シャトー・ラグランジュの特徴と通販での選び方
フランスのボルドー地方でゆるぎない地位を確立している「シャトー・ラグランジュ」。
世界中のワイン関係者を驚かす、驚異的な成長を遂げたワインとして有名です。
ここでは、そんなシャトー・ラグランジュとは一体どんなワインなのか、詳しくご紹介いたします。
その歴史の始まりは17世紀。その頃は王室砲兵隊輜重隊長である、「ジャン・ド・ヴィヴィアン」が所有していたと記されています。
その後19世紀に入って所有者となるのは、ルイ・フィリップ朝で内務大臣を歴任したデュシャテル伯爵です。
彼は素焼きの土管を畑に埋め込み、水はけを良くする設備を考案。その結果、ボルドー地方の中でも有数の規模の醸造設備になり、生産量も大幅に増えました。
1855年に制定されたメドック格付けで、シャトーラグランジュは第3級に格付けされています。
メドック格付けとは、ナポレオン3世の命令により制定された、メドック地区におけるワイン格付け制度のことです。
ここまでは順調に見えますが、1925年にペイン系のセンドーヤ家が所有者になってからは一転、経済状況が悪化します。ブドウ畑を切り売りされることになり、ワインの品質は低下し評価も下がってしまいました。
そんな厳しい状況の中、1983年にシャトーが日本のサントリーによって購入されます。
ボルドー大学で醸造研究所長を務めていたエミール・ペイノー博士を迎え、総責任者にペイノー門下生であるマルセル・デュカス氏、副会長にサントリーの鈴田健二氏が就任。
荒れ果てた畑を復元させ、醸造所、城館、庭園まで徹底的な改革を行い、シャトー・ラグランジュは復活を遂げることができたのです。そして後に、世界中に認められるワインへと成長していきます。
そんな驚きの復活、成長を遂げたシャトー・ラグランジュですが、世界でもっとも影響力があると言われている有名なワイン評論家「ロバート・パーカー氏」も注目のワインです。
「1960年〜1970年代までは凡庸なワインだったが、サントリーに買収されてから目覚ましく良くなり、現在の格付けに見合う価値である」と評しています。
それだけでなく、厳しい評価で知られるワイン誌「ル・クラスマン」も、シャトー・ラグランジュに高評価を与えました。
「オーナーである日本のサントリーグループによって、このシャトー名は栄光を取り戻した」と記載。その鮮やかな復活劇はお手本として、現在も様々なワイン関係者から参考にされているのです。
また、シャトー・ラグランジュは現在もさらなる品質向上に向けて、様々な取り組みを行っています。
グランクリュでも最大級となる作付け面積118haを有する畑は「畑ごとにブドウが完熟するタイミングが違う」ため、100区画以上に分けられて、ブドウの成熟度が細かく管理されています。
区画ごとに「小型の醸造タンクや光センサーによる選果機を導入している」という点も、特筆すべきでしょう。 手作業で選別を行い、その後は光センサーでチェックすることによって、未熟なブドウをより厳密に取り除くことが可能になるのです。
さらに、農薬や化学肥料を極力使用しない「リュット・レゾネ」という農法を実施。
2005年にはテラ・ヴィティスの認証を取得しています。
テラ・ヴィティスとは、「自然環境に配慮した栽培、醸造」を基本理念に掲げる、全フランス規模の団体のことです。
それぞれのブドウの特徴を解説いたします。
カベルネ・ソーヴィニヨン
「カベルネ・ソーヴィニヨン」は赤ワイン用のブドウで、世界で最も広く栽培されている品種として知られています。ボルドーの優れたワインの多くで主要品種として使用され、カベルネ・フランやメルローとブレンドされることが多いブドウ品種です。
シャトー・ラグランジュも、このカベルネ・ソーヴィニヨンを主体に他の品種をブレンドしています。
比較的小さめの粒で、果皮は厚め。耐寒性が強く、霜の影響を受けにくいため、栽培しやすいのが特徴です。
カベルネ・ソーヴィニヨンを使用して造られたワインは、濃い色味と強めのタンニンが特徴で、ガッチリとした力強い味わいに仕上がります。
カシスなどの果実味、ミントのすっきりとした香りがあり、ワインに骨格を与える力強さの中にしなやかさを感じられるでしょう。
メルロー
続いて紹介する「メルロー」は、カベルネ・ソーヴィニヨンと同じく世界で広く栽培されています。赤ワインに用いられるブドウ品種で、栽培面積は世界2位。
粒は小さすぎず中間の大きさで、房は大きめです。早熟なブドウ品種で糖が上がりやすく、果実味が豊富でまろやかな味わいに仕上がります。
プラムやブラックチェリーなど濃い色の果実の香りと、チョコレートやコーヒーの香りを感じられるのが特徴です。
