テタンジェの誕生は1934年になります。
創業者は1914~1918年にシャンパーニュ地区で連絡将校をしていたピエール・テタンジェ。義兄と共にワイン事業を志し、1930年にフォレスト=フルノー社の買収に成功しました。
この瞬間から、メゾン「テタンジェ」のストーリーがスタートしたのです。
テタンジェ最大の特徴は、その当時から現在まで家族経営を貫いているところ。
シャンパーニュメゾンは他社や巨大資本に買収されることが多く、創業者の血筋は途中で途絶えてしまうことが少なくありません。
しかし、テタンジェは創業者であるピエール・テタンジェの情熱をそのまま受け継ぐ一族によって運営されており、混じりっけのない味わいを守り続けています。
そんなテタンジェですが、本拠地ランスに「チョークセラー」と呼ばれるセラーを持っている事でも有名です。
このセラーは白亜質石灰石(チョ-ク)を切り出して作ったトンネル型の地下洞となっており、そこでは何百本ものシャンパーニュが大切に熟成され、出荷の日を待っています。
シャンパーニュの熟成、保存に最適な涼しさと湿度を持った地下の回廊での熟成は、テタンジェの洗練された味わいの秘訣のひとつと言えるでしょう。
また、テタンジェはおよそ288haという広大なブドウ畑を自社で所有しており、これらの畑はシャンパーニュ地方において最高レベルの品質です。
栽培されているブドウ品種としてはシャルドネが多く、特に高級ワインには自社畑のブドウが贅沢に使用されています。
提携しているワイナリーや協同組合などから購入したブドウを使用する場合もありますが、使うのはテタンジェの厳しい基準をクリアした品質のブドウのみです。
高い自給率を持つ一方で、高品質な他社畑とも長期契約して最高のワインを生み出している所に、テタンジェのブドウへのこだわりが感じられるでしょう。
そしてテタンジェはシャンパーニュ愛好家であれば知らぬ者はいないほどのビックネームでありながら、伝統的な技術・手法を守っており、大量生産を行なっていません。
「最高品質のシャルドネ」「熟成を経たシャンパーニュ」を追求しているため、無理に生産量を増やすことはないのです。
世界中のシャンパーニュ愛好家たちに愛され続けるテタンジェは、これからも素晴らしい味わいのシャンパーニュを私たちに届けてくれることでしょう。
味の特徴
最高品質のシャルドネを使用したシャンパーニュを、独自のスタイルで造り続けているテタンジェ。「コート・デ・ブラン」と呼ばれる、「グラン・クリュ格付けのシャルドネ」が集中する銘醸地で作られたブドウを多用しているメゾンとしても有名です。
テタンジェの香りの特徴ですが、「白い花を思わせる華やかな香り」をはじめ「柑橘系の香り」や「トースト、ブリオッシュのような樽と発酵由来の香り」などが挙げられます。
味わいはミネラル感がありアロマティック、繊細な口当たりと引き締まった酸が特徴的で、長く続く余韻も魅力的です。
アペリティフからメインまで幅広いお料理に合わせやすく、それでいて単体でもじっくりと飲むことができる力強さを持ち合わせており、熟成された「華やかでエレガントな風味」を楽しむことができるでしょう。
テタンジェに使われているブドウ品種
テタンジェにとって最も重要なブドウ品種といえば、シャルドネです。自社畑の約4割で造られており、シャルドネ抜きにテタンジェを語ることはできません。
例えば「テタンジェの宝石」と称される「コント・ド・シャンパーニュ」は、シャルドネ100%で造られる贅沢な1本として知られており、世界中のシャンパーニュ愛好家の舌をうならせています。
前述した銘醸地「コート・デ・ブラン」は石灰質が中心となっており、繊細かつエレガント、そしてミネラル感のある上質なシャルドネを作るのに最適な土壌です。
コート・デ・ブランで造られたシャルドネは、この地でしか出せないピュアなシャルドネの味わいが感じられるとも評されています。
また、シャルドネは熟成させると「トーストやブリオッシュ、バター」を感じさせるニュアンスも生まれますので、味わいの経年変化も楽しむことができるでしょう。