シャトー・コス・デストゥルネルの特徴と通販での選び方
ボルドーワインの中でも最上級クラスのワインを造る「シャトー・コス・デストゥルネル」。
メドックの銘醸地サン・テステフにおいて、最高の評価を得ているシャトー(生産者のこと)の一つです。
こちらでは、そんなシャトー・コス・デストゥルネルの特徴と通販での選び方をご紹介いたします。
サン・テステフは、フランスを代表する銘醸地ポイヤックがすぐ近くにあり、5つのメドック格付けシャトーを有するエリアです。 メドック格付けとは、1855年のパリ万国博覧会にてナポレオン3世の命によって行われた格付けのことで、当時著名だったシャトーが第1級から第5級までの5段階に格付けされました。
シャトー・コス・デストゥルネルは、このメドック格付けにおいて2級に格付けされた由緒あるシャトーとして、現在まで広く世界に知られています。
さらにシャトー・コス・デストゥルネルはその品質の高さから、「スーパーセカンド」の一つに数えられています。
スーパーセカンドとは1990年代以降に起きたワインブームの際に造られた言葉で、メドック格付け第1級に限りなく近い品質を持つという意味です。
メドックの格付けは例外を除いて当時から見直しはされていないのですが、”もし見直しされることがあれば確実に昇格するであろう“と言われています。
この事からも、シャトー・コス・デストゥルネルが非常に高い品質を持つ、ボルドーファン垂涎のワインを造っていることが伺えるでしょう。
次に、歴史について見ていきましょう。
シャトー・コス・デストゥルネルの名を最初に世界に広めたのは、創始者であるルイ・ガスパール・デストゥルネル氏です。
ルイ・ガスパール・デストゥルネル氏はワイン造りだけではなく、自ら海外へ赴いてワインの販売も行っていました。
その販売先の一つが、インドです。インドでワインの需要があると考えて販売を行った結果、高い評価を得ることに成功します。
また、海外へ持ち込んだ売れ残りのワインに、”return(戻る)”を意味するRの文字をつけて販売すると、驚くことにこちらも大好評。
インド帰りで飲み頃になっていたワインは瞬く間に人気を集め、ルイ・ガスパール・デストゥルネル氏は「サン・テステフのマハラジャ」とまで呼ばれるようになりました。
このような経緯があり、インドとの関りが深いことから、醸造所にはアジア風の装飾が施され、塔のような外観はメドックの中では異彩を放っています。
世界で高い評価を得ることができ順調と思われていたシャトーですが、一時は経営難に陥ってしまったこともあります。
何度か売却されて所有者が変わり、1917年にワイン商人のフェルナルド・ジネステ氏が購入。ジネステ家で数代にわたって引き継がれた後に、1970年~1998年にブルーノ・プラッツ氏が総責任者を務めました。
その後、2000年に現在のオーナーであるミッシェル・レビエ氏に売却され、ブルーノ・プラッツ氏の息子ジャン・ギヨーム・プラッツ氏が醸造の指揮をとっています。
このように所有者は幾度となく変わっていますが、ルイ・ガスパール・デストゥルネル氏が生みだしたシャトーと高品質なワインは、今なお受け継がれ続けているのです。
続いて、特徴について見ていきましょう。
まず、シャトー・コス・デストゥルネルは他のメドックに比べて、メルローのブレンド比率が少し高めであることが挙げられます。
眼下にかの1級シャトーで有名なラフィットを見下ろす位置にある丘は、最高品質のメルロー栽培に適した石灰岩の土壌です。
豊かな土地で育ったブドウの収穫はすべて手作業で丁寧に行われ、2回の選果の後、ステンレスタンクで重力を活かした醸造が行われます。
新樽の使用比率が他のメドックに比べて高いことも特徴的で、ヴィンテージによっては100%新樽を使うこともあるとのこと。
樽での熟成には約1年半をかけ、数か月に一度のスパンで澱引きされますが、これらの期間は年によって最適になるよう細かく調整されています。
シャトー・コス・デストゥルネルはメドックが不作の年でも高品質なワインを生み出す安定したシャトーとしても知られていますが、それはこうした徹底的な品質管理の賜物であると言えるでしょう。
全体の特徴としては、サン・テステフの特徴である力強さを持ちながらも、エレガントさや華やかさのある、複雑で長期熟成に適した造りになっています。
こちらでは、それぞれの品種の特徴をご説明いたします。
カベルネ・ソーヴィニヨン
