シャトー・ジスクールの特徴と通販での選び方
600年という非常に長い歴史を誇る「シャトー・ジスクール」。
あのルイ14世が愛飲していたボルドーワインとして、世界中で広く知られています。
こちらでは、そんなシャトー・ジスクールの特徴、通販での選び方についてまとめました。
シャトー(生産者)としての歴史の始まりは、1552年。
ボルドーで毛織物販売業を行っていたピエール・ドゥ・ロム氏が「ジスクーツ」という名の貴族邸宅を購入し、その周辺を整備してブドウ園を造りブドウの樹を植えました。
その後、1847年にペスカトーレ男爵が所有者となり、現在のシャトーを建設。
数年後の1855年のメドック格付けでは高品質なワインが評価され、シャトー・ジスクールは名誉ある第3級に格付けされた実績があります。
(※メドック格付けとは、1855年のパリ万国博覧会でナポレオン3世の命によって実施されたワインの格付けのことです。第1級~第5級の5段階にランク分けされており、61のシャトーが選出されました。)
1952年には新たに所有者となったタリ家が設備投資を行い、シャトーの改革に力を注ぎます。
その結果、シャトー・ジスクールの品質・味わいは向上しましたが、スキャンダルなどが続いて財政危機を迎え、シャトーは売却されることに。
そして、1995年に現在のオーナーであるエリック・アルバダ・イェルヘルスマ氏が購入。
彼はブドウ畑の整備や、建物の改築などに力を注ぎ、さらに名高いシャトーへと成長させます。
不祥事などもあって低迷した時期もありましたが、かつての名声を取り戻すべく、現在も上質なワインを造るために努力を続けているのです。
そんな長い歴史を持つシャトー・ジスクールが拠点を構えるのは、フランス・ボルドー地方。
AOCマルゴーの中でも最も南にあるラバルド村にシャトー・ジスクールの畑があり、その広さは約300haでメドックでも最大級の広さです。
(※AOCとは産地の個性を守る原産地統制呼称制度のこと。AOCマルゴーはマルゴー村、カントナック村、アルサック村、スーサン村、ラバルド村の5つの村からなっています。)
シャトー・ジスクールが有する広大な土地の中には、広い森と美しい公園、さらには10haほどの人工湖が造られています。
この人工湖は温度や湿度を調整する目的があり、上質なブドウを栽培するために造られたものです。
そして、シャトー・ジスクールはマルゴーに80ha、オー・メドックに60haのブドウ畑を所有しています。
これはメドックでもトップクラスの広さであり、常に安定した品質のワインを生みだすことができる点が強みだと言えるでしょう。
広大な畑の中でも特に良い土壌と言われているのは、シャトーの前方にある小高い丘の部分です。
ゆったりとした傾斜となっており、最も高い場所は海抜20mに達します。
深さ10mほどの砂を含んだ砂利質の表土の下に、粘土質の土壌が広がっており、水はけが良いことからブドウの栽培に適した土地なのです。
ブドウ畑ではカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー32%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド3%の比率で栽培されています。
シャトー・ジスクールでは、広い敷地にもかかわらずブドウの収穫は全て手摘みです。
収穫後は醸造所に運ばれて、選果された後に除梗と破砕を行い、コンクリートタンクとステンレスタンクの2つを使用して醸造されます。
28~30℃の温度でアルコール醗酵してから、4分の1は樽内でマロラクティック発酵が行われ、残りはタンク内で行われています。
その後、タンク内でマロラクティック発酵を行ったものも樽へと移し18~24か月かけて熟成するのですが、新樽を100%使用しています。
このように、長期間の熟成を経ているシャトー・ジスクールは、ブラックベリーや甘草、スパイス、スミレといった香りを持っています。
深く濃い色味と豊富なタンニン、それらが醸し出す凝縮された味わいが特徴的です。
こちらでは、それぞれの品種の特徴をご説明いたします。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンは、シャトー・ジスクールの主要品種です。所有する畑では、60%と大部分を占める割合で栽培されています。
小さな粒でありながら果皮は分厚く、種が大きいブドウです。
食べられる部分はほとんどない代わりに、強めのタンニンを持つ色の濃いワインに仕上がります。
冷涼な気候では黒スグリといった小さい果実の香りを持ち、熟成が進むとピーマンや清涼感のあるミントの香りに変化。
そして、温暖な気候ではブラックチェリーの香りを感じられ、さらに暑い土地では干しブドウを連想させる香りになります。
また、酸味とタンニンが豊富に含まれており、力強い味わいが特徴です。
カベルネ・ソーヴィニヨンの原産地は、フランス・ボルドー地方。
特にシャトー・ジスクールのように砂利質の土壌を持つ畑は、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に最適です。
ボルドー地方では単一品種のワインが造られることはほとんどないため、シャトー・ジスクールでもその他の品種とブレンドすることで味わいのバランスを取っています。
ヴィンテージにもよっては70%以上の割合で使用されることもあり、シャトー・ジスクールの特徴でもある濃い色味や強めのタンニンは、このカベルネ・ソーヴィニヨンによってもたらされると言っても良いでしょう。
メルロー
メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンと同じく、シャトー・ジスクールの主要品種の一つです。所有するブドウ畑では、メルローの樹は32%植えられています。
世界的に人気の高い品種であり、栽培面積は世界第2位を誇る黒ブドウ品種です。
メルローは大きめの房を持ち、粒は中くらいの大きさ。
早熟タイプということもあって糖が上がりやすく、果実味が豊富な味わいのワインに仕上がります。
