ジャン・ローランは、シャンパーニュの南部「コート・デ・バール」に位置するメゾンです。
日本ではまだあまり知られていない土地で、高品質ながらも価格が控えめで素晴らしいシャンパーニュが眠る場所として注目されています。

ブルゴーニュ地方に接しており、あのシャブリと同様のキンメリジャンと呼ばれる土壌が広がっているところが特徴です。
この土壌は、古代の海産物の堆積が関係していると言われていて、ここで栽培されたブドウはミネラルたっぷりなため、素晴らしいワインが生まれると言われています。

そして、そんな土壌でブドウ栽培を行なっているのがジャン・ローランです。
認証を受けているわけではありませんが、農薬をほとんど使用しない「リュット・レゾネ」という減農薬農法を採用しており、健全なブドウ栽培を心掛けているところもひとつの特徴です。

昔から品質の高いブドウ栽培を行なっていることで知られるメゾンであり、ネゴシアン（ブドウなどを買い付けて、自社で生産する人）にも販売を行っています。
あの「ヴーヴ・クリコ」「モエ、ランソン」などのグラン・メゾンといった大手メゾンにもブドウを卸しており、今や世界中からオファーが絶えず供給量が足りない状況だとか。

ジャン・ローランは、しっかりとブドウが熟してから収穫を行なうため、できる限り収穫を遅らせる手法を採用しています。
さらに、ジャン・ローランのワインは最低でも3年以上はカーヴ（ワインセラー）の中で熟成させるため、リッチな状態で出荷されます。

このようにブドウの品質を大切にしたワインは世界的にも評価が高く、数多くのワイン評論誌やコンクールで話題となっている注目のメゾンなのです。

味の特徴

ジャン・ローランの味わいの特徴は、キンメリジャン土壌が大きく関係しています。
ミネラリティ豊富な瑞々しさと骨格、熟成による「丸み・繊細さ」、そしてエレガントさが加わった極上の味わいが特徴です。

「レモン」「白い花」「リンゴ」「洋梨」「ハチミツ」「洋梨のコンポート」などのリッチで複雑な果実味と、「熟成由来のブリオッシュ、トースト」など幅広い香りが、ジャン・ローランのシャンパーニュには備わっています。

ピノ・ノワールが主体のシャンパーニュは、わら色でやや濃いめの外観となっており、フルーツのコンポートとしっかりとした厚みを感じることができます。

一方、シャルドネだけで造られているものは、「白い花、柑橘系」の風味と、フレッシュな酸のバランスが良い若々しい印象を持つ味わいです。

また、ジャン・ローランではロゼも造っており、チャーミングな香りに、フランボワーズとスパイシーさが加わった独創的で複雑な風味を楽しめます。

上記3つに共通しているのは、「シャンパーニュらしい外観」「香り」「風味」そして「キンメリジャン土壌がもたらすミネラリティ」という要素でしょう。
そこがジャン・ローランの手がけるワインのポイントでもあります。

滑らさと柔らかさの中にプラスされた、引き締まった味わいをぜひお楽しみいただければと思います。

ジャン・ローランでは、ブドウ品種として「ピノ・ノワール」「シャルドネ」が使用されています。
ここでは、それらについてご紹介していきましょう。

ピノ・ノワール

シャンパーニュの黒ブドウには「ピノ・ノワール」「ムニエ」が使用されますが、ジャン・ローランでは「ピノ・ノワール」が使われます。

中でも「モンターニュ・ド・ランス地区」で栽培されているピノ・ノワールが特に有名で極上だと言われていますが、ジャン・ローランの自社畑がある「コート・デ・バール地区」のピノ・ノワールも見逃せません。
この地区のピノ・ノワールはとても繊細に生育されます。
ボリューミー過ぎず、それでいて芯がしっかりとした骨格のある味わいのワインを生み出します。
上述した通り、できるだけ農薬を使用しない「リュット・レゾネ農法」で、その土地の土壌を意識した造りになっているところもポイントです。

ジャン・ローランでは、その土地の味わいを活かせているかしっかりと研究しているところがあるほど、徹底して自分たちの栽培するピノ・ノワールの味わいを守ります。

ほかのメゾン同様に「ピノ・ノワール」らしい骨格とボリューム感のあるシャンパーニュではありますが、「コート・デ・バール地区」のピノ・ノワールはその中に「繊細さ・エレガントさ」「果実の凝縮した香りと風味」も楽しむことができるでしょう。

シャルドネ

シャンパーニュにおいては、コート・デ・ブラン地区のグラン・クリュが最高峰と言われています。
しかし、シャルドネにとって最高とも言える環境が揃っているのが、ジャン・ローランの自社畑が存在している「コート・デ・バール」です。

キンメリジャン土壌は、シャブリと同じように「柑橘、火打石、マッチをすった時にあらわれる匂い」など、ほかに無い複雑なシャルドネを生み出します。

ジャン・ローランのシャルドネ畑は、大きく白い石が転がっているなどユニークな土壌になっており、骨格とミネラル感を感じられる素晴らしいシャルドネが栽培されています。
さらに、シャルドネのポテンシャルを活かすため、「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれる白ブドウのみで造られたワインの製造も行っています。
そのワインをじっくりと熟成させることで、「複雑な香り」「シロップや甘さのあるフルーツ」「豊か酸と凝縮した果実味」などを醸し出しているのです。