シャトー・コス・デストゥルネルの主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンは、世界で最も人気が高い黒ブドウ品種です。栽培面積1位を誇る品種であり、世界中で広く栽培されています。
小さめの粒で厚めの果皮と大きめの種が特徴で、タンニンと酸味が豊富に含まれており、力強いしっかりとした骨格のワインに仕上がります。
また、ワインに仕上がった時の色調は、非常に深いルビー色。
カシスといった果実系の香りや、ピーマンの香りを感じられ、上品さを併せ持つ味わいとなります。
シャトー・コス・デストゥルネルの所有するブドウ畑は、粘土質と砂利質の土壌になっており、カベルネ・ソーヴィニヨンは水はけの良い斜面に60%の比率で植えられています。
また、20のタイプの土壌が入り組んでいることも特徴の一つです。
区画ごとの特性を把握した上で、日照条件、土壌などを考慮し、適したブドウ品種が植えられて細かく管理されています。
平均樹齢は36年ですが、古いものは80年~100年にもなるそうです。
シャトー・コス・デストゥルネルの赤ワインは、このカベルネ・ソーヴィニヨンをメインに、メルローといった他の品種とブレンドして造られます。
カベルネ・ソーヴィニヨンが持つ力強さにまろやかさが加わり、しっかりとした構造を持つエレガントな味わいが特徴的です。
メルロー
メルローは、カベルネ・ソーヴィニヨンと同様に世界で人気の高い黒ブドウ品種です。原産地のボルドー地方では霜の被害を受けたことにより収穫量が減りましたが、品質に関しては良いブドウが造られています。
メルローは、大きめの房と青みがかった黒色の中くらいの粒。プラムやプルーンなどの果実の香りを持ち、タンニンと酸味は控えめです。
早熟タイプで果実味が豊富に含まれており、柔らかくソフトな印象の味わいが特徴です。
病害への抵抗性が強く、多産、樹勢が強いという長所があります。
また、それらの長所に加えてどのエリアで栽培しても上質なブドウに育つと言われる点も、世界で人気が高い理由でしょう。
シャトー・コス・デストゥルネルでは、約38%のメルローが東側の粘土石灰岩質の土壌に植えられています。
メルローのブレンド比率が高いことが特徴で、ヴィンテージによって多少異なりますが、平均的に40%ほどとメドックにしては珍しいです。
ソフトな印象を持つメルローが多くブレンドされることにより、重厚な味わいの中に柔らかさやエレガントさをもたらしています。
ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランは栽培面積世界8位の人気白ブドウ品種で、フランス中部では「ブラン・フュメ」、オーストリアでは「ムスカット・シルヴァーナー」など、産地によって異なる呼び名を持ちます。小さめの房に明るい黄緑色の小さい粒で、フレッシュな酸味が特徴です。
また、香りはエリアによって異なり、冷涼なエリアではレモンやライム。温暖なエリアでは洋ナシやグレープフルーツの香りを感じられます。
心地よい酸味と、新鮮な果実の香りがソーヴィニヨン・ブランの魅力と言えるでしょう。
このソーヴィニヨン・ブランとセミヨンをブレンドして造られているのが、「シャトー・コス・デストゥルネル・ブラン」という白ワインです。
ヴィンテージによってブレンド比率は異なりますが、基本的にソーヴィニヨン・ブランが70%~とメインで使用され、フレッシュな酸味、果実の香りをもたらしています。
セミヨン
セミヨンは世界で約20,000ha栽培されている白ブドウ品種で、主に原産地のボルドー地方やオーストラリアを中心に栽培されています。大きめの房と粒を持ち、早熟タイプとして知られるセミヨンは、病害に強く、安定した収穫量を期待できる点が魅力の一つです。
洋ナシといった果実の香りがあり、繊細な味わいのワインに仕上がります。
また、酸味は比較的穏やかで、糖度は高めです。
2005年から生産が開始されたシャトー・コス・デストゥルネルの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランをメインに約30%のセミヨンがブレンドされ、お互いの持つ特徴を組み合わせた味わいに仕上がっています。
この地の粘土質と砂利質の畑は、これら白ブドウ品種の栽培に理想的であり、ミネラルがしっかりと感じられるバランスの良い白ワインを造り出すのです。
また、赤ワインに比べて生産量が少ないことから希少性が高く、入手困難な白ワインとしても知られています。
また、楽しみ方も併せてご紹介しますので、購入されたお客様は是非こちらを参考にお楽しみください。
