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「クリュッグ」はシャンパーニュ地方を代表する観光都市ランスに位置する、著名シャンパーニュメゾンです。
6代にわたって受け継がれている小規模なメゾン（製造者）ではありますが、生みだされる高品質なワインは世界的に評価が高く、多くの愛好家の心を掴んでいます。
中には「クリュッグのシャンパンしか飲まない」という愛好家も存在し、そのような人を指す”クリュギスト”という言葉も生まれているほどです。

それでは、クリュッグの歴史について見ていきましょう。
クリュッグの始まりは1843年、ドイツ出身のヨハン・ヨーゼフ・クリュッグ氏によって設立されました。
「最高のシャンパーニュのためなら努力を惜しまない」という彼の哲学や、伝統的な製法は6代目になった現在でも変わることなく受け継がれています。

ヨハン・ヨーゼフ・クリュッグ氏の亡き後、メゾンを引き継いだのは息子であるポール・クリュッグ1世。
1840年半ばから1860年半ばにかけて輸出量が増えたことによって売上も増加しましたが、ポール・クリュッグ1世は品質の高さで地位を確立できるように努めました。
その結果、1903年にイギリス王室御用達のシャンパーニュメゾンとして認定を受けます。 創業者ヨハン・ヨーゼフ・クリュッグ氏の考えや、伝統的な方法を守り続けて造られたシャンパーニュが世界で認められた証とも言えるでしょう。

その後メゾンは何代にもわたって受け継がれ、6代目にオリヴィエ・クリュッグ氏が当主となりました。
現在はLVMH（モエヘネシー・ルイヴィトン）グループの傘下に入っていますが、受け継がれてきた伝統製法は変わらずに、最高級のシャンパーニュが造られています。

そして特徴についてですが、一番に挙げられるのは伝統的な独自の製法でしょう。
クリュッグは一次発酵を“205リットルのオーク樽”で行っている唯一のメゾンです。
このオーク樽は新しいものではなく3年目のものから使用しているのですが、新しい樽を使用しない理由は、新しい樽特有の香りや渋みをシャンパーニュの味わいに反映させないようにするためです。
樽は30年以上もの長い間使用されているものもあり、常駐している専属の樽職人が手間をかけて丁寧にメンテナンスし、長い間使用できる樽を維持しています。

原料となるブドウはそれぞれの区画の特徴を活かすため、収穫後は区画ごとに樽を分けて熟成が行われます。
味わいの要となるリザーヴワイン（ブレンド用のワイン）は、10年から15年にわたるものを使用。
150～200種類にも及ぶリザーヴワインをブレンドし、さらに6年もの長い間熟成されることによって比類なき深い味わいが生まれているのです。
創業当初からシャンパン造りに対する考え方や、伝統的な製法が忠実に守られ、現在も芸術とも言える品質のシャンパーニュが造られています。

続いて、クリュッグのシャンパーニュのラインナップをいくつかご紹介いたします。

■グランド・キュヴェ
代表格である「グランド・キュヴェ」は、このメゾンのスタンダードなシャンパーニュです。
6年から10年にわたる多くのワインがブレンドされており、スタンダードと言っても別格の品質を誇ります。
最低でも6年の熟成期間を経ていることから、力強さと複雑さを併せ持ち、上品で繊細な味わいが特徴です。

■クロ・デュ・メニル・ブラン・ド・ブラン
「クロ・デュ・メニル」は、クロ（石垣）に囲まれた小さな区画で栽培される、シャルドネだけを使用して造られているシャンパーニュです。
最大の特徴とも言えるのは、いくつかの畑で造られたワインをブレンドしているのではなく、単一の畑のシャルドネを使用していることでしょう。
単一品種で造られていることから、複雑なアロマと繊細さが味わいに表れています。
年間生産量が12,000本程度と非常に少ないことも特徴の一つで、非常に希少性の高い逸品です。

■クロ・ダンボネ
「クロ・ダンボネ」は、アンボネ村のグラン・クリュで栽培されているピノ・ノワール100％のシャンパーニュです。
わずか0.6haほどの畑から造られており、こちらもクロ・デュ・メニル同様に非常に希少性が高くなっています。
圧倒的な存在感があるクロ・ダンボネは、優雅な味わいと長い余韻が続くことが特徴です。
このメゾンの中でも特に高価で、その価格は1本数十万円となっています。

クリュッグは高級シャンパーニュの代表的存在でもありますが、その理由は高い品質だけではなく、生産量にも関係するでしょう。
手間をかけて造られていることから年間生産量50万本と少なく、非常に希少性が高いです。
そのため、価格は高価になりますが、卓越した品質と深い味わいが世界に認められ、多くの愛好家や評論家から愛されています。

クリュッグで主に使用されているブドウ品種は、「ピノ・ノワール」「シャルドネ」の2種類です。
所有するブドウ畑はモンターニュ・ド・ランス地区のアンボネ村や、コート・デ・ブラン地区のメニル・シュール・オジェ村などのグラン・クリュ（特級畑）で、現在の総面積は約33haとなっています。
ここからは、それぞれのブドウ品種の特徴を見ていきましょう。

ピノ・ノワール

「ピノ・ノワール」は世界的に人気の高い黒ブドウ品種の一つで、世界で広く栽培されています。
原産地であるブルゴーニュ地方では、4世紀には栽培されていた記録が残っている非常に古い品種です。

小ぶりの粒と薄めの果皮を持ち、明るめで鮮やかな色調のワインに仕上がります。
チェリーといった小さい果実や、キノコ、皮製品など複雑なアロマがあり、少なめのタンニンと心地よい酸味の繊細でエレガントな味わいが特徴的です。
また、ピノ・ノワールを使用したワインは、なめらかなでシルクのような口当たりと表現することができます。

