シャトー・オーブリオンの特徴と通販での選び方
「シャトー・オーブリオン」は、フランスのボルドーワインを生産するシャトー(ボルドーでワインを作る農園や生産者のこと)の1つです。
もしくは、このシャトーの生産するワイン銘柄を指しています。
世界的に人気の高いボルドーワインの中でも古くから有名で、1855年のパリ万国博覧会で第1級という最高位に位置付けられました。
非常に高品質のワインを作る5大シャトーの一つとして、唯一グラーヴ地区から選ばれた事でも知られています。
ここでは、そんな「シャトー・オーブリオン」の特徴や通販での選び方などをご紹介いたします。
「シャトー・オーブリオン」のあるフランスのグラーヴ地区ペサック村の現在地では、1533年にブドウの栽培が始まっています。
シャトー建設後は、良質なワインを目指して研究を開始。
その結果生み出されたのが「澱引き(おりびき)」や「ウイヤージュ」と呼ばれる手法です。
ワインに含まれるたんぱく質やポリフェノールは、樽での熟成中に沈殿するのですが、これを澱(おり)と呼び、「強い渋みやえぐみの元」となります。
これを澱引きによって取り除くことで、味わい深いワインを作ることに成功したのです。
「ウイヤージュ」というのは、熟成中に量が減ってしまったワインに同じワインを加えるという手法です。
これにより空気に触れる範囲を狭め、酸化を防ぎ長期熟成にも耐えられるようになりました。
こうした革新的な手法で作られたワインをイギリスなどのヨーロッパにも輸出し、シャトー・オーブリオンはその価値を高めていきました。
敗戦後フランスの処遇を巡り各国と話し合いが持たれた、いわゆるウィーン会議では、勝戦国に対してシャトー・オーブリオンのワインが連日提供されたほどです。
そのワインのあまりの美味しさに、フランスは戦争に勝った国々からの侵略を免れたという逸話が残っています。
そして現在でもその名誉とワインの美味しさは健在です。
s世界的にも人気が高く、新しい技術や手法などを積極的に取り入れて今もなお進化を続けています。
そんな輝かしい歴史を持つシャトー・オーブリオンですが、全体の9割ほどが赤ワインで、残り1割ほどが白ワインという割合で造られています。
シャトー・オーブリオンの赤ワインの特徴は”香り”です。
ベリーのフルーティーな香りや、ドライフルーツの濃密な甘い香り、バラに例えられるフローラルな香りも漂わせ、さらには葉巻のスモーキーさもかすかに感じさせるなど、複雑で入り組んだ香りを放ちます。
「その時々で最も強く感じる香りが変わる」という人も多く、飽きることなく飲み続けられるでしょう。
確かな果実味が感じられるのと同時に、タンニン(ブドウの種や皮などから出てくる渋み成分)もしっかりと感じられます。
それでいて軽さもあり滑らかであるのも、シャトー・オーブリオンの特徴です。
味に関しては、香りほどの主張はなく全体的におとなしいので、親しみやすい赤ワインだと評価されることが多いでしょう。
白ワインも非常に人気が高く、生産量は少ないものの、高級ワインとして知られています。
希少価値が高く味も優れているので、むしろ赤ワインよりも高値で取引されることも珍しくありません。
シャトー・オーブリオンの白ワインは、繊細かつスッキリとした味わいが特徴です。
ライムやグレープフルーツのような少々苦味を持った爽やかな香りと、花の甘い香り、さらにはジンジャーを思わせる刺激のある香りがスッキリとした風味を演出。
舌触りも非常に滑らかで、繊細な味わいの奥に感じるピーチやチェリーのような甘さも濃密さを感じさせてくれます。
こうした良質のワインが生み出せたのは熱心な研究の成果と、少し高めの気温と雨を避けやすい環境のおかげでしょう。
実は、シャトー・オーブリオンのあるエリアは大自然に囲まれているわけではありません。
多くの人が住んでいる市街地にあり、都市部ともさほど離れていないことから、気温があまり下がらないのです。
これによりブドウの育ちや熟すタイミングが早くなります。
