1933年の禁酒法の廃止後、1960年代頃から本格的なワイナリーができ始めたと言われています。
最新の醸造設備を兼ね備えた大手ワイナリーをはじめ、個性的なワインを生み出すブティックワイナリーや、1本10万円を超えるカルトワインを生み出す有名生産者など、多種多様な造り手が存在しています。
アメリカワイン最大の特徴は、国全体の9割近くをカリフォルニア州で生産しているところです。
西海岸を代表する地域であるカリフォルニアは、日中と夜間の温度差が大きく、地中海性気候であることからブドウ栽培に適した地として知られています。
南北およそ1000kmに広がっているワイン産地には、2,800を超える土壌が存在し、多種多様な個性を持ったブドウが生まれているところも魅力の1つです。
その他には、オレゴン州やワシントン州、ニューヨーク州などでもワインが造られており、近年高品質なワインが多く見受けられるようになってきました。
「アメリカワインと言えば、カリフォルニア」という構図は今もなお変わっていませんが、今後は新たな州で造られるワインにも注目が集まっていくでしょう。
味の特徴
アメリカワインは、全体的にフルーティーな果実味に溢れた、ボリューム感の強いものが多い傾向にあります。フランスの、
・ボルドー
・ブルゴーニュ
・コート・デュ・ローヌ
・シャンパーニュ
などを思わせるブドウ品種を使用しているのが特徴ですが、フランスより温暖なアメリカだけに、糖分がしっかりとしたブドウが収穫されています。
そのため、同じブドウ品種でもアルコール度数がやや高く、さらに充実した果実の凝縮感が楽しめるカジュアルなワインになります。
アメリカの赤ワイン
アメリカの赤ワインは、ブラックチェリーやカシスのような香りと味わい、まろやかな口当たりで、タンニン(渋み成分)も強過ぎない飲みやすいものが多い傾向にあります。カベルネ・ソーヴィニヨンがもっとも多く栽培されている品種で、樽を利かせたどっしりとした味わいのフルボディタイプの赤ワインが楽しめます。
フランスは、カリフォルニアに比べて涼しい気候のため、果実味が少なく、繊細で複雑性のある赤ワインが多い傾向にあります。
さらに、樽も古樽を利用して樽香をあえてつけない生産者も少なくありません。
一方、アメリカワインは果実味がしっかりと乗り、樽も新樽のフレンチオーク、またはウイスキーに使用されているアメリカンオークで熟成させることが多いため、どっしりとしたボリューム感のあるワインに仕上がります。
ただし、これらはアメリカの赤ワイン全体的な味わいの特徴であり、中にはフランスワインを思わせるようなエレガントで複雑性のあるワインを生み出す生産者も数多く存在しています。
アメリカワインにもさまざまなタイプの赤ワインがありますので、ぜひいろいろとお試しください。
アメリカの白ワイン
アメリカの白ワインは、「シャルドネ」や「ソーヴィニヨン・ブラン」を樽熟成させたものが多く、クリーミーなヴァニラを思わせる風味を感じるものも多くあります。パイナップルやトロピカルフルーツなど、南国の果実の風味を楽しめるボリューミーな味わいが多い傾向にあります。
フランス北部の白ワインの場合、涼しく石灰質土壌だったりするので、ミネラル感と骨格、酸のしっかりとした白ワインが多く見受けられます。
一方、フランス南部は地中海性気候のため、温暖かつ雨が少ない乾燥地帯なので、トロピカルフルーツを思わせる風味を持つ白ワインが生まれます。
そのため、アメリカの白ワインは比較的フランス南部の白ワインに近いものが多いと覚えておくと良いでしょう。
とはいえ、アメリカワインは、「トレンドに敏感」です。
近年、世界的にクールクライメットと呼ばれている「涼しいな気候でのブドウ栽培」が盛んです。
カリフォルニアやオレゴンなどでは、より涼しい気候を目指してブドウ栽培が行われています。
涼しい産地で育つブドウは糖度がそこまで上がりませんが、酸とポリフェノール量のバランスが良く、繊細かつエレガントな味わいのワインを生み出します。
アメリカにはボリューム感を楽しめるワインだけではありません。
こういったトレンドを踏襲しているワイナリーも多く、白い花やフルーティーな風味と、複雑性のあるピュアで繊細な味わいのワインにも出会えます。
アメリカワインに使われているブドウ品種
アメリカワインは、ヨーロッパで栽培されている国際品種を多く使用しています。その代表的なブドウ品種をご紹介していきます。
カベルネ・ソーヴィニヨン
アメリカの西部太平洋岸でもっとも栽培量が多い品種が、「カベルネ・ソーヴィニヨン」です。ボルドー原産の黒ブドウであり、アメリカの温暖な気候に適しているとされ、数多くの赤ワインがこの品種が造られています。
シャルドネ
アメリカを代表する白ブドウ品種が、「シャルドネ」です。糖度が高いシャルドネを収穫できることから、樽で香りづけされたものだけでなく、ステンレスタンクで熟成させられた、フレッシュなタイプの白ワインも見受けられます。
近年では、スパークリングワイン用としても使用されています。
ピノ・ノワール
カリフォルニアの涼しい産地やオレゴン州で栽培されているのが、ブルゴーニュ地方の主要品種「ピノ・ノワール」です。涼しい気候を好む、非常にデリケートな品種と言われてるピノ・ノワールですが、オレゴン州などの涼しい気候や土壌、生産者の熱意によって成功を収め始めています。
ジンファンデル
アメリカを代表する黒ブドウの1つが、「ジンファンデル」です。イタリアのプーリア州では「プリミティーヴォ」という品種と呼ばれており、カリフォルニアの気候に合ったことから、今もなお多く栽培されています。
甘口のロゼワインから、辛口のフルボディの赤ワインまで、幅広いワインを生み出します。