サン・ジュリアンのワインの特徴と通販での選び方
著名なシャトーを数多く有するボルドーの銘醸地「サン・ジュリアン」。
オー・メドックの中にある赤ワイン産地で、力強い赤ワインを作ることで知られています。
こちらでは、そんなサン・ジュリアンのワインの特徴をご紹介いたします。
AOCとはそれぞれの産地の個性、品質を守る規制のこと。日本語訳は「原産地統制呼称制度」です。
AOCとして認められるということは、細かな基準を満たした品質の高いワインであるという証明でもあります。
主にサン・ジュリアン村で栽培されたぶどうを使ったワインを指しますが、中にはキュサック村とサン・ローラン村のぶどうを少量使ったものもあります。
そんな高品質のワインが造られるサン・ジュリアンですが、フランスのボルドー左岸・メドック地区に位置しています。
その位置は、かの有名な「シャトー・マルゴー」で知られるマルゴー村と、メドック格付け1級のシャトー(生産者)を3つも持つポイヤック村の中間という、ワイン作りには絶好の環境が整った場所です。
そのため「両者の良さを兼ね備えたワインを作る産地」とも言われ、世界的に高い評価を受けています。
(※メドック格付けとは、ナポレオン3世の命によって行われたワインのランク付けのことです。
第1級~第5級でランク付けされており、この格付けは例外を除いて160年以上変わっていません。)
サン・ジュリアンの土壌は砂利質であり、砂岩は鉄分を多く含んでいます。
さらに、水はけがよいためミネラルが豊富なブドウの育成に繋がっています。
ボルドーワインの主要品種である「カルベネ・ソーヴィニヨン」は、サン・ジュリアンの土壌での栽培に最適なのです。
サン・ジュリアンではこうした上質なカベルネ・ソーヴィニヨンを使用することで、この地域の特徴でもある「力強い味わい」のワインが数多く造られています。
また、サン・ジュリアンもメドック格付けワインを持つエリアとして有名です。
第2級に格付けされたシャトーが5つ、第3級は2つ、第4級は4つと、合計11のシャトーが格付けされています。
第1級に格付けされたワインはありませんが、当時の格付けのため、現在では第1級に匹敵するほどの非常に良質なワインが多く生産されています。
その証明として、「スーパーセカンド」と称されるワインが挙げられます。
s スーパーセカンドとは、ボルドーの「メドック格付け第1級にも劣らない実力を持ったワイン」を指す言葉です。
サン・ジュリアンのスーパーセカンドとして有名なのが、「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」。
こちらはポイヤックとの境に位置するシャトーで、第2級の格付けをされています。
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズは、「限りなく第1級に近いセカンドワイン」と言われるほどの実力派で、濃密な味わいが特徴で長期熟成型のワインです。
かの有名なワイン評論家ロバート・パーカー氏から「1級並みの品質であり、サン・ジュリアンの王である」と評価されています。
さらに、サン・ジュリアンを代表するシャトーとして「シャトー・ラグランジュ」も有名です。
シャトー・ラグランジュはメドック格付け第3級を冠しており、その品質の高さで多くのワイン愛好家を魅了しています。
歴史が長く一時期は低迷していた時期もありましたが、日本のトップ企業サントリーが買収したことで見事立て直しに成功。
現在では、ロバート・パーカー氏も絶賛している大注目のシャトーになりました。
他にもサン・ジュリアンには、「シャトー・デュクリュ・ボーカイユ」「シャトー・レオヴィル・ポワフェレ」「シャトー・サン・ピエール」「シャトー・タルボ」「シャトー・ランゴア・バルトン」「シャトー・グリュオ・ラローズ」などの有名シャトーが名を連ねています。
こちらでは、それぞれの品種の特徴を詳しく紹介いたします。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンは栽培面積世界1位を誇り、最も人気が高い黒ブドウ品種です。世界で広く栽培されている品種の一つで、ほとんどの主要なワイン生産国で栽培されています。