ピノ・ノワールはシャンパーニュ地方などの例外を除いて、単一品種で造られることが原則です。
単一品種で造られることからテロワール（ブドウ畑を取り巻く自然環境）の個性が出やすく、同じ産地でも異なった味わいを楽しむことができます。
クリュッグのラインナップの一つ「クロ・ダンボネ」もピノ・ノワール100％で造られており、繊細な味わいとエレガントさをもたらしています。

シャルドネ

「シャルドネ」は最も有名な白ブドウ品種の一つで、白ブドウ品種の中では栽培面積世界2位を誇ります。
原産地であるブルゴーニュ地方以外にも、様々な国で栽培されている人気の高いブドウです。

比較的小ぶりな粒で薄めの果皮を持ち、早熟タイプのため冷涼な産地にも適しています。
突出した個性がないブドウとして知られていますが、その分栽培されている産地のテロワールや、醸造方法などによって異なる味わいになることが特徴です。
ブドウ自体の個性はあまり目立たないものの、果実味や酸味をもたらし、良質なワインが造られています。

クリュッグが拠点を構えるシャンパーニュ地方では、最高峰のシャンパーニュの原料となるシャルドネ。
ラインナップの一つ「クロ・デュ・メニル」は単一品種で造られており、芳醇なアロマと優雅さが味わいに表れています。

その他の品種

上記でご紹介した品種の他にも、「ピノ・ムニエ」などのブドウ品種が使用されています。

ここからは、クリュッグを通販で購入する際の選び方をご紹介いたします。
楽しみ方も併せてご紹介しますので、購入を検討されている方は是非こちらを参考にお選びください。

クリュッグの選び方

クリュッグのシャンパーニュで使用されている「ピノ・ノワール」「シャルドネ」は、単一品種で造られていることから、テロワールや生産者が採用する醸造方法によって味わいに違いが出やすい品種です。
そこで、使用されているブドウ品種による味わいの違いに注目し、その中からお好みのシャンパーニュを選ぶと良いでしょう。

まずは、シャルドネのみを使用している「クロ・デュ・メニル・ブラン・ド・ブラン」。 長く続く余韻が特徴的で、シャルドネの特徴でもある繊細さが表れている逸品です。
シャルドネ特有の繊細な味わいがお好み方、ブラン・ド・ブラン（白ブドウのみを使用して造られたスパークリングワイン）をお探しの方におすすめです。

そして、ピノ・ノワールのみを使用している「クロ・ダンボネ」。
アンボネ村の小さな区画で育てられたシャルドネが使用されており、優雅で深い味わいが楽しめます。
ピノ・ノワールの味わいがお好みの方に是非おすすめしたい逸品です。

クリュッグはイギリス王室御用達、有名ワイン評論家ロバート・パーカー氏から高い評価を受けています。
世界から認められるシャンパーニュを生みだすメゾンとだけあって、その卓越した品質は間違いありません。
そのため、上級者の方はもちろん、シャンパーニュを初めて購入するという方にも是非ご堪能していただきたいです。

手間をかけて行われる製法であることや、限られたブドウを使用して造られることから生産量が少なく、非常に希少性が高いです。
世界的に著名なメゾンということもあり、ワインショップソムリエでも貴重な入荷となりますので、入荷された際はお早めの購入をおすすめいたします。

クリュッグの楽しみ方

クリュッグのシャンパーニュの特徴でもあるのが、長い期間行われる熟成です。
6年にも及ぶ長期間の熟成を経ているので、購入後にすぐに開栓してお飲みいただいても十分に深い味わいをお楽しみいただけます。
熟成された深い味わいがお好みのお客様には、是非おすすめしたいメゾンです。

また、他のメゾンのシャンパーニュと飲み比べはいかがでしょうか。
同じブドウ品種を使用しているシャンパーニュを飲み比べすることによって、よりクリュッグの特徴を感じることができるでしょう。
ご提案したいのは、名門メゾン「ポル・ロジェ」です。
こちらもクリュッグと同じくイギリス王室御用達に認定されているメゾンで、最高級シャンパーニュを生みだしています。
その中でもポル・ロジェのラインナップの一つである「ブラン・ド・ブラン・ミレジメ」は、シャルドネ100％で柑橘系や花を連想させる複雑な香りと長い余韻が特徴です。
余韻が長く続く点と使用されているブドウ品種が、クリュッグの「クロ・デュ・メニル・ブラン・ド・ブラン」と共通しますので、飲み比べてみて味わいの違いをお楽しみください。

クリュッグは単体でもお飲みいただけますが、お料理と合わせることでより味わいを感じられます。
例えば、ピノ・ノワール100％の「クロ・ダンボネ」は、生ハムやフルーツと一緒に。
シャルドネ100％の「クロ・デュ・メニル・ブラン・ド・ブラン」は、お刺身や白身魚のカルパッチョなどがおすすめです。
幅広いお料理とのマリアージュ（相性）を楽しめるのが魅力でもありますので、是非お食事と一緒にご堪能ください。

いずれにしても輝く色調が場を一気に華やかにしてくれますので、記念日や誕生日、ホームパーティーなど特別なシーンにも最適です。
一人でゆっくり堪能して贅沢な時間を過ごすのも良いですし、大切な方と過ごす際に用いていただくのも良いでしょう。

類稀な品質を誇り、”シャンパーニュの帝王”とまで称される「クリュッグ」。
世界から高い評価を受ける深い味わいを、是非この機会にご堪能ください。