
Mas Saint Laurent
マス・サン・ローラン
白ワインと生牡蠣、白ワインと刺身…
そんなシーンで、ワインを口にして、本当にぴったり!と感じたことはありますか?
例えばカキに合うと言われるシャブリ…頭では合う、と思っていても、素直に「これって最高に美味しい!」なんて思えないことも。
今回ワインショップソムリエがオススメするのは、教本にも載っていない、本当に海鮮&和食に合うワイン!!
答えは南フランスにありました。
南仏でも有数の都市モンペリエの近郊のリゾート地「メゼ」。
その付近はアフリカからフラミンゴが訪れ、
市場には地中海の海の幸が溢れる、まさに海の恵みが溢れる
港町です。
ここでは夏になると生牡蠣はじめ、エビやムール貝など海の幸を氷の山にたっぷり盛った屋台が並び、ヨーロッパ中の人がヴァカンスを楽しみに訪れます。
賑やかな港町の雰囲気は、どちらかといえば、庶民が夏を楽しむリゾート地、といった様子。
ゴージャスなホテルやヨットハーバーはないけれど、小舟が行き交い、漁師が声を張り上げ笑う姿が見られ、通りにはオープンカフェや屋台がびっしり連なり、活気に溢れています。
そしてメゼの付近に広がるぶどう畑は、海からくる潮風を受ける過酷な環境。
しかしこの潮気を含んだ土壌からは、素晴らしいミネラルと潮味を感じる、極上の白ワインが生まれるのです!!
このあたりで有名なのは、なんといっても「ピクプール・ド・ピネ」。
キリッと芯のある酸味が、生牡蠣始め獲れたての海の幸によく合います。
「優れたワインのひとつの定義。植えられるべき場所に植えられたブドウから、
造られるべき形で造られたようなワイン。
そこには一朝一夕には生まれるはずもない自然体の美味が眠り、
その眠りから覚めた姿を初めて見る喜びが待っている。」
「極めて石灰が強い土壌、雨量の少なさと地下水位の低さ。
このためぶどうは真っ白の土深く達し、石灰質土壌ならではの
キリッとした酸と、堅牢なミネラル感と、華やいだ気品を獲得する。」
「いろいろなピクプール・ド・ピネがあるが、すべては海の味がする。
眼前の海では牡蠣が採れる。当然のように、両者は素晴らしい相性を見せる。
シャブリやミュスカデ以上に、牡蠣にはピクプールが合うと知った。」
ワイナート51号 p91より引用
いいワインを探し求めて訪れた南仏。
そのフランスの港町「メゼ」で素晴らしいワインを発見!!
ふらりと立ち寄ったシーフードレストラン、夏はリゾート客でごった返すものの、冬はのんびりしたもので、地元の人々がゆっくりと海の幸を楽しんでいました。
「この生牡蠣に合うワインなんておいてますか?」
そんな質問の答えとして持ってきたのが、
このマス・サン・ローラン!
一口飲むと、「え?これがピクプール?!」
しっかり酸味があって、濃密、まるで丸かじりパインです。
魚介にスダチが美味しい、そんな感覚で合わせるイメージだったピクプールが見せた、衝撃の濃厚な味わいに驚きを隠せません!!
スケジュールを調整して、アポを入れ、急遽生産者のお宅を突撃訪問!
早速テイスティングルームに案内されました。
「この土壌はすごく古い。白亜紀のもので、実はうちの畑からは恐竜の卵の化石が出たんだ。当時ちょっとした騒動になったんだよ」
マス・サン・ローランのローラン・タルーさんは、紺のセーターで控えめな語り口、知性的な人だな、という印象を受けました。
タルーさんにインタヴューすると、そのこだわりのワイン造りがさらさらと、いとも簡単な事のように出てきます。
海風の影響が強く、ぶどうの味を食べると本当に塩味がする…
「そんな塩気がある土地では植物にとっては生存環境が厳しく、
雑草や害虫などの被害はそこまでないそうです。」
収穫は深夜2時にスタート。
「ブドウは陽がでると光合成の為に実の糖分を使ってしまう。
美味しいワインを作るなら、ブドウの木が栄養を貯め込んで
休んでいる深夜の収穫がベストなんだ。」
そうなんだ。
うちのワインが本来のピクプールじゃない、とかいろいろ言ってくるのさ。昔は畑をつぶせとまで言われた。
さすがに腹が立って、正当じゃないと言われたうちのピクプールをコンクールに出品した。
そこで最優秀賞を取ってから、そんなこと言われなくなったんだ。
もう買手がいるし、そんな必要はないよ。
もともとうちのピクプールがピクプールじゃない、なんて言われたからそれに反証するために出品しただけだしね。
予想外に首位を取ってしまったが(笑)
「私はここの地元で受けついできた品種が好きだし、
この品種じゃないとここの個性も出せないと思っている。
私だけじゃなく、みんなそう思っていると思うよ。」
でも最近多いですよね。
ラングドックのシャルドネとかカベルネ。
「それは補助金がでるからだ。」
え?
「地場品種を引っこ抜いて、海外に売りやすいカベルネやシャルドネを植えると補助金が出るんだ。それで、みんな仕方なく切り替える。 だから、このテレットも古代品種みたいに言われてしまうんだ・・・」
経済活動が地元の伝統を蝕んでいる、そんな現場を目の当たりにし、少しさみしい気もしましたが、 タルー氏の地場を愛するこだわりのワイン造りにふれることができました。
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