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最近は、スペイン料理のお店にかぎらず、居酒屋でも人気の料理アヒージョ。
アツアツのオイルでぐつぐつ煮込まれた具材と香ばしいニンニクの香りがたまらないですよね。
アヒージョと言ったら、スペインのタパス。
スペインと言ったら、ワイン生産量世界第3位のワイン大国。
そこで、本日はアヒージョとワインのペアリングについてお話します。
アヒージョとワインの相性について
アヒージョ(ajillo)は、スペイン語で「小さなニンニク」、具体的には刻んだニンニクを表わす言葉でカスエラという耐熱の陶器に熱したオリーブオイルとニンニク、それに合う食材を入れて煮込むスペイン料理。
マドリードの代表的な小皿料理(タパス)で、アヒージョの代表的な具材は、エビやタコ、牡蠣、イワシ、サバ、タラといった魚介類を中心に、エスカルゴ、鶏むね肉、砂肝、レバー、ベーコン、ウインナーなどの肉料理から、マッシュルームなどのキノコ類、ポテト、ブロッコリー、トマト、レンコンといった野菜と多種多様。
具材をそのまま食べるのもいいですが、バゲットをオリーブオイルに浸して、具材と一緒に食べるのがもっともポピュラーな食べ方です。
海の幸から山の幸まで豊富な具材を入れて食べるアヒージョは、さまざまな味わいが一つの鍋に凝縮されるため、多種多様な味わいのワインと相性も抜群です。
アヒージョには白ワインで合わせる
エビやタコ、牡蠣、イワシ、サバ、タラといった魚介を具材にしたアヒージョには、凝縮された魚介の旨みがオリーブオイルにもしっかり溶け込んでいるので、ミネラル感が豊富な白ワインととても相性が良いです。
たとえば、南フランスの人気リゾート地メズの特産であるピクプールから造られる白ワインは、ミネラルたっぷりでほのかな塩味も感じられ、シーフードとの合います。
また、イタリア・ピエモンテのアレッサンドリア県原産の白ブドウ品種コルテーゼで造るガヴィは、グレープフルーツやパッションフルーツなどのさわやかな柑橘のアロマに、白い花、青リンゴを思わせる繊細でフルーティーなアロマがあり、フレッシュで繊細な酸が印象的で、しっかりとしたミネラルもあり、シャープな味わいがシーフードによく合います。
そして、スペインの代表的なスパークリングワイン「カヴァ」も、シーフードによく合うワインです。
カヴァは、白ブドウにチャレッロ、マカベオ、パレリャーダ、シャルドネ、スビラ・パレンの5品種が使われ、黒ブドウは、ガルナッチャ、モナストレル、トレパ、ピノ・ノワールの4品種、全部で9つの品種がカヴァに使用することが認められており、主要な品種であるチャレッロは、複雑でミネラル感と渋味をもち力強いフルボディになり、カヴァ特有のアロマであるフルーティーな果実味が味わえます。
忘れてはならないのが、スペインを代表するブドウ品種のアルバリーニョから造られる白ワイン。
ピーチやアプリコットに、フローラルなアロマが加わり、すっきりとした飲み口に、ミネラルとほのかな塩味も感じられ、華やかなワインの香りがパンチのあるガーリックにも負けないアヒージョにピッタリの白ワインです。
また、マッシュルームなどのキノコ類、ポテト、ブロッコリーといった野菜がメインのアヒージョには、樽熟成されたシャルドネがおすすめです。
中でも、マッシュルームのアヒージョとカリフォルニアの樽熟成のシャルドネの組み合わせがおすすめ。
熟した洋梨やリンゴに、パイナップルなどの爽やかでリッチな果実香と、ローストしたヘーゼルナッツのような香ばしさやブリオッシュ、バター、バニラなどのニュアンスが重なり合い、フレッシュな酸に肉厚な果実味と、上質なミネラルやオイリーさが感じられ、キノコの大地を感じる旨みの凝縮された味わいと見事にマッチします。
具材によって合わせるワインを変えるのもあり
鶏むね肉、砂肝、レバー、ベーコンといった塩分と脂分がしっかりした味わいの肉が主体の具材には、フルーティーな果実味のミディアムボディからフルボディの赤ワインがよく合います。
