アメリカやアジア各国まで流通するようになりました。
「ブドウ畑をより良い状態で後世に受け渡すこと」という哲学のもと、薬品などを使わず、太陽光発電に切り替え、自然の法則に合わせた畑仕事を頑なに守り続けています。
このバローロは、ブラックチェリー、ブラックベリー、カシス、プルーンなどの黒系果実のアロマに、ハーブやレザーの香りが加わり、口に含むとまず特徴的な渋みを感じます。
しっかりとした重厚なタンニンと厚みのある飲み心地に、果実の甘み、酸味、樽香…と様々な要素が渾然となって、とても深みのある味わいのワインです。
渋みがもう少し落ち着くまで、あと数年熟成させることで、より素晴らしい味わいへと変わるポテンシャルを感じさせてくれます。
すぐ飲む場合は、お飲みになる半日前には開栓するか、一度に飲みきらず、2、3日に渡って時間をかけながら飲むのがおすすめです。