収穫も早めに終わらせられるため、雨の影響を受けにくく、糖度の高いブドウを収穫することができるというわけですね。
また、水はけも比較的良い「砂利の混ざった土壌」でブドウを栽培していることも、旨味や果実味の凝縮したブドウの収穫に繋がっています。
ワイン史上で技術革命を起こしてきたシャトー・オーブリオンですが、さらに近代化を進めています。
機械等の導入はもちろん、ワイン作りの一部工程をコンピュータによる管理で行っているのです。
こうした徹底した合理主義の元でワインが作られている点も、他のワイナリーにはあまり見られない特徴でしょう。
最も作付け割合が多いのは「カベルネ・ソーヴィニヨン」で、全体の5割前後を占めています。
「メルロー」がそれに続き、最も割合の少ないのが「カベルネ・フラン」となっています。
カベルネ・ソーヴィニヨン
「カベルネ・ソーヴィニヨン」は皮と種の割合が多い品種です。そのためタンニンのインパクトが強く、ガッシリとした味わいをもたらします。
濃厚な果実の味も感じられ、その中にミントのような爽やかさと、それらの味を引き立てるような酸味も体感できる品種です。
シャトー・オーブリオンに使用される「フランス産のカベルネ・ソーヴィニヨン」は、他の地域のものに比べてバランスの良さが感じられます。
メルロー
「メルロー」も、とても果実味の主張が強い品種です。その中に「チョコレート、コーヒー」のような甘くも苦味をイメージさせる香りと香ばしさを楽しめます。
温暖な地域で栽培されたメルローは、バニラのような香りを放つのと同時に、スパイシーな刺激も感じるワインを生み出します。
逆に温度があまり上がらないエリアでは果実味が強調され、ベリー系やチェリーのような香りが引き立ちます。
ボルドーは西岸海洋性気候の温暖な地域を持つ上、シャトー・オーブリオンのある地域は他のシャトーと比べても温度が高めです。
そのため「果実の味」「甘い香り」「スパイシーさ」のバランスの良さを堪能させてくれる「メルロー」が育っています。
カベルネ・フラン
「カベルネ・フラン」は軽めの味と香りが特徴の黒ブドウです。インパクトはそこまでではないものの、上品さのあるブドウ品種として、よく赤ワインにブレンドされています。
アクセントとして使うにはもってこいの品種です。
次に、シャトー・オーブリオンの白ワインに使われる白ブドウ品種を紹介します。
白ワインでは「セミヨン」「ソーヴィニヨン・ブラン」がおよそ6対4ほどの割合で作付けされています。
「セミヨン」は甘みが魅力の品種で、酸味はさほど強くはありません。
ドライフルーツのような上品な香りも持ち、優しい口当たりのワインを生み出します。
そしてその「セミヨン」とブレンドされるのが「ソーヴィニヨン・ブラン」です。
こちらはカシス系の香りが漂い、ほのかな苦味と爽やかな酸味で、白ワインに奥深さを与えます。
シャトー・オーブリオンの白ワインの複雑な味わいは、この「ソーヴィニヨン・ブラン」によってもたらされていると言えるでしょう。
19世紀においては常に他のシャトーより高価で重宝され、現代でも「5大シャトーの中で最も香り高くエレガント」だと言われています。
あのロバート・パーカー氏が「世界で最もエレガントでアロマの複雑さを持ったワインで、80年代以降オーブリオンほどの一貫性と品質を示すシャトーは他にない」と評した事でも有名です。
ここではそんなシャトー・オーブリオンの通販での選び方、楽しみ方についてお伝えしたいと思います。
シャトー・オーブリオンの選び方
「シャトー・オーブリオンの赤ワイン」は主に「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」「カベルネ・フラン」の3つのブドウ品種で作られていますが、ワインによってその配合比率が異なります。王道のシャトー・オーブリオンを口にしてみたい場合は、「カベルネ・ソーヴィニヨン」を最も多く含んだ赤ワインを選んでみましょう。
酸味とのバランスが良く、タンニンの渋みが実感できるのと同時に凝縮した果実味も堪能できます。
