グラーヴ(ペサック・レオニャン)のワインの特徴と通販での選び方
フランス屈指の銘醸地として知られ、ボルドーのブドウ発祥の地として知られるグラーヴ地区。その中でも特に優れたワインを生み出す地域が「ぺサック・レオニャン」です。この地域には数々の著名なシャトーがあり、非常に良質なボルドーワインが生産されています。
こちらでは、そんなグラーヴ地区、ぺサック・レオニャンのワインの特徴についてご紹介いたします。
ガロンヌ河左岸の全長約50kmに広がる地域で、”ボルドーワイン発祥の地”と言われている地域です。
そしてぺサック・レオニャンは、グラーヴ地区の中でも特に優れたワインを生み出す地域として知られています。
グラーヴ地区はボルドー地方のAOCとして認められており、当初はぺサック・レオニャンもその一部でしたが、品質の高さが認められ1987年に独立したAOCとなりました。
AOC(原産地統制呼称制度)とは、使用するブドウ品種や栽培方法、醸造方法など、その産地の特色を守るための法規制のことです。
さて、グラーヴ地区の特色ですが、まずは「クラーヴ格付け」についてお伝えすべきでしょう。
グラーヴ格付けとは1855年に実施されたメドック格付けから約100年後の1953年に制定された、優れたワインに贈られる格付けです。
クラーヴ地区の赤・白ワインが対象となっており、合計16のシャトーが選ばれています。
メドック格付けは第1級から第5級までの階級があるのですが、グラーヴ格付けには階級が存在しません。
内訳としては、赤ワインのみが格付けされているシャトーが7つ、白ワインのみが3つ、赤・白の両方が6つです。
そして16の格付けシャトーのすべてが「ぺサック・レオニャン」に位置しています。
中でも代表的なシャトーの1つが、かの有名な「シャトー・オー・ブリオン」です。
メドック格付け第1級を冠する「5大シャトー」の一つであり、5大シャトーの中で最もエレガントなワインとして世界中のワイン愛好家に愛されています。
メドック格付けはメドック地区のワインにおける格付けですが、シャトー・オー・ブリオンはその当時知名度が高かったことから例外としてグラーヴ地区から選ばれました。
つまりシャトー・オー・ブリオンはメドック格付けとグラーヴ格付けの両方に選ばれている、ぺサック・レオニャンを代表する偉大なシャトーなのです。
また、その他にもぺサック・レオニャンには、「シャトー・オー・バイイ」「シャトー・ラ・トゥール・オー・ブリオン」などの著名シャトーが名を連ねています。
グラーヴ地区が優れたワインの生産地となっている理由として、ボルドー地方特有の海洋性気候であることが挙げられるでしょう。
ボルドー地方の南に位置することから温暖な気候で、湿度が高いのが特徴的。
フランス語で”砂利”を意味する”グラーヴ”の地名通り、ガロンヌ河によって運ばれた小石や砂利質の土壌となっています。
砂利質であることから水はけが良く、ボルドーワインの主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適しているのです。
そしてぺサック・レオニャンは、グラーヴ地区の中でも特に恵まれた土壌を持っています。
上質なカベルネ・ソーヴィニヨンを主体として造られる赤ワインは、タンニンが豊富でボルドーらしい力強い味わいが特徴的です。
また、白ワインは複雑でふくよかな味わいに上品さが感じられ、長期熟成に耐えうるワインが多く造られています。
こちらでは、それぞれのブドウ品種の特徴を見ていきましょう。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンは世界で最も人気の高い黒ブドウ品種で、栽培面積は世界第一位を誇ります。病害への抵抗力が強いなどの長所を持ち、どの産地でも良質なワインが造られるポテンシャルの高さがあることから、世界中で広く栽培されている品種です。
原産地はフランス・ボルドー地方で、グラーヴ(ぺサック・レオニャン)でも良質な赤ワインの主要品種として使用されています。
小さな粒と分厚い果皮を持つカベルネ・ソーヴィニヨンは、ワインに仕上がると色調が濃く、力強い味わいになります。
また、タンニンが豊富でしっかりとした骨格があり、カシスといった黒い果実系の香りやミントやピーマンの香りが特徴的です。
傾向としては、重厚で力強さがありつつ上品さを兼ね備えたワインと表現できるでしょう。
原産地のボルドー地方では、カベルネ・ソーヴィニヨン100%のワインが造られることはほとんどなく、他の品種とブレンドして造られています。
グラーヴ地区でも同様に、メルローやカベルネ・フランとブレンドして味わいのバランスを取るのが一般的です。
