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スペインを代表する国民的ブドウ品種「テンプラニーリョ」。
デイリーから長期熟成できる高級ワインのグランレゼルバまで、じつに幅広いワインが造られています。
そこで、本日はテンプラニーリョのワインの特徴やおすすめのテンプラニーリョをご紹介します。
テンプラニーリョの特徴とは
「テンプラニーリョ」とは、赤ワイン用のブドウ品種で、スペインのリオハ地方が原産と言われ、スペインで最も広く栽培されている人気のブドウ品種です。
高級ワインも造られますが、お手頃な価格のワインも造るため、スペインにおける「カベルネ・ソーヴィニョン」的存在で、スペイン赤ワインの大黒柱と言えます。
テンプラニーリョの特徴としては、他のぶどうより早く熟しやすく、9月ごろに収穫期を迎えます。
粒は小さく果皮は薄め、そして房はやや大きめなのが特徴です。
酸は適度にあり、タンニンも豊富ですが、なめらかで繊細で華やかな香りを持つといわれます。
またオーク樽で熟成したものは、しっかりとした樽香や熟成由来のなめし皮などの香りが特徴です。
生産地や地域による味の違い
テンプラニーリョは複数の別名(シノニム)をもつ品種としても知られています。
スペイン国内だけでも6つの別名があり、リベラ・デル・ドゥエロ地区では、ティント・フィノと、ティント・デル・パイス。
ラ・マンチャ地区では、センシベル。
カタルーニャ地区では、ウル・デ・リェブレ。
トロ地区では、ティンタ・デ・トロ。
マドリッド地区では、ティンタ・デ・マドリッドと呼ばれています。
テンプラニーリョのおもな産地は、スペインを代表するワインの産地リオハで、南西と北にそれぞれ山脈があり、その山脈が夏の熱波を遮り、冬の冷たい北風を防ぐことで、夏の暑さが抑えられ、冬も比較的穏やかな天候となり、テンプラニーリョの栽培にとても適した産地です。
リオハではテンプラニーリョの単一品種のワインもありますが、ガルナッチャやマズエロなどとブレンドされることが多く、
スペインの伝統的な古樽で熟成させた場合は、香りは控えめですが風味が繊細で、心地良い酸味があります。
また、ティント・フィノと、ティント・デル・パイスという別名で栽培が盛んなリベラ・デル・ドゥエロでは、夏と冬の寒暖差が激しく、凝縮したテンプラニーリョを生み出しており、ブルーベリーや花のような華やかな香りを放ち、しっかりとした果実味とタンニンが感じられるワインになります。
お隣のポルトガルではアラゴネスと呼ばれ、ポートワインの産地として有名なドウロ地方ではポートワインの原料と使用されたり、ダン地方では、他の品種とブレンドして赤ワインが造られています。
高級ワインからお手頃ワインまでスペインで愛されるテンプラニーリョ
スペインで造られているテンプラニーリョのワインは、高級なものからデイリーワインとして楽しめるものまでさまざまなタイプのものがあります。
スペインでは、熟成期間の表示が細かく定められており、樽熟成1年以下、または全く樽熟成を行わないワインは、「ホーベン(Joven)」という表記になり、最低24ヶ月熟成(うち6ヶ月は樽熟成)したワインは、「クリアンサ(Crianza)」と記載されています。
デイリーワインとして飲むなら、このホーベンやクリアンサと記載のあるワインなら、1000円台のお手頃な価格なものが多いのでおすすめです。
また、熟成期間が最低36ヶ月以上のものならレゼルバ、その上になるとグランレゼルバというものになり、熟成が増して、複雑な風味を楽しめるワインが多くありますので、ホームパーティーや記念日などにぴったりです。
特にリオハで造られるテンプラニーリョは、カベルネ・ソーヴィニョンなどをブレンドし高級ワインの醸造法を用いて造られたワインが一時世界的に有名になりました。
それくらいポテンシャルの高いブドウ品種であり、スペイン国内では幅広く使用されているブドウ品種です。
はしご酒がルール!スペインの楽しいバル巡り
そして、スペインといえば、「バル」気軽にお酒と簡単な食事を楽しむ、日本でいう居酒屋のような存在。
バルは最低でも4軒はしごするのがお決まり(?)で、1軒のお店でじっくりゆっくり飲むというよりは、それぞれのお店でワインを1杯、タパスと言われるおつまみを1つ食べて次へ行く、というように、たくさんのお店をはしごするのが、バルの楽しみ方です。
食事とも合わせやすく、ワイン単体でも楽しめるテンプラニーリョは、バルでも人気のワインです。
スペインには、シャンパン製法のスパークリングワイン「カヴァ」やしっかりとした酸と微発砲が特徴のバスクの「チャコリ」も注目されています。
スペイン北部のバスク地方に位置するサン・セバスチャンは、ミシュランで星を獲得しているレストランが密集していて、旧市街の路地には100軒ものバルがあり、ここのバルを巡るツアーも人気です。
ぜひ、スペインを訪れる機会があったら、バルでテンプラニーリョとタパスを楽しんでください。
とはいえ、スペインまではなかなか遠いので、コスパの高いスペインワインを片手に手作りピンチョスでおうちでバルを楽しむのもいいですね!