原産地はサン・ジュリアンの属するフランスのボルドー地方で、ボルドーワインの主要品種です。
粒は小さめで果皮が分厚く、色味の濃いタンニンが豊富なワインに仕上がります。
そして、カシスなどの黒い果実と、清涼感のあるミントの香りが特徴です。
すっきりとした上品な味わいの中に凝縮感もあり、しっかりとした骨格も感じられます。
また、耐寒性があり、病害にも強いという長所があります。
どの産地で栽培しても上質なブドウができるポテンシャルの高い品種ですが、栽培に適した環境を持つサン・ジュリアン村では特に上質な仕上がりとなっています。
カベルネ・ソーヴィニヨンはサン・ジュリアンのワインの多くで主要品種として使用され、サン・ジュリアンの特徴でもある「力強さ」をワインに与えています。
メルロー
栽培面積がカベルネ・ソーヴィニヨンに次ぐ世界2位のメルローは、人気の高い黒ブドウ品種の一つです。世界で広く栽培されているブドウですが、最も多く栽培されているのは原産地であるボルドー地方。
特に右岸エリアの土壌がメルローの栽培に適しており、良質なワインを多く産出しています。
メルローは中くらいの粒で大きめの房が特徴です。
そして、ブラックベリー、プラムなどの果実と、クローブのようなスパイスな香りを感じられます。
味わいは酸味、タンニンともに穏やかで柔らかい印象があり、力強いカベルネ・ソーヴィニヨンとは対照的です。
サン・ジュリアンの属する原産地ボルドー地方では、単一品種のワインはほとんど造られていません。
カベルネ・ソーヴィニヨンなど他の品種とブレンドされ、柔らかさや上品さを与える役割を担っています。
ブレンドすることによって、サン・ジュリアンのワインの特徴でもある「気品やエレガントさ」をワインに与えています。
カベルネ・フラン
カベルネ・フランは世界で広く栽培されている品種ですが、栽培面積の約7割をフランスが占めています。ボルドー地方が原産地であり、主にブレンド用として栽培されることが多いブドウです。
同じフランスでもロワール地方では、「ブーシェ」「ブルトン」と呼ばれています。
カベルネ・フランの特徴はカベルネ・ソーヴィニヨンと似ていると言われていますが、違いがいくつかあります。
一つ目は、より早熟であること。早熟タイプなので、冷涼なエリアでも完熟することができる品種です。
そして、もう一つは軽やかな味わいであること。程よい酸味とタンニンで、色味も明るめに仕上がります。
サン・ジュリアンの属するボルドー地方ではブレンド用として栽培されていますが、より冷涼な気候を持つロワール地方では主要品種になることもあります。
サン・ジュリアンのワインではブレンドされる割合は少ないものの、欠かせない品種であることは間違いありません。
その他のブドウ品種
上記の他にもサン・ジュリアンのワインでは「コット(マルベック)」「プティ・ヴェルド」「カルメネール」などのブドウ品種が使用されています。そこで、ここからは通販での選び方のポイントと、楽しみ方をご紹介いたします。
ご購入を検討されているお客様は、是非こちらを参考にしてください。
サン・ジュリアンのワインの選び方
サン・ジュリアンはメドック格付けのシャトーがいくつもあり、非常に良質なワインを生産するボルドーの銘醸地です。選び方のポイントとしては、それぞれのシャトーの特徴を比べて、お好みのワインをお選びになるのが良いでしょう。
サン・ジュリアンには11の格付けシャトーがありますので、その中から代表的なものをご紹介いたします。
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ
まず一つ目は、「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」です。メドック各付け第2級の筆頭と称され、品質は第1級ワインにも匹敵するスーパーセカンドとして知られています。
その品質の厳しさで完璧主義者として知られた故ミッシェル・ドゥロン氏の息子、ジャン・ユベール氏によって運営されている有名シャトーです。