グラーヴ(ぺサック・レオニャン)ではカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした赤ワインが多く、ワインに”豊富なタンニン”と”力強さ”をもたらしています。
メルロー
メルローは、カベルネ・ソーヴィニヨン同様に世界で人気のある黒ブドウ品種です。環境への適応力が高い品種として知られており、世界各国の良質なワインの原料となっています。
メルローは早熟タイプであることが特徴の一つで、糖が上がりやすいことから濃密な果実味のあるワインに仕上がります。
また、タンニンは柔らかく、酸味も穏やかなため、まろやかでソフトな印象を持つブドウ品種だと言えるでしょう。
ボルドー地方では、メルローだけを使用した単一品種のワインが造られることはほとんどありません。
それはグラーヴ地区でも同様で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローを主体としながら、他の品種とブレンドされたワインが生産されています。
グラーヴ(ぺサック・レオニャン)でメルローを主要品種として使用しているワインでは、この品種の特徴でもある「豊富な果実味」が表現されています。
ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランはボルドー地方が原産の白ブドウ品種で、栽培面積は世界第8位です。「ブラン・フュメ」「ムスカット・シルヴァーナー」など、国によって異なる名前を持っています。
小さい房と小さい果実を持ち、早熟タイプとして知られるソーヴィニヨン・ブラン。
フレッシュな酸味といきいきとした果実味が特徴で、”爽やか”という言葉がぴったりな品種です。
酸味が特質の品種ということもあり、冷涼なエリアでの栽培が適しています。
ボルドーワインと言うと赤ワインが有名ですが、白ワインも良質なものが造られています。
特にグラーヴ(ぺサック・レオニャン)は、優秀な品質の白ワインの産地として名高いエリアです。
ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンを主要品種とした白ワインが多く造られており、ソーヴィニヨン・ブランは「フレッシュな酸味」や「爽やかさ」を与えています。
セミヨン
セミヨンは、ソーヴィニヨン・ブランと同じくボルドー地方原産の白ブドウ品種です。大きめの房と明るめの黄緑色の果皮が特徴で、早熟タイプの品種として知られています。
病害に強いという長所を持つことから栽培しやすく、安定した収穫量を期待できます。
穏やかな酸味と果実味が特徴の品種のため、ソーヴィニヨン・ブランとは対照的で落ち着いた印象です。
また、長期熟成に適したブドウということもあり、熟成させるとコクのある味わいに変化していきます。
グラーヴ地区では、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンをブレンドした良質な辛口の白ワインが有名です。
ブレンドされることによってお互いの特徴が表現され、爽やかでコクのある長期熟成タイプのワインが造られています。
その他のブドウ品種
上記で紹介した品種の他にも、グラーヴぺサック・レオニャンのワインには「ミュスカデル」「プティ・ヴェルド」「マルベック」など様々な品種が使用されています。これらの品種はブレンドの際に数%の割合で使用されており、補助的な役割を担う事が多いです。
そこでこちらでは、グラーヴ地区そしてぺサック・レオニャンのワインを通販で購入する際の、選び方や楽しみ方についてご紹介いたします。
グラーヴ(ペサック・レオニャン)のワインの選び方
グラーヴ(ぺサック・レオニャン)は独自のAOCや格付けが存在し、良質な赤ワインと白ワインが生産されている銘醸地です。グラーヴ地区の赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが主要品種として使用されていることから、しっかりとしたタンニンと豊かな果実味があります。
そのためボルドーの赤ワイン特有の、力強い味わいがお好みの方におすすめです。
また、グラーヴ地区の白ワインはソーヴィニヨン・ブランとセミヨンが主要品種として使用されることが多く、複雑かつ上品さを感じる味わいとなっています。
こちらのエリアは特に良質な辛口白ワインの産地としても知られているため、辛口の白をお探しの方にもおすすめです。
選び方としては、格付けシャトーかどうかで選ぶのもわかりやすい良いでしょう。