逆に、甘い香りを楽しみたい方は「メルロー」の割合の多い赤ワインを選んでみてください。
やはり果実味は強いのですが、甘く香ばしい香りを堪能できるワインに仕上がっています。
若干の苦味が、ワインのフルーティーさや酸味をさらに引き立ててくれるでしょう。
「シャトー・オーブリオンの白ワイン」は、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランを約半分ずつ使う独自の手法で造られています。
他のボルドー白ワインとは一線を画した香りと味わいで、ロバート・パーカー氏をもって「グラーヴ地方で最上の白ワイン」と言わせたほどです。
特に「セミヨン」の割合が多いものは、この品種の良さである甘みと、シャトー・オーブリオンらしい可憐で気品溢れる香りをしっかりと堪能できるでしょう。
「ソーヴィニヨン・ブラン」の割合が多い白ワインは、サッパリとしたキレのある香りや酸味が目立ちます。
いずれにしても「最上級に甘美なアロマを持った、最高の辛口白ワインを生み出す」というシャトーのポリシーが感じられる極上のワインです。
若い状態から飲みやすさがある一方で、長期の熟成にも適しており、舌触りのなめらかな非常に高品質なワインだと言えるでしょう。
一方で、シャトーオーブリオンの白は「僅か3haの畑で、年間500~600ケース前後しか造られない」ため、入手困難で稀少な高級ワインとなっています。
5大シャトーの白という事で、一生に一度は飲んでおきたいというワイン好きの方は是非チャレンジしてみてください。
また、シャトー・オーブリオンには樹齢の浅いブドウの樹を使った「クラレンス・デュ・オーブリオン」などのセカンドワインも存在します。
そちらは同じオーブリオンながら比較的安価なお値段になっていますので、お手頃な価格帯で探している方におすすめです。
余談ですが「シャトー・オーブリオン」の向かいには、「シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン」というシャトーがあります。
昔は同じ畑だった事もある両者は、歴史的にライバル関係にあり、お互いにワインの質を競い合ってきました。
そのため「シャトー・オーブリオン」のワインを飲む際は、「シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン」のワインと飲み比べてみるのも面白いでしょう。
シャトー・オーブリオンの楽しみ方
「シャトー・オーブリオン」は、とても高級なワインです。料理と合わせるのであれば、少々奮発してマリアージュにこだわったお食事を用意する事をおすすめします。
赤ワインとの相性が抜群なのは、サーロインなどの良質な高級肉のソテーです。
コクや旨味が凝縮されたお肉であればあるほど、シャトー・オーブリオンの赤ワインとよく合います。
ローストビーフとの相性も良いのですが、やはり上質なお肉を使い厚みを持たせた方がワインとのマッチングも良くなるでしょう。
安いお肉ですと、シャトー・オーブリオンの濃密な果実味とタンニンの渋みに負けてしまいますので、その点は注意したいところです。
シャトー・オーブリオンの白ワインは「繊細かつ爽やかな風味」が特徴なので、魚介類との合わせが最高でしょう。
ヒラメなどといった白身魚のムニエルや白身のソテーと合わせても美味しいですし、日本料理であればお寿司と合わせることもできます。
また、洋梨に生ハムを巻いたものなど、果実の甘さと塩気が合わさった料理とも合います。
シャトー・オーブリオンの白ならではの果実味と酸味が、より繊細で豊かに感じられるでしょう。
ワイン好きなら一度は飲んでおきたい「シャトー・オーブリオン」。
5大シャトーのワインという事で話題性もあるのでパーティーに持参したり、年配の方へのプレゼント用に使っても喜ばれること間違いなしですね。
ぜひ、この機会に手に取って楽しまれてみてはいかがでしょうか。
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