たとえば、イタリアワインの顔ともいえるサンジョベーゼを主体とした赤ワインのキャンティや、スペインのカベルネ・ソーヴィニョン的存在であるブドウ品種テンプラニーリョで造られるデイリーワインがおすすめです。
またロゼワインは、赤ワインと白ワインのちょうど中間的な味わいを持っており、赤ワイン白ワインのどちらの要素もあるため、さっぱりとした味わいながらも複雑味も味わえて、パンチのあるにんにくに負けずワインの風味が引き立ちます。
アヒージョに合うおすすめワイン8選
ミオパッソ・フィアーノ
イタリア人で唯一、パーカーポイント100点を2回獲得した醸造家ステファノ・キオッチョリ氏が手掛けるワインシリーズ。
ミオパッソはイタリア語でマイペースという意味で、地元イタリアで昔から愛されているブドウ品種、フィアーノ、グリッロ、ピノ・グリージョ、ネロ・ダヴォラ、プリミティーヴォのブドウを使って丁寧に造られているシリーズです。
ミオパッソ・フィアーノは、白い花のフローラル香にリンゴや桃などのフレッシュなアロマがあり、酸も穏やかで軽快な飲み口のワインです。
休日の昼に、アサリをたっぷりいれたボンゴレビアンコと一緒に楽しむと、まるでイタリアの家庭で食事をしているような、そんな気分にさせてくれる1本です。
リクオ・ロス・ブリュット・ナチュレ
ボデガス・エスクデロは、スペインで最も名高い赤ワイン産地リオハ地方で150年以上の歴史を持つボデガ(醸造所)です。
高貴品種のテンプラニーリョを使い、高品質な赤ワインを造り続けています。
標高の高いリオハの気候を活かし、高品質なカヴァを作る「ボデガス・エスクデロ」では、
それぞれのカヴァをしっかり熟成させることに強いこだわりを持っており、DOカヴァの法定熟成期間は9カ月とされますが、リクオ・ロスでは、ROSADOが24カ月、Brutに至っては36カ月という、シャンパーニュのプレステージクラスに要求されるのと同等の熟成期間で熟成されます。
このリクオ・ロスは、地元の祭事などでも出す特別なカヴァのため、熟成期間も他のカヴァに比べて高いのです。
ヴィウラ100%のこのスパークリングワインは、シトラスやリンゴ、白い花のほのかな蜜を思わせる香りの中に、36か月熟成で醸されたパン酵母のような熟成香が感じられます。フレッシュなアロマと果実味ながら、柔らかく深みのあるバランスが取れた味わいです。
アレチャガ ボデガス・ビルヘン・デ・ロレア
ボデガス・ビルヘン・デ・ロレアは、17世紀からの歴史を持つワイナリーで、もともと自家用として美味しいワインを造ることが目的で始まり、18世紀には、当時の当主であるファン・ライセカと妻グレゴリアも先祖と同様に、熱心にこの地酒を造り続けました。
当時、バスク地方にはシドラとチャコリの造り手が生まれていましたが、ほとんどは自家用や、地元のバル・食堂に卸しており、地元で飲まれるのが一般的でした。
20世紀初頭には、娘夫婦によってワイナリーの建物が建造され、現在もテイスティングルームとして使用されており、自家用チャコリの生産から、世界へ供給するワイナリーへと大きく発展しました。
自社畑は南向きの斜面に広がっており、豊富な石灰を含む粘土石灰質の土壌、雨、適切な温度と海から吹く冷たい北風、それらの恩恵を受けて、引き締まった酸と香り豊かな、複雑な味わいの白ワインが生み出されています。
爽やかなグリーンの色調で、ライムや洋梨、リンゴ、ハーブを思わせるフレッシュかつフルーティーなアロマがあり、チャコリ特有の力強い酸と、豊富なミネラルと、わずかな塩味が感じられ、透明感がありながらもエレガントでバランスの取れた味わいのチャコリです。
クロワッサン・シャルドネ ジャン・クロード・ボワセ
「フランス・ワイン業界のヌーヴェル・ヴァーグ(新たな波)」1961年にブルゴーニュに設立された、若い会社でありながら、急成長を遂げたボワセ・グループ。
環境問題を一番に意識したワイン造りの理念を持ち、所有するすべてのワイナリーがオーガニック栽培とビオディナミ栽培を実践。
ネイティブアメリカンに伝わる「大地は借り物である」という言葉に感銘を受け、サスティナブルなワイン造りをアメリカで実践したいと思い、フランス・ブルゴーニュの技術とカリフォルニアのテロワールが極上ワインを生み出しています。
