シャトー・ディケムの特徴と通販での選び方
「シャトー・ディケム」は、極甘口と表現される「貴腐ワイン」の代表的な銘柄です。
貴腐ワインとは、貴腐菌と呼ばれるカビを発生させ、甘さや香りを極限まで高めたブドウを用いて作る、甘口の白ワインのこと。
ここでは多くのセレブを虜にする魅惑的な甘さを持った貴腐ワインの代名詞的存在であるシャトー・ディケムの特徴や魅力、楽しみ方などをご紹介します。
ボルドーワインは数百年という歴史を持っていますが、「シャトー・ディケム」はその中でも最も古い生産者の一つで、世界三大貴腐ワインの一角を担っています。
その歴史は中世の頃まで遡ります。
もともとイギリス国王が所有していたこの土地は、1453年にフランス国王の手に渡り、1711年、ソヴァージュ家と呼ばれる一族が国から買い取り所有権を獲得。
1785年、ソヴァージュ家の女性とサリュース家の伯爵が結婚したことで、「シャトー・ディケム」はサリュース家へと所有権が移りました。
1999年には筆頭株主である「ルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシー・グループ(LVMH)」の傘下に入っています。
世界最大のファッションブランド企業が買収したことからも、「シャトー・ディケム」の素晴らしい価値が分かりますね。
そんな長い歴史と抜群の魅力を持つ「シャトー・ディケム」の最大の特徴は、その甘さと味わいにあります。
バニラを思わせる香りと、新樽で熟成させていることから、その香ばしいビスケットにも似た香りが鼻に届きます。
口に入れると「ハチミツ、メープルシロップ」のような甘さと、フルーティーなアプリコットジャムの甘さに加え、わずかな酸味も感じられるでしょう。
ベタつくような甘ったるさではなく、濃厚ながら爽やかな甘さが「シャトー・ディケム」の特徴でもあります。
こうした質の高い味や香りを生み出しているのが、「シャトー・ディケム」のブドウ栽培環境です。
ブドウが栽培されている畑は100ヘクタール以上もの広大な土地。
畑の中でも土の質が異なる箇所があり、砂利が多い場所やサラサラとした砂地、粘土質が際立っている場所など、それぞれで品質の異なるブドウが栽培されています。
それがワインの複雑な風味を生み出しているのです。
貴腐ワインは「ボトリティス・シネレア」と呼ばれるカビの菌によって貴腐化したブドウで作られます。
しかし、同じ房に付いているブドウすべてが同じように貴腐化するとは限りません。
「シャトー・ディケム」では品質を高めるために、貴腐化しているブドウを粒単位で収穫。
150人ものスタッフが7週間前後もかけ、手間と時間を惜しまずにブドウの摘み取り作業を行なっています。
このため、「シャトー・ディケム」は広大な畑を持ちながら、1本の樹からグラス1杯分のワインしか作れないと言われているのです。
雨が多く降るなどしてブドウの貴腐化が思ったように進まず品質があまり良くないと判断すれば、その年は「シャトー・ディケム」としての出荷を見送るほどのこだわりよう。
このような生産方法とこだわりから、品質だけではなく希少価値が高い点も「シャトー・ディケム」の大きな魅力となり、世界中のワイン好きを魅了する理由となっています。
シャトー・ディケムは、1855年のパリ万国博覧会において「プルミエ・クリュ・シュペリュール」という格付けを受けています。
「プルミエ」とは“第一の”という意味を、「クリュ」は“偉大な”という意味を持っています。
「シュペリュール」は、ボルドーの甘口白ワインを含むワインの地域AOC(原産地呼称統制法や、それに基づくワインで、特に格付けの高いワインのこと)を意味します。
シャトー・ディケムは、貴腐ワインで有名なソーテルヌ地区で唯一「特別1級」を獲得している、世界随一の貴腐ワインなのです。
ちなみに、銘柄としての「シャトー・ディケム」は貴腐ワインを指しますが、通常の辛口白ワインも生産しています。
シャトー・ディケムの辛口白ワインはキリッとしており、貴腐ワインとは異なる力強さ、芳醇で豊かな味わいと香りが特徴です。
貴腐ワインの場合、「セミヨン」が全体の約8割、残りの2割が「ソーヴィニヨン・ブラン」という割合となっています。
セミヨン
「セミヨン」は貴腐ワインに適している品種とあって、糖度が高い点が大きな特徴の1つです。そのぶん酸味は穏やかで、コクも持ち合わせています。