その一方でぺサック・レオニャンは格付けシャトーの他にも数々の優良シャトーを擁する、ボルドーきっての銘醸地でもあります。
ここでは代表的なシャトーをいくつかご紹介しますので、是非こちらを参考にお選びいただけましたら幸いです。
シャトー・ダリコー
「シャトー・ダリコー」は、グラーヴ地区の中心部に位置するプティ・シャトー(家族経営など小規模なシャトーのこと)です。1794年にヨアヒム・デ・チャルップ氏が土地を購入し、ブドウ栽培を始めたことがこちらのシャトーの始まりなので、200年以上という古い歴史があります。
グラーヴ地区のテロワール(土壌や気候などブドウ畑を取り巻く自然環境)の個性を活かすために、できる限り自然に近い環境でワイン造りを行っています。
赤ワインに使用されている品種は、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンが主体で、プティ・ヴェルドが数%ほど。
ブラックベリーなどの果実や、スパイスの香りが感じられ、複雑でパワフルな味わいが特徴的です。
また、白ワインはセミヨンが主体で、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドされています。
輝くレモンイエローの色調に、グレープフルーツといった爽やかな香りが特徴的です。
豊かなミネラル感とバランスの良い果実味、酸味があり、エレガントな味わいとなっています。
シャトー・ラリヴェ・オー・ブリオン
「シャトー・ラリヴェ・オー・ブリオン」は、14世紀まで遡ることができる長い歴史を持つシャトーです。美しい景観を持つシャトーとしても知られており、かの有名な「シャトー・オー・バイィ」に隣接した恵まれたテロワールが特徴です。
シャトー・ラリヴェ・オー・ブリオンは長い歴史の中で何度か所有者が変わり、一時期は畑の手入れが十分に行われず低迷していました。
しかし、フィリップ・ジェルヴォゾン氏が新たな所有者となったこと、さらに著名コンサルタントのミッシェル・ロラン氏が招かれた結果、品質が向上し見事な復活を遂げます。
劇的な復活を遂げてから評価が高まり、有名ワイン評論家のロバート・パーカー氏からは、「シャトー・ラリヴェ・オー・ブリオンは途方もなく向上する可能性を秘めている」と称されるほど。
そんなシャトー・ラリヴェ・オー・ブリオンで造られる赤ワインは、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンが主体となっています。
豊かな果実味とほどよいタンニンを感じられ、まろやかな味わいが特徴ですので、赤ワインを飲み慣れていない方にもおすすめです。
また、白ワインは辛口で、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルの3種のブドウが使用されています。
豊かな果実のアロマが特徴的な上品な味わいのワインですので、高品質な辛口白ワインをお探しの方に是非お試しいただきたいです。
シャトー・ド・フューザル
「シャトー・ド・フューザル」は300年の歴史を誇るシャトーで、”ボルドーワイン発祥の地”として知られています。それほどまでに長い歴史があるにも関わらず、これまであまり目立つ存在ではありませんでした。
しかし、ジェラール・グリブラン氏が新たに経営を引き継ぎ、設備の改修や生産管理を熱心に行うようになってから評価が高まってきています。
シャトー・ド・フューザルは赤・白ワインを生産していますが、赤ワインだけがグラーヴ格付けに入っています。
赤ワインは凝縮された果実味に豊かな香りを感じられ、優雅な味わいが特徴的です。
また、白ワインは格付けには入っていないものの、ボルドーで生産される白ワインの中でもトップクラスの出来だと評価されています。
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ
「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」はぺサック・レオニャンのトップシャトーの一つで、畑を取り囲む森林が大きな特徴です。温室効果があることからブドウの熟成には良いですが、空気の循環を妨げるというデメリットがあり、森林を伐採したり、暖房設備を取り付けるなどの対策をとっています。
丁寧に育てられたブドウは手摘みで収穫され、厳しい選別が3回も行われるという徹底ぶり。
”良いワインは良いブドウから”という哲学のもと、こだわり抜かれた高品質なワインが造られています。
ドメーヌ・ド・シュヴァリエは赤・白ワインともにグラーヴ格付けに入っていますが、特に白ワインは生産量が少なく、希少価値が高い逸品です。
