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日本の夏の夜の風物詩といえば
夜空を彩る花火‼
最近の三大花火大会として全国的に有名なものは…
新潟県の長岡まつり、
秋田県の大曲花火競技会、
そして茨城県の土浦花火競技会…
7月中旬からは毎週のようにどこかで花火が上がるようになりますね。
花火と言えば、まばゆい色とりどりの光に、大きな打ち上げ音、
そして、火薬が燃えた後の煙の香り…
そんな花火大会の会場に漂う香りを、
ほんのりと感じることができるワインがあるんです。
プイィフュメとは
プイィ・フュメとはフランス・ロワール地方の、
プイィ=シュル=ロワールとその周辺の7つの村で生産されている
ソーヴィニョン・ブラン種100%の白ワインです。
この地域はもともと赤ワインの産地でしたが、
19世紀のフィロキセラ禍でブドウ樹が壊滅してしまい、
ボルドーの品種だったソーヴィニヨンブランが植えられたことで、
白ワインの産地となり、お隣のサンセールとともに、
世界的なソーヴィニヨン・ブランの銘醸地となりました。
プイィとはこの地域の名前ですが、
“フュメ”は、煙で燻したという意味のフランス語です。
余談ですが、フランス語でスモークサーモンはソーモン・フュメ、
スモークハムはジャンボン・フュメと言います。
その名の通り、ほんのり硝石のような、乾いたミネラルの香りが感じられて、
普段イメージするフルーティーなソーヴィニヨンブランとは少し異なる感じです。
プイィ・フュメは、スッキリ爽やかな柑橘やハーブの香りを持ち、
ミネラル感があってコクも感じるので、
スモークサーモンなどの燻製の魚介料理や、
スモークチキンなどの鶏肉料理とも相性ピッタリです。
プイィフュメの特徴的な香り
冒頭で花火を感じさせるワインと言ったのは、
まさに火薬が燃えた後の煙の香り…
それが、このプイィ・フュメの一番の特徴です。
ワインの世界には100以上の香りがあります。
中には、苔、小石、腐ったリンゴなんて面白い表現も。
プイィ・フュメの硝石、燻したようなミネラルの香りの他にも、
自然派ワインの場合、硫黄の香りを感じることもあります。
ブドウの果実に含まれる硫黄成分の影響や、
酸化防止剤を使わない時の還元作用によるもので、
特にワインの異常ではなく、
自然と温泉地のような香りが出ることも。
ワインの中には果実の香りだけでなく、
様々な香りが詰まっているのが面白いところ。
テロワール、造り方、そして熟成によって、ワインの香りは特徴を持ちます。
香りの秘密は生産地にあり
プイィ・フュメが造られる一帯は、
ラテン語で火打石という意味のシレックスと呼ばれる、
牡蠣の殻からできた石灰岩と火打石の原料となる石からできた土壌のため、
仕上がるワインが、火打石をたたいたときの香りを持つことから、
プイィ・フュメという呼び方になったそうです。
もともとソーヴィニヨンブランは、造られる産地のテロワールの影響を
受けやすいブドウ品種のため、このシレックス土壌で栽培される
ソーヴィニヨンブランは、熟成によるアロマの変化がシャルドネの比ではないほど、
グラスに注いでからも香りがおどろくほど変化していきます。
プイィフュメのおすすめワイン
プイィ・フュメ ドメーヌ・ランボー
ドメーヌ・ランボー・ピノーは、シュリー・オン・ヴォーという、
サンセールから5kmほど離れた町にあり、
ここサンセール~プイィ・シュール・ロワールを本拠地として
3世代続く家族経営の小さな生産者です。
現在ではさまざな区画に小さな畑を40もっており、
各畑で獲れたブドウはブレンドされることなく、個別に醸造されます。
そんなドメーヌ・ランボー・ピノーが手掛けるプイィ・フュメは、
色味はサンセールに比べやや薄く、輝きのある、硬質な感じの黄色がかった色。
香りはソーヴィニョンブランでもハーブの香りが強く、
その中に青リンゴを思わせる優しい香りも感じられます。
引き締まった味わいで、ミネラル感を強く感じ、
余韻に爽やかな甘みと酸味を残します。
荒塩でシンプルに焼いた魚のグリル、ハーブをふった生ガキや山菜のテンプラなど、
爽やかで研ぎ澄まされた味わいが身上のプイィフュメには、
シンプルなお料理がおすすめです。