ブラックチェリーやプルーンといった果実や、キノコ、コーヒーなどの香りがあり、タンニンと酸味は控えめ。
そのため、軽やかで親しみやすい味わいに仕上がり、ソフトな印象を持ちます。
果実味も豊かでなめらかな口当たりが特徴でもあるので、赤ワインを飲み慣れていない方でも飲みやすく感じるでしょう。
原産地のボルドー地方では、メルロー100%のワインが造られることはほとんどありません。
カベルネ・フランなど別の品種とブレンドされることが多く、シャトー・ジスクールでもメルローはブレンドの品種として使用されています。
ヴィンテージにもよりますが20%~40%のブレンド比率で使用され、バランスの良い酸味を与える役割を担っています。
カベルネ・フラン
カベルネ・フランは世界で広く栽培されている品種ですが、生産量の約7割をフランスが占めています。フランス・ボルドー地方が原産地とされ、ボルドー地方では主にブレンド用品種として栽培されることが多いです。
カベルネ・フランの特徴や味わいは、カベルネ・ソーヴィニヨンとよく似ています。
しかし、比較するとカベルネ・フランの方がより早熟で、軽めの味わいのワインに仕上がります。
カシスやチェリーなど果実系の香りを持ち、タンニン・酸味は控えめ。
全体的に柔らかい印象があるので、力強さよりも上品で繊細な味わいが特徴です。
フランス国内でカベルネ・フラン100%のワインを造っているエリアもありますが、基本的にはブレンド品種として使用されています。
シャトー・ジスクールの所有畑ではカベルネ・フランは5%ほど栽培されており、ブレンドされる割合はわずか数%です。
カベルネ・フランは複雑さを与えるなどの補助的な役割をとなるため、ヴィンテージによっては使用されない事もあります。
プティ・ヴェルド
プティ・ヴェルドは、フランス・ボルドー地方原産の黒ブドウ品種です。カベルネ・フランと同じく、主にブレンドに使用する目的で栽培されています。
小さめの粒を持ち、果皮と種に果汁が多いことから非常に濃いルビー色のワインに仕上がります。
カシスやブルーベリーの果実の香りやスミレの香りを持ち、酸味・タンニンともに豊富で、強めのはっきりとした味わいが特徴です。
シャトー・ジスクールでもプティ・ヴェルドは色味や風味、力強さなどを与える役割を担っています。
カベルネ・フランと同様に補助的な役割のためヴィンテージによっては使用されない事もあり、ブレンド比率も1~10%と少なめです。
購入を検討されているお客様は、是非こちらを参考にしてみてください。
シャトー・ジスクールの選び方
シャトー・ジスクールのワインは、ヴィンテージによってブドウのブレンド比率が異なりますので、味わいにも多少の違いが出てきます。そのため、お好みのテイストに近いヴィンテージでお選びいただくのがおすすめです。
注意点として、現在では評価が高いものの、1980年代から1990年代前半にかけてなど品質が落ちていたと言われる時期があります。
品質・実力を重視されるのであれば、それ以降のヴィンテージのものでお選びいただくのが良いでしょう。
ワインショップソムリエではソムリエが厳選したワインのみを取り揃えていますので、ラインナップの中から安心してお選びください。
ご参考までに、2012年と2013年の2つのヴィンテージを挙げてご紹介いたします。
まず、2012年のブドウのブレンド比率は、カベルネ・ソーヴィニヨン69%、メルロー27%、カベルネ・フラン4%となっています。
外観は深いルビー色。ハーブや黒スグリの香りを感じられ、柔らかめのタンニンが特徴です。
まろやかな口当たりで、バランスの取れた味わいに仕上がっています。
次に2013年のブレンド比率は、カベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロー20%、プティ・ヴェルド5%です。
外観は紫がかった深いルビー色。ブラックチェリーといった果実の香りを感じられます。
カベルネ・ソーヴィニヨンの割合が多く力強さがありますが、上品さも併せ持っており、非常にバランスの良い味わいだと言えるでしょう。
このように、ヴィンテージで多少の違いがありますが、どちらも極めて優れたテロワールを持つAOCマルゴーのワインであることに変わりはありません。
メドック格付け第3級に格付けされているシャトーでありながら比較的お手頃な価格で購入できる点も、シャトー・ジスクールの魅力でしょう。
メドックの格付けワインや、実力派のボルドーワインをお探しの方にもおすすめです。
シャトー・ジスクールの楽しみ方
シャトー・ジスクールの特徴の一つと言えるのが、18~24か月間かけて行われる熟成です。販売までに長期にわたる熟成を経ているため、購入後すぐに開栓しても充分にお楽しみいただけます。
もちろん、ボルドーワインらしく長期の熟成に耐える造りとなっており、寝かせることで味わいや風味に深みがでますので、お好みの味わいになるまで寝かせておくのも良いでしょう。
先ほどご紹介した2012年と2013年のものであれば、2023年~2030年頃までが飲み頃と予想されています。
また、シャトー・ジスクールの凝縮された味わいをより楽しむためには、濃いめのソースを使ったお肉料理に合わせるのがおすすめです。
色味が濃くてタンニンが豊富なので、ビーフシチューや牛肉のトマト煮込みなど味がしっかりとした料理全般と良く合うでしょう。
チェダーチーズとの相性も良好ですので、是非おつまみにしてお楽しみください。
メドック格付け第3級の実力派でありながらリーズナブルですので、ホームパーティーなどの気軽なシーンにも使用しやすい点がうれしいところです。
他の格付けワインやボルドーワインと単体で飲み比べてみても、特徴が感じられて面白いでしょう。
あのルイ14世が愛飲していたというワインを生みだす「シャトー・ジスクール」。
メドック格付けに相応しい品質と凝縮された味わいを持つ実力派のボルドーを、是非この機会にご堪能されてみてはいかがでしょうか。
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