また、赤・白どちらも晩熟タイプであることが特徴で、最高の味わいに開くまで10年以上は要するとも言われています。
シャトー・スミス・オー・ラフィット
「シャトー・スミス・オー・ラフィット」は、1365年にはブドウ造りが行われていたという歴史のあるシャトーです。長い歴史の中で所有者が何度か変わり、現オーナーであるダニエル・カティアール師に売却されてから劇的に品質が向上したことで注目を集めています。
シャトー・スミス・オー・ラフィットは、赤・白ともに良質なものが造られており、どちらも高い評価を受けています。
その一つでもあるのが、著名ワイン評論家ロバート・パーカー氏からの評価です。 「ぺサック・レオニャンの最上のワインの一つ」とまで言われており、確かな品質と実力があることがうかがえます。
赤・白ともに豊かなアロマを感じられ、エレガントさと複雑さを兼ね備えた味わいが特徴的です。
シャトー・パプ・クレマン
「シャトー・パプ・クレマン」はボルドーで最も古い歴史を誇るシャトーで、5大シャトーの一つ「シャトー・オー・ブリオン」から数km距離に位置しています。聖職者であったベルトラン・ド・ゴは領地として与えられた畑でワイン造りを行っており、その後法王クレマン五世になりました。
シャトー名のパプ・クレマンは、”法王クレマン”が由来しています。
シャトー・パプ・クレマンの特徴は、極度に軽い砂利質の土壌であることでしょう。
また、メルローの比率が多いことから比較的若いうちから楽しめ、さらに良年には長期熟成に耐えられるワインもあるとされています。
複雑さとエレガントが特徴的な赤ワインはグラーヴ格付けに選ばれており、その実力は折り紙付きです。
ワイン評論家ロバート・パーカー氏も「シャトー・オー・ブリオンに肩を並べるほどになってきている」と高い評価を与えました。
シャトー・マラルティック・ラグラヴィエール
「シャトー・マラルティック・ラグラヴィエール」はグラーヴの南部に位置するシャトーで、200年以上という長い歴史を誇ります。赤・白ともに良質なものが生産されており、どちらもグラーヴ格付け認定を受けている実力派のシャトーです。
シャトー・マラルティック・ラグラヴィエールの赤ワインに使用されているブドウ品種は、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランの3種類。
重みがあるわけではなくすっきりとした風味と、豊かな果実味が特徴的で、長い余韻が楽しめます。
グラーヴ(ペサック・レオニャン)のワインの楽しみ方
グラーヴ(ぺサック・レオニャン)のワインの特徴は、赤・白ともに長期熟成に向いていることです。中には上記でご紹介した「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」のように、味わいが開くまで10年以上要すると言われているものあります。
そのためヴィンテージによっては、購入後すぐに開栓せずに、お好みの味わいになるまで寝かせるという楽しみ方も出来るでしょう。
格付けシャトーや優良シャトーを数多く擁する銘醸地ですので、グラーヴ地区のシャトー同士で飲み比べてみるのもおすすめです。
また、ボルドーのその他のワインと比較することで、よりグラーヴ(ぺサック・レオニャン)の特徴を感じることができるでしょう。
また、比較するのであれば是非、他地域の白ワインと比べてみてください。
赤ワインのイメージが強いボルドーですが、クラーヴ地区だけは特別で、古くから白ワインの銘醸地として名を馳せています。
次に、お食事との相性はどうでしょうか。
グラーヴ地区の赤ワインは、しっかりとしたタンニンと力強い味わいが特徴的です。
そのため牛肉のステーキやビーフシチューなどのお肉料理全般や、濃い味付けのお料理とも合わせられます。
白ワインは辛口が有名で、全体的な傾向としては複雑で上品な味わいのものが多いでしょう。
チキンソテーや鯛のカルパッチョなど幅広い料理とお楽しみいただける他、特に生牡蠣や蒸し牡蠣とのマリアージュは抜群です。
また、グラーヴ格付けワインでしたら、誕生日や記念日など特別なシーンに使用するのも良いでしょう。
赤・白ともに良質なものが多く、ワイン通も注目している産地の1つですので、ワイン好きな方への贈り物としてもおすすめです。
かの偉大な5大シャトーの1つであるオー・ブリオンをはじめ、数多くの優良シャトーを有するグラーヴ(ぺサック・レオニャン)。
ワインショップソムリエではその中でも選りすぐりのワインをご用意しておりますので、是非この機会にご堪能されてみてはいかがでしょか。
タイプで絞り込む
赤ワイン
白ワイン
泡(シャンパン)