シャトー・ラトゥールの特徴と通販での選び方
「シャトー・ラトゥール」は、フランスのボルドー地域でワインを作っているシャトー(ボルドーワインの生産者やブドウ農園)の1つで、そのシャトーの作ったワイン銘柄のことも指しています。
フランスだけではなく世界的にも高い知名度や人気を誇る「シャトー・ラトゥール」。ここでは、その特徴や人気の秘密、さらには通販で購入する際の選び方まで、このシャトーとワインに関するあらゆることをご紹介していきます。
その中の「メドック地区」における格付けで、最高位である第1級に指定されているのが「シャトー・ラトゥール」です。
山ほどあるシャトーの中で、第1級は5つのシャトーにしか与えられない栄誉ある称号。
「シャトー・ラトゥール」が格式高く高品質のワインを作っていることが、この格付けからもうかがえるとも言えるでしょう。
「シャトー・ラトゥール」は、ボルドーの北西に位置するジロンド県メドックのコミューン(フランスで基礎自治体を指す)であるポーイヤックにあります。
隣接するサン・ジュリアンとのちょうど境にブドウ畑があるという、少し特徴的なシャトーです。
数百メートル離れてはいるものの、その環境はジロンド川の影響を強く受けています。
そのためブドウ畑の温度が下がりにくく、ブドウ栽培の大敵とされる低温や強い霜から樹や果実を守りやすいのです。
さらに、「ランクロ」と呼ばれる区域で作られた特別なブドウは、シャトー・ラトゥールの中でもトップの人気を誇る銘柄にしか使われていません。
このランクロは大きな石なども転がるような砂利質の土壌を持っています。
水はけがよく、砂利の下にある泥灰岩性の土に水分や養分が溜まり、それがブドウの旨味の凝縮を促しているのです。
砂利質の土壌も温度を安定させるのに役立っていて、ブドウの成熟のタイミングを早めて、濃密な味と香りを持つ実へと育てています。
そうした環境から生まれたシャトー・ラトゥールのワインですが、とても男性的であると称されています。
ブドウの種や皮などに含まれている渋みの元となる「タンニン」が豊富で力強く、一方でフルーティーなベリーの果実味もタンニンに負けないほど口や鼻の中で主張を繰り返します。
そこに見え隠れする「スギ、ヒノキ」に例えられる独特な香り。
後味も含めて爽やかで清々しい感覚が味わえる香りも、シャトー・ラトゥールの楽しみの一つでしょう。
全体的に「強烈さ」「濃厚で凝縮した味・香り」を持つシャトー・ラトゥール。
だからこそ「男性らしい」と表現されているのですが、ワインが若いうちは、少し荒々しさも感じるかもしれません。
人と同じで、このようなタイプのワインは歳を重ねるごとに熟成し、丸みを帯びてきます。
シャトー・ラトゥールも熟成に耐えうるだけではなく、年を追うごとに味わいや楽しみ方が変わってくるワインなのです。
ブドウ農園そのものは、1370年代にはこの地にあったと言われています。
ワイン作りも14世紀には開始され、ワインのラベルに描かれている塔も、この頃に作られたものだそうです。
1600年代から1700年代にかけ、結婚や相続等により所有者が度々移り変わります。
ですがその間にも、発酵工程をオーク樽からステンレスタンクに切り替えるなど、他のシャトーと比べていち早く新たな製法を試してきました。
リュット・リゾネと呼ばれる減農薬農法や有機栽培も取り入れられ、ランクロ区域ではビオディナミ農法も導入されはじめています。
温度管理などをコンピュータに任せるなど、徹底した管理と技術投資のもとで良質なワインが作られているのも、シャトー・ラトゥールの大きな特徴の一つです。
そのため、作付けされているブドウ品種も全て黒ブドウとなります。
最も作付け比率の高い品種は「カベルネ・ソーヴィニヨン」で、全体の8割弱ほどを占めています。次に多いのが「メルロー」で、およそ2割ほど。
残りは「カベルネ・フラン」「プティ・ヴェルド」で、それぞれ数%ほどずつの割合です。
カベルネ・ソーヴィニヨン
赤ワインの味を決定づける「カベルネ・ソーヴィニヨン」は、皮と種から抽出されるタンニンの量が多く、ワインにした時にそれが強い渋味を生み出します。その上でコクもあり、カシスのような濃厚な果実の味を持つワインに仕上がる品種です。
針葉樹のような植物系の香りを醸し出すのも、カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴です。
シャトー・ラトゥールにはスギやヒノキのような香りがあると例えられますが、それはこのブドウの持っているポテンシャルを引き出しているからでしょう。
ボルドー産のカベルネ・ソーヴィニヨンは特に味が引き締まっており、まさにシャトー・ラトゥールのように「輪郭のはっきりとした力強いワイン」を生み出します。
ちなみに他のエリア、例えばアメリカなどでは果実の主張が強く、フルーティーなワインに仕上がる傾向があります。
メルロー