ジャン・ローランなら一度飲んだら忘れることができない、価格以上の感動が得られるシャルドネに出会えるのではないでしょうか。

ワインショップソムリエでは、ジャン・ローランのアイテムを数多く取り揃えています。

その中でも、初めて「ジャン・ローラン」をお飲みになる方、食べる食材と合わせたい方、そして他のワインとの比較をしてみたい方に向けて選び方や楽しみ方をお伝えします。

初めてジャン・ローランをお飲みになる方へ

初めてジャン・ローランをお飲みになる方であれば、まずピノ・ノワール100%で造られている、「ブラン・ド・ノワール」と言われる黒ブドウのみで作られたワインがおすすめでしょう。

ジャン・ローランの自社畑では「ピノ・ノワール」が多く栽培されており、まさにブランドを代表するブドウ品種と言っても過言ではありません。
「リュットレゾネ農法」が生み出す健全でピュアなピノ・ノワールの味わいを100%しっかりと詰め込んだ極上のシャンパーニュとなっています。

「ブラン・ド・ノワール」は少々ボリューム感があるのが一般的ですが、ジャン・ローランの手がける「ブラン・ド・ノワール」は繊細でエレガントな印象です。
まさにジャン・ローランのキャラクターを知る事ができるシャンパーニュだといえるでしょう。

食べる食材に合わせる

次にお料理との合わせ方ですが、シャンパーニュ自体は発泡性のワインですので基本的にお料理との相性が良く、幅広くお使いいただくことができます。

特にジャン・ローランのシャンパーニュは、土壌由来のミネラル感が豊富な味わいが特徴ですので、「サラダ」「シーフード」「鶏肉」「豚肉」など、さまざまなお料理と合わせやすいでしょう。
軽快なタイプであれば、「サーモンサラダ」「鶏肉の冷製サラダ」「オリーブオイルをたっぷり使ったアヒージョ」などと相性が抜群です。

さらに、熟成タイプのシャンパーニュであればロースト香もしっかりとあるので、「ステーキ」「グリルした七面鳥」「ブイヤベースの魚介の煮込み」と合わせても面白いでしょう。

また、瓶内二次発酵がもたらす繊細な泡は、「天ぷら」「塩の効いた焼き鳥・焼き魚」「お刺身」といった和食との相性も魅力的です。

このようにジャン・ローランのワインは1本で、前菜からメインまで通せる万能なシャンパーニュとなっています。
週末のディナーやご友人たちとのホームパーティー、華やかな会でのアペリティフなど、幅広いシチュエーションでお楽しみいただけるでしょう。

他のワインとの比較

ジャン・ローランは、フランスの瓶内二次発酵である、「クレマン」より繊細かつ熟成度が高い味わいが特徴です。
ちなみに「クレマン」とは、シャンパーニュ地方以外で作られたスパークリングワインのことです。

軽快でカジュアルなクレマンも魅力的ですが、やはり長期熟成と伝統的な造りから生み出されるシャンパーニュの厚み、複雑性、そして熟成がもたらす風味は他の追随を許しません。

ジャン・ローランは、「エレガントさ」「力強さ」がバランス良く共存しているシャンパーニュですので、特に飲みやすさを感じられるワインでしょう。

「ピノ・ノワール」「シャルドネ」から造られる伝統的な味わいは、「カバ」「プロセッコ」のような陽気な果実感とは違う、緊張感のあるエレガントな印象も含みます。

また、ジャン・ローランのワインも華やかなことは間違いありませんが、「モエ・エ・シャンドン」「ヴーヴ・クリコ」「ランソン」といった華やかなワインとは少し違った、上品で引き締まった印象も感じることができます。

ジャン・ローランは、シャンパーニュ愛好家から一般のワイン好きにまで、幅広い層にお楽しみいただけるワインを製造しているポテンシャルを持ったメゾンです。

まだ日本での知名度は低いものの、とても高品質なシャンパーニュになっています。
本格的なシャンパーニュでありながら「香り、風味、酸味、後味のバランスが整った1本」をお探しの方にはおすすめです。

「大手メゾンから小規模生産者のシャンパーニュまで楽しんできたが、新しい産地のものも試してみたい」というような方にもお楽しみいただけるでしょう。

また、本格的なシャンパーニュでありながら「手に取りやすい価格」のものをお探しの方にも非常におすすめです。
シャンパーニュはたくさんの種類があるため、飲み始めたばかりの方は、まず何から飲んでみれば良いか悩んでしまうかもしれません。
その点、ジャン・ローランは品質が非常に高いながらも手に取りやすい価格帯ですので、日常使いにも最適です。

「新たな産地のシャンパーニュを探している」、あるいは「高品質かつ手に取りやすい価格のシャンパーニュを探している」という方は、ぜひともジャン・ローランをお試しされてみてはいかがでしょうか。