このコクは鼻から抜ける際に羊の毛の脂に例えられることがあり、少々地味ではありますが気品のある風味を感じさせてくれます。
特にボルドーで栽培される「セミヨン」は、他の国などと比べるとふくよかで甘みが強く育ち、まさに貴腐ワイン向けと言えるでしょう。
ソーヴィニヨン・ブラン
「ソーヴィニヨン・ブラン」は小さい実ながらも骨格がはっきりとしており、強い酸味と弾けるような爽やかさを持った品種です。シャキッとしたような味わいと香りが特徴で、グレープフルーツやカシスなどに例えられます。
ソーテルヌのような比較的温暖な気候のエリアでは、しっかりとした酸味とトロピカルフルーツやピーチのような甘みを兼ねそろえたソーヴィニヨン・ブランになります。
この特徴が、「セミヨン」のインパクトの弱さを補いつつ、よりシャトー・ディケムの貴腐ワインならではの甘さを引き立てている理由でしょう。
ちなみに、シャトー・ディケムの辛口白ワインにも「セミヨン」「ソーヴィニヨン・ブラン」が使われていますが、割合が逆転します。
酸味の強いソーヴィニヨン・ブランを8割ほど使用し、残りを甘みが特徴のセミヨンで整え、酸味とフルーティーさがダイレクトに伝わる辛口白ワインに仕上げられています。
ここではシャトー・ディケムのワインの選び方、お食事などとの楽しみ方について説明していきます。
シャトー・ディケムの選び方
世界最高峰の貴腐ワインと評されるシャトー・ディケムは、どの年代のものも非常に高品質です。三大貴腐ワインの産地ソーテルヌにおいて特別1級を冠するだけあって、シャトー・ディケムは数々の品評会で高い評価を獲得してきました。
同じくボルドーのソーテルヌ村にある「シャトー・ギロー」も極甘口の貴腐ワインで有名ですが、評価はシャトー・ディケムに継ぐ評価です。
シャトー・ディケムは、すべて新しい樽(フレンチオーク材)の中で3年以上熟成されてから出荷されています。
糖度が高いこともあり熟成に耐え得るワインのため、ヴィンテージ(ブドウを収穫した年)が古いほど熟成された味わいを楽しむ事が出来ます。
ですが、より良いものだと熟成に20年以上かかるとされており、古いものは稀少性が高く高価で入手が難しいでしょう。
ヴィンテージの新しいシャトー・ディケムは、甘みの中にもフレッシュさが感じられる、生き生きとした味わいです。
元々3年以上は熟成されていますから、瑞々しさだけではない濃密な風味が感じられます。
シャトー・ディケムならではの濃厚ながらすっきりとした甘さと、甘さを引き立たせるほど良い酸味を同時にお楽しみいただけるのが特徴です。
「甘口ワインを語るならシャトー・ディケムは外せない」と言われるほどですので、その品質には必ず満足いただけることでしょう。
シャトー・ディケムの楽しみ方
貴腐ワインは、デザートワインに分類されることがあります。デザートワインとは、食後に飲むのに適した甘口タイプのワインのことです。
デザートとして「シャトー・ディケム」を楽しむのであれば、「チーズ、ドライフルーツ」を使用した濃厚で甘味の強いケーキと合わせるのがおすすめです。
レアチーズケーキのような少々さっぱりとしたものに、アプリコットなど甘味を持った果実で作られたジャムやソースをかけたデザートとの相性もとても素晴らしいものがあります。
チーズのみと合わせるのであれば、貴腐ワインと同様にカビによって作られたブルーチーズを選んでみてください。
口の中がさらに複雑なハーモニーで満たされ、満足感が高まるはずです。
食材と合わせるのでしたら、フォアグラがおすすめです。
フォアグラは非常に濃厚ながら繊細な味わいを持ち合わせています。
まさに「シャトー・ディケム」のような絶妙なバランスなので、相性は抜群です。
調理法は問わずフォワグラとの相性はとても良いので、ぜひこのマリアージュを楽しんでてはいかがでしょうか。
貴腐ワインは、しっかりとした濃厚な甘味を持っている点が大きな特徴であり魅力です。
そのため、そのままでも十分楽しむことができます。
1口ずつ時間をかけて味わうのも、「シャトー・ディケム」の一つの楽しみ方となるでしょう。
100年経っても色あせないとも評される世界最高峰の貴腐ワインですので、すぐには飲まず寝かせておくのも楽しみ方の一つです。
甘口タイプのワインや貴腐ワインが好きな方は、これを機に是非「シャトー・ディケム」をお手に取ってみてはいかがでしょうか。
タイプで絞り込む
赤ワイン
白ワイン
泡(シャンパン)