森や谷、火山など雄大な自然が残る風光明媚な地であることで知られており、日本でも人気が高い軟水のミネラルウォーター「ボルヴィック」とも関係がある場所です。
オーベルニュの国立公園に、およそ4,000ヘクタールを超える水源地が存在しており、ここからボルヴィックの水が採水されています。
100を超える火山や温泉、さらに2万キロメートルを超える河川など、フランスきっての雄大な自然が残っているこの地は、世界中から観光客がやってくる場所としても有名です。
オーベルニュでは、ボルヴィックのような名水をはじめ、豊かな自然を守るため自然環境が厳しく保護されています。
昔からこの地では、農薬はもちろん、化学肥料などが使用されていない有機農法が続けられてきました。
そのため、ブドウ栽培を行う生産者も「リュット・レゾネ(減農薬栽培)」や「有機農法」など、自然に配慮したブドウ栽培を心掛けており、
それがオーベルニュのピュアで品質の高いブドウ造りに繋がっているのです。
ワイン生産国として有名なフランスですが、オーベルニュはワイン産地としてまだあまり知られていません。
その理由は、この地にAOCという産地の個性を守るための法的な規制が制定されていないからでしょう。
ボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュなどの地方で造られているワインはAOCで守られ、その品質もワイン法で厳しく規定されています。
しかし、オーベルニュワインは厳格に細かなところが決められておらず、自由な造りのワインが多く存在しているのが特徴です。
オーベルニュは冬は寒い時期になりますが、ブドウの生育期には晴れの日が多く気温も上がるため、ブドウ栽培に適した気候条件は整っています。
また、微生物なども豊かに生息する健全な土壌であることなど、オーベルニュはワイン造りに適した地として見直されてきています。
あまり知られていないからこそ、品質が高いワインもカジュアルな価格で手に入る。
まさに掘り出しワインの宝庫な産地なのです。
味の特徴
あまりメジャーな産地ではないオーベルニュワインは、ほかのワイン産地に比べると味わいが劣ると思われがちです。しかし、オーベルニュは「ミシュラン」の本拠地であったり、「ブルー・ドーヴェルニュ」や「フルム・ダンベール」など、青カビチーズの名産地でもあります。
また、オーベルニュの大自然と綺麗な水源のもとで育つ有機野菜は、シェフからの人気も高く、オーガニックのブランド野菜としてEUの原産地名称保護の認定を受けています。
こういったグルメな産地だからこそ、高い品質のワインも多く造られているのです。
さらにオーベルニュはヨーロッパ最大の自然保護区であることから、ブドウの多くはリュット・レゾネやオーガニック栽培がなされています。
そのため、テロワール(土壌や気候など栽培地域の特徴)を感じさせるピュアな味わいも楽しめます。
このようにオーベルニュは、まだまだ知られていない産地だからこそ楽しめる、新たなワインをお探しの方にはおすすめの産地です。
オーベルニュの赤ワイン
オーベルニュは、ブルゴーニュ地方と同様にピノ・ノワールなどから赤ワインが造られています。しかし、やや温暖な気候や火山性土壌がもたらす柔らかさがあるため、ブルゴーニュの赤ワインと比べると、優しくまろやかな印象を感じることができるでしょう。
全体的にチャーミングな赤い果実というよりは、
・スグリ
・グーズベリー
・野いちご
などの果実味が豊かなところが特徴です。
アルコール度数が高めのワインも多いことから、ボリューミーな味わいを楽しむことができます。
オーベルニュの白ワイン
オーベルニュでは、ブルゴーニュ品種であるシャルドネを多く使用した白ワインが造られています。ブルゴーニュよりも南部に位置していることから、その味わいはトロピカルフルーツや洋梨、白桃のニュアンスが強く出ており、フルーティーな味わいを楽しむことができるでしょう。
赤ワインと同様に、白ワインもアルコール度数が高めに造られているため、飲み応えのあるしっかりとした味わいが楽しめます。
青カビのチーズなど、クセのあるチーズとの相性が良い白ワインが多いです。
しっかりとした味わいとクセのある食べ物の組み合せを楽しみたい方にはおすすめです。
オーベルニュワインに使われているブドウ品種
オーベルニュでは、さまざまなブドウ品種が栽培されています。その中でも、主要品種とされているブドウ品種を紹介します。
ピノ・ノワール
オーベルニュの赤ワインの中で、特に多く使用されている主要品種が「ピノ・ノワール」です。ピノ・ノワールは、ブルゴーニュの主要品種ですが、この産地から近い場所にあるオーベルニュでもそのブドウが使われます。
比較的、冷涼な産地を好む品種ですが、オーベルニュの気候と、水はけのよい火山性土壌との相性が良いため、品質が高い赤ワインが生産されています。
ブルゴーニュに比べて比較的糖度が高めになっており、オベールニュではライトボディというよりはミディアムボディのワインが生み出されているのが特徴です。
ガメイ
ブルゴーニュ品種が主体となっていることから、オーベルニュでは、「ガメイ」も栽培されています。ガメイは、ブルゴーニュ南部のボージョレ地区の主要品種です。
より温暖で肥沃な土壌であるオーベルニュでは、ジューシーで飲み応えのある赤ワインとなっています。
アルコール度数も高めで、香りも落ち着いたラズベリーを思わせる味わいがあります。
ボージョレ・ヌーヴォーとは違った味わいが楽しみたい方には、オーベルニュのガメイがおすすめです。
シャルドネ
ブルゴーニュをはじめ、世界中で数多く栽培されている白ブドウ品種の「シャルドネ」。オーベルニュの白ワインの主要品種としても活躍しています。
オーベルニュは、火山性土壌や温暖な気候であることから、シャルドネがしっかりと熟す産地として知られています。
リンゴや洋梨、白桃、白い花のニュアンスなど、フルーティーで華やかな香りが出てくるところが特徴です。
高めのアルコール度数で仕上げられることが多く、どっしりとした味わいを楽しめます。
一方で、カリフォルニア、チリ、オーストラリアなどのボリューミーなシャルドネとは違った”繊細さ”も兼ね備えた、フランスらしい味に仕上げているところもポイントでしょう。
オーベルニュで醸されるシャルドネワインは、満足感の高い、バランスの良い味わいのものばかりです。