サン・テミリオンの特徴と通販での選び方
ボルドー右岸のワイン銘醸地、サン・テミリオン。まろやかかつ繊細、そして果実味溢れる赤ワインが特に人気の産地です。
こちらでは、サン・テミリオンのワインの特徴や通販での選び方について解説していきます。
有数のワイン銘醸地として知られているサン・テミリオンですが、ローマ時代から続く歴史的な街並が評価され、世界遺産の街としても有名です。
サン・テミリオン地区の土壌組成は非常に複雑なため、ひと言で語ることはできません。
「石灰岩系のコートと呼ばれる丘陵地帯」「石灰質な粘土、砂で構成されているグラーヴ」「ポムロールに近い部分の土壌組成」など、複雑でユニークな土壌を見ることができます。
気候風土は「海洋性気候」ですが、ボルドーの中では内陸に位置することから「大陸性気候」の影響も受けています。
また、サン・テミリオン地区北部には、「サン・テミリオン衛星地区」と呼ばれる4つの原産地呼称(AOC)が存在しており、粘土石灰質な土壌からボリュームある力強い赤ワインが生み出されています。
「AOC」とは、その地域特有のブドウ品種、栽培方法、醸造スタイル、地名表示を守るためにある法のことです。
さて、そんなサン・テミリオン地区は、ボルドーの「右岸」に分類されます。
そしてサン・テミリオン地区はボルドーの「右岸」を代表する生産規模を誇る産地です。
サン・テミリオンを含む右岸のワインは「年代が若いワインでも渋過ぎず飲みやすい」傾向で、長期熟成を経たワインより「丸み、繊細さ、複雑さ」が際立つ素晴らしい品質のものも存在しています。
ワインのプロフェッショナルから初心者の方まで、幅広い方々が楽しめるワイン産地ともいえるでしょう。
ボルドーの左岸には「メドックの格付け」「グラーヴの格付け」といった世界的に有名な格付けがありますが、右岸の「サン・テミリオン」にも同様の格付けが存在しています。
この格付けは1954年に政令ではじめて公布されたもので、現在も残っています。
メドックやグラーヴなどの格付けは特例を除き階級の入れ替えなどはありませんが、サン・テミリオンは10年に一度その格付けが見直される様式です。
・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA
・プルミエ・グラン・クリュ・クラッセB
・グラン・クリュ・クラッセ
と、上記の3つの階級があり、2012年時点での格付けシャトー数は下記のとおりです。
・「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA」が4シャトー
・「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセB」が14シャトー
・「グラン・クリュ・クラッセ」は64シャトー
そしてこの格付けは、左岸の格付けに比べて、「今、本当に美味しいワイン」が分かる消費者に優しい格付けになっています。
過去には、選出方法に問題があり何度か改訂が出される、といった波乱に満ちた格付けでもありましたが、現在は落ち着きを取り戻しており、信頼できる格付けです。
どのワインを選べばいいか迷った時は「サン・テミリオンの格付けシャトー」のワインであれば、安心して購入できるでしょう。
一部、「ソーヴィニヨン・ブラン」「セミヨン」「ソーヴィニヨン・グリ」といった白ブドウ品種も栽培されていますが、ここではサン・テミリオンで栽培されている主要の黒ブドウ品種をご紹介いたします。
メルロー
「メルロー」は、サン・テミリオン地区はもちろん、「ポムロール地区」「フロンサック地区」など、ボルドー右岸全体の主要品種と言っても過言ではない黒ブドウ品種です。右岸は左岸と比べて、粘土質の多い土壌となっているため、保水性が高く土壌温度が低いためメルローの栽培に向いています。
「ストロベリー、赤スグリ、スパイス」の香りに、まろやかで芳醇なワインを生み出します。
サン・テミリオンは粘土質土壌が主体ですが、ほかにもさまざまな土壌もあるため、「凝縮感のある力強いメルロー」「繊細で渋みの穏やかなメルロー」など、同じ産地でも個性の違うものが収穫されています。
カベルネ・フラン
「カベルネ・フラン」は、ロワール地方で多く使用されている黒ブドウ品種です。サン・テミリオンでも「メルロー」と並ぶほど主要な品種として重宝されており、「メルロー」とのブレンドに多く使われています。
左岸地区では、天候不良の年などに仕込む赤ワインの調整役として「カベルネ・フラン」が使われることがありますが、「サン・テミリオン」ではブレンドでかなりの割合を占めるほど使われます。
「粘土質土壌」「やや大陸性気候の影響を受ける気候風土」「樹齢の高いカベルネ・フランの樹が多く残る」など、品質の高い「カベルネ・フラン」が収穫できるところもポイントでしょう。
「イチゴ、赤系果実、ハーブ、スミレ」を思わせる香りに、繊細な渋みと柔らかな飲み心地はメルローとの相性抜群です。
「カベルネ・フラン」をどの程度ブレンドしているか、というのもサン・テミリオンのワインを探す際の楽しみになります。。