かの1級シャトー「シャトー・ラトゥール」に隣接した絶好の位置にあり、最高品質のブドウが育てられています。
ロバート・パーカー氏に「ボルドーでも数少ない毎年無条件で買うことのできる格付けシャトーの1つ」と言わせたほどの実力派ワイン。
他のサン・ジュリアンのワインよりも「腰が強く濃密な味わいを持った長期熟成タイプのワイン」と言われ、高い評価を受け続けています。
ファーストワイン「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」は、ボルドーワイン好きなら一度は飲んでおきたいと言えるクオリティの逸品でしょう。
また、セカンドワインの「ル・プティ・リオン・デュ・マルキ・ド・ラス・カーズ」やサードワインの「テール・デュ・リオン」は手に取りやすい価格帯となっていますので、デイリーユースのワインを探されているお客様にもおすすめです。
シャトー・ブラネール・デュクリュ
そして、二つ目は「シャトー・ブラネール・デュクリュ」。こちらは第4級ですが、そんな過去の格付けは現在では意味を成さないと言われるほど高品質なシャトーとして知られています。
チョコレートやカシスを思わせる、マルゴーの柔らかさとポイヤックの力強さを持ち合わせた、サン・ジュリアンらしいバランスの取れた味わいが特徴的です。
ロバート・パーカー氏はもちろん、ル・クラスマンやヒュー・ジョンソン氏など名立たるオーソリティが高評価をつけました。
そんなシャトー・ブラネール・デュクリュですが、高品質ながらお手頃な価格であることも非常に魅力的なポイントでしょう。
サン・ジュリアンの中でも最もお買い得で、最も安定した品質を持つワインの一つとなっていますので、初めてボルドーワインをお試しいただくお客様にもおすすめです。
シャトー・グリュオ・ラローズ
3つ目は「シャトー・グリュオ・ラローズ」。こちらは第2級に格付けされています。シャトー・グリュオ・ラローズは格付け当時、1級シャトーに継いで最も取引価格が高かったシャトーです。
ラベルの家紋の周りには「王のワインにして、ワインの王」と表記されています。
その表記のとおり、サン・ジュリアンの中でも最も重厚なワインを生産してきたことで知られ、ロバート・パーカー氏からも高評価を得ています。
近年ではより品の良いエレガントなワイン作りが進められ、ファーストワインの「シャトー・グリュオ・ラローズ」はメルロー主体。
一方で、人気のセカンドワイン「サルジェ・ド・グリュオ・ラローズ」ではカベルネ・ソーヴィニョンの比率がより高くなっています。
重厚かつエレガントなバランスの良さは、まさにサン・ジュリアンのワインらしい出来だと言えるでしょう。
サン・ジュリアンのワインの楽しみ方
サン・ジュリアンにある格付けシャトーは、どのシャトーも非の打ちどころのない品質を持ちながら、それぞれ独自性のある素晴らしい味わいのワインを造っています。そのためサン・ジュリアンのシャトー同士で飲み比べても面白いですし、他のメドックやボルドーワインと比べても、サン・ジュリアンの特徴をお楽しみいただけるでしょう
そして、力強く上品な味わいをより楽しむためには、牛肉や羊肉の料理と合わせるのがおすすめです。
生ハムやゴーダチーズともよく合いますので、是非おつまみに選んでみてください。
サン・ジュリアンのワインは全体的に長期熟成タイプのため、高価格帯では10年~15年が飲み頃と言われているワインも多くあります。
ある程度の熟成期間を経て出荷されているため購入直後でも充分お楽しみいただけますが、高級なものはお好みの熟成度合いになるまで寝かせておくのも良いでしょう。
一方で、サン・ジュリアンは比較的お手頃な価格のワインが揃っているため、デイリーワインのチョイスとしても最適です。
人気のセカンドワインやサードワインならさらにお手軽にお楽しみいただけるでしょう。
数々の高品質シャトーを有し、世界中で愛され続けているサン・ジュリアンのワイン。
ワインショップソムリエではその中でも一押しのワインを取り揃えておりますので、是非この機会にご堪能ください。