メルローは、ベリーやプルーンのようなフルーティーな香り、キノコのような土っぽい匂い、チョコレートのような甘い香りなど、非常に複雑で豊かなアロマ(ブドウの持つ香り)を持っています。タンニンのインパクトは「カベルネ・ソーヴィニヨン」ほどではありませんが、酸味とともに程よく感じられるでしょう。
イタリアでも「メルロー」は非常にポピュラーな品種ですが、フランスのものと比べるとより柔らかで口当たりの良いワインに仕上がる傾向が見られます。
その他のブドウ品種
そして「カベルネ・フラン」ですが、果実味こそ感じられるものの全体的に軽く大人しめの印象が強いブドウ品種です。逆に、「プティ・ヴェルド」は酸味もタンニンも力強く、ガッシリとした味わいが特徴のブドウ品種です。
ブラックペッパーのスパイシーな香りや、コーヒーの香ばしさ、ビターチョコレートの甘さと苦味を連想させるような香りも持っており、印象に残りやすいブドウ品種と言えるでしょう。
シャトー・ラトゥールにおいて、「カベルネ・フラン」「プティ・ヴェルド」は、全体のバランスを取るために加えられることが多くなっています。
ここでは、そんなシャトー・ラトゥールの選び方のポイントや、より美味しく楽しむためのコツなどをご紹介いたします。
シャトー・ラトゥールの選び方
ブドウは天候や土壌の影響を大きく受けるため、通常のワインは収穫された年度ごとに品質に違いが表れます。ですがシャトー・ラトゥールはその高い技術で毎年安定した品質を維持しており、一貫して高品質なワインを作り出す事で有名なシャトーです。そのためシャトー・ラトゥールはヴィンテージ(制作された年)によって品質に大きなバラつきがなく、どのヴィンテージでも安心してお選びいただけます。
その中でファーストラベルである「シャトー・ラトゥール」は、特別区画「ランクロ」で栽培された高品質なブドウだけを使用した、非常に高品質なワインです。
5大シャトーの赤ワインを飲んで真価を感じてみたいという方には、こちらのファーストラベルから選べば間違いないでしょう。
当たり年の2005年をはじめ、毎年のように「ワインアドヴォケイト」や「ワインスペクター」などの世界的なワイン雑誌で高得点を出しており、ワイン好きに「一生に一度は飲んでみたい」と言わせる逸品です。
力強さが魅力のワインですが、熟成させると少しずつまろやかさと、落ち着きが感じられる味と香りに変化していきます。
ちなみに「レ・フォール・ド・ラトゥール」と表記されているものはセカンドラベルで、ランクロの中で樹齢の若いブドウとそれ以外の区画のブドウをブレンドして造られています。
さらに「ポイヤック・ド・ラトゥール」というサードラベルのワインも存在しています。
また、「シャトー・ラトゥール」は「シャトー・ラフィット・ロートシルト」と比較される事が多いでしょう。こちらは同じくメドック地区の格付けで第1級に指定されている5大シャトーで、エリアやブドウ品種もほぼ同じものとなっています。
王のワインとも評される「シャトー・ラフィット・ロートシルト」は、「シャトー・ラトゥール」に比べるとやや女性的な印象との評判です。
そのため、「より凝縮性のあるパワフルな力強さ」「しっかりとしたタンニンと複雑なアロマ」を好む方には、シャトー・ラトゥールをおすすめします。
シャトー・ラトゥールの楽しみ方
シャトー・ラトゥールの赤ワインは「男性的で荘厳」という表現が用いられるだけあって、軽い味わいや香りの料理・食材では合わせ負けてしまう事が考えられるでしょう。そのため濃厚な味つけやドッシリとした骨格を持つお料理とのほうが合わせやすいかと思います。
例えば赤ワインに合わせるおつまみの定番「チーズ」ですと、塩気や香りの強いウォッシュタイプと合わせるのがおすすめです。
青カビタイプの上質なチーズとの相性も申し分なく、シャトー・ラトゥールの良さを最大限楽しめるでしょう。
お料理であれば、やはり上質なお肉です。
牛フィレ肉の高級ステーキなどであれば、赤ワインの持つ果実味や強めのタンニンともよく合い、満足感が得られるでしょう。
10年以上熟成されたものであれば、じっくりと煮込んだシチューやハンバーグと合わせるのもおすすめです。
ワインも料理も時間をかけることで角が取れ、力強さの中にまろやかな口当たりの良さを感じられますので、お互いの個性を引き出し合いながら素晴らしい調和を体感させてくれます。
いずれにしても上質な食材を使ったお料理と合わせたり、持ち込み可能なフレンチレストランでお楽しみ頂くなど、ワインの格に合うペアリングが良いでしょう。
格付け1級のワインという事で、大切な人へのプレゼントに使用したり、社交パ-ティーなどに持参しても喜ばれる事間違いなしですね。
5大シャトーの赤ワインの中で一番に力強く、もっとも安定した品質を維持していると評されるシャトー・ラトゥール。
ぜひこの至上の味わいをご賞味くださいませ。
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