メルローは酸味、タンニンともに穏やかで、甘い果実味を感じられつつ、なめらかな口当たりで柔らかい印象を持っているため、ワイン初心者の方でも飲みやすいと感じられるでしょう。
産地を選ばずどの環境でも良いブドウができると言われているため世界中で栽培されていますが、原産地はシャトー・ラグランジュの畑があるボルドー地方になります。
シャトー・ラグランジュではメルローをカベルネ・ソーヴィニヨンの次に高いブレンド比率で使用しており、その比率はヴィンテージによって25%~45%と異なります。
プティ・ヴェルド
「プティ・ヴェルド」は主にブレンド用として栽培されている、赤ワイン用のブドウ品種です。こちらもフランスのボルドー地方が原産地と言われていますが、熟成するのに時間のかかるブドウ品種であるため、ボルドーでは1960年代から栽培面積が減少。
その後も復活することはなく、現在ではカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローにブレンドされる補助的ポジションとなりました。
現在ではオーストラリアで積極的に栽培されているブドウ品種です。
オーストラリアの気候はプティ・ヴェルドの栽培に適していて熟すのが早いため、単一品種のワインも造られています。
果皮と種子に果汁が多く、紫がかった黒めの濃い色を出すのが特徴。
ブルーベリーやカシスといった果実の香りと、ブラックペッパーやコーヒーの香りが感じられ、強めの酸味とタンニンを持ちます。
プティ・ヴェルドは、ブレンドすることでワインに「濃い色味、力強さ、骨格」などといったアクセントを与える役割を担っています。
シャトー・ラグランジュではヴィンテージによって2%~13%の比率でプティ・ヴェルドがブレンドされていますが、中にはプティ・ヴェルドを使用せずカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのみで生産している年もあります。
さらに、より美味しくワインを味わうための楽しみ方もまとめましたので、ぜひご参考ください。
シャトー・ラグランジュの選び方
ワインには「ファーストラベル」「セカンドラベル」といったランクがあります。ファーストラベルは、熟成期間やブドウの品質を厳しく評価して生産されたワインに付けられラベルです。
それに対して、セカンドラベルはファーストラベルの基準と異なるワインに別のラベルをつけたものになります。
シャトー・ラグランジュの場合は「シャトー・ラグランジュ」と表記されたものがファーストラベルで、「レ・フィエフ・ド・ラグランジュ」がセカンドラベルの扱いです。
セカンドラベルはファーストラベルよりも価格が低くなりますが、品質が劣っているというわけではありません。
シャトー・ラグランジュはセカンドラベルでも厳しい基準を設けているため、非常に高品質なワインを味わう事ができます。
さらにワインショップソムリエではその中から、ソムリエが厳選したお薦めのヴィンテージを取り扱っていますので、安心してお選びいただけましたら幸いです。
先ほど特徴でもお伝えしましたが、こちらのワインはメドック格付けで3級に格付けされているワインです。
これは数百とあるメドックのシャトーの中で、上位61のシャトーに入るという事になります。
かのワイン評論家ロバート・パーカー氏もお墨付きを与えた、サンジュリアンとオーメドックのテロワール・大自然の力を最大限に発揮した実力派ワインである事は間違いありません。
ボルドーワインの高品質ワインを探されている方や、他のボルドーワインと飲み比べてみたいという方には特におすすめです。
シャトー・ラグランジュの楽しみ方
シャトー・ラグランジュは豊かな果実味を感じられる存在感のある味わいのワインですので、単体でも充分にお楽しみいただけます。高品質な味わいと芳醇な香りをお楽しみいただけるでしょう。
お料理と一緒に楽しみになる場合は、牛肉やラム肉などを使った肉料理と合わせるのがおすすめです。
こだわりのブドウを長期熟成した凝縮された味わいを持っているため、ラム肉のような少し癖のある素材にも合います。
ハッキリとした力強い輪郭がありますので、濃いめの味付けの料理でも味わいが負けてしまうことはありません。
高品質ながらコストパフォーマンスにも優れていますので、デイリーワインとしても楽しめるのも嬉しいところです。
日本が誇るサントリーの徹底した技術と品質管理の果てに生まれた、まさに努力の結晶のようなワインとも呼べる「シャトー・ラグランジュ」。
文句なしの品質と味わいを、ぜひご堪能くださいませ。
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