クロワッサン・シャルドネのブドウは、カリフォルニア州内でも優れた品質を誇る複数のブドウ畑より収穫されたものを使い、ワインは瓶詰めされる前にシュール・リー(澱とともに静置する技法)の状態で熟成させ、味わいに複雑味を与えています。
柑橘類、レモン、白桃の魅力的なアロマに、ブリオッシュの香ばしい香りがバランス良くまとまっています。
ミネラル由来の滑らかな質感と完熟果実のボリューム感とクリーミーな質感で、バタースコッチを思わせるオーク樽のトースト香がクロワッサンを彷彿とさせるリッチな味わいのシャルドネです。
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キャンティ ヴォルペット
イタリアで唯一人パーカーポイント100点を2度獲得した凄腕の醸造家ステファノ・キオッチョリ氏がコンサルタントを務めるキャンティ ヴォルペット。
フィレンツェ近くの海抜200~400メートルの地域の畑で造られたブドウを、サンジョベーゼ95%、カナイオーロ5%のブレンド比率で、25度にコントロールされたステンレスタンクに入れ、酸素を供給しながら12日間おきます。この間果汁を循環させることで、果皮に含まれる色素などの成分をしっかり抽出し、タンニンをまろやかにしたりします。
マロラクティック発酵で酸味を和らげ、香りと味わいに複雑さを加えました。
このキャンティは黒ブドウ主体のため、一般的なキャンティより、味わいにもより厚みが出ており、構造のしっかりとしたボディの肉厚なタイプで、活き活きとした果実味のあるパワフルな味わいです。
マジア・J・テンプラニーリョ
アルケミー・ワインズは、フランス・ボルドーとのつながりが長く、ワインの教育・普及に最も力を入れている国イギリスに資本をおく会社で、実際にマジアJを作るのは、1850年からの歴史あるワイン生産者、ボデガス・フェルナンド・カストロです。
ボデガス・フェルナンド・カストロは、サンタ・クルス・デ・ムデーラという地で、代々ブドウ栽培からワイン造りまでを手掛ける伝統的な作り手で、一番に品質を重んじており、独自の醸造ラボ(研究所)を作り、醸造の全プロセスを通じて、完成度の高いワイン造りを目指しています。
この地域は、日照時間が長く、また標高が高く寒暖の差が大きいため自然とブドウがしっかり熟し、多くの動植物にとっては過酷な環境ですが、その分虫や病害も少なく、自然に任せたブドウ栽培を行うことができます。
そして収穫されるブドウは品種の特性をしっかり表現した、凝縮感のある素晴らしい品質のワインになります。
ラ・マンチャの大地で造られるスペイン固有品種のテンプラニーリョ種100%のこのワインは、この品種の特徴がよく出ており、様々なシチュエーションに合わせられるタイプです。
ベリー系の香りの中にタバコ、革製品などのニュアンスが感じられ、コクがあり繊細で口当たりもよく、果実味もしっかりしているワインです。
ウリッセ・ロゼ テヌータ・ウリッセ
テヌータ・ウリッセは2006年設立とワイナリーとしての歴史はまだ浅いですが、ウリッセ家は、代々アブルッツォ州の伝統的な固有品種を主体に栽培してきたブドウ農家のため、ブドウ栽培には強いこだわりを持っており、リリースしたほとんどのワインがルカ・マローニで高評価を得ている実力派です。
そんなテヌータ・ウリッセが手掛けるこちらのロゼワインは、Luca Maroni 97点(2019年)、Luca Maroni 97点(2020年)と高評価を得ている本格派ロゼ!
メルロとモンテプルチャーノをブレンドしており、ブドウは収穫後すぐに専用の低温トンネルへ入れ、そのままコールドマセレーション(低温醸し)を行い、アルコール発酵はステンレスタンクで8~11度の低温下で行います。
発酵後タンクで3か月静置して造られるロゼは、淡いサーモンピンクの色調。
白い花のアロマが最初に香り、プラムなどの黒系果実のアロマがあり、とても繊細な味わいですが余韻は長く、複雑な味わいが感じられるロゼワインです。