ここでは、サン・テミリオンのワインを通販で購入する際のポイントや楽しみ方をお伝えしていきます。
サン・テミリオンの選び方
サン・テミリオンのワインを選ぶ際ですが、まず産地を選ぶところから始めてみましょう。サン・テミリオンには、原産地呼称であるAOCがいくつかあります。
まず、「AOCサン・テミリオン」は力強く果実が凝縮した印象を受けるワインが多く、なめらかでふくよかな味わいが特徴的です。
「AOCサン・ジョルジュ・サン・テミリオン」はフルーティーで核のある果実の風味、スパイシーさが特徴です。
やや渋みが強いものが多く、長期熟成を経た素晴らしいワインとなっています。
「AOCピュイスガン・サン・テミリオン」は、「プラム、木イチゴ、イチジク、黒スグリ」といった複雑な香りと、心落ち着かせる風味が特徴的です。
渋みはしっかりとしているのですが、ふくよかで重たさをそこまで感じさせないという特徴もポイントでしょう。
「AOCモンターニュ・サン・テミリオン」は、「チェリー、黒いベリー、深みのあるベリー系」の風味が特徴的です。
非常にエレガントでボリューム感がある、ゴージャスな印象のワインとなっています。
最後に「AOCサン・テミリオン グラン・クリュ」ですが「赤いベリー、イチジク、バラやアーモンド」など、サン・テミリオンという土地の理想を詰め込んだ素晴らしい赤ワインです。
骨格がしっかりとしており、若いときは飲みにくさも多少ありますが、熟成するにつれて味わいが緻密になり、複雑性のある素晴らしいワインへと生まれ変わっていきます。
また、サン・テミリオンのワインをお楽しみになるなら、年代に注目して購入するのもよいでしょう。
ワインのラベルにはブドウの収穫年が記載されていますが、これを「ヴィンテージ」と呼びます。
新酒を除き、サン・テミリオンなど一般的な赤ワインは、最低でも収穫年から2年後に市販されているため、もっとも若いヴィンテージは2年前のものとなります。
サン・テミリオンはボルドー地方の赤ワインという事もあり、力強さがある一方で、渋みがまだ強い若いワインも多くあります。
しかしながら生産者によって醸造の哲学は異なっており、中には若くてもフレッシュで飲みやすいものもあるため、ご自身に合った最適な1本を探してみるのも楽しいでしょう。
全体的にサン・テミリオンの赤ワインは5年、10年、20年と長期熟成にも耐える素晴らしいワインが多く、年代が古くなると渋みが柔らかくなり、緻密で複雑な味わいになっていきます。
フレッシュさを残す素晴らしいワインもありますが、香りもいくぶん落ち着き「草、タバコ、なめし革、下草、鉛筆の芯」など、若い頃には感じられなかった風味を楽しめるでしょう。
このように、サン・テミリオンのワインを選ぶ際は格付けだけでなく、産地や年代から選んでみるのがおすすめです。
サン・テミリオンの楽しみ方
サン・テミリオンの赤ワインは、「赤い果実、煮詰めたジャム、イチジク、ハーブ、スパイス」など、さまざまな風味を持っています。渋みもボルドー左岸の赤ワインに比べると強過ぎず、なめらかでふくよかな味わいですので、単体でお飲みいただいても十分に美味しくいただくことができます。
大切な方とゆっくりと食後に語らう時にグラスを傾けたり、お気に入りの映画やドラマを見ながらワインを楽しまれるのも良いでしょう。
サン・テミリオンのお供にするのであれば、ブルーチーズなどがおすすめです。
濃厚さと個性のあるブルーチーズの風味によって、サン・テミリオンのワインをすっきりとさせてくれるので、ゴクゴクと飲めてしまいます。
また、サン・テミリオンのワインは食事にもとても合わせやすいので、普段の食卓からパーティーなどに活用するのもまた良いでしょう。
「赤身のお肉を使ったステーキ、ハーブを使用したローストチキン、ローストポーク、トマトで煮込んだ肉料理」など幅広い肉料理と、サン・テミリオンのワインは絶妙にマッチします。
和食であれば、「こってりと煮込んだすき焼き、タレの焼き鳥、ブリの照焼き」といった、ワインの色合いと近い濃い味のお料理と相性良くお飲みいただけます。
さらに、チョコレートブラウニーといった味わいの濃いチョコレートスイーツとの相性も良いので、食後のデザートと合わせるという楽しみ方もオシャレでしょう。
「AOCサン・テミリオン グラン・クリュ」などは、世界的にも人気の高い高級ワインです。そのため「大切な方へのプレゼント」「重要なパーティーや会食での提供する」といった振る舞い方をしても大変喜ばれます。
このように、サン・テミリオンのワインは日常使いからお祝いの席まで、幅広いシーンで活用することができるワインだといえるでしょう。
また、5大シャトーなどの超有名ワインを有するボルドー左岸のワインと飲み比べてみるのも、楽しみ方のひとつです。
ボルドー右岸を代表する産地サン・テミリオンが生み出すさまざまなワインを、ぜひ日常に取り入れて楽しんでみてはいかがでしょうか。
タイプで絞り込む
赤ワイン
白ワイン
泡(シャンパン)