テンプラニーリョ100%のスペインワインおすすめ5選
モンテ・アラヤ・テンプラニーリョ・ブランコ ボデガス・メディエーヴォ
ボデガス・メディエーヴォは、一風変わったユニークなワインで注目されたワイナリー。とりわけ注目されているのが、あまり耳にしない珍しいブドウ品種にフォーカスして生みだすワインで、1998年に黒ブドウのテンプラニーリョの突然変異種として見つかった、テンプラニーリョ・ブランコを100%使用したワインは、LA SOLANAというミシュラン星付レストランに採用されオンリストされています。
リンゴやトロピカルフルーツを思わせるアロマが感じられ、口に含むとバターのように滑らかで重みのあるテクスチュア、ミネラルやスパイスのニュアンスがゆっくり広がり、続いて長いフローラルなアロマが鼻孔に抜けます。
シーフード料理全般はもちろん、豚肉や鶏肉など白身の肉料理、パエリャなどの米料理に合わせたいワイン。
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フィンカ・モニカ・テンプラニーリョ ロング・ワインズ
「フィンカ・モニカ」は、リオハ・オリエンタルというサブゾーンの中で、一際注目を集めるmonte yerga という山の付近、標高が高いAlfaroの単一畑に植えられた、樹齢30年以上の手摘み収穫したテンプラニーリョから造られています。
山の付近は、地形も起伏に飛んでいるため、わずか数メートルで異なる気候を持つミクロクリマ(微小気候)が顕著になり、単一畑であることの意義がより発揮されるようになります。
ブドウはAlfaroにある単一畑の樹齢30年以上の樹から、手摘み収穫されたものを使用し、収穫後、温度管理機能のついたステンレスタンク内で発酵させます。続いて行うマロラクティック発酵は、コンクリートタンクを使用します。
手間はかかりますが、それぞれタンクを変えて作業を行うことで、アロマが溢れるような、芳醇な果実味を備えた赤ワインに仕上げることができます。
3か月間アメリカンオーク樽で熟成させたワインは、プラムやベリーの果実のアロマにチョコレートの濃厚なアロマが加わり、濃密で凝縮した味わいを楽しむ、やや重いワインです。
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パソ・デ・アドス・テンプラニーリョ
100年以上も前から続くディアス家のブドウ畑は、長い年月昔ながらのワイン造りを続けており、祖父から受け継ぐセラーでは、アンフォラによる昔ながらのワイン造りが続けられています。
酸化防止剤無添加、完全無農薬栽培を実践し、複数の公的機関が認定されており、今スペインで最も注目される自然派生産者で、畑からワイン造りまでまるごと自然派の長い伝統を持つワイナリーです!
そんなパソ・デ・アドスが手掛けるテンプラニーリョは、ブルーベリー、プラム、ダークチェリーのような果実味と、それを上回るようなローズマリーやタイムといったハーブの香りが立ち上ります。
しなやかな味わいで、肉料理、特にハーブやスパイスを用いた肉料理によく合うので、スペイン風、時にはアラビアのスパイスを入れた煮込み「タジン」と。クセのある料理と一緒に飲んだらどんな味わいを見せてくれるのか、そんな楽しみ方ができるユニークな赤ワインです。
マジア・J・テンプラニーリョ
アルケミー・ワインズは、フランス・ボルドーとのつながりが長く、ワインの教育・普及に最も力を入れている国イギリスに資本をおく会社で、実際にマジアJを作るのは、1850年からの歴史あるワイン生産者、ボデガス・フェルナンド・カストロです。
ボデガス・フェルナンド・カストロは、サンタ・クルス・デ・ムデーラという地で、代々ブドウ栽培からワイン造りまでを手掛ける伝統的な作り手で、一番に品質を重んじており、独自の醸造ラボ(研究所)を作り、醸造の全プロセスを通じて、完成度の高いワイン造りを目指しています。
この地域は、日照時間が長く、また標高が高く寒暖の差が大きいため自然とブドウがしっかり熟し、多くの動植物にとっては過酷な環境ですが、その分虫や病害も少なく、自然に任せたブドウ栽培を行うことができます。
そして収穫されるブドウは品種の特性をしっかり表現した、凝縮感のある素晴らしい品質のワインになります。
ラ・マンチャの大地で造られるスペイン固有品種のテンプラニーリョ種100%のこのワインは、この品種の特徴がよく出ており、様々なシチュエーションに合わせられるタイプです。
ベリー系の香りの中にタバコ、革製品などのニュアンスが感じられ、コクがあり繊細で口当たりもよく、果実味もしっかりしているワインです。
ヴィニャ・マグナ 6メセス・バリカ ドミニオ・バスコンシリョス
ドミニオ・バスコンシリョスは、2000年に高級車の部品を製造する企業のオーナーを務めるホセ・マリア・バスコンシリョスによって設立されたワイナリーです。
ワインへの情熱も熱く、コンサルタントにスペインで有名なトマス・ポスティゴを起用し、ワイナリーは海抜1000メートルの場所に位置し、栽培からワイン醸造に至る過程は極力自然の力を活かしたワイン造りを理念に、区画にごとに管理されたブドウ畑は、全て手作業で行われ、100%オーガニックの高品質なワインを生み出しています。
当たり年の2005年のヴィニャ・マグナ クリアンサは、ロバート・パーカー氏も93点の高得点を出し、ワインスペクテーター誌では95点を獲得しました。
ヴィニャ・マグナ6メセス(6か月樽熟成)は、ドミニオ・バスコンシリョスのワインのラインナップの中で入門編ともいえるワイン。
とはいえ、ブドウは他のワインと同様、全てオーガニック栽培の厳選されたものだけを使用し、リベラ・デル・デュエロという土地の特徴を表現した、凝縮感のある味わいに仕上げられています。
イチゴ、ラズベリー、ブルーベリーなど ベリー類の香りに、土壌に由来するミネラルの風味が感じられ、ボディがしっかりしたワインですが、フレッシュな果実味や生き生きした 酸味があることで重苦しい感じは受けません。
滑らかな舌触りと 長い余韻を楽しめる1本。