シャトー・コス・デストゥルネルの選び方
シャトー・コス・デストゥルネルは、赤ワインと白ワインのラインナップがあります。それぞれの特徴をご紹介しますので、購入の際の参考としてご覧ください。
まず、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンが主体となっており、力強い味わいが特徴です。
さらに、メルローがブレンドされることによって柔らかさがプラスされ、重厚な味わいに上品さが感じられます。
こちらのシャトーはメルローのブレンド比率が高いことで知られていますが、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いワインも増えてきています。
サン・テステフ特有のどっしりとした味わいを感じられるため、強めの味わいの赤ワインがお好みの方におすすめです。
そして、白ワインはソーヴィニヨン・ブランが主体で、セミヨンとブレンドされています。
こちらで生産される白ワインの魅力は、フレッシュな果実味と爽やかな味わいです。
2つの品種の特徴を最大限に活かし、お互いを邪魔しない絶妙なハーモニーを味わうことができます。
また、若いうちは果実や花を連想させる香りが特徴で、4~5年経過すると深みが増し、丸みを帯びた味わいへと変化します。
果実味が豊富な味わいがお好みの方、辛口白ワインをお探しの方に是非おすすめしたい逸品です。
次に、ヴィンテージについて見ていきましょう。
シャトー・コス・デストゥルネルはワイン造りに対して熱い情熱が注がれており、最先端の設備を取り入れています。
そして、2000年以降には多大な投資や研究が行われているため、その年代のワインは特に品質が高めです。
そのため、より高品質な味わいを楽しみたいという方は、2000年以降のヴィンテージを選ぶと良いでしょう。
一方で、シャトー・コス・デストゥルネルは安定性に優れているという特徴がありますので、いずれのヴィンテージにおいても品質が高いことは間違いありません。
ワインショップソムリエでは数ある中からソムリエ厳選の商品だけをご用意していますので、ラインナップの中から安心してお選びください。
また、シャトー・コス・デストゥルネルは、フランスを代表するワイン雑誌「ル・クラスマン」で、メドック最高評価の3つ星を獲得したシャトーです。
ル・クラスマンでは、「メドックの中でもトップクラスの上品さ、複雑さを誇るワインを生産している」と絶賛されました。
厳しい評価で知られるル・クラスマンでこのような高い評価を得ていますので、実力派のボルドーワインを探されている方にもおすすめです。
シャトー・コス・デストゥルネルの楽しみ方
シャトー・コス・デストゥルネルは80~100%の新樽で18か月熟成されていますので、購入後すぐに開栓してもお楽しみいただけます。ただ、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンがメインということもあり、長期間熟成させることも可能です。
熟成の深い味わいがお好みの方は、少し寝かせてからお楽しみいただくのも良いでしょう。
また、白ワインは若いうち(約3年)は果実、花の香りが高く、4~5年経過するとより香りに深みが増します。
深い香りや丸みを帯びた味わいがお好みであれば、4~5年経過したものをお選びいただくか、購入してからお好みで寝かせておくのもおすすめです。
シャトー・コス・デストゥルネルのワインを最大限に楽しむためには、料理と合わせると良いでしょう。
赤ワインは力強く、上品な味わいが特徴ですので、赤身肉のステーキやビーフシチューなど、牛肉を使ったお料理全般に。
白ワインはフレッシュな果実味とすっきりした味わいが特徴ですので、チキンソテーや鯛のカルパッチョなどのサッパリしたお料理をはじめ、幅広い料理と合わせることができます。
使えるシーンとしては、誕生日会や記念日などの特別な日、ホームパーティーといった華やかな場にも最適です。
また、ル・クラスマンで3つ星を獲得するなど、品質・味わいともに高い評価を受けているので、大切な方への贈り物としてお選びいただくのも良いでしょう。
サン・テステフのトップ・シャトーとして知られる、メドック格付2級のシャトー・コス・デストゥルネル。
メドックでもトップクラスを誇る実力派のボルドーワインを、是非この機会にご堪能ください。
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